小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
連句会に参加する様になって3年、なぜこの場所が好きなのか分かってきた。初心者にも参加してもらいたいとオンライン連句会を企画する。初心者にもわかりやすいようにとマニュアルを作ったら、読み返す事ができるようになって理解が深まったと感じる。オンライン連句会をSNSで告知したり、文芸マーケットに参加したり、若い人たちにも広めたいと若い人が捌きをしたらどうかと言われて初めて捌きに挑戦する。捌きは全てわかっている人がやるものと思っていたが挑戦してみたらとても楽しかった。
年齢も仕事もまちまちで街ですれ違うだけの人だったはずなのに連句会という場で自分の日常を読みその句に他の人の句が付くとわかってもらえたようで楽しいと感じる。新しい発見があった。 -
Posted by ブクログ
この小説もまたゲームのようだ。
読破まで1ヶ月強かかってしまった。少しずつ少しずつ読んでようやくゲームクリアとなった。サム、セイディ、マークスと夏を満喫した。
読み終えてみると作品そのものがシリーズもののゲームだったように感じる。
各キャラクターに成長や変化があるのはもちろん、前章で出てきた伏線が回収されたり、ニヤリとする対比や繰り返しがあったりして、このゲームは2周目3周目の周回で気づくこともたっぷりありそうだ。ひょっとしたらイースターエッグ(隠し要素)もあるかも…
休みをとってガーッとプレイするのもいいけど、一つ一つの街をゆっくり時間をかけて攻略するのもいいもんだ。そしてそういう楽しみ方を受け入れてくれる作品だった。
今まで読んだ中で1番繰り返し読みたい作品かもしれない。いつか強くてニューゲームをしたいなあ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ幼い一人の女の子の四半世紀と、十数年後に起こった殺人事件が交互に展開される小説。
カイアの壮絶な人生を通して、人種差別、裏切り、貧困、戦争にまつわる話なども絡んでいてなかなかに複雑。
飢えをしのぐため、あの手この手でサバイバル生活を送るカイアは本当にたくましい。
テイトとチェイスの2人の男性との恋愛模様も見所。特にテイト…テイトの気持ちも分かるけど、テイトがカイアを「住む世界が違う」とあそこで見放していなければ、彼女は罪を犯さなかったのではないかと思ってしまう。
チェイスと出会うこともなく、「殺さなければ生きていけない」という決断にも至らなかったと思う。
裁判中、優秀な弁護士の元無罪になったが、法廷ですべての手口が間接的に明かされていくことに、なんともいえぬ驚きが…。
そして、テイトはどんな思いで、カイアの告白ともいえるポエムを受け止めたのだろうか。書きながら思ったが、その心情がラストのシーンにつながるのかもしれない。
ザリガニの鳴くところへ、死ににいったのかもしれない。
湿地の美しさと、1人の少女の一生をすごい近い距離で体験した気がする。傑作。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ恋パートを読んでいた時は、ダメな男に振り回される可哀想な女の子と友達のために人殺しも厭わない狂気を感じる友達の話に映ったが、最後、茂実を殺害したのが「留利絵」ではなく「蘭花」だった、という真実が明かされて、話の意味が反転した。
結局己の気持ちに貼ったラベルが「恋」か「友情」かが違うだけで、蘭花と留利絵は本質な部分で似た人となっている。「自分自身の価値を他者との関係から見出す」という部分でだ。
蘭花は、「才能ある若き音楽家、茂実星近の彼女」として、
留利絵、「綺麗で賢い一瀬蘭花の親友」として自分を定義している。
別にそれを誇りに思うのは問題ないが、問題は自分から価値を見出せる要素がそれしかいないことにある。
一つのことに全てを捧げてきた人間は危うい。自分のアイデンティティを一本の柱が支えていて、それが崩れたら自分という人間そのものが崩れかねない。そして人間は、それを防ぐためならなんでもする。
