あらすじ
光り輝く、夜のあたしを見てくれ!
女たちの孤独な闘いを描いた最高傑作。
就職先の一流企業でも挫折感を味わった和恵は、夜の女として渋谷の街角に立つようになる。
そこでひたすらに男を求め続けて娼婦に身を落としたユリコと再会する。
「今に怪物を愛でる男が現れる。きっと、そいつはあたしたちを殺すわよ」
“怪物”へと変貌し、輝きを放ちながら破滅へと突き進む、女たちの魂の軌跡。
解説・斎藤美奈子
※この電子書籍は2003年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
長い時間をかけて、大切に読み進めました。読めて良かったです。上巻を凌ぐ衝撃。壮絶。ラストは、百合雄ちゃんに心のすべてを奪われました。この小説は、読み手によって好みが別れると思われますが、人間関係のドロドロした内容が大丈夫な方に、特におすすめしたいです。桐野夏生さんの他の小説も読みたいです。
Posted by ブクログ
張万力
小牛、秀蘭、安基、根徳、梅華、美君
野呂義明
沈毅
黄
ドラゴン
牛虎
阿呉
陳
山本ふみ
山本彰
原善美夫
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健平
東真
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平田百合子
佐藤和恵
ヤン・マーハ
平田幸子
佐藤嘉男
聡子
ミツル
タカシ
百合雄
Posted by ブクログ
最高に楽しめた。
やはり上下巻合わせて読むと達成感ある。
上巻は主にQ女子校の階級闘争の話。
内部生と外部進学生徒たちとの、「努力では獲得できないもの(ヒエラルキー上層部やコネ等)」を描いていて、下層部生徒への風当たりがきつく、酷くて強烈だった。
努力を嘲笑う場面では反吐が出そうだった。
変わって下巻では、そんな学園の劣等生だった佐藤和恵が一転、大学を経て一流企業に入りバリバリ働いているではないか。
下克上。
今まであたしをバカにしていた奴ら、ざまあみやがれ!!
という勝気な和恵の叫びが聞こえてきそうだ。
しかし、そんな彼女は高スペックOLの傍ら街に繰り出し娼婦として生きるようになる。
なぜ? お金が欲しいのか、それともセックスがしたいのか?
どちらでもない。小さい頃から妹を憎みながら育ち、学生時代は他者と比較され虐められた彼女の自己肯定感は皆無と言っていいほど地に落ちていた。自分で自分を愛せない。そして自分以外に愛してくれる人もいない。
そのままの自分、を肯定出来なければ、条件付きの自分、を他者から愛してもらおうと乞うようになる。
和恵の場合、それは娼婦として体を売ることであり、一流企業社員という肩書きは無くてはならない武器だった。
中年男の客たちに歳をとっていることを非難され、劣っている容姿をバカにされても、和恵は肩書きを知って娼婦とのギャップに驚く男たちを征服する快感から逃れられず、立ちんぼを続けていく。
自分だけの世界に生きる和恵。彼女の世界に鏡を見るという行為はないくらい、自らを賞賛し、自分は勝者だと思い込む和恵。
その痛々しさが読み手には残酷に映る一方で、どこか痛快にも思える。
やがて一流企業の名を知らない外国人の男が現れたところで、彼女のメルヘン帝国は終焉を迎える。
肩書きなんて彼らの前では、ホコリのついた紙くずと同じ。ただのゴミでしかなかった。
それを突きつけられた瞬間から、彼女は今まで見えなかった心の大きな空洞に気づく。それは寂しさであり、ありのままの自分を愛してくれる他者の存在のようなものか。
客を取る売り手優位の立場から、客を手放さないように自身を安売りするようになる転落ぶりは鮮やかだ。
男の言いなりになり、文字通り男の玩具になる女なんて、何の魅力もない。
プライドなんて既に捨ててしまって、裸の自分の醜さにも気づいているのに、それでも体を売らないと自分が保てない。
あっという間に末期になってしまった和恵は、本人が望んだような、痛ましい最期を迎える。
暴走し、やがて凋落していく自分自身を止められなかった和恵に巣食う、巨大な自己否定感。
強烈なコンプレックスは人格を破壊してしまうのだ。
大器晩成型の和恵の人生に、たった一人でも彼女のありのままを認め、愛してあげられる人がいればどれほど救いになっただろう、と考えてしまった。
一流企業で働くこんなカッコイイ自分が、娼婦なんていう世間から嘲笑されるようなことをしている。誇れるものと恥ずべきものは表裏一体で、人生を複雑にする。
しかしまた、その落差は男を征服するカギになりえるのだ。
