光文社古典新訳文庫作品一覧

  • 高慢と偏見(上)
    4.3
    溌剌とした知性を持つエリザベスと温和な姉ジェインは、近所に越してきた裕福で朗らかな青年紳士ビングリーとその友人ダーシーと知り合いになる。エリザベスは、ダーシーの高慢な態度に反感を抱き、彼が幼なじみにひどい仕打ちをしたと聞き及び、彼への嫌悪感を募らせるが……。緻密な構成と秀逸な人物造形、迫力あるドラマがダイナミックかつ繊細に描かれる。躍動感あふれる新訳!
  • 秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~
    3.8
    夜中の3時、正装した紳士が自分の部屋に立っていたら……。古典的幽霊譚である「空家」、「約束」、吸血鬼と千里眼がモチーフの「転移」、美しくも奇妙な妖精話「小鬼のコレクション」、詩的幻想の結晶「野火」ほか、名高い主人公ジム・ショートハウス物を全篇収める。芥川龍之介、江戸川乱歩が絶賛したイギリスを代表する怪奇小説作家の傑作短篇集。「恐怖の王道」ここに降臨す!
  • 黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ
    3.9
    美しい金緑色の蛇に恋した大学生アンゼルムスは非現実の世界に足を踏み入れていくが……代表的メールヘン「黄金の壺」。17世紀のパリで、天才的な職人が手がけた宝石を所有する貴族たちがつぎつぎと襲われる事件。ようやく逮捕された犯人は意外な人物だった。推理小説の嚆矢ともいえる「マドモワゼル・ド・スキュデリ」。画家で音楽家でもある鬼才ホフマンの多面的な魅力が味わえる4篇を収録。
  • 社会契約論/ジュネーヴ草稿
    4.1
    「ぼくたちはルソーの語る意味での主権者なのだろうか、それともルソーが嘲笑したように、選挙のあいだだけ自由になり、そのあとは唯々諾々として鎖につながれている奴隷のような国民なのだろうか」(訳者あとがき)。自由とは、平等とは、そして民主主義ってなんだろう? フランス革命を導き、世界史を動かした歴史的著作の画期的新訳。本邦初訳の「ジュネーヴ草稿」も収録。
  • ねじの回転
    3.8
    両親を亡くし、英国エセックスの伯父の屋敷に身を寄せる美しい兄妹。奇妙な条件のもと、その家庭教師として雇われた「わたし」は、邪悪な亡霊を目撃する。子供たちを守るべく勇気を振り絞ってその正体を探ろうとするが――登場人物の複雑な心理描写、巧緻きわまる構造から紡ぎ出される戦慄の物語。ラストの怖さに息を呑む、文学史上もっとも恐ろしい小説、新訳で登場。
  • 白い牙
    4.4
    犬の血を4分の1引いて、北米の原野に生まれた狼「ホワイト・ファング(白い牙)」。親や兄弟が次々と死んでいく“自然”のなかで、強く、狡く生きていく。だが、あるとき人間に飼われることになり、人間の残虐さや愛情に触れることで、心のなかにさまざまな葛藤が生まれるのだった。野性の血を研ぎ澄ます孤独な灰色狼の目を通して人間と文明社会を描いた、ジャック・ロンドンの代表作。
  • ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの
    4.2
    『カラマーゾフの兄弟』の父親殺しをテーマに、ドストエフスキーの性格と作品を分析した論文と、ホフマンの「砂男」の分析を中心に考察をすすめる「不気味なもの」。ほかにも、シェイクスピア、イプセン、ゲーテといった名だたる文豪たちの「無意識」がフロイトによって暴かれる! みずからの理論を発展させ、鋭い精神分析的考察で文学を読み解き、以降の文学論に大きな影響を与えた重要論文6編。
  • 善悪の彼岸
    4.3
    考える自我から出発したデカルトに始まり、カント、シェリング、ヘーゲル、ショーペンハウアーにいたる西洋の近代哲学。本書はその遺産の上に立ちながらも、哲学そのものがキリスト教の伝統にいかに制約されているか、独断論に終始しているかを示し、新しい哲学の営みの道を拓く試みである。アフォリズムで書かれたニーチェの思考の記録を、音楽のように響き、肉声が聞こえるような新訳で!
