あらすじ
夜になると、僕は化け物になる。寝ていても座っていても立っていても、それは深夜に突然やってくる。ある日、化け物になった僕は、忘れ物をとりに夜の学校へと忍びこんだ。誰もいない、と思っていた夜の教室。だけどそこには、なぜかクラスメイトの矢野さつきがいて――。280万部超の青春小説『君の膵臓をたべたい』の著者、住野よるの三作目が待望の文庫化!!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
読む前は幽霊、ホラー系の小説かなというイメージでした。ですが化け物ではあるもののホラーではなく不思議なものでした。いじめがリアルに書かれていてとても衝撃でした。いじめに加担する人、ただ見てるだけの人、助けたいが自分がいじめられるのが怖くて何もしない人など本当に現実にあるいじめでした。全ての謎が明かされるわけではありません。「不思議は不思議のままで」という小説ですので考察が好きな方には向いていると思います。一気読みしてしまうほどとても衝撃的で面白い作品でした。
Posted by ブクログ
中学生の時って多かれ少なかれこんな感じの雰囲気がクラスにあったよなって思いながら読みました。
思春期の複雑な心境とか人間関係とか常に付き纏う不安とかぎゅっと詰まっていて、綺麗に白黒つかない事だらけだけど自分の中で折り合いを付けたり納得いく落とし所を見つけたりあの頃はもっと人に対して誠実だったなとか色々考えちゃいました。
Posted by ブクログ
いじめを黙認している、だけどそれに嫌悪感を抱いている、だけど皆に嫌われる勇気もない。
そんな、どこにでもいる人間。
だけど、彼は化け物になることで変われた。
それでも、いじめがなくなって円満!みたいな無理な終わり方じゃないところが、住野よる先生の良さ。
挨拶を一言返す。傍から見ればなんてことはないけれど、クラスでいじめられている人間に挨拶することは、自分がいじめられることに直結する。
それでも、彼はそれを選んだ。
何も決められていないと言っていたけど、彼は変われた。
それが後にどんな展開を生むかは分からないけれど。
矢野さんの個性についてや、笠井の考えてることについて、明かされなかったのもリアリティがあると思った。
綺麗にネタばらしをして終わるんじゃなくて、現実と同じように、自分からの視点でしか分からない物事。
それが、この物語の先に余白を作っていて良かった。
Posted by ブクログ
ヒロアカの作者さんが表紙を飾ると聞いて手に取ったのですが、内容はとても考えさせられるものでした。
なんとなく腑に落ちない気持ちになりつつ、
現実ってこういうものだよな…何ができたんだろう…って更に想像の世界に入っていくことができました。
Posted by ブクログ
ずっと気になってたけど、10周年限定カバーを見つけて手に取りました。
いろいろ考えさせられる物語でした。
中学生の頃の自分は緑川にとても似ていたと思う。
学生の頃にこの小説に出逢いたかった。
Posted by ブクログ
自分自身が何者であるのか、恐らく誰もが考えたことがあるテーマ。
周りから見て良いとされる行動を取る自分と自分が良いと思う自分の間に葛藤したり…
全て、自分なんだよな。
良い子ぶったり、真面目にしてみたり
本当はそんなに良い人じゃないって抗ってみたり
他人の評価と自分の評価の差にギャップを感じて、プレッシャーを感じたこともあったけど、全部が私自身なんだから全部受け止めて愛してあげられたらもっと楽になるのかな、なーんて思ったりした。
Posted by ブクログ
夜になると化け物になる中学生の主人公が、ある意味中学生らしい自分の本当の立ち位置とはと考えて周りの人と関わっていくはなしです。
もう一人キーパーソンのはじめは変わった変な人という印象から一人の普通の人と知っていく中で、より自分とはと考え、最後行動していく点が良かったです。
正直もう少し最後を書いて欲しい気持ちもありますが良い終わり方だと感じました。
Posted by ブクログ
夜になると化け物になってしまう主人公の安達ことあっちー。あっちーは本当はいじめを見て見ぬ振りをしたくないけど、いじめられるのも嫌な普通の男子です。