自分を損ねる、自傷させることで復讐することができると、和恵は考えていた。
悪意を纏わないと渡っていけない社会。そこでは無言の戦いと駆け引きが横行している。出てくる登場人物みんな心に黒々とした闇を持ち、努力をバカにし他者を蹴落とすことで自分と向き合うことから逃げている者ばかりで、胸糞悪い気持ちになることが多かった。
しかし、口では言わないだけで、みんな似たようなことを日々考えて生きているのかもしれないと思い、やっぱり人間たちが暮らす世界が1番怖いという結論に至った。
この物語を読んでいる間、自分の体を商品として他人に売ること、またその仕事についてずっと考えていた。
娼婦という職は江戸時代とかもっと前からあるらしい。
自分の性を売る女性の気持ちとか、プライド、また罪悪感みたいなもの。
自分も一時期ゲイ向け風俗で働こうかと思っていたことがあるし、また出会い系アプリで他人に体を提供し金銭授受が発生しそうになったこともあった。
自分の価値を測れる手っ取り早い方法が体を差し出すことだったから。今考えるとなんて安直な考えだったのだろうと、自分の頬を張り飛ばしたくなる。
他人に値踏みされ、存在意義の可否を露骨に判定される。
そんなシビアな世界に優しさなんて求めてもお門違いなんだ。
そうだ、、あの頃は寂しかった。寂しいが故の行動だったんだ、という思考に終着し、和恵に感情移入してしまうんだな。
Posted by ブクログ
重い重い。でもこれぞ文学。女性という生き物をこれでもかとグロテスクに描き、絶妙に私の何かを突いてくる。凄みがあり素晴らしかった。
下巻ではチャンの上申書から始まり、グッと惹きつけられた。この目線が後からかなり効いてくる。木島先生の手紙パートも味わい深くて良い。
このグロテスクさを味わうには今の年齢じゃないと読みきれなかったんじゃないかなーと思う。
桐野夏生さん他も読みたい。
でも一旦美しいものに触れるぞー!バランスが大事。
「わたしが考えるに、水とは、女の場合、男なのです。
わたしはユリコと違って男という生物が大嫌いです。男と好き合うこともなければ、抱き合うこともない。だから、発酵も腐敗もせずにこうやって生きています。ええ。わたしは乾燥してしまった木なのです。ユリコは生まれついての男好きですから、長い発酵を経て腐敗した。ミツルは結婚して道を誤って腐敗し、和恵は歳を取るに従って自分の生活になかった潤いが欲しくなって腐敗して滅んだのです。違いますか。」
「水を得た女は皆、居丈高になるのです。」
「誇れるものと恥ずべきものは実は表裏一体で、あたしを苦しめたり、喜ばせたりするのだ。」
Posted by ブクログ
上巻が女子高生の話だと思ったら、下巻前半は中国からの難民の話になり、振り幅に度肝を抜かれた。下巻後半はほぼ円山町の怪談話のような展開で、心を打つ言葉が多々あり、ただただ最高であった。
Posted by ブクログ
名門女子高に渦巻く女子高生たちの悪意と欺瞞。「ここは嫌らしいほどの階級社会なのよ」。
「わたし」とユリコは日本人の母とスイス人の父の間に生まれた。母に似た凡庸な容姿の「わたし」に比べ、完璧な美少女の妹のユリコ。家族を嫌う「わたし」は受験しQ女子高に入り、そこで佐藤和恵たち級友と、一見平穏な日々を送っていた。ところが両親と共にスイスに行ったユリコが、母の自殺により「帰国子女」として学園に転校してくる。悪魔的な美貌を持つニンフォマニアのユリコ、競争心をむき出しにし、孤立する途中入学組の和恵。「わたし」は二人を激しく憎み、陥れようとする。
Posted by ブクログ
和恵が日記をつけていることが上巻で明かされたときから、和恵の日記は視点として出てくるだろうなと思ってたらやっぱり出てきて、しかしその支離滅裂っぷりがあまりに凄すぎて圧倒されてしまった。自分が何を求めているのか、何が辛いのか、悲しいのか、そういうものがわからなくなって、本人は理論的なつもりなのに世間とは明らかにズレはじめてしまっている、これはギャグなのではないか?と疑うくらいの滑稽さ。既視感あるなと思ったら、闇金ウシジマくんに出てくる女性に似てるんだと気づいた。自分は一生懸命なんの問題もなく振る舞っているのに、周りはドン引きして離れていって、それがどうしてかわからないっていう感じ。読んでて本当に辛かった。
そして、今いったことを次にはすぐに覆しちゃうところが、和恵と「わたし」よく似ているところだなと思った。
しかし、まさか「わたし」まで売春しはじめるENDで終わるとは思わなかったのでラストの展開は予想外すぎた。これは、解放や復讐としてのエンディングとして肯定してよいものなのか?と疑問に思う。
