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『変身』は非現実的なお話だけど、現実社会をとても考えさせられる作品でした。
主人公に「可哀想に…」と同情してしまうと同時に、現実社会で「私も無意識的に、主人公と同じような気持ちにさせている誰かがいるのではないか」と感じました。
改めて自分自身を見つめ直すきっかけともなった作品です!
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かれこれ20年ぶりぐらいになるだろうかというぐらい離れていたカフカ。だいぶ印象が違う。若い頃に読む『変身』と今読む『変身』はやはり違う。主人公が可哀想でありながらしかし家族の邪魔になり、かつ最後家族は解放されている?家政婦への態度や間借り人たちへの態度からも分かるとおり、何か釈然としない感情は引き続きもっている訳で。
光文社古典新訳文庫でカフカを読むことの意味は訳者の丘沢さんが史的批判版に忠実に訳されていることにあるだろう。白水社版や新潮社版で大胆に改行がされていることを知って驚きを隠せない。文章を分けるのは日本語とヨーロッパ語の違いから理解はできるが改行は維持できるだろうに。『城』なんて文字の凝縮感も含めて作品になっているはずなのに・・・。
ということで丘沢さんにはぜひ『城』を訳していただきたいと思った次第。
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1回目は、意味がよく分からず自分の読書力の無さに愕然とした。ウィキペディアの解説を見てから再読したところ、味のある話だと分かった。
リンゴをぶつけられるところがシュールで面白い。
仕事とか、家族とか、当たり前と思われている概念が、状況の変化で崩壊していくのがリアリティがあった。
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ある日目が覚めたら虫になっていた。
頭の中はまだサラリーマン。
4時の電車に乗らなくちゃ。
何本もの足をもにょもにょ動かす。
家族はみんなで虫を避ける。
悲しんでいるのか哀れんでいるのか避けているのか嫌悪しているのか、あるいはそれら全てなのか。
悲しいような辛いような、
はたまたゾッとするような、
温かいのか冷たいのか、
わかるようでわからない。
カフカの「変身」。
深いようで、
意味があるようでないのか、
作者はなにかを意図しているのか、意図していないのか。
不思議で
不気味でもないが、不気味ともとれる
悲しさを感じつつも悲しさに落ちきらずに変なところに着地する感。
なんだこれは。
それが感想。
素晴らしい独特な世界観。
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変身はもうすでに何度も読んでいます。
だけれども、オチも知っているのに
なぜか読んでしまうんですよ、まじめくさって。
いろいろな風に取れる作品ですね。
変身は、一見平穏に見えた家族に襲う
誰にも知れない悲劇とも取れます。
まさか虫になるとは思わないでしょうし。
そして、そんなことがあっても
あのラストです。
薄情?いや、人間ってそんなものです。
他の作品はあまり長いものではないです。
「掟の前で」はえらく短いですが
こっけいそのものなんですよね。
人生という道そのものだったのかなぁ。
不思議な作品ですよね…
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いい短編集でした。コーヒーの苦~い、また黒いところの良さが大好きな人にいいかも、と当て勘で思います。
どの短編も、悲惨な話なんだけど、おかしみをもって書かれていて(訳者の持ち味?)、また読みたくなるかも。
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判決
変身
アカデミーで報告する
掟の前で
の4編を収録。
カフカの作品といえば、面白くないという印象がある。
作品の内容は、わけの分からない状況に置かれた主人公が右往左往するのを淡々と描くだけなので、読んでいるこちらも訳が分からす、それが延々と続くので、ただ退屈なだけ。
評論家はとそれを不条理とかなんとか難しいことを言って高く評価しているけれど、やっぱりただ退屈なだけ。
あまり読みたくない作家だ。
しかし、そういうカフカ像を産むに至ったのは、どうやら原典の編集段階に問題があったらしく、また、日本訳にもいろいろ問題があったらしい。
「史的批判版」に基づく本書は、カフカのそんなイメージを覆す。
なによりも読んでいて面白い。退屈で無味乾燥なカフカではなく、筒井康隆のある種の作品に近い感じ。いやもっと近いのは、やはり吾妻ひでおのマンガだな。
考えてみれば、不条理というのは、主人公がヘンな目に遭わされて困っているということだから、「笑い」とかなり近いところにいるはずだ。不条理作品を読んで笑いが出てくるのは、だから、そんなにおかしなことではない。というよりもむしろその方が自然なのではないか。
