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木ほど、いのちを感じさせてくれる生きものはいない。そばにいるだけで、からだの中が流れ出す。流れ出すものがいったい何なのか、ぼくにはよくわからない。だけど、それが、とおいとおいむかしから、木のからだの中にも、ぼくのからだの奥深くにも、流れつづけてきたものであることは、まちがいないだろう。水ほど、生きていることを思い出させてくれるものはない。水辺に行くと、ぼくはいつも、腰をおろして、水の音にからだをゆだねたくなる。その音を聴いていると、からだの中の深いところ、外側からはるか遠いところで、こだましていることに気づく。木の声も、水の声も、今まで詩を書いてきて、ずっとぼくの中で鳴り響いていたものだった。これからも、じっとその声に耳をすまして、全身で聴いていきたい。―あとがきより抜粋―
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原初的な いのちの感覚
命をいとおしむ、心が魂にすっと伝わってくる、素晴らしい詩集。また、視覚性のたくみさを持った詩集だと思った。 ・心が浄化され、たとえば禅語のたとえ、そのひろがりを感じた。 ・世界につつまれ、そして、原初的ないのちの感覚によって世界を包み返していく呼吸が波打っていて。 沈黙の中から生まれる声、あるいは、沈黙とともに初々しく奏でられていく声、素朴なまでの。いのちの原点としてのメルヘンたろうとする、ひそやかな決意による、磨かれた詩作品。 ・木を、わたしたちと同じように、いのちあるものとして、水を、生きていることを思い出させるものとして、木や水との交感、感応から生まれた澄明な詩情に触れることができた。
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