この物語のメインは夜の学校であったいじめられっ子の、矢野とのハートフルストーリーといきたいとこですが、昼の学校でのいじめシーンと半々です。
中々いじめシーンが壮絶です。矢野の消しゴムを拾っただけでいじめにあう井口とか。
を平手打ちした理由が、夜わかるのですが驚愕です。
主人公の安達ことあっちーが、ラストに、自分の本当の姿を知って昼の自分に挨拶をくれるという事で救いがあり、
また、主人公の安達(あっちー)は自分がどうなってしまうかを思うと仕方がないとは到底思えない状態であるにもかかわらず、ぐっすり眠れたと言う一文から、自分がいじめられる恐怖より、良心が救われてスッキリしたのだろうな、と考察出来るので救いのあるストーリーです。
矢野はちょっとやり方は粗暴だけど、優しくて、めちゃ賢い子だと思う。
いじめのターゲットをわざと自分にさせるなんてなかなか出来ない。
学校の先生の立ち位置がリアルです。
この作品で、保健室の能登先生(33)が言う
「難し、いことはい、い。生き延び、なさい。大人にな、ったらちょっとは自由になれ、る」
いじめを黙認です(汗)これには無責任とあっちーが怒るのも無理はない。
ラストになり、察しがいい人は、矢野が言う、
元友達とケンカして仲直りができず、うんしか言えなくなった女子が緑川を指すこと、笠井の事を悪い男、頭のいいやつ、と言った意味や、自分がどう動けば人を動かせるかどうかがわかっていて、楽しんでいる男が笠井である事が分かります。
P245のあっちーの気づきをみんなが持てるといいです。
Posted by ブクログ
化け物のアッチーと矢野さんの夜の冒険と、集団内の立ち位置での昼の二人の隙間。変わらない矢野と、どちらが本当の自分なのか悩むアッチー。最後に心の叫びから、答えを見つける。たとえ集団内の安寧を捨てることになっても。
笠井の正体、縁川の本質、能登の確信など謎が残ったが、読みやすく楽しかった。
Posted by ブクログ
君の膵臓をたべたい以来、2作目の住野よるさん著書。
よるのばけものってなんだろう!!!…という気持ちで読み進めたのですが、
「人は色んな面を持っているけど、それも含めて全部自分だよね」というものを分かりやすくするための『よるのばけもの』でした。
話の進み方も面白くて、飽きずにも読めましたし、最後の一文の書き方は凄く好きでしたが、
この本は結局何を核心としたストーリーなんだ?という疑問(私の理解力がないだけかも)と、よるのばけものについてもう少し言及して欲しかった!!(クラスの人物の闇深なあの言葉の意味とかまだ伏線なところが結構あるように見受けられたが、回収されず)
…ので星4にしました。
また住野さんの作品は読んでみたい!!
Posted by ブクログ
化け物になるというファンタジー要素が薄れるぐらいの酷な現実世界。
昼の顔、夜の顔、どちらが本当の自分だろうか?
自分ならどう行動するだろうか?
軽いようで重たいクラスの空気感が。。
Posted by ブクログ
深夜になると異形の化け物になってしまう男の子と癖のある性格によりクラスからいじめられている女の子の日中と"夜休み"の不思議な関係を描いた話。
はじめ本書の設定を読んだ時、美女と野獣のような恋愛要素の強い作品なのかなと思った。しかし実際にはそんなほろ苦くて甘い話ではなく、いじめの空気といじめに葛藤する内面を描いたものであった。
本書は全て主人公の男子中学生「あっちー」の一人称視点で語られ、昼の人間としての「俺」と夜の化け物としての「僕」がそれぞれ交互に思いや考えが交錯しながら進んでいく。それぞれの章はあまり長くないのでかなり読みやすいが、昼や夜での出来事をその後どうなるのかが気になりページをめくる手が止められなかった。
彼の一人称にも表れているが、姿とは裏腹に昼は残酷で、夜は優しい性格をしている。誰しもが持つ2面性や葛藤を明瞭かつ繊細に表現しており、私自身や他者を投影しながら読んでいた。
物語後半、化け物の黒い粒の如く心がざわざわとうごめき、ぎゅっと締め付けられるような展開となる。
彼はどのような決断をするのか、どちらが彼の正体なのか、なぜ化け物になってしまったのか、最後までつらく面白い小説でした。
Posted by ブクログ