  • トム・ソーヤーの冒険
    4.1
    トムは悪さと遊びの天才だ。言いつけの塀塗りをみんながうらやむ仕事に変えたり、退屈な教会の説教をクワガタ一匹で忍び笑いの場にしたり、家出して親友のハックたちと海賊になってみたり。だがある時、偶然に殺人現場を目撃してしまい……。わんぱく少年トムを通じて描かれる、自由を求める心と冒険への憧れ、そして世界を見る無垢な目。アメリカで最も愛される作家の半自伝的小説を、少年たちの声が聞こえてくる新訳で。
  • 月を見つけたチャウラ~ピランデッロ短篇集~
    4.2
    シチリア出身のノーベル賞作家が、突然訪れる「人生の真実の瞬間」を、時に苦々しく、時にユーモラスに描く短篇集。硫黄鉱山での重労働の果てに暗い坑道を抜け出ると……静かで深い感動に包まれる表題作、作家が作中の人物たちの愚痴や悩みを聞く「登場人物の悲劇」、愛犬への奇妙な衝動が抑えられない男を描いた「手押し車」、ケチな領主と頑固な職人との意地の張り合いがおかしい「甕」など15篇を精選収録。
  • 詐欺師フェーリクス・クルルの告白(上)
    4.0
    武器は天与の美貌、爽やかな弁舌、鮮やかな模倣の才。貧しい青年クルルは子供の頃のずる休みと同様、仮病をつかって徴兵検査をくぐり抜け、憧れのパリで高級ホテルのエレベーターボーイとして雇われる。そして宿泊客の美しい女性作家に誘惑され、彼女の寝室に忍びこむと……。冴えわたる筆で繰り広げられる厖大な語りと騙り、これぞマンの真骨頂。『魔の山』と好一対の傑作ピカレスク・ロマン。この圧倒的な面白さ!
  • 自由論
    4.3
    本当の「自由」とはなにか、考えたことはありますか? 個人の自由への干渉はどこまでゆるされるのか。反対意見はなぜ尊重されなければならないのか。なぜ「変わった人間」になるのが望ましいのか。市民社会における個人の自由について根源的に考察し、その重要さを説いたイギリス経験論の白眉。哲学を普通の言葉で語った新訳決定版! 現代人が必ず読むべき、今もっともラディカルな書。
  • 道徳形而上学の基礎づけ
    4.8
    「君は、みずからの人格と他のすべての人格のうちに存在する人間性を、いつでも、同時に目的として使用しなければならず、いかなる場合にもたんに手段として使用してはならない」。多くの実例をあげて善と悪、義務、人格、自由と道徳性について考察し、経験的な根拠に依拠しない純粋な道徳の原理を探求。きわめて現代的であり、いまこそ読まれるべき書。詳細な解説付きのスタイルで完全読解へ導く“中山カント”第3弾!
  • 市民政府論
    4.2
    誰のための国家か? 何のための国家か? 人は生まれながらにして生命・自由・財産を守る権利があり、国家の成立は、この人権を守るための人々の合意に基づく。王権神授説を否定し、最高権力を人民の信託によるものと説く社会契約思想は、のちのアメリカ独立宣言、フランス革命を支える理念となった。自由、民主主義を根源的に考えるうえで必読の書である。
  • レーニン
    3.7
    「巨人の全貌を映し出すには、巨大な鏡が必要」であり、その鏡となりうる唯一の人物だったトロツキーが、熱い共感と冷静な観察眼で鮮やかに描き出した「人間レーニン」。レーニンの死の直後、本書の主要部分はスターリンによる迫害の予感のなかで書かれた。「ソ連共産党とソ連全体が全体主義の悪夢に飲み込まれてしまう」直前だからこそ「等身大」に描きえた、珠玉の回想録。ロシア語原典からの初めての翻訳。
  • 永続革命論
    4.0
    「プロレタリアートによる権力の獲得は、革命を完成させるのではなく、ただそれを開始するだけである」。自らが発見した理論と法則によって権力を握り、指導者としてロシア革命を勝利に導いたのち、その理論と法則ゆえに最大級の異端として、もろとも歴史から葬り去られたトロツキー。その革命思想の理論的核心を展開した最重要の著作を、ロシア語原典から訳出。付録として本邦初訳の「レーニンとの意見の相違」ほか5論稿収録。
  • ブラス・クーバスの死後の回想
    4.0
    死んでから作家となった書き手がつづる、とんでもなくもおかしい、かなしくも心いやされる物語。カバにさらわれ、始原の世紀へとさかのぼった書き手がそこで見たものは……。ありふれた「不倫話」のなかに、読者をたぶらかすさまざまな仕掛けが施される。斬新で型破り、スーザン・ソンタグやハロルド・ブルームなどの高名な批評家も高く評価する、ブラジル文学の頂点に座す作家の最高傑作。