けっきょくユリコに囚われ続けた「わたし」は、今度はユリオに囚われるだけではないのか?とも思えるし。
あと結局、チャンが殺してるのか殺してないのかも最後までわからない。誰が本当のことを言ってるのかも最後までわからない。その辺がちょっと読後感としてはモヤモヤするというか、白黒はっきりつけたい欲が消化不良をおこしているなと感じる。
ハッピーマニアとかもそうだけど、性に奔放であることが女の解放だった時代の小説を、今読むから違和感を感じるのだろうな。たとえ破滅するにしても、推しとか金のために売春するのではない、自分のために売春する女の物語を久々に見た気がする。
登場人物の女たちのような差別や序列や劣等感、プライド、虚栄心をもったことのない女などおそらくこの世にはいないと思う。多かれ少なかれ若い頃はこういうものに支配されて少し頭がおかしくなる。だからこそ、どのキャラたちも全然好きじゃないけど笑い物にはできないなぁと思った。
Posted by ブクログ
途中までとても面白く読んでいたが、和恵の日記からタイトル通りのグロテスクな世界に引き込まれそうで怖くなった。
メンタルが弱っている時は読まない方がいいかも。
最終的に登場人物が1人に収束していくような。
Posted by ブクログ
ニクヨさんの推薦書として読んでみた。
和恵のパートで胸が痛い。
鈍感で悪意にも気づかず、
いつも承認欲求に飢えている女。
パートの後半で「優しくして」という言葉が胸に刺さる。自分を商品として売っている街娼なのに「買われたい」以上に「認められたい」「愛されたい」「私をみて大丈夫だって言って」「安心させて」という悲痛な声が読み取れて悲しい気持ち半面、分かるなぁーとも思った。
誰かに承認されて「正常です」と言われたいのに、その言葉を求めるあまり怪物と化していく。。
承認欲求は恐ろしい。
綺麗なもの、美味しいもの、素敵なもの、良い経験を積めば積むほどに未来に出会うものと比較して評価する。
そんなことしてたらいずれ欠乏感に苦しみ、和恵みたいな化け物になってしまうのたど思った。
悲しい。。私にも怪物の片鱗があって苦しくて嫌にもなった。
Posted by ブクログ
上巻は「わたし」と一緒に和恵をいじめて楽しみ、下巻は和恵に盛大に共感して落ち込んだ。
日本で努力信仰の世界で生きることを許されていた和恵の姿が、自分に被る。老いる身体を受け入れず、鏡の中の幻影に縋り、いつしか怪物になっていく過程を楽しみすらしていた和恵が。
彼女の自己認識のズレが、私の持つ自己認識のズレとオーバーラップする。和恵は上方にズレ、私は下方にズレているという違いはあれど、ほんとうの自分の姿と、ほんとうの周囲の視線や評価を受け入れない限り、ひとに幸福は訪れないんじゃないだろうか。
あと、チャンがシンプルにこわい。人間の作りが違いすぎる。心の底から分かり合えない、関わってはいけない人間は、存在すると思う。
Posted by ブクログ
世間の正義、他人の目を気にして生きること、それに囚われすぎる人達、全く囚われない人、すべての人の生き様を抜かりなく伝えつつ、それが世間で社会だってサクッと結論付け。面白かった。
Posted by ブクログ
悪意に満ちた主人公、飛び抜けた美貌を持つが男に依存してでしか生きられないユリコ、努力家だが要領が悪く空気も読めず嘲笑される和恵、彼女らの思考や行動は全く共感できないものではない。彼女らを通して、誰もが自身の実社会でも思い当たる部分があることに気づき、重く虚しい気分を感じるだろう。また、上巻から下巻ほとんどにかけて、彼女らの凋落の要因として男の身勝手さが書かれていたところに、最終章では百合雄を買う女の身勝手さも書かれ、性差の問題から人間としての欲望の問題について思考を転換させられたのが印象深い。
Posted by ブクログ
闇、闇、闇、闇という感じ。
中国の話をもっと聞きたいなと感じてしまった。面白い。
私もグロテスクに変わるときがくるのだろうか。怖い。
こんな小説が書ける桐野夏生さん凄いな。
Posted by ブクログ
東電OL殺人事件をヒントに描かれた作品。 美貌の妹に生涯コンプレックスを持ち続ける姉、その同級生でやはり美貌と富にコンプレックスを抱える一流企業OL。 こんなにも人生を狂わせるコンプレックスがあるのかと恐怖を覚える。和恵のような不器用な子はたくさんいる。特別おかしな子供ということはなかったのに、何がここまで人生を歪ませてしまったか。誰かに優しくされたい、認めてもらいたい、自分は特別だと思いたい気持ちは誰にでもあるが、その気持ちが余りにも大きくなると壊れてしまうのだろうか?
