カンディード

カンディード

小説・文芸
1,078円 (税込)

5pt

楽園のような美しい故郷を追放されてしまった、まっすぐな心と純朴な気質をもつ“純真な”若者カンディード。恩師パングロスの説く「最善説」の教えを胸に、大地震、戦乱、盗賊や海賊の襲撃など、度重なる災難に立ち向かい、そして最後の最後、ついに一つの真実を見つけるのだが……。18世紀啓蒙思想家ヴォルテールの代表作。「リスボン大震災に寄せる詩」を本邦初の完全訳で収録。

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カンディード のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    哲学コントと呼ばれる分野の本。
    訳文がうまいからだと思うが、テンポがよく、18世紀に書かれた本とは思えない。混沌として何が善だか悪だかわからない今の時代を描いているようだ。
    人間の悪や自然の災害で悲惨な目に遭っても、それでも「すべては善である」という考えへの批判。

    その言葉を信じるカンディードがひどすぎるほどの残虐な様々な悪に遭遇しても、なおも最善説を信じる滑稽さを通じて、その批判を表している。
    巻末のリスボン大震災に寄せる詩ではさらにストレートに批判が伝わる。

    災害が多い中で醸成されていった日本の宗教的な考え方。
    宗教的な考え方が先にあって大災害で哲学的な論争が生まれる西洋。
    立ち位置の違い、哲学が生まれる背景の違いも感じられる。

    最後にカンディードがたどりついた言葉が、今の自分への答えのようにも感じられた

    0
    2026年07月11日

    Posted by ブクログ

    津村の読み直し世界文学の1冊である。啓蒙主義のボルテールであるが、思想を示したものというよりも、哲学者の冒険を描くことで、教会の権威を借りたデタラメを描いたものである。カトリック、プロテスタント、イスラムについてその聖職者のでたらめな姿を描いている。

    0
    2023年05月10日

    Posted by ブクログ

    18世紀の啓蒙思想家ヴォルテールの哲学的小説。波乱万丈の冒険譚を通じて「最善説」に疑問を投げかける。

    何やら哲学がテーマになっているというのでどんな小難しい話が出てくるのかと思ったら、冒頭からたたみかけるような災難・悲劇・試練のオンパレードで引き込まれた。息もつかせぬスピード感で波乱万丈の大冒険を繰り広げる主人公。彼はただ運命に翻弄されているだけにみえて、その胸には常に「恩師の教え『すべては最善である』は本当か?」という命題がつきまとっている。この「最善説」という考え方は、本書に反発したルソーのように色々な解釈ができ、多くの人を議論に巻き込んでしまう魔力のようなものがあるように思える。この物語の中でも主人公を中心に議論がたえない。悪や不幸を目の前にして、すべて神の創った最善といえるのか。それでは希望とは……。こちらも考え込んでしまうことしきりである。

    若者カンディードの冒険譚というメインラインだけでエンタメとして十分面白い。その上で議題の哲学的テーマについて、同時収録の「リスボン大震災に寄せる詩」と合わせ、一通りの思索をめぐらせる機会となった。あらゆる苦難・辛酸を味わった主人公が最後にたどり着く結論が感慨深い。最後の一行……人間にはこれしかないよなぁ、と。

    0
    2022年06月27日

    Posted by ブクログ

    面白かった。純粋で真面目で師匠の説く最善説をひたすら信奉するカンディード。苦難の旅で信じるものが揺らいでゆき、第二十三章では「この世界はいったい何なんだ」と悩むカンディード。第二十九章礼を尽くしてきた身分の高い恋人の兄を面と向かってとうとう「バカ殿」呼ばわりするカンディード(ここは笑いました)。人間について生きることについて現代でも解決できない同じことを、ずっと昔から人は悩み苦しんできたらしい。「リスボン大震災に寄せる詩」は素晴らしかった。よくも自分はカンディードとこれを読まずに今まで人生に悩んでこられたなと思う。詳しい解説がまた素晴らしく、目を開かされた思い。
    パングロス先生を私は滑稽とは思わない。その生き方も尊重されるべきで、彼がカンディードの支えとなり読者の思考を深める。
    解説でライプニッツ、ルソー等の本も紹介されている。本をめくりかえしながら、人生ってなんなのかを問うわたしの旅への出発はここからだなと気づく。

    0
    2021年10月22日

    Posted by ブクログ

    個々の不幸が全体の幸せを作り出す
    盲目的に信じるということの大切さ。
    結果には必ず原因がある。結果は今を見ればわかるが原因は考えないと分からない。
    全ては神によって決められている。全ては最善なのだ。最後には自分の心臓まで食べられてしまうのに人間は自分を飲み込む大蛇を愛おしそうに抱えている。
    働く事は私たちを退屈、堕落、貧乏の3つの不幸から遠ざけてくれる。働こう。休むために生まれてきたわけではない。
    素直に良さを引き受けよう。あまり批判を考えすぎない。
    自分の身の回りの幸せに目を向けよう。

    0
    2020年12月18日

    Posted by ブクログ

    こんなにも笑える古典は初めてだ。
    たっぷりといたずらな皮肉が効いている。

    不幸の域値を越えて爆笑となる。
    だが中盤、あまりにも悲惨なので笑えなくなってくる。

    だが、終盤はもはやめちゃくちゃで哲学コントと言われるのもよくわかる。


    だが、ヴォルテールは至って本気でこれを書いているのだろう。

    本書を通じて一貫してあるテーマは、
    「人が生きるということは、善なのかそれとも悪なのか?」
    という人や人生の本質への問い。


    実は、ヴォルテールはルソーから批判の手紙を受け取っていた。
    「君の考えには人間の原始状態への考察への配慮が足らないよ」と。

    この『ガンディード』は、そのルソーへの暗黙の返答だったのだ。
    それを踏まえて読むとさらに面白い。

    ルソーとヴォルテールの議論を、この『ガンディード』という物語を通して垣間見ているようだ。


    結論として、
    ヴォルテールは議論している暇があったら働こう。なぜなら、退屈、堕落、貧困というのは不幸の元凶であり、働くことはそれらを退けることになるのだから、と。


