あらすじ
舞台は大阪のテレビ局。腫れ物扱いの独身女性アナ、ぬるく絶望している非正規AD……。一見華やかな世界の裏側で、それぞれの世代にそれぞれの悩みがある。つらかったら頑張らなくてもいい。でも、つらくったって頑張ってみてもいい。人生は、自分のものなのだから。ままならない日々を優しく包み込み、前を向く勇気をくれる連作短編集。
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Posted by ブクログ
大阪のテレビ局を舞台に、女子アナウンサーや報道局のデスクや派遣ADといった登場人物たちが、章ごとに語り手となる。仕事柄、それぞれの思うところがすごくリアルにわかるので、作家ってスゲーなと、関心した。また、それぞれのストーリーにちらっと、でも良い役どころで登場するのも良かった。あとミステリーじゃないけど、全編、謎解き要素があるのも良かった。
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「濃い紫色の夕空に雲と一緒に浮かぶ控えめな笑顔がとんでもなく好きだと思った」
きゅん〜〜〜( ;∀;)
一旦ここが好きすぎてメモ✍️
1.元不倫相手の幽霊に遭遇する女子アナ(不倫相手は野球選手のカードを探していたと思われる)、43歳、周りと比べての葛藤など。
2.地震の影響で徒歩で会社まで行くディレクター(なのかな?)おじさん。歩いているうちに色々思い出す。娘とは無事和解の方向。
3.ゲイの子を好きになっちゃうタイムキーパー。
好きな人がゲイだったらどうなるんだろう、どうするんだろう、と漠然と考えたことがあるけど、まさにそれだった。想像以上に切なかった。
どこか歪んでいる結花の「好き」(いじめたくなっちゃう感)、叶わないけど一緒には住んでて、けど時々、解消されるかもと思っちゃう。なんという名前の関係性なんだろう。とても良いのだけど、ずっと続く気もしなくて、この2人の5年後、10年のが気になるなあ。
4.こちらもよかった。周りの局員と比べて「派遣社員」な主人公、あ〜そういうところが!って思わせるのが上手すぎる。
頑張ってるんだけどねえ、、、
震災についても改めて、重すぎず、だけどじわーっと入ってきた。
フォーカスはされてないけどMVPは笠原雪乃。
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大阪のテレビ局を舞台にした連作短編集。
一穂ミチの非BL作品初読み!
この人はねえ、口が悪いだとか、性格捻くれまくってるとか、そういう一癖も二癖もある人物を描くのがすごくうまいと思う。最初「そこまで酷いこと言う必要ある?」とか「そんなに捻くれることってある?」と反感覚えちゃうというか、信じられない気持ちになりながら読むんだけど、話が進むにつれてそれがうまく機能していることが分かって、爽快感すら覚えちゃうっていう話の作り方が得意な人なんだと思う。
今作では、中島がとにかくいい✨好き。中島のようでありたい!ていう超個人的な感想が一つ。
それから、物事の割り切れなさ、定石通りじゃない感じがかなり好みでした。
中でも「〈春〉資料室の幽霊」の話の持って行き方がすごく好きだなあ。ネタバレしますけど、みんな何かに恨みを持っていて化けて出る訳じゃないんだよということとか、不倫だし十年も音沙汰なかったけど、成仏されちゃうと悲しくなっちゃったり。
いや、夏〜冬もいいし、ラストの掌編もいいわ。みんなねえ、はじめは「何コイツ」って感じの始まりなんだけど、話が進むにつれてごちゃっとした糸が解れるように、その人の背景が見えてきて、いつの間にか応援したくなっちゃうんだよなあ。作者の術中にハマってるんだなあ。
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いつものように立ち去るタイミングをはかることなく、見えなくなるまで見ていようと思った。もし広道が振り返ったら軽く手を振り、ここにいます、と伝えよう。
ここにいて、あなたを見ています。あなたという人を、ほんのすこし知っています。
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作者の作品は初めてだけど、一気にファンになった!
