あらすじ
ある朝、不安な夢から目を覚ますと、グレーゴル・ザムザは、自分がベッドのなかで馬鹿でかい虫に変わっているのに気がついた……家族の物語を虫の視点で描いた「変身」。もっともカフカ的な「掟の前で」。カフカがひと晩で書きあげ、カフカがカフカになった「判決」。そしてサルが「アカデミーで報告する」。20世紀文学を代表する作家カフカの傑作4編を、もっとも新しい〈史的批判版〉にもとづいた翻訳で贈る。
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Posted by ブクログ
『変身』は非現実的なお話だけど、現実社会をとても考えさせられる作品でした。
主人公に「可哀想に…」と同情してしまうと同時に、現実社会で「私も無意識的に、主人公と同じような気持ちにさせている誰かがいるのではないか」と感じました。
改めて自分自身を見つめ直すきっかけともなった作品です!
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かれこれ20年ぶりぐらいになるだろうかというぐらい離れていたカフカ。だいぶ印象が違う。若い頃に読む『変身』と今読む『変身』はやはり違う。主人公が可哀想でありながらしかし家族の邪魔になり、かつ最後家族は解放されている?家政婦への態度や間借り人たちへの態度からも分かるとおり、何か釈然としない感情は引き続きもっている訳で。
光文社古典新訳文庫でカフカを読むことの意味は訳者の丘沢さんが史的批判版に忠実に訳されていることにあるだろう。白水社版や新潮社版で大胆に改行がされていることを知って驚きを隠せない。文章を分けるのは日本語とヨーロッパ語の違いから理解はできるが改行は維持できるだろうに。『城』なんて文字の凝縮感も含めて作品になっているはずなのに・・・。
ということで丘沢さんにはぜひ『城』を訳していただきたいと思った次第。
Posted by ブクログ
1回目は、意味がよく分からず自分の読書力の無さに愕然とした。ウィキペディアの解説を見てから再読したところ、味のある話だと分かった。
リンゴをぶつけられるところがシュールで面白い。
仕事とか、家族とか、当たり前と思われている概念が、状況の変化で崩壊していくのがリアリティがあった。
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ある日目が覚めたら虫になっていた。
頭の中はまだサラリーマン。
4時の電車に乗らなくちゃ。
何本もの足をもにょもにょ動かす。
家族はみんなで虫を避ける。
悲しんでいるのか哀れんでいるのか避けているのか嫌悪しているのか、あるいはそれら全てなのか。
悲しいような辛いような、
はたまたゾッとするような、
温かいのか冷たいのか、
わかるようでわからない。
カフカの「変身」。
深いようで、
意味があるようでないのか、
作者はなにかを意図しているのか、意図していないのか。
不思議で
不気味でもないが、不気味ともとれる
悲しさを感じつつも悲しさに落ちきらずに変なところに着地する感。
なんだこれは。
それが感想。
素晴らしい独特な世界観。
Posted by ブクログ
判決
変身
アカデミーで報告する
掟の前で
の4編を収録。
カフカの作品といえば、面白くないという印象がある。
作品の内容は、わけの分からない状況に置かれた主人公が右往左往するのを淡々と描くだけなので、読んでいるこちらも訳が分からす、それが延々と続くので、ただ退屈なだけ。
評論家はとそれを不条理とかなんとか難しいことを言って高く評価しているけれど、やっぱりただ退屈なだけ。
あまり読みたくない作家だ。
しかし、そういうカフカ像を産むに至ったのは、どうやら原典の編集段階に問題があったらしく、また、日本訳にもいろいろ問題があったらしい。
「史的批判版」に基づく本書は、カフカのそんなイメージを覆す。
なによりも読んでいて面白い。退屈で無味乾燥なカフカではなく、筒井康隆のある種の作品に近い感じ。いやもっと近いのは、やはり吾妻ひでおのマンガだな。
考えてみれば、不条理というのは、主人公がヘンな目に遭わされて困っているということだから、「笑い」とかなり近いところにいるはずだ。不条理作品を読んで笑いが出てくるのは、だから、そんなにおかしなことではない。というよりもむしろその方が自然なのではないか。
最後の「掟の前で」は、いかにもいろいろな解釈をしたくなるような結末だが、「なんだこれ?」、という感想だけでも十分ではないか。
Posted by ブクログ
『変身』では、虫になったグレーゴルについてネタ的にに描かれているせいで勘違いしそうでしたが同情をせざるをえませんでした。献身的に頑張り続けたグレーゴルに対する仕打ちがこれかと思うとグレーゴルの気持ちもよくわかります。悲しさの雰囲気だけが漂う作品ではなく、どこか希望が見え始めては消えてゆくような作品でした。
Posted by ブクログ
古い話だからか意味が分からないところも結構あるけど、話は面白い!
