小説作品一覧

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  • 罅・街の詩
    5.0
    1~2巻440~550円 (税込)
    30歳を前に商社を辞めて転職した。やくざまがいの探偵稼業。それまでの自分は投げだした。なぜこんなことを始めたかも、考えないようにしていた。そして、汚れた都会の罅の間から聞こえてくる人々の呻きに耳を傾け、その声を胸底に深く沈めてきた。女に言われた。街に詩を書いている。人の心が綴る詩を書いている。探偵、浅生。32歳。哀切で情感あふれる北方ハードボイルドの名編。
  • 遺骨
    5.0
    司法人類学会の長老がバス事故で悲劇の死を遂げて十年、その遺骨が博物館に展示されることになった。それを記念する学会に出席するため、ギデオンはオレゴンへ飛んだ。ところが遺骨が何者かに盗まれるという不可解な事件が起こり、つづいて博物館の近くから謎の白骨死体が――ギデオンの鮮やかな推理が冴える!
  • 氷の眠り
    5.0
    アラスカの氷河で発見された一片の人骨から、意外な事実が判明した。三十年前に遭難したとされていた調査隊員は、実は殺されていたのだ。ギデオンはFBI捜査官のジョン・ロウとともに事件の再調査を開始するが、その直後に新たな殺人が……厳寒の地で深まっていく謎にスケルトン探偵が挑む人気シリーズ第五弾
  • プロポーズはいらない
    5.0
    1巻385円 (税込)
    緒方千鶴29歳。失恋から立ち直るべく、「恋も仕事もデキる女」を目指し奮闘するが、 焦れば焦るほど「ままならない人生」に翻弄され…… エッセイの女王、中村うさぎ渾身の長編小説がついに電子書籍化!! 女って…… 仕事って…… 人生って…… 「女の幸せ」を探求する主人公を通して紡がれる、 現代の悩める女たちへのエール!
  • 文学部唯野教授
    5.0
    これは究極のパロディか、抱腹絶倒のメタフィクションか! 大学に内緒で小説を発表している唯野先生は、グロテスクな日常を乗り切りながら、講義では印象批評からポスト構造主義まで壮観な文学理論を展開して行くのであったが…。「大学」と「文学」という2つの制度=権力と渡り合った、爆笑と驚愕のスーパー話題騒然小説。

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  • 八十日間世界一周
    5.0
    1872年10月2日午後8時45分、ロンドンの謹厳な資産家にして知識人フィリアス・フォッグ氏は、多くの新聞が一斉にとりあげ狂気の沙汰と評した、80日間世界一周の旅に出た。彼はトランプ仲間と、1秒でも遅れると全財産を失うことになる賭をしたのだ。彼と忠実な従者パスパルトゥーを待ちうける波瀾万丈…。

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  • ラブレー 第一之書 ガルガンチュワ物語
    5.0
    1~5巻1,122~1,386円 (税込)
    フランス・ルネサンスを代表する大作家ラブレーの長篇「ガルガンチュワとパンタグリュエル物語」の第一冊。桁はずれに巨大な王ガルガンチュワの奔放自在な生涯と武勲を豪快に物語りながら、中世末期社会の権威と秩序を陽気に笑いとばす規模雄大な作品。(全五冊。第二之書以下は「パンタグリュエル物語」。)

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  • 箱根古道殺しの宴
    5.0
    時価六十億円とも言われる北条氏の埋蔵金。その所在を記した古地図が、詐欺まがいの手口で売られているという。さっそく箱根へと調査に向かう赤かぶ検事だったが、そこで女性の惨殺死体に出くわしてしまう! 直後、現場近くで逮捕された男は被害者の夫。そして、問題の古地図の持ち主だった……。欲望渦巻く古美術界の暗部を抉(えぐ)る、法廷劇の行方は!?
  • アンダルシアの友
    5.0
    シングルマザーのソフィーは、物静かで魅力的な男ヘクトールとの運命的な出会いを契機に、突如国際的なマフィア抗争の渦中に放り込まれる――スウェーデン発のハイスピード・クライム・スリラー
  • クイーン犯罪実験室
    5.0
    ポーとリンカンの署名付稀覯本が売りに出されたが、売主は公平を期すため、それをある場所に隠し、発見した者に獲得させることにした。ところが売主は急死してしまい、隠し場所を示す記号だけが残された……暗号に挑戦する歴史ミステリ他、知的パズル16篇。クイーンはすべての謎を解決するが、さて、あなたは?
  • 逢わばや見ばや
    5.0
    15歳の少年は、たったひとりで上京し、月島の古本屋の小僧になった。だが孤独ではなかった――「私にとって書物は恋人であり、思想であった」。本の奥深さを知り、時には大人への戸口に佇み、人の心の温かさに触れながら成長していく姿を描く。昭和30年代の庶民の夢と郷愁を刻む、感動と笑いに溢れた自伝小説。(講談社文庫)
  • 剣の道殺人事件
    5.0
    衆人環視の中での殺人事件は、両国N大講堂で開催された全日本学生剣道大会の決勝戦で発生した。殺されたのは武南大の副将石川洋。京都体育大の岸本三段と対戦中のハプニングであった。岸本犯人説が有力となるが、捜査は難航する…。
  • 怪談実話 死神は招くよ
    5.0
    ロンドンの古びた下宿屋で目撃した狂気と怪異を描く「もうひとりのダイアナ」で第3回『幽』怪談実話コンテストを受賞した丸山政也が、新たな怪談実話を蒐集。美しきノッティングヒルで、熱気漂うバンコクで、ベネツィアの古い水路で、日本の幹線道路で――。世界各地で起こった不可思議な体験を蒐集した、怪談実話の新境地!