「わたし」の末路も、滑稽かつグロテスクで恐ろしかった。
Posted by ブクログ
ルッキズムに囚われ、憎み、その外に行きたがっていた主人公がずっと妬んでいた美しい妹にそっくりな美しい甥が現れた瞬間、即心奪われてたのが凄すぎた 性別が変わった瞬間にルッキズムで搾取する側になっとる…人間の心情描写すごすぎ!?!?登場人物全員陰鬱で傲慢で切実で…って感じで凄みがずっとあった めちゃくちゃおもしろかった!!!
Posted by ブクログ
東電OL殺人事件をモチーフにしたと聞いて読んでみた。
読んでいて心がザワザワするくらい、登場人物がみんな情緒不安定で、特に和恵の行動には危機迫るものを感じた。
昼はエリート会社員、夜は娼婦という生活がどんどん彼女を壊したのか、逆にその生活で保たれていた心の安定であの状態なのか、心の闇は深い。
Posted by ブクログ
最後にきた、東電OLのモデルの方の手記が圧巻…
恐ろしい。
いや、家族も見過ごすのが、悪いような。
唯一専務だけが、真正面から向き合ってきたのが、こういう人が出世するのかーと同僚の山本さんという東大卒の女性が仕事にやり甲斐を見出だせす、早々にあまりイケていない(捻くれた和恵から見ると)彼氏と寿退職する辺りだけ共感出来た。
Posted by ブクログ
わたしはあなたたちとは違うー
世の中の、みんな同じ、という重苦しい圧から抜け出したい。だから最も「ふつう」とは異なる娼婦をする。それは人の頭や心から作り出された空気とは、反対に位置する肉体を通して生きる仕事なのだ。
だがそれは「ふつう」の世の中からはグロテスクな存在にしか見えない。現実が「生」の世の中だとすれば、その反対は「死」であり、現実を振り切って極端に走ってしまえば、その先には滅亡しか待っていない。
誰もが空っぽであることに耐え切れず、手ごたえがほしくて体を合わせる。それが性に向かわせる。だが空っぽなのは心の方だから、肉体を触ったところで残るのは虚しさだけになる。お金が喜びになるのは、形として残るからだ。しかしそれも紙切れに過ぎない。求めているのは心の充足だから、どんどんお金はどうでもよくなり、その結果、体を売ることになる。
拒食症になっていったのは、大人の女になることの否定でもある。ガリガリに痩せた体は少年のようだ。お手本となる母親に対してああはなりたくないという否定的な感情が働くことがそうさせる。父親依存が強いことからもそれがうかがえる。同時にいつまでも子どもでいたいということでもある。自立したひとりの女性ではなく。だから一家の大黒柱のような大人として自分が家族を養なわければならないと思いこんでしまったことに耐え切れず、そこから逃れたくて、その反対であるもっとも自由奔放な立場ともいえる性の世界に彼女は入り込む。
空っぽの心を埋めたいと同時に、彼女は子どものままの自分を受け止め甘えさせてくれる存在がほしかったのだ。体を売りながら、そんな相手を探し続けていたのかもしれない。
「わたし」と和恵はあまりにも普通の人すぎて、それに耐えられなかった。
ユリコはその絶対的な美しさから、この世に埋もれることはなかったが逆に孤高の存在となり、それは孤独となり、だから誰彼かまわず交わろうとしたのだろう。より多く交わらなければならないほど、彼女は「ひとり」だったのだ。
匿名
最近から最後まで登場する人物全員が怖すぎるて、ゾッとしました。ほんとグロテスクです。
共感できそうでいて、誰にも共感できなかったです。
悲しすぎます。
Posted by ブクログ