学園ものと言えばスポーツもの、恋愛もの以上に題材にされるいじめをテーマにした小説。中学生であるが故に軽率で残酷、そして繊細な感情の衝突で起こる悲劇。主人公の立ち位置、“いじめの的にならないようにいじめられる側に所属する”は大多数の人が取っているのではないだろうか。ストーリー上、バケモノの姿になる必要は一見ないように思えるが、いじめられている矢野さんの目線からしたら昼の主人公と夜の主人公は声しか共通点がなく、最終盤でどっちが本物?という質問を際立たせるためのファンタジー要素と考える。ただ、序盤はその設定に興味を惹かれ読み進めるのだが。そして最後の1行でバケモノになった原因が明かされる。
本当の自分をさらけ出すのに勇気がいる学校生活。社会人のように損得で付き合うことがない関係こそ熟成した人格が必要なのか、若しくは異常に他人のことに興味があるが故の悲劇か。物語がこの後どう続くか、どうしたら平和なクラスになるのか色々考えてしまいます。
Posted by ブクログ
結構痛い所を突かれる話でした。私も主人公と同じような立場にいたから。手を出てた訳じゃないけど、頷いたし見てた。それが学校っていうくくりだけじゃなくて家でもそうだった。自分を守るためにしょうがないってしてたけど違うよね。後は自分って役割沢山あるけどどれが本当の自分で、なりたい自分なのか私にはまだ分からくて。皆気づいているのかなと思ったら少し苦しくなった。とても作品として面白いお話でした。
Posted by ブクログ
夜化け物になってしまう男の子のお話。
たまたま出くわしたクラスメイトと化け物の姿で会い、昼間の関係性とは違う関係性が生まれるんだけど、そこから主人公の男の子の ゛ずれ ゛が生じてくる。
中学生の頃の集団行動の中で過ごす事でのその環境、関係性ってあったよなぁって思う。
同じような事で悩んでいたので思い出してしまったし、何が正しくて、何が悪いっていうのってその集団行動の中にいると主張が難しいのも分かる。
保健室の能登先生の難しいことはいい。生き延びさない。大人になったらちょっとは自由になれる。
って言葉も少し分かる。
大人になるとそれぞれ違ってていいんだって自分自身思えた事もあるから。
ただ、色んな謎が残った状態なのでそこは気になるけど、今いる安定(と思える)の場所を維持するのも、そこから一歩踏み出すのも本当に怖いし、色んな労力使うけど、そうしようと思った事は自分だし、後悔はしないと思う。わたしは尊敬するし、すごい事だと思います。
Posted by ブクログ
中学生の頃の自分は何を考えていただろう。
あっちーや緑川さん、矢野さんの立場全部を経験したはずなのにあまり記憶がない。
当時の自分にはまだ何も見えていなかったんだと思う。
Posted by ブクログ
誰一人として"良いひと"がいないのに、
嫌悪感がほとんどない稀有な作品かも。
特段良い話ってわけではないんだけど、
とってもYOUR STORYを感じたので好きだな〜
どの自分が本当の自分なのか、誰もが悩んだこと、考えたことがあるテーマだと思いました!
それをファンタジーに、思春期特有(?)のあの集団ゆえの嫌な空気………同調圧力………も描きつつ、大人が読んでも共感し得るお話として描かれていて良かったな。
最後、たしかにもっと書いて欲しいと思う気持ちはあるけど、もっと読ませて欲しいとなるくらいがちょうど良いのかも!
Posted by ブクログ
不思議は不思議なまま不思議なのがいい。
そこ内容の通り、伏線が張り巡らされた物語。
イジメがテーマであり、青春時代に強く現れる、マイノリティに属する、属さなくてはならないという強迫観念じみた感情が描写されている。
読み手の力量によっては、意味が分からなくなってしまうかも。
自分自身の在り方について問われる、メッセージ性の強い作品。
Posted by ブクログ
・表紙がどこかきれいで手に取った本
・クラスに頑張って溶け込もうとするのわかる〜
・「あいつは下手なんだ」って自分は上手く生きてるように感じるのもわかる。私はあっちーに似てるのかもしれない
・でも実はハリボテな自分が複数いて、結局どれが本当の自分なのかわからなくなる。本当の自分を出すと涙が出る
・本音を言うと涙が出るんだよな
・笠井や緑川は何者...
