小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレな、なんだよ、これ……。結局誰も幸せになってないじゃないか……。なんでこんなものを私に読ませるんだよ。やめてくれ、これ以上は泣いてしまいます。
ミステリー要素はあるものの本格的なミステリーってわけじゃないからイヤミスとは言えないし、実際そこまで後味が悪い結末ということでもないんだよなぁ。もちろん報われなかった感は強いんだけど、嫌悪感はそこまで抱かないというか。結局、全部手遅れだったというのが虚しさを助長させてるのかもしれんね。
ベタベタした恋愛モノはあんまり好きではないんだけど、この作品にはそういった描写がそんなになかったのが良かったね。二人の馴れ初めは上巻にあったけど、静かに歩み寄ってる感じで言葉では多く語らずに心と心の交流をト書きで表現されているのが良きでした。
激情的で表面にいろいろ出すぎるのは甘ったるくて全身が痒くなってくるのよ。
下巻では上巻で起こった数々の事件の謎について、その真相が明かされるんだけど、さらに事件が発生し、新たな謎が加わる中で、それらが収束し始めるのはかなりの後半。本当にこれはキレイなかたちで物語を畳めるのだろうかと不安になるくらいの残りのページ数。ハラハラドキドキ。さてどうなることやら……。
……そんなのってないよ、こんなの絶対おかしいよ!
どこかでヒロインが言っていた「神は我らに手を差し伸べはしない」この言葉にこの作品のすべてが集約されていると言っても過言ではないだろう。
みなさん、読む際はお覚悟を。でも間違いなくおもしろいよ。 -
Posted by ブクログ
もし、戦争が絶えず末法かと思わされる今の世界に諦念を抱いている人がいたら、読んで欲しい。
うわべだけではない誠実な文章から、人道を守ろうと諦めず活動する国境なき医師団の一人ひとりをリアルに感じ、その不屈の精神は、大げさでなく人類の希望だと感じた。
今この瞬間も非人道的な恐怖の中にいる人たちがいる。そんな酷い世界に対し、自分はどこかで諦めていたことにも気付かされ、反省させられた。
「良心というものが単純な善意だけで生まれ育たないのは確かで、それは何度も傷つけられ疑われて強くなる」というフレーズが響いた。
良心とは、善とは、悩みつつも出来ることをやり続ける姿に、普遍的な強いメッセージを感じた。
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Posted by ブクログ
面白かった〜!ここにきてミステリー味が強くなった回でもありました。そこがまた面白かった。SFミステリーアクション映画みたいだった。いたるところに伏線があって、最後の最後まで「なるほどー!」と感嘆しました。
前作の『ガニメデの優しい巨人』ではガニメアンに思うところもあったのだけど、今作でガルースたちの地球人への愛というか信頼になんか心打たれたな……。再会のシーンに嬉しくなったし、シャピアロン号で乗り込んでいくシーンで心配になって「死ぬなー!」と心の中でずっと叫んでた。誰も死ぬな頼むから。
あと最初、『軍縮したのに地球内の各国の対立がなくなったわけではない』という作中内の状況を知って「なぁんだ……(´・ω・`)」と思ってたんだが(完全に理想だけど国境とか国家間の対立とか関係なく一蓮托生で宇宙開拓を目指す話が好きなので)、中盤以降のロシアとアメリカの友情に泣けた。ロンドンでのあの会話が、現実にもあると信じたいよね。
↓⚠︎こっからネタバレあり⚠︎↓
それにしてもスヴェレンセンにもっと痛い目見てほしいんだが〜!取り巻きたちも含めて!顔殴ってやれマジで。リンはスヴェレンセンの顔殴っていいほんまに。月面でのペイシーの怒りは当然だし、それ以上にソブロスキンの行動にも泣けた。アンタだってリスク背負ってるのに……友のために……泣かせてくれるぜ……。
科学者じゃないヘレンの弁論シーンもカッコよかったな〜こういうそれぞれの専門分野が活躍しているところも好き。
あとほんまにコールドウェルが個人的にド好みすぎる。いざという時に軍人の顔になるの好きだわ。最初のテューリアンの回りくどいやり方に「前置きは結構」とバシッと言い切ったり、作戦指揮取ったり、「楽に構えてください、私らがすぐ後ろについてるんだから」って言ってきたりとかさ〜〜〜好きになるわこんなん。調査研究が任務だったとはいえ『国連宇宙軍』だしやっぱ軍人で指揮官なんだよなあ。好きな容姿で想像して勝手にメロついてる。 -
Posted by ブクログ
西加奈子さんという人が、とても好きになる本。
いやまじで友達になりたい...