最後の「掟の前で」は、いかにもいろいろな解釈をしたくなるような結末だが、「なんだこれ?」、という感想だけでも十分ではないか。
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最近はどうしても技術書ばかり読んでしまい、そうではないジャンルの読書ができていない自覚があり購入しました。本書はカフカの小説が4編載っている書籍なので、各短編ごとの感想を書いておきます。なお、本感想執筆者は文学を鑑賞する才能に乏しく、感想が的外れであったり誤読に基づくコメントをする可能性があります。
◇『判決』
自分のことを中心に考えていて他人への関心や気配りの薄い人間の描写が妙にリアルです。現代の感覚からすると死に値するほど不義理な主人公であるとも感じませんが、いずれにしても自分が周囲の人間に対してどのようにコミュニケーションをとっているのか身につまされるような小説です。
◇『変身』
有名な作品ですし、読むのも2回目だろうと思います。人間が虫になってしまうという非現実的な現象と、そのことに向き合う家族たちの妙に現実的なふるまいのギャップに脳が混乱します。主人公の考え方がどんどん虫に寄っていく(異質になる)のもゆるやかな恐怖を感じます。主人公が死んだとたんに事態が好転し雰囲気が明るくなる描写も、思えば怖いほどさわやかです。それはそれとして、「馬鹿でかい虫」をすぐに片づけた家政婦の逞しさに少し笑ってしまいました。
◇『アカデミーで報告する』
しゃべりは流暢で自然ですが、ところどころに人間とは異なる価値観や無理のある過去の解釈が多い状態です。ズレの違和感を楽しむ小説かもしれません。
◇『掟の前で』
短いし何が何やらわかりません。あるいは丁寧に読むと読み取れることがあるのかもしれません。
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【変身】
やはり人間は見た目なのか、と思った。
意思疎通もままならないし、
気遣いで近づいても嫌がられる。
最終的に家族は新たな生活をスタートする。
酷いと思われるかもしれないが人間らしさが出ている作品だなと思った。
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チェコに行くことになった!ので手に取った、はじめてのカフカ。
どうしてこんな発想ができるのかしら、と思う。
「アカデミーで報告する」なんて現代のSFのよう。猿の惑星を思い出す。
「変身」では、次第に虫としての行動を取り始める主人公、当初は虫となった兄を気遣うものの、最終的には一緒には暮らしていけないと明言する妹など、登場人物の心境の移り変わりが、悲劇的でも批判的でもなく、当然のことのように描かれる。
そしてところどころのワンセンテンスの中にさりげなくユーモアが交えられる。
カフカは取っ付きにくい印象があるものの、楽しく読めたので、原文からかなり意訳されてるのかなあと思っていたところ、役者あとがきでそうではないこともわかりなんだかうれしかった。
むしろあとがきも本編と同じくらい面白かった。
丘沢静也さんの他の訳書も読んでみようと思わされました。
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「判決」「変身」「アカデミーで報告する」「掟の前で」のカフカ作品4篇が収録されています。
東野圭吾さんの「変身」という作品を読んで、同じ題名の名作を読んでみようと思い読みました。カフカの「変身」は家族の邪魔になる事を虫になるという比喩を用いて表現した作品でした。虫となったグレゴールに対する家族の気遣いや扱い方にもどかしさを感じると同時に、家からいなくなると家族が晴れやかになる結末は、後味が悪い印象ではありましたが、現実にある問題を色濃く表した名作だと思いました。
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頭木さんの「みすず」の連載「咬んだり刺したりするカフカの『変身』」がすごく面白くて、でも、まだ本体をちゃんと読んだことないよなと思い(恥)とっつきやすそうなこの訳で。
しかし、初心者にはもしかして、この訳、軽すぎるのかも? と感じました。ところどころ、コミカルさの表現が唐突に感じられたり。もちろん、原文が読めないのでなんともいえないのだけど。
なので、別の訳でも読んでみよう。とりあえず池内紀さんの訳で、別の短編集を読む予定。
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クンデラを読んだからか。
カフカが読みたくなって、古典新訳文庫からこれを探す。
変身は、昔、新潮ので読んだつもりでいたけど、どうやら一章しか読んでなかったんじゃないかな?二章、三章は記憶になかった。
これは何の話なのか?