短編集全部、全然違う人視点なのに全部面白い
全体的に、人の悩みに他人が寄り添うことを良しとしないのがいい
人に話しても解決しない付き合っていかないといけない孤独や問題と老若男女みんな共存してるんだよな〜
Posted by ブクログ
テレビ局を舞台とした短編集。
お仕事小説でもあるんだけど、それぞれの事情や思いを抱えた主人公たちが繰り広げるヒューマンドラマの方がメインという印象でした。
自分の境遇にモヤモヤしながらも、ちょっと抗ってみたり、でも失敗したり。かといって絶望するんじゃなく、一筋の希望が見えたり。
そんなちょっとした出来事に対しての登場人物の心情がとてもリアルに描かれていて面白かったです。
初めて一穂ミチ先生読ませていただいたのですが、また別の作品も読んでみたいです。
Posted by ブクログ
読み終わってすぐ、読み返した。そんな本は久しぶりだ。
一穂さんが紡ぐ言葉が、私の中にたくさん降り積もった。そんな気がした。
共感したのは夏の話。心を揺さぶられたのは冬の話。
どの話も全然違う立場、性格の主人公たちなのに、どの話にも「わかる…!」という感情がある。
人間の少しの醜さ、愚かさ、後ろ暗さ。そして、それを自覚していて少し自己嫌悪になるところまで。
一つひとつは小さなフレーズなのに、胸に去来する感情が大きくて、それを感じたくて何度もページをめくった。
「驚異の解像度」と紹介されていたのを見て、納得。
素晴らしい群像劇、もっともっと世間に広まってほしい。
Posted by ブクログ
舞台は大阪のテレビ局。
春夏秋冬の短編オムニバス。
関西の方言なので、すんなりと飲み込みにくくて頭の中で再生するのにつっかえてしまった。
しかし一穂ミチのさらっと置いてある言葉たちの魅力は大きい。
解説でもあったが、『頑張ってもええんか』と前向きにさせてくれるのだ。
いちいち言葉にしないが、日頃ぶつけてやりたいことを言ってくれている。
だから元気になる。
ひとの気持ちに寄り添いたいけれど、やっぱり分からない、分からなくてもいいのかも。
それも思いやりかもしれない。
『知られたくない、分かってもらいたくない痛みだってある。』
『恥じるな、引け目を感じるなっていう圧も暴力』
『心のケアなんかしていらん。治りたくない。忘れたくない。』
Posted by ブクログ
テレビ局を舞台にした短編集。〈春〉「資料室の幽霊」に登場する雪乃さんの性格がほんと好き。さっぱりした性格の中にほんの少し人懐っこさがのぞく感じ可愛いすぎる。
日々のあれこれに心折れかける瞬間はこれからもあるのだろうけど、それでも「星屑」はきっとどこかに散りばめられていると信じてこ。
Posted by ブクログ
テレビ業界で働く人々にまつわる四つの短編+特別描き下ろしの5編からなります。切なくもハートフルなお話で、『スモールワールズ』とは違った一面が楽しめます。
著者のインタビューで『四編全部の中に、小さな謎や秘密がある。それが少しずつ明らかになっていくというのは、私が物語を作る時の基本のやり方みたいです。〜略〜 でも「この一瞬で充分だ」って思える瞬間が訪れる。〜略〜 その一瞬のおかげで、明日の自分が今日よりちょっと違うかもしれない。明後日には、元に戻っているかもしれない。全編を通して、そのくらいの「小さいおとぎ話」を書いたつもりです』と。
ご自身が住んでいた大阪を舞台にして描かれているのでリアリティがあります。テレビ局内の事情にも違和感はありませんでした。
『自分の人生を振り返っても、急に全てがぱっと好転して前向きになれる、という出来事は起こりませんでした。でも、折に触れて「寂しいけれど希望はある」と感じられる瞬間があり、それを拾い集めて大切にしてきたからこそ、ここまでやって来られたのかなという気がするんです。』と、一穂さん。
寂しさだけじゃない、ちゃんと希望はあるって相槌をうってくれるような作品群です。
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第一話こそ花形の女性アナが主役だが、他は報道デスク、タイムキーパー、ADと、TVを支える名もなき星屑たちのストーリー。お気に入りはBL風味もお色気シーンもちょっぴり入って、あっと驚く伏線サービスまで一穂ミチの魅力全開な「〈秋〉嵐のランデブー」。
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面白かった。短編4つ+オマケ1つ。短編4つは登場人物がリンクしていて、他の人目線で見たら脇役な人たちにも、それぞれの物語がある感じがよかった。
どれもハッピーエンド?に近い終わり方なのも好き。
売る
Posted by ブクログ
電車移動が増えたので、暇つぶしに駅の本屋さんで物色。一穂さんなら間違いないと思って購入。大阪のテレビ局に勤務する4人の訳ありな人々の連作短編集。春夏秋冬の季節ごとにわかれていて、季節ごとに主人公が変わる。前後の話で登場人物が絡むこともあるので面白い。
春は不倫騒動で東京のテレビ局に左遷されて、再び大阪に戻ってきた薹の立った美人アナウンサー。夏は人当りの良いニュース番組デスクの中年男性。秋は好きになった同僚がゲイで絶対に自分の思いは届かないタイムキーパーの女の子。冬はうだつのあがらない派遣ADの青年。どこにでもいそうな人たちが主人公なんだけど、春は幽霊騒動、夏は年頃の娘との確執、秋は女の子の悲しい過去の秘密、冬は覇気のないADの青年が出会った人当りの良いコメディアンがキーポイントになっていて、読み始めたら先が気になってどんどん読んでしまった。