たくさんの人を愛しているから
愛されている事が伝わる。
海外での乳がん闘病生活について
不安、不便、心配、痛みなど、
リアルな辛い気持ちがが描かれている。
本当に辛い経験を乗り越えている最中でも、そこにはユーモアと愛がある。
闘病生活以外にも、
日本とバンクーバー間の文化の違いについても頷ける部分が多かった。
便利で安心な日本の良さも伝えつつ、
日本の広告の多さやルッキズム、
他人からの目を気にする文化についても言及していて海外生活経験のある人にはきっと深く共感できる内容だと思う。 -
Posted by ブクログ
分け合って警備員となった著者の視点から、警備員にまつわる世界がリアルに学べます。今まで想像したこともなかった世界ですが、普段通っているオフィスビルの見えないところが垣間見目で楽しく読めました。警備員の方々にも敬意を持って接する人が好感を持たれて、成功しているといったあたりはそうだろなと思うにつけ、自分も成功する側にいようと。最初の離婚で、家族のためと言われるたびに嫌な気持ちになった、これからは自分の人生を生きてくださいというな趣旨の置き手紙が一番印象に残りました。家族を言い訳に燻ぶることなく、とはいえ家族を大切にしながら、自分のやりたいことも実現していく強い生き方をしていきたいものです。
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Posted by ブクログ
ネタバレ前半あまり刺さらなくて、短編すぎるのが合わないのかなと思いながら読んでいたが、「ごしょうばん」で心抉られ、そこからはひとつひとつの物語の世界に惹きこまれて一気に読んだ。結果として大好きな一冊になりました。
いろいろな人の人生の一部を、いろいろなテイストで綴った短編集。
温かいのに切ないお話、夜にも奇妙な物語のような独特の怖さがあるお話やちょっと不思議な話、えっと思わず声に出してしまうような展開が最後に待っているお話。多彩に富んでいて読んでいて飽きない。
一穂さんの作品はどれも読後感があたたかく、やさしい気持ちになれるところが好き。
特に好きだった作品↓
【still love me?】
冒頭からもう好き。会う前はすこし好きじゃなくなってる(会うのがちょっと気が重い)のに、会うと前会ったときよりもっと好きになってしまう、というところに片思いのいじらしさが詰まっててかわいい。
中三の夏、温が一史を好きだと自覚するシーンがとても好き。すこし年上で知的な一史の、無自覚かつさわやかな色気がたまらない。
ただのBLで終わらせず、9.11を絡めてくるところがめちゃくちゃしんどくて、でもそのしんどさこそが一穂さんの作品の真骨頂なのだと思います。
十七年、会うたびに「まだ好き?」って聞く一史と、十七年たって初めて涙を流す温。決定的な言葉は言わないのに「まだ好き?」と訊くことで自分の心をどこか安心させていた一史も、自然とずっと好きでい続けた温も、ふたりとも幸せになってほしい。
「温。ありがとう。ずっと」
「……俺の質問、答えてへんやろ」
「なに」
「何できょうは訊かへんのかって」
「『もう好きじゃない』って言われたらどうしようって、急に怖くなったから」
「あほか……」
舌の上に、バニラの味がよみがえる。一史の唇にも、同じ甘さが伝わっているだろうか。車列は再び動かなくなった。十七年分にはほど遠く短いキスが終わったら、温のほうから「俺のこと好き?」と訊くだろう。
ほんとうに最高。
【sofa &...】
どこにでもいそうな平凡なアラサー独身女の十年をソファ視点で描いているのがじんわり温かくほっこりした。
恋人と別れたり、仕事をがんばったり、ささやかな恋はするけど特に関係が発展することなく終わったり(安易に発展しないのがまたリアル!)、乳がんになったり。
妹から励まされたあと電話を切ってから泣きじゃくるシーン
あなたの背中をさすってあげられなくてごめんなさい。と思うソファの視点に胸がぎゅっとなった。うちのソファも大事にしよう、と思えてしまった。
引っ越しのとき、捨てられてしまうのかなと苦しくなりながら読んでいたけど、もっていってくれてよかった!!