  • 京は成仏びより
    5.0
    リストラされ、妻に別れを告げられ、親類の一族が暮らす京都の老舗呉服屋「わたり」に居候をすることになった “僕”は自他共に認めるへタレ男子。しかもやっかいな特技をもっていた。――霊が視えるのだ。さらに、居候先でもっと厄介なものに出会ってしまう。25歳の美しい和装の女性であり、“僕”の祖母でもある渡利稲――つまり幽霊だ。ばあちゃんは「視える」人間を見つけて大はしゃぎ。「成仏させろ」とつきまとう。とはいえ成仏させる技もない僕は、祖母の“未練”の心当たりを元に様々なミッションを行い、京都の町と渡利一族の事件に巻き込まれていく。
  • 銀の朝、金の午後
    5.0
    浮気な夫と死別してお楽しみはこれからの初代・67歳、如才ない話術で世渡り上手の未亡人トヨノ・70歳、定年まで独身をつらぬいて働いてきた春子・65歳。ひとり暮らしの女たち三人が集まれば、噂話に花が咲く。老いらくの恋、他人の遺産の行方、健康のこと……。本音を出したり隠したり、好奇心旺盛な彼女たちの行くところ、話題と事件にはことかかず。コミカルで、ちょっぴり切ない女の友情物語。
  • 犬と私のどうしようもない日々
    5.0
    1巻261円 (税込)
    大阪在住の25歳OL、古池里子。社会人3年目にして、毎週月曜日には「早く結婚して専業主婦になりたい」とばかり考えていた彼女のところへ舞い込んだ、一匹の子犬。彼女も母親も動物が苦手だったが、大学生の弟による独断で家族の一員に加わった、ミニチュアダックスのナタデコ丸。少しずつ、犬への恐怖心が薄れていく里子。それどころか、買ってきた弟以上にナタデコ丸と過ごす時間が増えていき、笑顔が増えていく。そんなある日、唐突に彼氏から切り出された別れ話。絶望、哀しみ、怒り、色んな感情と思い出で混乱していた里子を慰めてくれたのも、ナタデコ丸だった。「もしかして愛ってこういうもののことをいうのかもしれない。」 ■著者コメント 私自身が犬と暮らす中で経験した実話を基に書きました。ほっこりする中にも何か感じてもらえれば嬉しいです。
  • 一房の葡萄
    5.0
    1巻110円 (税込)
    絵を描くのが好きな少年はある日ジムの絵の具を盗んでしまう。しかし級友たちに見つかり大好きな若い女性教師に言いつけられる。少年の悲しみと教師の思いやりに心温まる。幼い少年だった頃の甘酸っぱい思い出が蘇る。
  • クねずみ
    5.0
    クねずみは高慢でひがみ屋で自分が一番偉いと思っていました。エヘンエヘンというのが癖です。猫大将につかまって家庭教師に雇われますが……。宮沢賢治の楽しい童話。
  • サクラの音がきこえる あるピアニストが遺した、パルティータ第二番ニ短調シャコンヌ
    5.0
    偉大なピアニストだった亡き父を未だに憎む智也に遺されたのは、440HzのAというたったひとつの音を聴きとる絶対音感だった。今は音楽から離れ細々と便利屋を営んでいる彼の元へ、ある日突然野良犬のごとく転がり込んできた英治は、ワケアリの過去を持つ一文無し。そんな彼らの所に、音楽学校首席の女子高生・奏恵からとんでもない依頼が舞い込んだ。 「私を、音楽で感動させてください」 優れた絶対音感を持つ彼女から高飛車に告げられた不可思議な依頼に巻き込まれ、音楽に翻弄される彼らが奏でるそれぞれの“音”物語。
  • 洪水はわが魂に及び(上)
    5.0
    1~2巻627円 (税込)
    50種の野鳥の声を識別する知恵遅れの幼児ジンと共に、武蔵野台地の核避難所跡に立て籠り、「樹木の魂」「鯨の魂」と交感する大木勇魚(いさな)。世界の終末に臨んでなお救済を求めず、自らの破滅に向って突き進む「自由航海団」の若者たち……。世代を異にする両者の対立・協同のうちに、明日なき人類の嘆きと怒り、畏れと祈りをパセティックに描いて、野間文芸賞を得た渾身の純文学巨編。
  • 午前2時に、キミを待ってる。
    5.0
    高3の美和は、家庭の事情から深夜のファミレスでバイトをしている。学校では寝てばかりで、友達もいないし居場所もない。でもある日ふとしたきっかけで、クラスの人気者・朝日奈くんと仲良くなる。正反対の二人が会えるのは、午前2時。美和のバイトが終わる時間。次第に、彼の孤独な一面に気づく美和。互いの抱える「秘密」を知り、さらに二人は距離を縮めるけど――。
  • 書痴迷宮
    5.0
    1巻1,760円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 蔵書印で所有欲を満たす男は彼女の体にもベタベタと……、債権者に追われた社長は本の一ページに刷り込まれて安らかな顔で……、本の洪水に流された男は姿が発見されなかった……。本を愛し、本に淫し、本に魂を奪われたビブリオマニアの生態を描く幻想奇譚集。

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  • シャーロック・ホームズ、チベットへ行く
    5.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ホームズがダライ・ラマと会った!ワトスンの遺稿から、チベットで活躍するホームズの物語を発見!パロディー小説の傑作。

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  • 跳べ、ジョー! B・Bの魂が見てるぞ
    5.0
    ダンクシュートとは、ジャンプ一番、バスケットリングの上からスナップを効かせてボールを叩きこむシュートのことだ。ミサワ基地のジョーは、黒人の誇りをダンクを決めることに賭けた。ああ、神さま、ちびの黒人にでっかい羽根をください! スポーツ小説の幻の傑作と言われるデビュー作がここに復活! アイスホッケー短編「新顔」も収録。還ってきた名手の再編集スポーツ小説傑作集。
  • 桜川のオフィーリア 川に死体のある風景
    5.0
    春の川に横たわる美しい少女の死体。彼女の亡骸を囲むように浮かんだ無数の桜の花びら。その光景は驚くほどの美しさで…。英都大学の一回生、アリスこと有栖川有栖は、ふと立ち寄ったキャンパスのラウンジで、先輩の江神二郎に出会う。アリスは、そのまま江神に誘われ、ふたりが所属する推理小説研究会の創部メンバーの一人、石黒に引き合わされる。石黒は、かつて自分の郷里で起きた事件について、江神に相談を持ちかけるのだったが…。江神シリーズ第四弾『女王国の城』につながる、ファン必読の読み切り短編!!(本作は「川に死体のある風景」をテーマとする読み切り連作小説の一篇です)

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  • 地唄
    5.0
    琴に命を賭ける盲目の父と、父に背き日系二世の米国人と結婚した娘――父娘の愛憎の絆を妙なる調べに映す「地唄」、女流舞踊家と老墨絵職人の心の交わりを唐墨の逸品に凝縮させた「墨」、翻訳劇の端役を演ずることになった黒衣の悲喜劇を軽妙に綴る「黒衣」、文楽座の分裂を素材にして芸人の世界の厳しさをえぐった「人形浄瑠璃」。日本の伝統的な芸の世界を追究した珠玉四編を収める。
  • 餓狼伝 正史・登場人物一覧
    無料あり
    5.0
    1巻0円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 昭和60年(1985年)にノベルス版第一巻が刊行された『餓狼伝』は、およそ30年にわたって書き継がれている、世界最長の素手による格闘小説です。丹波文七という一人の空手家が、最強の漢(おとこ)を目指してひたすら闘い続ける物語であり、世界最強の実戦空手団体・北辰館の創始者である松尾象山をはじめ、魅力的な人物が次々と登場します。その血湧き肉躍る格闘シーンに、読者の皆様は間違いなく胸を熱くされることでしょう。  今回、電子書籍版『餓狼伝』の刊行にあたって、平成18年(2006年)に刊行されたノベルス版合本『餓狼伝』第4巻巻末に収録した「登場人物一覧」と「餓狼伝 正史(作品年表)」を、作品をいっそう楽しんで頂くためにご用意しました。初めてお読みになる方にとっても、すでにシリーズを通読なさった方にとっても、人物や話の流れを確認するためのお役に立てれば幸甚です。(編集部)
  • 青狼の拳 餓狼伝・秘篇
    5.0
    1巻517円 (税込)
    格闘小説の金字塔が遂に電子化! 格闘技最強の男を目指す丹波文七は、新たな技を習得すべく、サンボの大家、河野に弟子入りを懇願している。その河野は地上げ屋に狙われており、戦慄的な仕込杖の遣い手、土方元を差し向けてきた。柔道、空手の強敵と対戦してきた丹波に仕込杖の白刃が襲う!!
