【感想・ネタバレ】変身/掟の前で 他2編のレビュー

あらすじ

ある朝、不安な夢から目を覚ますと、グレーゴル・ザムザは、自分がベッドのなかで馬鹿でかい虫に変わっているのに気がついた……家族の物語を虫の視点で描いた「変身」。もっともカフカ的な「掟の前で」。カフカがひと晩で書きあげ、カフカがカフカになった「判決」。そしてサルが「アカデミーで報告する」。20世紀文学を代表する作家カフカの傑作4編を、もっとも新しい〈史的批判版〉にもとづいた翻訳で贈る。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

友達の紹介で変身を読みたくなり購入。どれも一筋縄では読解できない。なんか新しい感覚。たしかに80年前に出版されたとは思えない。
判決は読後何だったのか分からなくて解説を調べてしまった。信用できない語り手この時代からいたのか。
変身はグレーゴムの家族を思う純真な心に胸を打たれた。しかし家族に思いが通じず、酷い扱いを受けるのが不憫だった。本当にグレーゴムは馬鹿でかい虫になったのか?少し疑問が残る。
アカデミーで報告する中の猿の「自由なんか欲しくない。出口さえあればいい」という文章にハッとさせられた。たしかに。同じようで全然違う。自由は全て自分で考えて行動しろという意志を感じるが出口がある状態は行動の範疇を制限されつつ、別の行動も選択できるというニュアンスを感じる。猿が人の言葉を喋って人々が驚いた場面で「汗まみれのからだにキスされたみたい」という表現も状況に少し恥ずかしみを感じるが、嬉しいという感情が明確に伝わってきた。文才すごい。
「掟の前で」が解釈が割れて言及・引用数ナンバーワンの作品だということも納得させられる不思議な物語。
カフカずっと読みたかったが読めてなかった。きっかけくれた友達に感謝。
解説とあとがき翻訳者がめちゃくちゃ自我出してきてめちゃくちゃ面白い。「私は犬になりたい」じゃないよ。こんな解説初めて読んだ。本当にカフカが好きなんだろう。

0
2025年05月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2025/3/14-17

●判決
ほんとに全く言っていることが分からず…感想がかけない。。

●変身
やばい変身にはめちゃくちゃ考えさせられた…ただの深読みのしすぎかもしれないけど、、
長くなりそうなのでどうでもいい感想から先に↓
1 虫ってこんな気持ちなのかな?と謎に虫視点に立てた
2 家族が同じ状況になったらどうする?って考えさせられた

1 私は虫特にGがこの世で一番大嫌いなのだが、グレーゴルが変身しちゃった虫は勘だけどGなんじゃないかなぁって。周囲の人々の生理的な嫌悪感を見ていても、身体の特徴を見ていても、食べなくてもしばらく平気だというのを見ていても、そう思った。それで、Gの急な方向転換とか突進とかがめちゃくちゃ怖いんだけど、Gも人間から逃げようとして、生き残ろうとして必死に逃げたり戦ってるんだろうなぁって思った(まぁ、それでも嫌いなことに変わりはないけど)。謎に虫視点から物事が見れて、ただ必死に生きているだけなのに暴力振るわれたり追い立てられたり、ちょっと同情した

2 これはむずい問題だなぁと思った。。グレーテの気持ちがめちゃくちゃわかる気がした。そうそう、最初は大好きな家族だから頑張ってお世話をしていても、疲れて限界が来るんだよね。生理的にキモいだけではなく終わりも見えないし、穀粒しだし、いるだけで周囲を暗い雰囲気にしちゃうし。。まして、虫だからね。。巨大な虫だから。自分の立場に立った場合耐えられるかわからないし、自分の家族も耐えてくれるか果たしてわからないなぁと思った。