【神さまはそない優しない】
笑ったり泣いたり情緒がめちゃくちゃになった。
ひとつも後悔のない死なんて、きっとこの世にひとつもないと思う。
人間はいつ死ぬかわからない。だからこそ、家族は大切にしたいし自分のことはもっと大事にしたい。けれど、日々の生活に余裕がないとそこまで考えられないし、態度や言葉がつい雑になってしまう。
だからこそ家を出るときくらいは気持ちよく「いってきます」「いってらっしゃい」は言いたいなと改めて思いました。
不妊治療に悩みパワハラに精神追い詰められ45歳の若さで亡くなってしまった主人公だけど、猫に生まれ変われて、元奥さんに可愛がってもらって、猫としての長寿をまっとうできたことは幸せだっただろうなぁ。
あと、一穂さんの作品を読むと、やっぱ大阪弁ていいね…となります。
大阪弁だからこそ春男のツッコミや独白がより冴えわたる。 -
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山本甲士の『かみがかり』を読んで感じたのは、「形」を変えることが「意識」を変え、ひいては自分の人生そのものを動かしていくという爽快な力強さだ。
本作に登場する主人公たちはみな、他人軸で生き、自分の本当の気持ちを抑圧して押し殺している。しかし、新しい髪型に変わり、眉を整えるといった視覚的な変化をきっかけに、内面に眠っていた「自分軸」の強さが引き出されていく。「笑う門には福来る」という言葉のように、まず体を動かし、形を整えることで、後から心が追いついてくるのだ。
彼らが変われたのは、髪型によって急に別人へ変身したからではない。強気のルックスという小さな「鎧」を得たことで、抑圧されていた本来の自分を表に出せるようになったのだと感じる。他人軸で生きている間は人生が暗く思えても、外見や意識を自分主導で選択した瞬間、世界の見え方は一変する。
人生を暗くするのも明るくするのも、すべては自分の意識次第だ。日々の身なりや表情という身近な「形」を自分で選ぶことこそが、自分軸で人生を歩み始める第一歩なのだと教えてくれる一冊だった。 -
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又吉直樹のYouTube「渦」で著者がゲストとして出演され、本作を紹介していたことから興味を持った。
買ったその夜、数ページ読んだ直後に寝たら、久しぶりに悪夢を見た。
「課題が終わらない(というより、全容すら見えていない)」「締切が目前に迫っている」……そんな、ジワジワと脂汗をかくタイプの悪夢。
作品を通過することで、自分の知覚状態が変質していることは分かっていた。
自分が薄汚く惨めで、世界の誰も味方をしてくれない。そんなレイヤーに、ヌルっと嵌まり込んだような感覚。
それでも、止めときゃいいのに読み進めていった。
その日はちょうど雨が降っていて、日中でも視界が悪かった。
車一台がやっと通れる細い道で、対向車に道を譲るため、それと十字を成す細い道へ避けた。
対向車が通り過ぎた後、元の道へ戻ろうと右折した際、低い位置にあったブロックで車を盛大に擦ってしまった。
すり抜けていった対向車に、瞬時に敵意が爆発した。
「善意に欠け、コストを払わなかったお前が、なぜ無傷なのだ」
最悪の気分だった。
……しかし、よく考えれば、「わたしが車を擦ったこと」と「わたしの怒り」と「相手が何事もなく通過していったこと」には、何の因果関係もない。
「人間は欲望や執着によって、『自己でないものを自己とみなし、自己のものでないものを自己のもの』と見なしているのです。」
(中村元『ブッダ伝 生涯と思想』角川ソフィア文庫)
この小説を読んだことを契機に、身を呈して得た学び内訳。
・書籍本体 1,760円
・車の修理代 100,000円(概算)
安いもんだ。
来月から仕事増やします…モーヤダー…涙 -
Posted by ブクログ
日本で初めてのレストランね!と読み始めたが、レストランと言っても、勝手が違った。明治の始めだから、なんだか政府が絡んでくる。しかも朝令暮改の黎明期だ。切った貼ったはないけど、登ったり降ったり忙しい。
ゆきは長崎丸山町の引田屋で、女中をやっている。26歳。引田屋は女郎屋だ。4年前の安政6年に長崎は開港したので、各国領事館がある。オランダ総領事館で料理人をやっていた人との縁談が持ち上がる。丈吉に嫁ぐ。
おゆきは料理ができないのを早々に悟られ、料理係を下されて掃除洗濯縫い物係になる。西洋式の洗濯を仕込まれる。丈吉は五代才助の勧めで料理屋をすることにする。良林亭だ。全然客が来なかったが、次第にちょろちょろやってくるようになった。だんだん大賑わいに。ゆきは食器洗いに入る。ところがなんでも一人でやる丈吉が倒れてしまった。予約制にする。
きんが生まれる。良林亭は狭いので、少し離れたところに自遊亭を立てる。長崎奉行所や薩摩藩屋敷の出入りも仰せつかる。下働きの貫太を雇う。ゆきは子育てで手一杯だ。
近所の和食料理店の藤屋でフランス料理を出し始めたので偵察に行ったがまずい。二人目のゆうが生まれる。丈吉が病に倒れる。借金が多くてやりくりが大変。亀山社中に出前に行く。
丈吉が復帰。新しい料理人の萬吉を雇う。土佐後藤象二郎がやってきて宴を開く。
王政復古により、長崎は火の消えたようになる。坂本龍馬も暗殺された。土佐藩に大阪での御用を頼まれてしばらく大阪に行くことになった。ゆきは長崎にいる。土佐藩に5人扶持で召し抱えられる。養父の和十が脳卒中で亡くなり、男の子孝次郎を産む。苗字を草野とする。五代才助より大阪の外国人止宿所つまりホテルの司長を命じられる。転居だ。
よしと萬吉は祝言をあげる。開業日は忙しかった。ボールドウェン先生や五代、後藤、陸奥まで来てくれた。開業の時に五代が金をかき集めてくれた。本来政府の掛かりなっているはずのものだがお金が足りず1500両オランダ人に借りたら、バタッケという変な外人が乗り込んできた。主人気取りでいろんな人を集めて奢ったりする。新聞にも載ってしまった。五代に間に入ってもらって、政府からお金を用立てる。バタッケを追い払う。
丈吉は読み書き算盤のできる番頭を雇い、ゆきはお役御免になる。
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