  • 守備の極意(上)
    5.0
    ウェスティッシュ大学野球部の捕手マイク・シュウォーツは、痩せっぽちの高校生ヘンリーの守備練習に見とれていた。ますます強くなるコーチのノックを、この小柄な遊撃手は優美なグラブさばきで楽々と捕え、矢のような球を次々と一塁に送る。その一連の動きはまさに芸術品だった。「来年はどこの大学でプレーするんだ」と聞いた。「大学へは行かない」シュウォーツはにやりとした。「さて、そうかな」シュウォーツはようやく見つけたのだ。みずからの弱小チーム立て直しの切り札を―アメリカ文学界の新星が贈る、野球への愛にあふれる傑作小説。
  • これが名句だ!
    5.0
    『この俳句がスゴい!』の著者による、絶品俳句鑑賞の第2弾。杉田久女、橋本多佳子、寺山修司など個性派俳人16名の作品を鋭い見識と愛情を込めて深く読み解き、作家像に迫ります。秀句が著者の鑑賞で名句になる!
  • 真贋の森
    5.0
    美術史家としてすぐれた才能をもちながら、学閥から追放され敗残の生活を送る宅田老人。贋画の天才酒匂鳳岳の発見によって開始される学閥への復讐は、まず、鳳岳の描いた「秋山束薪図」が、未発見の浦上玉堂の作と評価されて成功するかにみえたが…。表題作ほか「上申書」「剥袋」「愛と空白の共謀」「装飾評伝」を収める。
  • 魚は水に女は家に
    5.0
    舅・姑・小姑のいる大家族に嫁ぎ、「どっちでもいいの、私」方式で我を押しころし、さしたる波風もたてず、二十年。やっと、親子夫婦だけの生活がはじまった時、舟子は、せせこましい仕事にからめとられ、世の中の回転から全くそれている夫を啓蒙したい、と思った。共に楽しい人生を送るために。魚は水に、女は家にいるもの、と思っている世の男たちに、そして、すべての女たちに贈る、自立への出発(たびだち)の物語。
  • 虚構の空路
    5.0
    小田原付近を通過中のひかり号車内で、検札の車掌が若い女の死体を発見!死因は青酸中毒で、目撃者の証言から、東京駅発車寸前に降りた男の犯行との見方が強まった。そして三か月後、こんどは都内のホテルで男の刺殺体が。2つの事件の重大な共通点が捜査本部を緊張させた。被害者は二人とも同じ会社の社員だったのだ。ただちに綿密な聞き込みが行われ、その結果、ある海外旅行社の営業部長が重要容疑者として浮かび上がった。だが彼には、両事件ともに完璧なアリバイがあった。巧みなストーリィの展開と意表をつくトリック、著者会心の本格長編推理小説。
  • 秋のわかれ
    5.0
    ラブレターにはろくな文例がない、と悦子は発見した。相思相愛の文例はあっても、片恋の苦しさをしみじみ訴えるというのは、ない。――スキデス。いろんなことがありました――これ以上、何も浮かんでこない。親友の信子とすごした、田舎での夏休みは、高校生になったばかりの二人にとって忘れられないものとなった。16歳のひと夏の思い出を、爽やかに描く表題作、他3篇を収録。
  • ロビンソンの末裔
    5.0
    1巻550円 (税込)
    敗戦直後、食うに食えず、ペテンにかけられたみたいに北海道に渡り、運命のいたずらにほんろうされる“ロビンソンの末裔”たちの苛酷な自然との苦闘を、作者は、いささかの感傷をもまじえずに乾いた文体で描く。この底なし沼にすりへらす、人間の貴重な労働力に、本書はいやおうなしに世間の目をむけさせる。
  • みんないってしまう
    5.0
    同居していた恋人が出て行った。出て行けと言ったのは私だ。あんなに泣いた晩はない。(「裸にネルのシャツ」)母ちゃん、脳卒中で死んだんだって? 自殺が趣味みたいな人だったのに(「表面張力」)会うのも会わないのも、決定権はいつも相手にある。(「片恋症候群」)永久に続くかと思ったものは、みんな過去になった。物事はどんどん流れていく――。数々の喪失を越え、人が本当の自分と出会う瞬間をすくいとった、珠玉の短篇集!