変身はこんな話だったっけ…
最初読んだ時凄い感動した気がしたけど…
自分の中でハードルが上がりすぎてて、その点ではイマイチだったかも
"アカデミーで報告する"は初めて読んだけど、めちゃくちゃ面白かった!
"光栄にもこのアカデミーに招かれ、以前ぼくがサルだったときのことを報告するように依頼されました。"
という書き出しがもうやばい
全部短い話の短編集だから、サクッと読めるのも良いね
巻末の解説ではカフカも訳や編集によって受け取られ方が大分違う、というのが凄く興味深かった。
あと訳者が過去の訳を痛烈批判してるのも笑ってしまった。
それも込みで面白かった!おすすめ!
Posted by ブクログ
友達の紹介で変身を読みたくなり購入。どれも一筋縄では読解できない。なんか新しい感覚。たしかに80年前に出版されたとは思えない。
判決は読後何だったのか分からなくて解説を調べてしまった。信用できない語り手この時代からいたのか。
変身はグレーゴムの家族を思う純真な心に胸を打たれた。しかし家族に思いが通じず、酷い扱いを受けるのが不憫だった。本当にグレーゴムは馬鹿でかい虫になったのか?少し疑問が残る。
アカデミーで報告する中の猿の「自由なんか欲しくない。出口さえあればいい」という文章にハッとさせられた。たしかに。同じようで全然違う。自由は全て自分で考えて行動しろという意志を感じるが出口がある状態は行動の範疇を制限されつつ、別の行動も選択できるというニュアンスを感じる。猿が人の言葉を喋って人々が驚いた場面で「汗まみれのからだにキスされたみたい」という表現も状況に少し恥ずかしみを感じるが、嬉しいという感情が明確に伝わってきた。文才すごい。
「掟の前で」が解釈が割れて言及・引用数ナンバーワンの作品だということも納得させられる不思議な物語。
カフカずっと読みたかったが読めてなかった。きっかけくれた友達に感謝。
解説とあとがき翻訳者がめちゃくちゃ自我出してきてめちゃくちゃ面白い。「私は犬になりたい」じゃないよ。こんな解説初めて読んだ。本当にカフカが好きなんだろう。
Posted by ブクログ
ようやく、初めてカフカの「変身」を読みました。
イメージしていたものと違って滑稽さがベースにあって、最後は物悲しさを感じる内容で、カフカに対してなんとなく持っていた暗い印象が変わりました。
それにしても、なんの虫になったんだろう。
Posted by ブクログ
2025/3/14-17
●判決
ほんとに全く言っていることが分からず…感想がかけない。。
●変身
やばい変身にはめちゃくちゃ考えさせられた…ただの深読みのしすぎかもしれないけど、、
長くなりそうなのでどうでもいい感想から先に↓
1 虫ってこんな気持ちなのかな?と謎に虫視点に立てた
2 家族が同じ状況になったらどうする?って考えさせられた
1 私は虫特にGがこの世で一番大嫌いなのだが、グレーゴルが変身しちゃった虫は勘だけどGなんじゃないかなぁって。周囲の人々の生理的な嫌悪感を見ていても、身体の特徴を見ていても、食べなくてもしばらく平気だというのを見ていても、そう思った。それで、Gの急な方向転換とか突進とかがめちゃくちゃ怖いんだけど、Gも人間から逃げようとして、生き残ろうとして必死に逃げたり戦ってるんだろうなぁって思った(まぁ、それでも嫌いなことに変わりはないけど)。謎に虫視点から物事が見れて、ただ必死に生きているだけなのに暴力振るわれたり追い立てられたり、ちょっと同情した
2 これはむずい問題だなぁと思った。。グレーテの気持ちがめちゃくちゃわかる気がした。そうそう、最初は大好きな家族だから頑張ってお世話をしていても、疲れて限界が来るんだよね。生理的にキモいだけではなく終わりも見えないし、穀粒しだし、いるだけで周囲を暗い雰囲気にしちゃうし。。まして、虫だからね。。巨大な虫だから。自分の立場に立った場合耐えられるかわからないし、自分の家族も耐えてくれるか果たしてわからないなぁと思った。
深読み↓