深読み↓

そしてここからが深読み&めちゃくちゃ考えさせられた部分。穿った見方かもだけど、ここではグレーゴル=病気の人間 その他の家族=それをケアする家族 という印象を強く受けた。最初は甲斐甲斐しく介護するんだけど、終わりは見えない、自分の時間とお金が犠牲になる、相手とうまくコミュニケーションが取れない、などなどのネガティブな要素が積み重なって、結局共倒れしてしまう、、みたいな介護疲れの風刺のように思えたよ。最後グレーゴルが死んで「ほっとしている」シーンは特に介護疲れで、親が亡くなって寂しいよりも安堵が強く出る、みたいな状況を表しているように思えた。特に妹の態度の変わり方がケア疲れを象徴しているように思えたなぁ。「殺す」のではなく「見殺しにする」のもリアル。
あと、グレーゴルがある日「突然」虫になるというのは、うつ病のような精神的な病気を表しているように感じた。私は経験したことがないからわからないけど、精神的な病気はある日突然発症することもあるようなので。まぁグレーゴルはストレスの多い環境下で働きすぎだったみたいなので、それを示唆していると言えなくもない気はする。穿った見方かもしれないけど、間借り人たちの強い嫌悪感?は社会からの拒絶を暗示していそうだし、それによって追い詰められていく家族の実情もリアル。社会的弱者への嫌悪感や差別意識を感じましたとさ。「働けない」状態であることに対してマネージャーを中心に非難の声があがるのも、働けない社会的弱者への非難を暗示しているように見える。今までは大黒柱だったのに、働くことができなくなったらすぐに手のひら返しなのもね。。家族、グレーゴルをATMやと思ってたんか?って感じ

●アカデミーで報告する
何となく啓蒙主義のお話のように感じた。人間ってこういう感じで進化してきたのかな?とか思ったりして
 

●掟の前で
意味わからなかった。けど、入口は死の世界への入口かな?と思ったり。で、それなら入ろうと全てをかけて頑張ったのは皮肉だなと思った。それと同時に、人間は誰しも死ぬまでの間を生きているだけであって、死んだら手に入れた物体は全て消え去るわけで、門番に渡していた賄賂はそういう意味もあるのかなぁとか思った。生きているうちにうお金を使って、死後の世界には持っていけないような物を必死に手に入れている人間…

0
2025年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

クンデラを読んだからか。
カフカが読みたくなって、古典新訳文庫からこれを探す。

変身は、昔、新潮ので読んだつもりでいたけど、どうやら一章しか読んでなかったんじゃないかな?二章、三章は記憶になかった。

これは何の話なのか?
読んだ誰しもが繰り返し考えてきたのだけども、さてしかし実際、何の話なのだ。

それぞれのそのときそのときの背景とアナロジーされるのだろう。不条理?んー、というよりも象徴っぽさなのでは?
構造的なのかもしれない
「これを自分の環境に置き換えると、、、」
そこに自分を取り巻く構造が見えてくる。

好きじゃないのは、死を用いること。死は物語を途端に全部過去にしてしまい、どうでもよくなる。不条理は睨み続けてこそ意味があるのでは。

0
2019年01月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

風刺を感じるトガッた小説だった。
判決 では介護問題?
変身 では障がい者問題
アカデミーで報告する では動物愛護の問題
掟の前で ではグズグズ生きて死ぬ前に後悔する人間

翻訳本の割にスルスルと読めたし、ちょっとSFチックな題材のチョイスにワクワクを感じた。
でも内容を真に理解するのがすごく難しい。というか全然理解できてない笑

判決 は、ペテルブルクの友達が出てきた意味がよくわからなかった。なんで主人公が自殺したのかも。
変身 が1番面白かったが、表現がちょっとグロテスクな上に、問題に対する出口のなさに心が痛くなる。
アカデミーで報告する は正直不完全燃焼感を感じた。サルが人間の知能を手にするという題材は面白かったが、そこからもっと話を広げてほしかった笑 著者の伝えたいことはそこにはないかもしれないけど笑
掟の前で は寓話って感じ。

0
2024年06月29日

「小説」ランキング