  • 日本殺人ルート
    5.0
    京都のお寺で「私は、嵯峨野に人を殺しに参りました」と書いた美貌の女。沖縄の旅行中、妻の殺害を計画する夫。美人秘書殺害につけられた一千万円の賞金。知床、東京、伊豆、北陸、京都、神戸、沖縄。全国各地で次々と起るミステリアスな事件。欲望と憎悪が絡みあう複雑な人間関係を背景に、完全犯罪を狙うしたたかな悪人(ワル)たち!! スリリングな展開と意表をつく結末。トラベル・ミステリーの第一人者が贈る傑作推理。
  • 食べるたびに、哀しくって…
    5.0
    色あざやかな駄菓子への憧れ。初恋の巻き寿司。心を砕いた高校時代のお弁当。学生食堂のカツ丼。アルバイト先のアンミツ。白い大輪の花のようなフグ刺。ミリン干しで育った田舎の少女がアンミツで育ち、男の部屋で飲むコーヒーの味を知るようにもなる。移り変わる時代相を織りこみ、「食べ物」が点在する心象風景をリリカルなタッチで描いた青春グラフィティ。
  • 高千穂伝説殺人事件
    5.0
    美貌のヴァイオリニスト千恵子の父・本沢は、M―商事の平凡なサラリーマンだった。秘密の留守番電話に〈ブツはニュータバルからタカチホへ。運んだのはノベウン。受けとったのは市川〉という謎のテープを残して、本沢は突然失踪した。その後、父の知り合いと称する男が、高千穂で不審死を遂げた。そしてまた、新たな殺人が…。 神話と伝説の国、高千穂に隠された巨大な秘密!! 千恵子は、私立探偵浅見の助けを借り、高千穂へと向かうが。気鋭内田康夫が、綿密な取材をもとに満を持して放つ、サスペンス・ミステリー。
  • 紅い白描
    5.0
    美大を卒業したばかりの葉子は、憧れの葛山デザイン研究所に入所する。尊敬する鬼才、葛山の下で精一杯、勉強したかったからだ。が、不可解な葛山の言動から、彼の作品のオリジナリティに疑惑をもつ。真実を知りたいという熱い思いにかられ、葛山の周辺を次々に追及する葉子の前にあらわになった意外な真相とは――。常に斬新でなければならない一流デザイナーの苦悩を、華やかな業界を背景に描いた傑作サスペンスロマン!
  • 南九州殺人迷路
    5.0
    桜島行きのフェリーの上で、鹿児島選出の代議士秘書が刺殺された。十津川警部の部下・西本の見合い相手、木下ゆかりに容疑がかかる。ゆかりは見合いの翌日に「全部、嘘です」というメモを残したまま、失踪していた。そして西本に「ゆかりに欺されるな」と忠告した男が、指宿で殺害される。西本の報告を受け捜査に乗り出す十津川だが、まもなく東京でも殺人が!南九州と東京を結ぶ、恐るべき陰謀の正体とは!?
  • 十津川警部 雪と戦う
    5.0
    JRと道路公団に届いた脅迫状。それは四億円を支払わなければ、クリスマスに大清水、関越両トンネルを爆破するという犯行予告だった。折しも同一犯の手によって、天城峠と湯沢で爆破事件が起きたばかりであった。一連の事件解明のため、十津川警部が越後湯沢に駆け付ける。巧妙な手口で捜査陣を翻弄する犯人たち。果たして十津川は、怜悧狡猾な犯人を捕らえることができるのか? 雪の越後を舞台に繰り広げられる、傑作長編ミステリー!!
  • 金融腐蝕列島(上)
    5.0
    1~11巻726~1,012円 (税込)
    大手都銀行・協立銀行の竹中治夫は、突然、本社総務部への異動を命じられる。通称“渉外班”――総会屋対策を担当するポストである。上層部からの特命を帯びた竹中は、心ならずとも不正融資に手を貸してしまう。組織と個人の狭間で葛藤しながらも、ワンマン会長のスキャンダル隠しに加担せざるをえなかった竹中は、会長側近の秘書役と駆け引きし、元大物総会屋や企業舎弟じみた人物との交渉に奔走する。今日の銀行が直面する問題に鋭いメスを入れ、日本中を揺るがせた衝撃の話題作。
  • 高野聖
    5.0
    山の中には驚くほど美しい女が住んでいた。 彼女には蛙、猿、こうもりなど様々なけだものたちが群がってくる。 女は僧を誘惑するかのような振る舞いに次第に心を寄せるが、そのとき知った真実とは……。泉鏡花の代表のひとつで幻想小説の名作。
  • 野性の条件
    5.0
    窓際族という生活に折り合いをつけてきた哀川真也は、謎の美女・巨勢玲子との出会いで運命が一変する。哀川は玲子から誘われ、借金地獄に喘ぐ人やストーカー被害者などを救う組織「アネックス」に参加した。彼はその活動の中で生きることへの情熱を取り戻していく。だが、「アネックス」が某国からの亡命少女を匿ったことで事態は急変、哀川らは過酷な状況に陥っていくのだが――。人間の本質に深く踏み込んだ、傑作大河巨編。
  • バガージマヌパナス わが島のはなし
    5.0
    19歳の綾乃は島での楽園生活を満喫し、大親友のオバァ、オージャーガンマーと遊び暮らす日日。しかしある日夢の中に神様が現れ、ユタ(巫女)になれと命じる。「あーっワジワジーッ」徹底抗戦の構えの綾乃だったが、怒った神様の罰もあり、やがてユタへの道を歩むことに……。溢れる方言と三線の音、抜けるような空に映える極彩色、豊かな伝承と横溢する感情。沖縄が生んだ不世出の才能の記念碑的デビュー作!
  • 夏化粧
    5.0
    島の豆腐屋で働く津奈美はシングルマザー。産婆のオバァのかけたまじないのせいで、息子の姿を他人に見えなくさせられてしまった。まじないを解くためには、息子にかけた七つの願いを他人から奪わなければならないと知り、津奈美は決死の覚悟で陰の世界に飛び込んでいく。願いを奪うとはどういうことなのか。息子にかけた最後の願いとは何か? 石垣島の自然と島の伝承を舞台に、若き母親が孤軍奮闘する壮絶な愛の物語。
  • 天国の扉 ノッキング・オン・ヘヴンズ・ドア
    5.0
    10年前、抜刀術・名雲草信流を悲劇が襲った。末の妹・綾が放火により焼死してしまったのだ。犯人は、1年後、別の現場に残された遺留指紋が決め手となって捕まった飯浜幸雄。名雲家長男・修作がつきあっていた奈津の父親だった。修作の父・名雲和也は公判に出廷した飯浜に襲いかかる騒動を起こし、失踪。奈津は母親とともに土地を離れて行ってしまう……。守るべきものは何か? 愛する者との絆の在処を問う感動巨編!