アイデンティティの崩壊を迎えた人がどうなるか、それを見せたのがまさしく茂実だ。業界から干され、嘱望される音楽家という柱をなくした茂実は衰えていった。自暴自棄になり、死にたいとまで思った。それほどに自分を支える柱が崩れるということは恐ろしいことなのだ。
蘭花も留利絵も相手を愛していると、親友だと思いながらも、最終的にその相手に害をなす選択をする。蘭花は茂実を殺害し、留利絵はそんな蘭花を告発した。どちらも一人の人間に妄執する点では全く同じで、歪だ。盲目な気持ちは、盲目ゆえ感情を向けていた相手さえも視野から消してしまうのだ。 -
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ネタバレとてもよかったです。
”アカシアの野辺”で育ったリリカの物語。静かではあるけれど、とても揺さぶられる物語だった。
老介護人との会話が読んでてほっこりだった。幼いリリカが覚えたての指言葉で子守唄をねだる様子や老介護人の不完全で完全な「ありがとう」。
老介護人の最期、喉の窪みに左手の小指をあてがって「家路」を歌うリリカ。
その様子を想像して目が熱くなった。歌を意味するこの指言葉はおまじないとなって、ずっとリリカを支え続けたのだ。
ポピーちゃん人形、アシカショー、『すみれ』、ジュウシマツの実験、仮歌、歌の祭典。。。
どれもおもしろいエピソードだった。小川さんの文章、文体、描写がとても素敵でなんていうか、この世界に浸れた気がした。
料金係さんが印象的だった。沈黙とは対極の人で、この物語にとっては不穏な存在だと感じた。
徐々に見えてくる2人の世界の合わなさ加減は、リリカのものでしかなく、削られていくのはリリカだけであって、それが痛々しかった。
最後までリリカの質問に答えてくれない料金係さん。「一緒に町で暮らそう」という言葉にリリカはさぞかしびっくりしただろうと思った。
そもそもリリカは彼に何を期待したのだろうかとも思った。
料金係さんが去ったあと、人形の輪の中で『すみれ』を歌う場面がとても悲しくて辛かった。
「思い出されるのはただ、黙っている時の彼の姿だけだった」
人形たちの描写がよかった。季節が何度も巡る中で自然に朽ちていく人形たち。
懸命にそれを、その表情、不完全さを小川さんの描写を手掛かりに想像しながら読んだ。
それは少しおかしくて、少し悲しくて、それでも楽しい作業だった。
「不完全さが際立てば際立つほど、彼らは優しさを深めていった」
物語の最後、女性が流れてきた『家路』に声を上げ、若者と一緒に聴き入るところが
とても味わい深くて、余韻たっぷりの最終場面だった。
そのほかにも印象的な場面が多く、とても良い読書体験になった。
またいつか読もうと思います。 -
Posted by ブクログ
九兵衛(松永久秀)の物語。案内役が信長という設定もなんとも秀逸である。
少年時代の多聞丸、日夏との出会い。そんな少年の物語でもあるからこそ、久秀となってからも九兵衛という名が多く使われている。三好元長、義興との別れも心打たれるものがある。
人は飢え死のうとも、孤独には勝てない。動物としては異常としか思えないが、どうやら人間とはそのように出来ているらしい。
「信疑一如」疑っているから信じようとする。疑いが微塵もなければ信じることもない。
武士や足軽は自身では何も生み出さず、人から搾取するのみ。
甚助の「俺はもう自分の生まれた意味を知っている。英雄の兄を支え続けることさ」少年の心を感じる。
久秀が信長に送った書状「世に神はいない。当然、仏もいない。それらは人が己の弱さを隠すために生み出したまやかしである」信長は嬉しくて笑ってしまう。幼き信長と同じことを考えていた。
物語から悲しみの底に、光があることを、どこかで信じられる、小説は、そのためにあるのかもしれない。と解説で北方氏は締めくくる。
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