桐野夏生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ1970年代にこのように中絶やピルについて主張している人がいたことを知らなかった。
この作品では塙玲衣子を様々な人の視点から描いていて面白かった。賛同する人、批判的な人、恨んでいる人。初めは過激な人物像を思い浮かべていたが、だんだんと、「孤独」な生涯のイメージが強くなった。
最後が印象に残った。「ほんの少し前まで、いや今でさえも、女性は将来母となることを周囲から期待されて育ってきました」「『産めよ殖せよ』という言葉があります。国の反映のために、女たちは多産を奨励されました。そのため当然のように、国が女の身体と心を管理してきたのです。そんな時代は終わったはずなのに、今現在、少子化対策のために、またもや母親となることを期待される時代になりつつあるように思います。」「女たちが自分の身体を取り戻し、自分で管理できる社会に、という塙玲衣子の主張は正しかった。そして、塙は女たちがずっと闘い続けていかない限り、それはすぐに奪われてしまう大事なものなのだ、と警鐘を鳴らしていたのだと思います。」 -
Posted by ブクログ
「婦人公論」からの原稿依頼で、橘玲衣子について追うことにした1983年生まれのフリーライターが橘氏を知る人たちにインタビューした内容から成るモキュメンタリー風の作品。
橘氏の声は日記を辿るに留まっているけど、橘氏を知る人から集めた証言には胸がチクチクと痛んでくる。田舎を捨てて活躍している人は橘氏に共感することがあったり、憐憫の情を抱いたりするはず。過去に後ろめたいことがある人は読んでいると苦しくなりそう。別に悪いことをしていなくても、もし自分が橘氏のように有名になったら、きっと周りにはこう話されると思う、と想像してしまう人は読まない方がいいと思う。私は一般人ですが、こんな風に過去のことをジクジク好き勝手言われたら堪らないわ、と息苦しくなりました。
桐野さんの作品としてはもっとパンチが欲しかった。当人が出てこないところで進む作品としては宮部みゆきさんの「火車」があるけど、そちらは生き霊を探す旅で、こちらは亡霊を探す旅のようなイメージ。