  • 夜光虫
    5.0
    1巻1,199円 (税込)
    栄光に彩られた野球人生を全うするはずだった加倉昭彦を肩の故障が襲う。引退、事業の失敗、離婚、残った莫大な借金。加倉は再起を賭け台湾プロ野球に身を投じる。それでも将来の不安が消えることはない。苛立つ加倉は台湾マフィアの誘いに乗り、放水――八百長に手を染めた。交錯する絆と裏切り。揺れ動く愛と憎しみ。破滅への道しか進むことのできない閉塞状況のなかで解き放たれていく狂気……。人間の根源的欲望を描き切ったアジアン・ノワールの最高峰!
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 終焉の巻
    5.0
    大和王権の権威を東国に示すため東征の旅の途にある倭建(ヤマトタケル)は、駿河を従え、最大の目的地である毛野国に迫る。しかし房総半島に向かう途中、愛する妃・弟橘媛が海神の犠牲となって命を絶つ。弟橘媛の死と暗躍する大和の敵対勢力を前に、東征の意味を自問する建は、戦うことの無意味さを悟り、自分のために生きることを決意する。陸路、大和への帰路についた建を再び宮簀媛が待ち受けていた。再会は不幸の予兆となるのか? 黒岩重吾最大の古代史小説、遂に完結。
  • 札幌着23時25分
    5.0
    航空スト当日、暴力団川田組組長の有罪の決め手となる重要な証人を、札幌地裁まで連れていかなければならない事態が発生した。タイムリミットは深夜零時!証人を連れて東京を出発した十津川警部の行手には、それを阻止せんとする川田組弁護士佐伯の手の者が……。チャーター機、列車、東北新幹線、車、船とあらゆる交通機関を駆使して、狙う側と守る側の華麗なゲームが始まる!人気作家が自信をもって贈る、トラベル・サスペンスの決定版。
  • 殺しのバンカーショット
    5.0
    〈この大会中に、あいつを殺してやる〉賞金総額五千万円のビッグなゴルフトーナメントの開催二日前に、こんな脅迫状が届いた。脅迫状はこれで三通目。日本ゴルフ連合会理事・吉田は警察に警備を依頼する。だがその吉田も、交通事故で死亡した。吉田の若い美人妻。ゴルフ界の複雑な人間関係。奇妙な殺人の謎。犯人の狙いは何か? 様々な思惑をよそに、ゴルフトーナメントは予定通り開催されたが――。十津川の推理が冴える、長編サスペンスミステリー。
  • 詭弁の話術 即応する頭の回転
    5.0
    詭弁とは“ごまかしの話術”。でもその良さをわかっていれば……? クールで知的な会話をあやつりたい方へ贈ります。大人の会話で必ず役に立つ、洒落た話術の見本帳!!
  • 彼女が愛した男
    5.0
    平凡な毎日を送っていた美穂は、社長令嬢の令子に誘われて軽井沢の山荘へと遊びに出かけた。同日、二人の青年が、その山荘近くの別荘に泥棒に入る。留守宅を狙ったはずが運悪く人が残っていたため、彼らは殺人を犯して山荘へ逃げ込んでくる。人質となった美穂と令子、管理人の老夫婦は、恐怖におののいたまま、夜を明かす。突然の異常事態の中で、六人が迎えた思いがけない結末は……!? 息をもつかせぬ迫真のタッチで男女の愛憎を描いた、傑作サスペンス長編!!
  • イリュミナシオン ランボオ詩集
    5.0
    20歳までに詩才のすべてを燃焼させ灼熱の砂漠へ消えていった早熟な天才詩人ランボオ。だれもひらいたことのない岩穴の宝庫をひらき、幻想的な感覚の世界を表現した彼の作品は、今なお光り輝き、年月を重ねるごとに新鮮な衝撃を与え続けている。本詩集には『イリュミナシオン』『酔っぱらいの舟』を含む代表作を網羅した。
  • ああ勝負師
    5.0
    ギャンブルの奥は深くて暗い。小市民的生活を嫌い、ギャンブルに憑かれ、のめりこんでいく男達の姿は哀しい中にも、ある種の感動を誘う。牌に命を張り、勝負に火花をちらす苛烈な雀ゴロ。賭博場に暗躍するコーチ屋、ノミ屋。裏芸を駆使する花札のイカサマ師。サイコロ三つが運命を握るチンチロリン。ギャンブルと浅からぬ縁ができてから三十余年。食うか食われるかの苛烈な勝負の世界を渡り歩き、賭博に命を賭ける人間達の浮沈と興亡を身近に見てきた著者が描く勝負師列伝!
  • ズボン船長さんの話
    5.0
    四年生のケンは、夏休みにもと船長さんと知り合い、大事な宝物にまつわるお話をきくことに。それは、七つの海をかけめぐっての素敵なお話の数々だった。ケンともと船長さんの友情は、少しずつ強まっていく。
  • もののけ物語
    5.0
    招き猫、古い人形たち、銅鏡。見初め魅入られ、なぜか頼られ……。気づけば妖しいモノにかこまれる加門七海のにぎやかな日常。驚異と笑いに満ちたエッセイ集。
  • アルセーヌ・ルパン 世界の名探偵コレクション10(2)
    5.0
    怪盗が名探偵に変身。太陽光線を利用した暗号の謎を解く「太陽の戯れ」、宝石細工師に化けたルパンが、かつての恋人の危機を救う「結婚指輪」、セーヌ河で発見されたショールから、異常な事件をかぎつけたルパンが殺人事件に巻きこまれる「赤い絹のショール」など7編を収録。痛快アクションの魅力と謎解きの面白さを満喫させる冒険ミステリー。
  • 黒岩涙香集 ――明治探偵冒険小説集1
    5.0
    1~3巻1,320円 (税込)
    売り出されたいわくつきの古い屋敷。屋敷を買った叔父の命で下検分に出かけた主人公は謎めいた美しい女性と出会う。次々と現れる謎の人物。首なしの死体。時計塔のからくり。……「その怖さと恐ろしさに憑かれたようになってしまって、(中略)部屋に寝転んだまま二日間、食事の時間も惜しんで読みふけった」(江戸川乱歩)という名作「幽霊塔」と、父の死をめぐる意外な顛末が秀逸な中篇「生命保険」を収録。
  • もうひとつの朝 佐藤泰志初期作品集
    5.0
    1巻1,760円 (税込)
    20年の時をへて復活した伝説的な作家・佐藤泰志の文壇デビュー以前の未刊行作品を集成。みずみずしく痛々しい青春を描いていまなお鮮烈な光を放つその文学の誕生をはじめてあかす。

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  • 棺一基 大道寺将司全句集
    5.0
    1巻1,732円 (税込)
