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本当の「自由」とはなにか、考えたことはありますか? 個人の自由への干渉はどこまでゆるされるのか。反対意見はなぜ尊重されなければならないのか。なぜ「変わった人間」になるのが望ましいのか。市民社会における個人の自由について根源的に考察し、その重要さを説いたイギリス経験論の白眉。哲学を普通の言葉で語った新訳決定版! 現代人が必ず読むべき、今もっともラディカルな書。
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Posted by ブクログ
自由を最大限保証することの効用とそれでも自由を制限せざるを得ない場合について具体的な事例をあげつつ考えていく。人や社会は、他人の自由を思わず知らず不当に制限してしまいがちなもので、その事例が「あるある」的に、シニカルかつユーモラスに、それでいて大真面目に描かれていく。名文・名言と言いたくなるようなフ...続きを読むレーズに満ちており、読んでいて気持ちがいい。
ジョン・スチュアート・ミル(John Stuart Mill, 1806年5月20日 - 1873年5月8日)は,功利主義を代表するイギリスの哲学者である。ミルの『自由論』は,功利主義の原則を社会と国家に適用したものであり,国家の権力が個人の自由を妨げることが正当化されるのは,他者に実害を与える場合...続きを読むに限定されるべきで,それ以外の個人的行為は必ず保障されるべきだと論じた。また,参政権の拡大をもたらしていた民主主義の政治制度について,大衆による多数派の専制をもたらす危険性があることを警戒していた。
アマプラで無料やったんで読んだ。 社会はなぜ、人々に自由を与えた方が良いのか、について、色々場合分けしながら主張している。 自分の主張に対して自分で反論し、その反論にさらに自分で反論することによって説得力を出していた。 今では当たり前の自由主義だが、それもおそらくこの本が書かれる少し前ぐらいから...続きを読む、徐々に民衆に信じられてきた一つの宗教なんだなーと感じて面白かった。
自由論 J・S・ミル 自由論の金字塔であり、新型コロナにおける自粛“要請”を取り巻く環境で、今一度見直されるべき名著。 自由論の主張は、P29にある。 「人間が個人としてであれ集団としてであれ、他の人間の行動の自由に干渉することが正当化されるのは、自衛のためである場合に限られるである。文明社会では...続きを読むあ、相手の意に反する力の行使が正当化されるのは、他のひとびとに危害が及ぶのを防ぐためである場合に限られる」 本書では、この原理について、様々な領域で、考えられる反論に対して、その原理の重要性を述べる形で論の展開が進む。そして、この自由ということについては、ある種の大衆社会への警鐘でもある。自由を阻害する、行動の自由に干渉するということにおいて、国家などによる暴力的な抑制と同等に、世間による干渉も同じレベルで制限されるべきと考えられている。トクヴィルの著作についても言及しながら、世論による自由の制限についても、その暴力性を指摘しているのである。ここに、アリストクラシー的な世界からデモクラシーに転換する時代の真っただ中において、天才であるミルが多数者の圧政に対してのアンチテーゼを展開した書ともいえるであろう。 徹底的に自分で考えにぬき、そして、想定できる反論に対して、一つずつ丁寧に抗弁するミルの筆致や文章のスタイルもまた好感を持つことができた。 全体として、自由が制限されるべきではないということの論拠は、個人的にはリスクヘッジと真理への渇望であるように思えた。ミルは、真理というものを考えたとき、その時代の多数者が必ずしも真理であるとは考えない。悠久の歴史の中で、その時代に信じられていることは、後世から見れば誤っていたということが多々あることを指摘し、真理への到達のためには、自由な意見の発揚と、徹底的な議論の必要性を説く。少数派の意見を抑圧することは、もし仮にその意見が正しかった場合の社会全体の損失の大きさを考えた場合に、理屈が通らないことを主張する。多様性はリスクヘッジのために必要なのである。よく例として挙げられる働きアリの例があるが。アリの集団では、いくらかの働かないアリがおり、隊列にも参加しない。しかし、そのアリは、いざ自分たちの群れの巣がなくなったときに真っ先に新しい巣を見つけ出してくる。働かないアリを無理やり働かせていると、巣がなくなったときに文字通り全滅してしまうが、それを防ぐためにリスクヘッジとして異なる行動様式を取らせているともかんがえられる。 ミルの論拠もこれに少し似ている。どんな人間に対しても、そして、その人間がいくら現代的な視点で見て、常識とは異なる生き方をしていたとしても、その人が他人に迷惑をかけない限り、その行動を批判することは許されない。彼/彼女を批判し、行動を抑え込むことは、道徳的な観点というよりも、その社会にとって不利益であるからである。彼/彼女らが、実は現代の常識では考えもつかない真理に近づいているかもしれない。そうしたときに、彼/彼女の意見を抑圧することは、未来に対して不誠実ともいえる行動であり、社会という寿命の長い生き物が生き延びるためには、あってはならない行動なのであろう。 これは現代に対しても非常に示唆がある。多様性は、短期的には統率を取ることに対して、障壁となる。しかしながら、長い時間軸で考えたときに、多様性はその組織のレジリエンスを向上させるのである。