  • うたかたの日々
    4.0
    青年コランは美しいクロエと恋に落ち、結婚する。しかしクロエは肺の中に睡蓮が生長する奇妙な病気にかかってしまう……。愉快な青春の季節の果てに訪れる、荒廃と喪失の光景を前にして立ち尽くす者の姿を、このうえなく悲痛に、美しく描き切ったラブストーリー。ヴィアンの代表作であり、20世紀フランス文学の「伝説の作品」が、鮮烈な新訳で甦る! 映画『ムード・インディゴ~うたかたの日々~』原作。
  • カラマーゾフの兄弟〈1〉
    3.9
    父親フョードル・カラマーゾフは、圧倒的に粗野で精力的、好色きわまりない男だ。ミーチャ、イワン、アリョーシャの3人兄弟が家に戻り、その父親とともに妖艶な美人をめぐって繰り広げる葛藤。アリョーシャは、慈愛あふれるゾシマ長老に救いを求めるが……。【光文社古典新訳文庫】
  • ちいさな王子
    4.3
    砂漠に不時着した飛行士「ぼく」の前に突然現れた不思議な少年は、ちいさな星からやってきた王子だった。わかりあい、やがてかけがえのない友人になったとき、王子は自分の星に帰ることを告げる……。王子の言葉は、ずっと忘れていた、たくさんのことを思い出させてくれた。「目ではなにも見えないんだ。心でさがさなくちゃ」。飛行士としての経験豊富なサン=テグジュペリにこそ紡ぐことのできた色褪せることのないファンタジー。【光文社古典新訳文庫】
  • 車輪の下で
    4.0
    周囲の期待を一身に背負い猛勉強の末、神学校に合格したハンス。しかし、厳しい学校生活になじめず、次第に学業からも落ちこぼれていく。そして、友人のハイルナーが退校させられると、とうとうハンスは神経を病んでしまうのだった。療養のため故郷に戻り、そこで機械工として新たな人生を始めるが……。地方出身の優等生が、思春期の孤独と苦しみの果てに破滅へと至る姿を描いたヘッセの自伝的物語。【光文社古典新訳文庫】
  • 八十日間世界一周(上)
    4.1
    1872年のロンドン、謎の紳士フォッグ氏は、《改革クラブ》の友人と大金2万ポンドの賭けをした。それは80日間あれば世界を1周できるというものだった。成功に絶対の自信をもつフォッグ氏は、フランス人の召使いパスパルトゥーを従えて出発。全財産とプライドを賭けた旅が始まった! 『海底二万里』、『二年間の休暇』など、SF小説の先駆者であり冒険小説で有名なジュール・ヴェルヌの代表作。【光文社古典新訳文庫】
  • 1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編
    4.1
    めまぐるしいオフィス風景をユーモラスに描く「多忙な株式仲買人のロマンス」、若く貧しい芸術家たちの姿を描いた「最後の一葉」、表題作の「1ドルの価値」。O・ヘンリーはアメリカの原風景とも呼べるかつての南部から、開拓期の荒々しさが残る西部、大都会ニューヨークなど、さまざまに舞台を移しながら多彩な作品を生み出した。世界各国で読み継がれる代表作のほか、知られざる作品も新訳で登場。心に染み入る珠玉の23編。【光文社古典新訳文庫】
  • 宝島
    3.9
    港の宿屋「ベンボウ提督亭」を手助けしていたジム少年は、泊まり客の老水夫から宝の地図を手に入れる。大地主のトリローニ、医者のリヴジーたちとともに、宝の眠る島への航海へジムは出発する。だが、船のコックとして乗り込んだジョン・シルヴァーは、悪名高き海賊だった……。胸躍る展開と個性的な敵役、臨場感あふれる描写。新訳では少年の成長に光をあて、大人の読み物として甦る。【光文社古典新訳文庫】
  • クリスマス・キャロル
    3.9
    並はずれた守銭奴で知られるスクルージは、クリスマス・イヴにかつての盟友で亡きマーリーの亡霊と対面する。マーリーの予言通りに3人の精霊に導かれて、自らの辛い過去と対面し、クリスマスを祝う、貧しく清らかな人々の姿を見せられる。そして最後に自分の未来を知ることに――。話題の映画原作を古典新訳で!【光文社古典新訳文庫】

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