    確定死刑囚として37年に及ぶ獄中生活を送る大道寺将司の全句集 棺一基(かんいっき) 四顧(しこ)茫々と 霞みけり 十七字において、かれは塗炭の苦しみをなめつづけ、十七字においてのみかれは、極限の個として、ひと知れずやっと自由なのだ。供述調書より起訴状より判決文より、較べるもおろか、句群にこそかれの真情は巧まず塗りこまれている。俳句にいまや全実存を託したのだ。――辺見庸「〈奇しき生〉について 序のかわりに」より 大道寺将司は、東アジア反日武装戦線の“狼”部隊のリーダーであり、お召し列車爆破未遂事件(虹作戦)及び三菱重工爆破を含む3件の「連続企業爆破事件」を起こし、1975年逮捕、1979年東京地裁で死刑判決、1987年最高裁で死刑確定した。本書は、30年以上も死刑囚として、また血液癌と闘いながら獄中生活を送る大道寺将司が詠んだ1200句を収録した全句集。本書出版にあたっては、作家であり(芥川賞受賞)詩人でもある(中原中也賞、高見順賞受賞)辺見庸が全面的に動き、実現させた。また辺見庸自身も脳溢血で倒れた後遺症と大腸癌と闘っている。 辺見庸による跋文では、二人が句を介して知り合い、面会を実現させ、血液癌から来る痛みに句を詠むことを諦めかけた大道寺を「とにかく書け」と励まし、全句集を実現させるまでの経緯が感動的に描かれている。
  • サクラサク ~『解夏』より~
    5.0
    ごめんなさいと言いたかった。ありがとうと言いたかった。薄れゆく父の記憶を探す旅へ―― 「家族のため」仕事に邁進して来た俊介だが、気づくと家庭は崩壊していた。冷えきった夫婦関係、フリーターの息子にイマドキのムスメ……そして、厳格だった父は惚け始めてしまった。家族を、そして父を取り戻すため、俊介はワゴン車にみんなを乗せ、父の故郷・福井へ向けて旅に出る。(この作品は『解夏』(幻冬舎文庫)所収の短編に基づいて制作されました)
  • あなたのことが、いちばんだいじ
    5.0
    会社を辞めて小説家として新たな人生に踏み出した夫の一日を見つめる妻の視線。(「ひらひら」)ある男の浮気調査を依頼された探偵は、尾行の途中、3年間会っていない自分の娘を目撃する。まさか浮気相手は我が子なのか!?(表題作) 他に、ベストセラー『夜の果てまで』の原型となった短編「泣くかもしれない」や、16歳で執筆された幻の処女作を含む珠玉の作品集。
  • マグレブ、誘惑として
    5.0
    1巻2,024円 (税込)
    「書くこと」の復活は可能なのだろうか。危地に陥った文学者の自己再生を賭けた旅を描く長篇小説。――その時私が満足をもって感じたのは、今まで現実だと信じていたものが、実はフィクションだということだった。しかもそのフィクションは自分が望んだものではなく、お仕着せの規制だ、ということだった。なぜ私はこんなに不自然な現状に、おどおどと義理立てして、留まろうとしていたのか。旅に出よう。──(本文より)
  • 砂の審廷 ――小説東京裁判
    5.0
    民間人ただ一人のA級戦犯として巣鴨刑務所に拘留された大川周明。下駄履きのパジャマ姿で出廷し、東条英機の頭を叩いた奇矯な行動は有名だ。だがそれは、インドやイスラームの宗教哲学を根幹とする特異なアジア主義者であり、戦前の軍部や政府指導者に影響を与えた国家主義者の真実の姿なのだろうか。精神鑑定の結果不起訴となった大川周明に焦点をあて、獄中日記、検事の訊問調書、大政翼賛会興亜総本部長の戦災日記などの史料を駆使し、東京裁判のもう一つの深層を焙りだす。
  • 都市空間のなかの文学
    5.0
    二葉亭四迷「浮き雲」と言えば「近代的自我の発見を告知した作品」というのが常識だったときに著者が用いた方法は、二階の下宿(主人公内海文三は二階に下宿している)という住まいの空間を解読する事で作品を逆照射するというもの。実体としてとらえられてきた人間の自我を空間とことばの網の目によって決定されている関係性としてとらえ、ベンヤミン、バルトからフーコーまで現象学や記号論の成果を縦横に駆使して日本近代文学の流れを都市のコンテクストに即してたどる壮大な試み。
  • ちくま日本文学全集石川啄木
    5.0
    日本の近代文学史を彩るキラ星たち。そんな作家の代表作を短篇中心にコンパクトな一冊に収める文学全集。各巻に詳細な年譜を附す。本巻では、早くより詩才を発揮し、三行書きの表記法や、困窮した状態の中での生活詩人として、近代短歌に新領域を開きながらも、惜しくも夭折した若き文学者の表現、思想を堪能することができる。
  • 無常
    5.0
    今も昔もわれわれの美意識や倫理観の奥底には「無常」が生きている。女流文学に登場する「はかなし」が歴史の転換とともに「無常」へと姿を変える。「無常」はよく言われるような「色はにほへど散りぬるを」といった感覚的・心理的なものではなく、日本中世に盛んになった大乗仏教のなかから生まれた形而上学が発見したものだった。「かげろふの日記」から始まり「平家物語」を経て「正法眼蔵」へといたる精神の歴史と、「無常仏性」に表わされる道元の哲学を明らかにした名著。
  • 悲劇の解読
    5.0
    「批評の言葉はいま停滞する時代の厚い層の中を通過している。」80年代へむけて批評の現在を告知する『批評について』を序に、著者が青年期に心から没入し読みふけった太宰治、小林秀雄、横光利一、芥川龍之介、宮沢賢治についての論考を収める。ここには日本の近代における秀れた資質の演じた悲劇が、生涯と作品を通して克明に読み解かれている。文庫化に際し、さらに補筆修正がなされた。
  • 少年キム
    5.0
    19世紀後半、大英帝国は黄金時代を享受していた。ところが英領インドを目指すロシアの南下に伴って「グレート・ゲーム」(闇戦争)が勃発。激しい謀報活動が繰り広げられる。インドの豊かな自然を舞台に、次第に戦いに巻き込まれていくインド生まれのイギリス少年キムの成長を描く冒険小説の傑作。
  • オリヴァー・トゥイスト(上)
    5.0
    18XX年初頭、イギリスのとある町の救貧院で1人の男の子が生まれ落ちた。母親は子供を産むとすぐに、ぼろ布団の中で息を引き取った。過酷な環境の中で育った孤児オリヴァーはその後、葬儀屋サワベリーなどのもとを転々とするも、残酷な仕打ちに見まわれ続ける。ついにロンドンに逃れたオリヴァーを待ち受けていたのは凶暴な盗賊団一味だった……。若きディケンズが19世紀イギリス社会の暗部を暴露し、痛烈に風刺した傑作長編小説。
  • 家内安全
    5.0