Posted by ブクログ
ヒロアカの作者描き下ろしの表紙に惹かれて購入。
「よるになると、まっくろで足が6本あって眼が8つのバケモノになってしまう」
あまりにも設定が好み!最初のワクワク感がすごい!
どうなっちゃうの!なにするの!
と、読み進めていましたが、本題はそこじゃなかった。
昼の自分。クラスに馴染むことに注力してそれができない人間はおかしいと思い込むことで安心を得ている自分。
夜の自分。馴染めないおかしな奴だと思っていた人間が自分と似た趣味をしていて、ちゃんと傷ついていたことを知って、昼の行動に疑問を持ってしまった自分。
人って一筋縄じゃないかないよね。あっちの面もあってこっちの面もあってどっちも自分だよね。
それを分かりやすくするための「よるのばけもの」だった訳で。
私が求めていたワクワクは消化されなかった。
ファンタジー好き!よるのばけものって何!?って人には向いていないかも。
今まさに学生生活を送る中学生くらいに読んでほしい本でした。
Posted by ブクログ
矢野がいじめられていることに疑問を感じている気持ちと、みんなとずれたくない・ずれて仲間意識から外れたくない気持ち。どちらもあっちーの本心であり、否定する必要なんてないのに、いじめから目を背け続けていじめに疑問を感じている気持ちを仕舞おうとした結果、ぐるぐる考えられる夜に隠したかった気持ちが化け物の姿となって形を成したんだと思った。最後矢野に挨拶を返したことで化け物になった自分の気持ちとは信じられなかった思いを受け入れたから、ラストのぐっすり眠れたに繋がったと思うと、とんでもない成長を化け物になっていた短期間でしていて泣ける。。矢野ちゃんは最初から大事なことをちゃんと分かっていて、決して流されない強い子で、これからたくさん幸せな日々を過ごしてほしい。あんな高校はよ卒業させたげて。
Posted by ブクログ
昼の自分と夜の自分
どちらも本当の自分だし、
どちらも間違ってるわけじゃない
でも、心の中でモヤモヤがあるなら
きっとそれは本当の自分じゃない
自分に正直でいたいなって思った
Posted by ブクログ
誰もが経験したことある若さ故の悩みと葛藤。
みんなが思ってる「正しさ」っていうもの、作中にはっきりと書かれていないこそ、考えさせられる本だった。
よるにばけものになるあっちーも含めて全員が二面性持ってると思うんだけど、どれも自分だし、本物だけど、そこでどうやってその二面性に応えれるかがこのクラスメイトの試練なのかな。
まだその二面性に応えきれてない大人もたくさんいるというのに。
Posted by ブクログ
「夜になると僕は化け物になる。」というファンシーな世界観からは想像もできないほどに物語のプロットは現実味を帯びており、読んでいて心が痛くなりました。
周りの目を気にしながら人に気を遣い肩身狭く過ごす日常の主人公。自分がいじめのターゲットにならないために弱者を虐げその上に成り立つ平穏と自分の行動の非道さとの間での葛藤する場面は人間味が溢れており私も共に苦しみました。
自由とは反対の閉塞感や息苦しさを昼の学校での人間、自由や開放感を夜の学校での化け物で表現しているのが流石です。
Posted by ブクログ
学校で何が進もうとしてるのかがわからなくて落ち着かなかった。クラスメイトの優しさはみえるのだろうか?大人はいるのだろうか?とか。
クラスで気が合わない人、テンポの合わない人とは無理して付き合う必要がないのが学生の特権みたいなものだけど、同調しないとターゲットになるというのが、クラスを不幸にしてると思う。
この子たち10年後に取り繕うことのできない恥ずかしさを経験することだろうと思う。
あっちが良心のある少年みたいに描かれてるけど、こんな力がありながら何もできてない。
あっち、最悪みたいな書かれ方してるけど、そうは思わない。ただもうちょっと早く行動しても良かった。