そしてここからが深読み&めちゃくちゃ考えさせられた部分。穿った見方かもだけど、ここではグレーゴル=病気の人間 その他の家族=それをケアする家族 という印象を強く受けた。最初は甲斐甲斐しく介護するんだけど、終わりは見えない、自分の時間とお金が犠牲になる、相手とうまくコミュニケーションが取れない、などなどのネガティブな要素が積み重なって、結局共倒れしてしまう、、みたいな介護疲れの風刺のように思えたよ。最後グレーゴルが死んで「ほっとしている」シーンは特に介護疲れで、親が亡くなって寂しいよりも安堵が強く出る、みたいな状況を表しているように思えた。特に妹の態度の変わり方がケア疲れを象徴しているように思えたなぁ。「殺す」のではなく「見殺しにする」のもリアル。
あと、グレーゴルがある日「突然」虫になるというのは、うつ病のような精神的な病気を表しているように感じた。私は経験したことがないからわからないけど、精神的な病気はある日突然発症することもあるようなので。まぁグレーゴルはストレスの多い環境下で働きすぎだったみたいなので、それを示唆していると言えなくもない気はする。穿った見方かもしれないけど、間借り人たちの強い嫌悪感?は社会からの拒絶を暗示していそうだし、それによって追い詰められていく家族の実情もリアル。社会的弱者への嫌悪感や差別意識を感じましたとさ。「働けない」状態であることに対してマネージャーを中心に非難の声があがるのも、働けない社会的弱者への非難を暗示しているように見える。今までは大黒柱だったのに、働くことができなくなったらすぐに手のひら返しなのもね。。家族、グレーゴルをATMやと思ってたんか?って感じ
●アカデミーで報告する
何となく啓蒙主義のお話のように感じた。人間ってこういう感じで進化してきたのかな?とか思ったりして
●掟の前で
意味わからなかった。けど、入口は死の世界への入口かな?と思ったり。で、それなら入ろうと全てをかけて頑張ったのは皮肉だなと思った。それと同時に、人間は誰しも死ぬまでの間を生きているだけであって、死んだら手に入れた物体は全て消え去るわけで、門番に渡していた賄賂はそういう意味もあるのかなぁとか思った。生きているうちにうお金を使って、死後の世界には持っていけないような物を必死に手に入れている人間…
Posted by ブクログ
判決/変身/アカデミーで報告する/掟の前で の4篇。
「変身」はタイトルと概要くらいは聞いたことのあるくらい有名作品でしたが初めて読みました。
「変身」で印象に残ったのは、妹の邪魔をしないように虫となったグレーゴルが長椅子の下に隠れたり、背中にシーツをのせて体を覆うことで虫(である自分)を見せないように配慮したりする場面。虫になって嘆くどこころか家族のために配慮するところが面白くも感じた。と同時にそんなグレーゴルの境遇を不憫にも思った。
父親も父親で部屋を貸し出した人たちに自分たちが元々座った椅子を取られていてもただお辞儀したりと、なんか配慮する系家族なのかなとか。
家政婦がグレーゴルのことを「ほら、おいでよ、クソ虫」と”親しみやすそうな言葉”で呼ぶところもいい。
話の内容でいうと個人的には「判決」と「アカデミーで報告する」が好みです。「判決」は一晩で書いたというのだからすごい。
Posted by ブクログ
すでに何人もの方が指摘しているところだが,『変身』は介護で起こりうる話としても読める。
カフカ作品を読むと,場面転換の妙にしばしば驚かされる。気づいたら虫になっており,気づいたら死んでいる。
Posted by ブクログ
最近はどうしても技術書ばかり読んでしまい、そうではないジャンルの読書ができていない自覚があり購入しました。本書はカフカの小説が4編載っている書籍なので、各短編ごとの感想を書いておきます。なお、本感想執筆者は文学を鑑賞する才能に乏しく、感想が的外れであったり誤読に基づくコメントをする可能性があります。
◇『判決』