    誰かを好きになって、恋をして、一緒に暮らす。そこには、たくさん喜びや悲しみ、想いの襞が重なりあっている。夫と娘と初詣に行く日常を得るまでの、恋愛と仕事に戦う日々を描く表題作「家内安全」のほか、「ゆっくり進む船が行く」「鉄紺」「ぬるぬる」、平間至の写真から生まれた「ショートストーリーズ」など、いずれも、恋をする心と体を、まっすぐに見つめた小説集。
  • 原文で読む シェークスピア 四大悲劇全集
    5.0
    誰もが一度は聞いたことがあるシェイクスピア。『ハムレット』『リア王』など、シェイクスピアの世界を堪能できる四大悲劇を完全原文収録。 <目 次> 1. 作者について 2. 代表作 3. 時代背景 4.『ハムレット(Hamlet)』 5.『オセロ(Othello)』 6.『リア王(King Lear)』 7.『マクベス(Macbeth)』
  • 海峡物語 【五木寛之ノベリスク】
    5.0
    5年前に東京のジャーナリズムの仕事を捨てて北海道へ逃れていた露木は、函館である老人を見つける。老人の名は高円寺竜三。以前Mレコードにいた大物ディレクターだ。彼は、経営合理化のために乗り込んできた黒沢と対立し、その黒沢との「レコード売上げ対決」に敗れて、音楽業界から姿を消したのだった。露木は、黒沢の合理的な歌作りが嫌いだった。高円寺の「時代遅れの艶歌」に賭けてみようと、黒沢との再戦を持ちかける。
  • 宮沢賢治 傑作選
    5.0
    1巻220円 (税込)
    『銀河鉄道の夜』『注文の多い料理店』…… 誰もが一度は読んだことがある有名作・人気作を完全網羅!!宮沢賢治10作品!! ●銀河鉄道の夜 ●注文の多い料理店 ●グスコーブドリの伝記 ●セロ弾きのゴーシュ ●よだかの星 ●やまなし ●オツベルと象 ●なめとこ山の熊 ●どんぐりと山猫 ●風の又三郎
  • その罪に、くちづけを。
    5.0
    高校1年の秋、ふみはお隣に越してきた転校生の“コノエタケル”くんに恋をする。無口だけどかっこよくて、本当は優しいタケルくん。でも、彼には“ヒトゴロシ”という噂があって――。
  • 魔女の子供はやってこない
    5.0
    ある日へんてこなステッキを拾った縁で、キュートな魔女と友達になった小学生の夏子。だが2人が良かれと思ってしたことが、次々血みどろ事件に発展していき──。ホラー界の鬼才が放つ、世紀の問題作!
  • 今日から(マ)王! カロリア編 【電子特別版】
    5.0
    またしても異世界へ召喚された高校生魔王・渋谷有利。激動の物語が開幕!「きっとマのつく陽が昇る!」「いつかマのつく夕暮れに!」の2本を収録したお得な文庫版!松本テマリのイラストも収録した電子特別版で登場!!
  • 紗央里ちゃんの家
    5.0
    祖母が風邪で死んだと知らされた小学5年生の僕。叔母夫婦の家からは従姉の紗央里ちゃんの姿も消え、叔母たちの様子はどこかおかしい。僕はこっそり家中を探し始める。第13回日本ホラー小説大賞長編賞受賞。
  • 死の最終診断
    5.0
    1巻495円 (税込)
    病理検査室のプレパラートが人の命を奪う 「あなたの右乳房は癌ではありません。手術を受ける必要などありませんでした」  乳癌の診断で根治術を受けた宮嶋小夜子の元に、一通の匿名の手紙が届いた。  ……右は乳癌ではない……恐ろしい内容……良性腫瘍の線維腺腫を癌と誤診した……別の人の組織と間違えた? 私は必要もないのに、右乳房を取られたのか……。  小夜子に依頼された女医・倉石祥子がこの手紙に書かれた内容を調査することになるが、次々と不可解な謎が浮かびあがる。そして、差出人不明の告発文書『病院病理誤診断実録』が届き始めて……。  テレビドラマ化もされた「女医・倉石祥子」シリーズ、第6弾が電子オリジナル作品として登場! ●霧村悠康(きりむら・ゆうこう) 大阪大学医学部卒業。大阪大学微生物病研究所附属病院、大阪大学医学部附属病院で腫瘍外科の臨床医として活躍しながら、腫瘍免疫学、生命科学に関する基礎研究論文を数多く発表。現在、大手製薬会社メディカルアドヴァイザー兼勤務医。
  • 野菊の墓
    5.0
    「野菊のような民さんが好きだ」お互いに好意を持っている幼ななじみだがいつしか恋心に育っていた。しかし周囲は2歳年上の民子を嫁にすることを許さない。民子は縁談があり他家へ嫁いでしまうが流産で命を落としてしまう。その手には政夫の写真と手紙が堅く握られていた。何度も映画化された伊藤左千夫の珠玉の純愛小説。(明治時代のお話です)読みやすくするため現代の言葉に近づけました。
  • 木の声 水の声
    5.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 木ほど、いのちを感じさせてくれる生きものはいない。そばにいるだけで、からだの中が流れ出す。流れ出すものがいったい何なのか、ぼくにはよくわからない。だけど、それが、とおいとおいむかしから、木のからだの中にも、ぼくのからだの奥深くにも、流れつづけてきたものであることは、まちがいないだろう。水ほど、生きていることを思い出させてくれるものはない。水辺に行くと、ぼくはいつも、腰をおろして、水の音にからだをゆだねたくなる。その音を聴いていると、からだの中の深いところ、外側からはるか遠いところで、こだましていることに気づく。木の声も、水の声も、今まで詩を書いてきて、ずっとぼくの中で鳴り響いていたものだった。これからも、じっとその声に耳をすまして、全身で聴いていきたい。―あとがきより抜粋―
  • かぞえられへん せんぞさん
    5.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 一人っ子だった私の友達は本でした。本は楽しい世界や、美しい世界、不思議の世界へ連れて行ってくれました。子どもは幼児期は親から学び、学校では先生から学び、卒業後は社会から学びます。人は、何人の良い師と出会うかで、その人の人生が決まるといっても過言ではありません。―あとがきより抜粋―
  • 自分の花を咲かせよう
    5.0
    1巻1,496円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 人生のひとこま、ひとこまの悲しみや喜びを共感をもってうたいあげる坂村真民の詩世界が、情感あふれる海野阿育の絵を得てここに結晶した。