同質性の高い組織は、その時は一枚岩で強いが、長い時間の中では淘汰されてしまう。そして、その多様性を担保するのが自由に関するこの原理なのである。 一方で、ミルは社会に対する不利益を決して許さない。例えば、P44で「正邪はともかく、暴君殺しは殺人の範疇ではなく、内乱の範疇にあるものである」と述べている。暴君は社会に対して不利益をもたらす個人である。そして、その個人を殺すことは、殺人ではなく、社会による反発であるということである。この文章を読んで、カントロヴィッチの『王の二つの身体』を想起した。近世において、反逆罪の罪人に対して、身体の限界を超えた残虐な処罰がなされたことについて、王の身体に二元性を指摘して、説明がなされていたと記憶しているが、反逆罪は、王の生物的な身体ではなく、政治的な身体への攻撃であり、その報告であるがゆえに、生物的な次元での刑罰(人が死んだら終わり)ではなく、政治的なレベルでの象徴的な刑罰を行っていたというものである。カントロヴィッチの論を引くと、暴君を殺すことは、政治的な身体への攻撃である。仮に君主が暴君であり、社会という巨大な生命体に対しての反逆を働いた場合、それに対して報復することは、身体的な次元での殺人ではなく、政治的な次元での内乱になるということなのだろう。 ミルはやはり、社会というもの、ルソーの言う一般意志のようなもの絶対性や歴史的な責任を念頭に置いているように思える。長いスパンで時間軸を持ち、人間社会という次元での便益を徹底的に追求した思想家の爪痕が、本書には刻まれているのであった。
ここ最近も「あいちトリエンナーレ」の問題や、川崎のヘイト・スピーチ規制条例をめぐる問題などで、何かと話題に上る「表現の自由」。中学校のときに公民の教科書で教わるが、改めてちゃんと学んでみようと思い、そのことについて触れた重要な古典である本作を手に取ってみた。読んでみると飜訳の妙もあるのか全体的に予想...続きを読むしていたよりもわかりやすく、とても勉強になった。ただ、内容については同意できない部分もある。本作が発表されてからだけでも2世紀以上が経過し、現在われわれは自由権というものが当たり前のように定着している世の中に住んでおり、たとえば「公共の福祉」などを理由に、自由が制限される場合についても十分に理解している。ただ、本作が執筆された当時はまだ議論が不十分なせいか、どうも内容に理想論的、原理主義的な部分が散見される。そりゃたしかに自由権は極力制限されないことがベストなのだろうが、本作の内容を現代で忠実に実践したら、おそらく社会はたちまち混乱に陥ってしまうだろう。また、もうひとつの同意できない部分として、これも時代柄仕方がないことなのだろうが、どうもキリスト教を絶対視するような価値観が眼につく。自由をめぐる議論のスタートとして、キリスト教も仏教もイスラーム教も、そのほかのマイナーな宗教もすべて同一線上にあるというところを大前提にしないといけないので、その部分にかんしては明確に間違っていると言っておきたい。とはいえ、現代社会におけるあらゆる自由は本書を含む偉大な先達の議論がもとになっており、この感想を書けることじたいも表現の自由のおかげといえる。そういう意味でも、全人類にとって必読の書であると言っても過言ではないだろう。
こんなに読みやすい哲学書は初めて!というくらい読みやすかったし、ミルの時代は尖った意見だったかもしれないか、今の時代に求められてることも書かれており、必読だと。
読みたかった。JSミルの自由論が新訳で読みやすく なって、文庫本で読めるということが、少し衝撃的な ことではないかと思います。 自由に関しての考察と、現代にも通用する論理とその 論理展開における思考の流れが読んでいて非常に 気持ちのいいものでした。 自由に対する社会政治的、哲学思想的、慣習的、道徳的...続きを読む それぞれにおける切り口においてのある意味 考えつくされているバイブルのようなものであるような きがします。 公私の区分の原理に結びついた思想と言論の自由によって、 世論=多数派の専制を抑止し、多様性を持った民主主義を 成熟させることの有用性を再認識させられる内容です。
J.S.ミルの自由論は,学生時代からHarm Principleとの関係で注目して読んでましたが,岩波文庫の訳がなかなか読みにくくて文意がとれないところもありました。この新訳は,長々としたミルの文章を適宜分説するなどして読みやすく翻訳してあり,非常に新鮮な感じを受けました。ミルの大胆だけれども,いち...続きを読むいち頷かされる思想に存分に触れることができます。
宗教(主にキリスト教)の知識がほとんど無いので、そこについての記述はある程度割り切って流してしまったが、社会と個人という関係性についての名著であることに間違いはない。原著、岩波文庫版等を読んでいないのでどこまで”意訳”なのかが定かではないが、光文社古典新訳文庫の訳はとてもわかりやすく、かつメモしてお...続きを読むきたくなるフレーズが非常に多い。
ヘイトスピーチは言論の自由か?。それだけではないが自由についての古典を読まねばと手にとった。意外と具体例を挙げなから自由を述べているので、想像しやすい。また、文体はも平易。今、気になっている言論の自由についても一章が設けられている。自由について考察するときまずは読むべき一冊だと思う。(もっと早く読む...続きを読むべきだったかも)
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