自分のことを中心に考えていて他人への関心や気配りの薄い人間の描写が妙にリアルです。現代の感覚からすると死に値するほど不義理な主人公であるとも感じませんが、いずれにしても自分が周囲の人間に対してどのようにコミュニケーションをとっているのか身につまされるような小説です。
◇『変身』
有名な作品ですし、読むのも2回目だろうと思います。人間が虫になってしまうという非現実的な現象と、そのことに向き合う家族たちの妙に現実的なふるまいのギャップに脳が混乱します。主人公の考え方がどんどん虫に寄っていく(異質になる)のもゆるやかな恐怖を感じます。主人公が死んだとたんに事態が好転し雰囲気が明るくなる描写も、思えば怖いほどさわやかです。それはそれとして、「馬鹿でかい虫」をすぐに片づけた家政婦の逞しさに少し笑ってしまいました。
◇『アカデミーで報告する』
しゃべりは流暢で自然ですが、ところどころに人間とは異なる価値観や無理のある過去の解釈が多い状態です。ズレの違和感を楽しむ小説かもしれません。
◇『掟の前で』
短いし何が何やらわかりません。あるいは丁寧に読むと読み取れることがあるのかもしれません。
Posted by ブクログ
【変身】
やはり人間は見た目なのか、と思った。
意思疎通もままならないし、
気遣いで近づいても嫌がられる。
最終的に家族は新たな生活をスタートする。
酷いと思われるかもしれないが人間らしさが出ている作品だなと思った。
Posted by ブクログ
チェコに行くことになった!ので手に取った、はじめてのカフカ。
どうしてこんな発想ができるのかしら、と思う。
「アカデミーで報告する」なんて現代のSFのよう。猿の惑星を思い出す。
「変身」では、次第に虫としての行動を取り始める主人公、当初は虫となった兄を気遣うものの、最終的には一緒には暮らしていけないと明言する妹など、登場人物の心境の移り変わりが、悲劇的でも批判的でもなく、当然のことのように描かれる。
そしてところどころのワンセンテンスの中にさりげなくユーモアが交えられる。
カフカは取っ付きにくい印象があるものの、楽しく読めたので、原文からかなり意訳されてるのかなあと思っていたところ、役者あとがきでそうではないこともわかりなんだかうれしかった。
むしろあとがきも本編と同じくらい面白かった。
丘沢静也さんの他の訳書も読んでみようと思わされました。
Posted by ブクログ
「判決」「変身」「アカデミーで報告する」「掟の前で」のカフカ作品4篇が収録されています。
東野圭吾さんの「変身」という作品を読んで、同じ題名の名作を読んでみようと思い読みました。カフカの「変身」は家族の邪魔になる事を虫になるという比喩を用いて表現した作品でした。虫となったグレゴールに対する家族の気遣いや扱い方にもどかしさを感じると同時に、家からいなくなると家族が晴れやかになる結末は、後味が悪い印象ではありましたが、現実にある問題を色濃く表した名作だと思いました。
Posted by ブクログ
頭木さんの「みすず」の連載「咬んだり刺したりするカフカの『変身』」がすごく面白くて、でも、まだ本体をちゃんと読んだことないよなと思い(恥)とっつきやすそうなこの訳で。
しかし、初心者にはもしかして、この訳、軽すぎるのかも? と感じました。ところどころ、コミカルさの表現が唐突に感じられたり。もちろん、原文が読めないのでなんともいえないのだけど。
なので、別の訳でも読んでみよう。とりあえず池内紀さんの訳で、別の短編集を読む予定。
Posted by ブクログ
クンデラを読んだからか。
カフカが読みたくなって、古典新訳文庫からこれを探す。
変身は、昔、新潮ので読んだつもりでいたけど、どうやら一章しか読んでなかったんじゃないかな?二章、三章は記憶になかった。
これは何の話なのか?
読んだ誰しもが繰り返し考えてきたのだけども、さてしかし実際、何の話なのだ。
それぞれのそのときそのときの背景とアナロジーされるのだろう。不条理?んー、というよりも象徴っぽさなのでは?