昔丸山町で立ちんぼを見たことがあった。今みたいに若い子がやっているんではなくて、おばさんだった。その頃は私は世間知らずの大学生だったので、なんであんなことやっているんだろう、なんであんなに闇を感じるんだろうとおもってたけど、それの答え合わせが出来た気がする。
登場人物全員に感情移入ができなくて、理解不能だったけど、自分の人生の中での既視感はあった。その時と同じように、人間観察の気持ちで読んでた。
そういう人たちをかわいそうと思う、勝手に上から見ている私も怪物の一部を持っているのかなぁ。
印象に残ったのは中国人の身の上話だった。
Posted by ブクログ
生まれた場所で人の地位や運命が決まる事の残酷さを、チャンの過去を通して理解した。
和恵の悲惨な歩みも怪物のような見た目も衝撃を受けた。
"わたし"は後に盲目の美しいユリコの息子、百合雄と暮らし始めるがお金が底を付き2人で娼婦を始めてすぐに、百合雄ばかりが客を取れるようになる。人からの評価や見え方を気にして頑張ったり身の振り方を考えても、思うように評価されなければ捻じ曲がっていく価値観と存在意義。
グロテスク(上下)を読んで自分を大切に生きていく事の難しさを感じた。
わからなかったのは、なぜチャンはユリコの殺害は認めて、和恵の殺害は認めなかったのか。それとなぜ"わたし"の名前は作中一度も明かされなかったのか。
Posted by ブクログ
上下巻一気に読みました。かなり疲れた・・・。
凄い世界だなと思うものの、実際にニュースになっている殺人事件の裏側ではこういうことが起きているのかなと思ったり。
傍から見たら哀れに見えても、本人が満足していたらそれでいいのかなと思える後半でした。
最後は意外すぎて、ちょっと笑ってしまいました。
Posted by ブクログ
語り手が言っているように、退屈でダレるパートもあるものの、何とか読み終えた。それは和恵の章がひたすらに壊れていたから。ユリコも語り手も和恵も、どうしてこうなったのか。解説読んだら悲惨だと感じる自分には、この小説は向いてなかったんだな、と思う。
Posted by ブクログ
登場人物全員が歪んだ欲望や劣等感に囚われていて、誰一人として共感しにくい。
上巻では登場人物の背景が丁寧に描かれ、貧富や美醜の差がもたらす格差、自己顕示欲や悪意に満ちた人間関係が浮き彫りになり、下巻では、彼女たちが壊れていく過程が克明に描かれ、社会の闇に翻弄される姿が痛々しく映る。
終始、負のエネルギーが渦巻き、女性であるがゆえに逃れられない運命に支配された彼女たちの生き様を、ヒリヒリする様な思いで追いかけた時間だった。
Posted by ブクログ
上巻の「わたし」の語り口がめちゃくちゃおもしろくて下巻も楽しみにしておりましたが、チャンと和恵の物語がわかるけど…でも…うーんと言う感じでなかなか読み進められなかった。また時間を置いて上下巻再読して違う感想を持ちたいなと思いました。
Posted by ブクログ
上下巻読み切っての感想
間違いなく朝の通勤時間に読むものじゃなかった…
ずーんと心が重くなる。特に下巻。
語り手が分かれていて誰の話も信じられない。
周囲に対する羨望と嫉妬に塗れてるのにそれを受け入れられない人たちの堕落劇。
時代背景が今と違うから全て受け入れられるわけではないけど、いつの時代も女の世界はドロドロしてるし、男女平等なんて幻想だな、と思ってしまった
なんかすごいの読んだなって思うけど、読み返すほどのエネルギーはない…
複雑
面白さ、切なさ、悲しさ、怖さ。
共感、理解、納得。またその真逆。
ただただ必死に読んだ。
スッキリは何一つしないけど、やはり納得。
色々なモノに憤りを感じながらも、やっぱり切ない。
そんな複雑な思いになる。