読んだ誰しもが繰り返し考えてきたのだけども、さてしかし実際、何の話なのだ。
それぞれのそのときそのときの背景とアナロジーされるのだろう。不条理?んー、というよりも象徴っぽさなのでは?
構造的なのかもしれない
「これを自分の環境に置き換えると、、、」
そこに自分を取り巻く構造が見えてくる。
好きじゃないのは、死を用いること。死は物語を途端に全部過去にしてしまい、どうでもよくなる。不条理は睨み続けてこそ意味があるのでは。
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【ある朝、目を覚ますと、ザムザは自分が虫に変わっているのに気づいた――。青年に起こった悲劇を描いた「変身」の他、四篇】
古典がなぜ、何十年も経った今でも名作と言われるのか。
僕が思うに、何十年も経った今でも共感できるから、ではないでしょうか。場面は違えど、登場人物の感情や行動に感じた、自分や現代社会との共通点が古典の魅力であり、それを見出した作者に先見の明を感じるのです。
そう考えながら「変身」を読んだ結果、感じたのは、「ザムザwww社畜wwwめっちゃ訓練されとるwww」ということでした。
自分がいきなり虫になったら、どう思うでしょうか? 突拍子もない話ですが、仕事に行かなければ、と焦る人は少ないのではないでしょうか? ザムザはその数少ない一人。変わり果てた姿になろうとも、遅刻してるから急いで着替えなければ、と出社する気満々。その社畜っぷりに、いきなり引き込まれてしまいました。
実は、ザムザは年老いた両親と、無職の妹との四人暮らし。自分が稼がなければ家族は飢え死にしてしまう。虫に変わろうと、仕事に出ようとするのもうなずけます。
結果、彼は仕事に行けなくなるのですが、本当に大事なことはここからです。
ある日突然、変わり果てた姿になり、仕事に行けなくなる。これは現代にも存在する、家族の介護負担の話に似ています。そう、この物語は、「虫」の視点から、家族を描いた物語なのです。読後、訪れる結末をどう受け止めるかを、問われているような気になりました。
光文社文庫版だと、難なく読みやすかったです。
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再読。何回目でしょうか。
本書の中心作である『変身』を含めて、カフカの作品群は、描かれている事象・風景を額面通りに受け取るのではなく、何らかの比喩を含んだ寓話として読むべきというのが通説です。
本書のどこかに「カフカの作品解釈は、読み手に依る」というようなことが書いてあった気がしますが、まさにそのとおりだと思います。
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【本の内容】
家族の物語を虫の視点で描いた「変身」。
もっともカフカ的な「掟の前で」。
カフカがひと晩で書きあげ、カフカがカフカになった「判決」。
そしてサルが「アカデミーで報告する」。
カフカの傑作4編を、もっとも新しい“史的批判版”にもとづいた翻訳で贈る。
[ 目次 ]
[ POP ]
「ある朝、不安な夢から目を覚ますと、グレーゴル・ザムザは、自分がベッドのなかで馬鹿でかい虫に変わっているのに気がついた」。
カフカの『変身』は、現実と非現実の境界を鮮やかに乗りこえる。
最新のカフカ全集を底本とし、著者の意図に立ち返って訳した4編は、どれも読みやすい。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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読後にもやああとした。(褒め言葉)
特に変身は印象に残った。
登場人物の心情は、納得できるものだった。
多足類の虫に親しみが沸いていたので追い詰められる様が切なかった。
しばらく余韻に浸った。
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『変身』は世の不条理さを言い表した作品であると感じた。
主人公は朝目が覚めると突如として虫になっている。虫になってしまったことで、主人公は属してきた社会からの疎外を受けることとなる。
主人公は社会から疎外されたことを直視せずに、常に社会の一員であるかのように振る舞うが、最後には死という形で絶対に免れられない疎外を被ることとなった。