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  • 牙

    5.0
    ふとしたことで事件に巻き込まれた石本一幸、19歳。謎の女が残したシガレットケース。その中には巨悪の証拠を示すフィルムが! そして祖父が襲われ、死んだ。いまわのきわに残した「牙をなくしちゃなんねえ。いざという時にゃ、牙をむけるのが、男ってもんだ」の言葉を胸に、迫りくる組織の魔手、陰にひそむ大物に、一幸の復讐が始まる。
  • 夢の原色
    5.0
    指1本触れることなく言葉を交わすだけで官能の極点に達する。性犯罪が専門の刑事、新開征記と高級コールガール。棚川貴代子の倒錯した関係は、新開の少年時代、憧れの美少女が凌辱されるのを傍観するしかなかった屈辱に起因する。風俗嬢殺害事件から性の深淵へと踏み入る野心的なエロティック・ミステリー。(講談社文庫)
  • 臨床文学論 川端康成から吉本ばななまで
    5.0
    1巻2,420円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 川端康成、村上春樹、吉本ばなな、山本昌代、尾崎翠の作品を臨床心理学や精神病理学などの学問成果を援用し、解読。従来明らかにされにくかった<自己>像に迫る新批評集。

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  • 俳句とはどんなものか
    値引きあり
    5.0
    俳句初心者にも分かりやすい理論書として、俳句とはどんなものか、俳人にはどんな人がいるのか、俳句はどのようにして生まれたのか等の基本的な問題を、懇切丁寧に詳述。『俳句の作りよう』の姉妹編。
  • 昭和短歌の精神史
    値引きあり
    5.0
    斎藤茂吉、窪田空穂、釈迢空、佐々木信綱――。戦中・戦後の占領期を生き抜いた歌人たちの暮らしや想いを、当時の新聞や雑誌、歌集に戻り再現。その内面と時代の空気や閉塞感を浮き彫りにする革新的短歌史。
  • 千年ジュリエット
    5.0
    1巻759円 (税込)
    文化祭の季節がやってきた! 吹奏楽部の元気少女チカと、残念系美少年のハルタも準備に忙しい毎日。そんな中、変わった風貌の美女が高校に現れる。しかも、ハルタとチカの憧れの先生と何やら親しげで……。
  • 星の巡礼
    5.0
    神秘の扉を目の前に最後の試験に失敗したパウロ。彼が奇跡の剣を手にする唯一の手段は「星の道」という巡礼路を旅することだった。自らの体験をもとに描かれた、スピリチュアリティに満ちたデビュー作。
  • 真・天狼星 ゾディアック1
    5.0
    1~6巻550~764円 (税込)
    新宿で発見された少女3人の死体は、血を抜き取られ、バラバラに継ぎ合わされていた。同様の事件は日本各地でも起こっていた。少女たちの間で密かに流行する「ゾディアック・カード」との関連は? 魔人シリウス復活の予感に、伊集院大介は戦慄する。宿敵との最後の闘いが始まった。全6巻シリーズ第1弾。(講談社文庫)
  • イーハトーボの劇列車
    5.0
    父との深刻な対立、妹への運命的な愛、信仰と農民運動、エスペラントと詩、そして科学と童話……。短い生涯を懸命に生きた岩手花巻の天才・宮沢賢治の半生。近代日本の夢と苦悩、愛と絶望を乗せ夜汽車は理想郷目指してひた走る――。長年にわたる熱い思いをこめ、爆笑と感動の中に新たな賢治像を描き出した、戯曲文学の傑作。架空インタヴュー「賢治と啄木に聞く」を併せて収録する。
  • うたの人物記 短歌に詠まれた人びと
    5.0
    三十一文字できりとられた個性的な人々の生を、エスプリとユーモアに富んだ語り口で読み解く。知的好奇心をくすぐる短歌エッセイ集。
  • 良寛こころのうた : 良寛詩歌三百六十五日
    5.0
    1~3巻1,078円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 純真、清心、温和、高雅-しみじみと味わう良寛さまのうた。
  • 白頭吟
    5.0
    原敬により、院外団から、代議士、党幹部に引立てられ、拓殖会社の理事として辷り込む父・尾花晋作。3年前病死した正妻のあとになおった27歳の三輪子。洋行志望する前妻の子、主人公20歳の学生・尾花晋一。俗物・まがいもの行き交う、愛あり恋あり不倫あり、裏切り、謀略なんでもありの巷のなかで、昂然として、高貴なるものの光芒一閃。石川淳を代表する傑作。
  • マクベス
    5.0
    11世紀スコットランドの勇敢な武将マクベスは、魔女の暗示にかかり王ダンカンを殺し、悪夢の世界へ引きずり込まれてゆく。シェイクスピア(1564-1616)は、1600年に36歳で『ハムレット』を書いた後、40歳で『オセロー』、41歳で『リア王』、42歳で『マクベス』と、立て続けに4大悲劇を書いた。作者最盛期の作品である。

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  • 自選 谷川俊太郎詩集
    5.0
    デビュー以来、半世紀を超えて人々に喜びと感動をあたえてきた谷川俊太郎(1931─)の二千数百篇におよぶ全詩から、作者自身が厳選した173篇を収録。子どもが読んで楽しめることばあそびから引用文だけで構成された実験的な長編詩まで、さまざまな文体で書き分けられたリズム感あふれることばの宇宙を俯瞰する。(解説=山田馨)

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  • 中原中也全詩歌集(上)
    5.0
    1~2巻1,881~1,980円 (税込)
    孤独な魂の叫びを2冊の詩集に托して逝った早世の詩人。「汚れつちまつた悲しみに」と詠った早熟老成の詩才。生涯を懸けて己れに徹し、誠実、過激に生きた詩人の刊行詩集『山羊の歌』『在りし日の歌』を全篇収録の上、短歌、俳句、新発見詩篇をも加えた未刊詩篇全270余を詩想、詩法の関連から緩やかに分類し、新たに編纂し、甦った中原中也の全体像を上下2巻に定着した決定版詩集。

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