構造的なのかもしれない
「これを自分の環境に置き換えると、、、」
そこに自分を取り巻く構造が見えてくる。
好きじゃないのは、死を用いること。死は物語を途端に全部過去にしてしまい、どうでもよくなる。不条理は睨み続けてこそ意味があるのでは。
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かわいそうなグレーゴル。突然の悲劇にもかかわらず、まず考えるのは「仕事に行きたくないなあ」「もう少し寝ちゃおう」なのが病んでいる。「わかるなあ」と思ってしまった私も、一人前に社会人失格。
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世界的文学作家、カフカの史的批判版。実は初めてカフカを読んだ初心者だ。独特の世界観を持つ天才作家というふわっとしたイメージで読んだが、海外作品で且つ、古典となると日本人の感覚としては読みづらい。きっと初心者が読むならこの作家というセオリーはあったに違いない。それでも引き込まれる部分があったのはカフカという作家が書く文章に力があったからに違いない。最後の解説や訳者あとがきを読むことで違った解釈を得ることができたため、読み深めていく作品なのだと解釈した。現時点では3つ星だが、読者のレベルを高めてくれる著書。次回読んだ時に星が増えるのか否かを楽しみたい。
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設定だけは誰もが知る不条理作品である「変身」。筋書きは全く知らなかった。
虫になった初日朝、アポありのセールス先への遅刻の心配をするところから始まり、徐々に視力やらが虫化し、そのうち家族からも疎んじられ、父親から林檎を投げ付けられたり、お手伝いさんに殺されそうになったり、とひたすら虫ケラ化していく。最後は、食事というかエサも貰えず餓死し、家族は開放感に酔う。
描写を信じる限り、虫は、足多めの巨大ゴキブリ。虫の世話で生活に困窮した家族が間借り人を三人引き入れるも巨大ゴキブリを目にされて契約を破棄されたのは、そりゃそうだろう。
もうひとつの表題作「掟の前で」は僅か3頁の掌篇ながら、名作と名高いよう。父にダメ出しされ続け、人生を思う存分には生きられなかった自分のことを寓話的に書いた作品のようだ。人性臆しては勿体無い、ということか。
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洋書の翻訳版は読みづらくて苦手と思っていたけど、意外とこれは読みやすくてすらすら読めた。起きたら虫になっているという衝撃なスタートだったけど、なかなか最後はなんとも言えない気持ちになった。
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風刺を感じるトガッた小説だった。
判決 では介護問題?
変身 では障がい者問題
アカデミーで報告する では動物愛護の問題
掟の前で ではグズグズ生きて死ぬ前に後悔する人間
翻訳本の割にスルスルと読めたし、ちょっとSFチックな題材のチョイスにワクワクを感じた。
でも内容を真に理解するのがすごく難しい。というか全然理解できてない笑
判決 は、ペテルブルクの友達が出てきた意味がよくわからなかった。なんで主人公が自殺したのかも。
変身 が1番面白かったが、表現がちょっとグロテスクな上に、問題に対する出口のなさに心が痛くなる。
アカデミーで報告する は正直不完全燃焼感を感じた。サルが人間の知能を手にするという題材は面白かったが、そこからもっと話を広げてほしかった笑 著者の伝えたいことはそこにはないかもしれないけど笑
掟の前で は寓話って感じ。
Posted by ブクログ
『変身』を目当てに本を買い読みました。
ある日、目が覚めると主人公が虫になっていたという突拍子もない展開から物語が始まるから、もっと主人公の内面的な葛藤とか苦悩が生々しく描かれているものかと期待していましたが、まさかの内容はルッキズム云々的なものであり思ったよりも淡々と物語が進行するので(翻訳の問題なのか?)肩透かしを食らったというのが正直な感想でした。洋書初心者なので単に自分に合わなかっただけかもしれませんが、、、。
Posted by ブクログ
初カフカ。独特な言い回し、繰り返しが多くて面白かった。「答えが質問に衝突したのだ」とか読みやすいが、一瞬で解釈できる文が多いかというと実はそうではない。『掟の前で』の寓話感
Posted by ブクログ
「変身」シュールギャグであり社会風刺であり家族問題の警句であり純文学であり、はたまた別の何かである。読み手の解釈に依る。読み手の数だけ「変身」できるのが、この物語が世界中で読み継がれる所以なのかなと思う。
Posted by ブクログ
『判決』『変身』『アカデミーで報告する』『掟の前で』の4本。『変身』以外は、理論社ショートセレクション『雑種』の収録作品と重複。
設定のショッキングさがあまりにも有名な『変身』だけれど、こんな終わりだったっけか。何十年ぶりかで読んだら、結構印象が違う。
グレーゴルが我が身に起きたことを淡々と受け入れ、なんとかしようとグニグニ悶えていくのが、こうなったらそうするしかないよね、と、なんか妙にリアル。
Posted by ブクログ
グレゴールくんは、両親と妹を養うため社畜暮らしをしているが、とある事情で働けなくなる。
もちろん、仕事はクビに。
今までグレゴールくんの稼ぎに頼っていた家族は、少しながら蓄えはあるものの、それぞれ仕事につく。
グレゴールくんのお世話は疎か。
グレゴールくんなんていなくなったらいいのに、そんな言葉を聞いて衰弱死してしまう。
3人はそれぞれの職場に休暇届を書いてるんるんで外出。
「とある事情」が、「虫になる」なのだが、「病気になる」に置き換えると、なんだかつらいものがある。
お話はほとんどがグレゴールくんの視点なのだが、亡くなったあとのすーっと神の視点になって、残された三人の春になった感がなんだか寒さを感じた。