    この働くということを重んじる思想は、
    聖書からの引用でもあるように、
    庶民は働かなければ(主に農業)生きていくことができない時代を反映しているものであり、
    それをそのまま現代に置き換えることは出来ないと思うが、
    それだけではないより深遠なメッセージがそこにあることを感じる。


    働かなければ生きていけない時代から
    働かなくても生きていける時代の今。

    働かざるもの食うべからず、から
    働かなくても食っていいの現代。

    人はパンのために生きてはいない。
    だが、パンなしでは生きられない。
    そして、ただ何もせず無為に過ごす(働かないというのをその意味で使うならば)ことは出来ないのだ。

    0
    2019年02月20日

    Posted by ブクログ

    「最善説」についての是非。世界は最善にできているのか、できるいるとしたら、不幸な人はなぜいるのか。個人のせいなの?悪いことをしたから。全体としての善。主人公カンディードが遭遇する様々な出来ことを通し、隣人と対話しながら、考えていく物語。頭でごちゃごちゃ理論を考えるでなく、目の前にある畑を耕そうというラストシーンがプラグマティックな印象を受けた。ドイツの観念論、フランスの構造主義、イギリスの経験論、アメリカの分析哲学、プラグマティズム。これらのもとになっているような、なっていないような。啓蒙の時代の17、18世紀であり、近代合理主義というか科学発展の時代の始まりに書かれた本で、現代のように、高度に専門分化する前のところ。とても面白く読めた。再読しよう。今度は岩波で読んでみようかな。

    0
    2018年01月13日

    Posted by ブクログ

    普段、ニュースに現れるものは事故や事件、災害など人々におこる不幸である。
    というよりも、そういうものこそがニュースになるという面がある。
    起こりうる「災害」や「不幸」を、その理不尽さをどのようにとらえるべきなのか。「カンディード」はまさにその「不幸」を引き起こすもの、つまりはこの世界を創り出した「創造主」に対する抗議、皮肉である。この世界は全能の「神」である創造主が創りだしのだから、間違いなど無い、「全て最善」である。毎日報道され、存在する無数の「事件」や「事故」も最善なのだとしたら、「そんなことはない」と反発を覚えるのではないだろうか。私は最初にそう感じた。ヴォルテールが本書で言いたかったこともそういうことなのではないか。
    本書の解説は最初にこれがテーマだと感じたものをより掘り下げてくれた。それは「最善説」の解説である。「この世の全ては最善である」という説は、この世にあるものは全てに何らかの存在の理由があり、その理由を辿っていくと究極的にはこの世界の創造の原因に辿り着かざるを得ないという説だ。これは強力な存在の肯定論だ。実際、あらゆる「事件」も「事故」も「災害」もその背景や動機を辿っていくという行為は日々行われているものだが、その究極の原因については考えないものだ。そんなことを言い出したらこの宇宙の誕生という話から全てを行わなければならないからだ。「最善説」は現在ある世界を肯定する。それも強力に。存在の善悪ではなく、ただそこにあるものをあるというだけで肯定する。それが本来の「最善説」である。
    本来の「最善説」とは、因果関係の果てにあるものは何か?という話だ。その問題意識は今でも通じるものだ。学者は「真理」を探究して学問や研究を追求するからだ。しかし、もし本当に理由や原因がはっきりとわかったとして、それで「不幸」にあった人々はその理由や原因に納得するのだろうか。例えば、地震の原因が完全に解明されたとしても、その地震によって何かを失ってしまった人は本当に納得するのだろうか。その理由がこの自然に存在する何らかの法則であったとして、それによる被害を受けた人々は救われるのだろうか。この世の理不尽に引き起こされ、現実に起こる苦しみや不幸が何か別のものに変換されてしまうような憤りを感じるのではないのだろうか。「苦しみ」や「不幸」もそれぞれの人が抱えるその人らしさの一部である。ヴォルテールは本書に収録されている「リスボン大震災に寄せる詩」においてそうした一節を書いている。彼は生の苦しみもかけがえのないその人のものであり、それを抱えて一歩を踏み出している人達を讃えようとする。新聞にはニュースが載る、それはだいたい良くない出来事の事だ。その裏には多くの「不幸」がある。まさにこの小説で描かれる事だ。その「不幸」を乗り越えるために、現実をコントのように描写し、皮肉に乗り越えていく。短く素晴らしい本である。

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    2016年01月19日

    Posted by ブクログ

    話としてもなかなか面白く、当時の世相、とくにリスボンの大震災の影響について学べる作品。善悪についても考えさせられる。

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    2026年04月30日

    Posted by ブクログ

    ライプニッツの最善説、カトリックに対する痛烈な皮肉だが、そうならざるを得ない苛烈な現実認識があり、その元となった「リスボン大震災に寄せる詩」も収録されている。
    カンディードは、どんな無体な現実の体験をしても、哲学の眼鏡を通してしか認識することができないが、最後になってようやく、目の前の畑を耕すことの方が重要である、と言う事実に気づくことになる。
    カンディードのあまりに過酷な経験に目を覆いたくなったり、キリスト教的な道徳や、救いの少ない結末に違和感を持つ読者もあるだろうが、それが、リスボンの大震災の経験に基づいている、と思うと日本人としては途端に親近感を覚えることも事実。

    0
    2022年03月14日

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