現実の社会ではどうであろうか。もしも突如事故にあい動けなくなってしまったら、社会において自分の存在価値が消失してしまうだろう。このように世の不条理さとそして、社会というものは自分が想定するよりも冷たいものであるということを教えてくれる。
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収録作は新潮文庫と岩波文庫で読んだことがあったが、この新訳はそれらとは異なる史的批判版なるカフカの原著に近いものを底本にしてるとのこと。
そのことを意識しての訳らしく、段落分けが少ないもの読みやすかった。また、近年批判されているように余り重苦しい印象にもならなかった。
内容は今更言うまでもない。
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『変身』を目当てに本を買い読みました。
ある日、目が覚めると主人公が虫になっていたという突拍子もない展開から物語が始まるから、もっと主人公の内面的な葛藤とか苦悩が生々しく描かれているものかと期待していましたが、まさかの内容はルッキズム云々的なものであり思ったよりも淡々と物語が進行するので(翻訳の問題なのか?)肩透かしを食らったというのが正直な感想でした。洋書初心者なので単に自分に合わなかっただけかもしれませんが、、、。
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「変身」シュールギャグであり社会風刺であり家族問題の警句であり純文学であり、はたまた別の何かである。読み手の解釈に依る。読み手の数だけ「変身」できるのが、この物語が世界中で読み継がれる所以なのかなと思う。
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『判決』『変身』『アカデミーで報告する』『掟の前で』の4本。『変身』以外は、理論社ショートセレクション『雑種』の収録作品と重複。
設定のショッキングさがあまりにも有名な『変身』だけれど、こんな終わりだったっけか。何十年ぶりかで読んだら、結構印象が違う。
グレーゴルが我が身に起きたことを淡々と受け入れ、なんとかしようとグニグニ悶えていくのが、こうなったらそうするしかないよね、と、なんか妙にリアル。
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久しぶりにカフカを読んだか、最後に頭に浮かんだのはAuguste Renoirの"芸術が愛らしいものであってなぜいけないんだ?世の中は不愉快なことだらけではないか。"彼は美しいというより、楽しいものを描く傾向にあったが、その言葉には賛同できる。もし審美眼があるのであれば、美醜の二つを分別できるのだから、醜いものを描く必要もなかろう。大抵の芸術はその分別が不十分なのだが
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もしもカフカが日本人だったら芥川賞を獲っていただろう。というか、もしや芥川龍之介その人なのではないか?
判決、変身、アカデミーで報告する、掟の前で、の4篇いずれもがよくわからない。それでいてどこか人間を皮肉っているような印象が残る。
とりあえず、虫にはなりたくないものである。
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グレゴールくんは、両親と妹を養うため社畜暮らしをしているが、とある事情で働けなくなる。
もちろん、仕事はクビに。
今までグレゴールくんの稼ぎに頼っていた家族は、少しながら蓄えはあるものの、それぞれ仕事につく。
グレゴールくんのお世話は疎か。
グレゴールくんなんていなくなったらいいのに、そんな言葉を聞いて衰弱死してしまう。
3人はそれぞれの職場に休暇届を書いてるんるんで外出。
「とある事情」が、「虫になる」なのだが、「病気になる」に置き換えると、なんだかつらいものがある。
お話はほとんどがグレゴールくんの視点なのだが、亡くなったあとのすーっと神の視点になって、残された三人の春になった感がなんだか寒さを感じた。
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「アカデミーで報告する」「掟の前で」それと解説とあとがきだけ読んだ。「変身」「判決」は、もう読んだことがあるからだ。
「掟の前で」の寓話は、オーソン・ウェルズ監督の『審判』の冒頭と終盤で使われていた。