特に幽霊騒動にかかわる新人アナウンサー笠原雪乃が、脇役なんだけど他の話にも出てきてこの物語全体のキーマンになっていてとても面白かった。最後エピローグのような「砂嵐に花びら」のエピソードもとってもよくて読後感がとても良い。最近本当に涙もろいから電車の中で何度もこみあげてきて困った。この本を読んで「よし、こうしよう、こうしないと」まで大きく心を揺さぶられはしないけど、良質な読書時間だったと思える良い本だった。
Posted by ブクログ
舞台がテレビ局なので、眩しくて華やかなイメージで読み始めたが、仕事の内容は違うが私の身近にいるような上司、同僚、新人が登場してぐっと親近感を感じた。
5人の男女を中心とした短編集で、仕事環境の悩みや人間関係の煩わしさ、職場を去って行く人もいる中、自分自身が経験したことを思い出し少し切なくなる。
著者の女性心理の描写が秀逸で、したたかさと力強さを感じる読みごたえのある作品だった。
テレビ局で番組制作に従事している方の解説も興味深い。
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やる気に満ち溢れ、或いはクセ強めの、テレビマンたちのドタバタ劇ではなく、良い意味で「普通の」人々のままならない日々を描いた話だった。
新しい仕事を打診されやりたいかやりたくないかといえばやりたくない、とか分かりすぎる。
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面白かった。なんか気持ちのいい話ばかりで、個人的に一穂さんは人間の汚いところを不快にならない範囲で照らしだす作者さんだと思ってたので、え!?こんな気持ちいい読後感!?となりました。
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テレビ局で働くさまざまな人たちの生き様が
短編となって描かれている。
どの立場もその人なりに悩み、苦しみ、
それでも前に進む。かっこよく働く。
素敵なお仕事小説だと思った。
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自分が就活していたときは憧れの職であったテレビ局の業務は、今はそんなに人気がないと知り、びっくりした。仕事量、責任、時間と給与が合ってない仕事の代表かと思ったが、中で働いている人たちは、それぞれドラマを持って頑張っている。最後の解説にも感動した。
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大阪の民放テレビ局で働くアナウンサー、報道デスク、タイムキーパー、ADたち、華やかそうに見える裏側にある悩み、葛藤、辛さ、ままならない思いなど。小説の題材としてはいかにもではあるし、一穂ミチの描き出す物語は傷ついた心を少し癒すような、労わるようなところがある。
お話としてはしょうもないなあ、まあそうね、でも何とかなるよ、とか思いながら読み進めたが、この作家の傑作を読んできたところからすると、かなり物足りない。というか、この軽さやよく言えば優しさが、この作者の真骨頂なのかもしれない。大阪とマスコミという自分が好きでない題材による評価は必ずしもこの小説への正当な評価とは言えないが。
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◼️一穂ミチ「砂嵐に星屑」
数多いる人々の一。大阪のテレビ局を舞台にした心の描き方。
また細かいな、微妙やな、なにわやな、と思う。仕事上、また私生活に蹉跌を持った人々をテレビ局を題材に描く。とかく後半のほうの話が、手を添えられているような気もしてくる。
なにわテレビで上司の看板男性アナウンサーとの不倫が発覚し、東京支社に転勤させられ、10年振りに大阪の本社に戻った女性アナウンサー。資料室で先ごろ他界した不倫相手の幽霊に遭遇し、新人女性アナと幽霊騒動の解決に挑む。
(資料室の幽霊)
立ち上がりは少し派手なネタ。細かいな、と思ったのは大きなストーリーの中に、主人公の心中の動き、思いを細かく描写してあるから。大きな線に沿ったわけではなく、リアルに浮かびそうな心のうち。
50代の負け組報道マン、タイムキーパーの女性の私生活の鬱屈、制作会社の冴えないADくん。それぞれ仕事が絡んでいて、他話で主人公だったりする報道番組に絡む人が交差する。
取材がうまくできない、前向きでないADくんの話にはそれ先に確認しとかな・・と社会人的に思うこともあった。でも人間らしくていかにもだ。ちょっと思い入れてしまう。このへん職種はあまり関係ないかも。
星屑・・誰しも、社会、さまざまな業界というカテゴリだけでも山ほど、いや星の数ほどいる・・そんなに多くないか笑大多数のうちの1人、という感覚を持ったことがあるのではないか。底で慌ただしくもがいている自分を。
ダイレクトに、だけどサラリと、微妙な事柄を時に熱く時にクールに描く筆者は変幻自在だなと思う。
作中には大阪のおっさんやな〜と思える人がほのぼのと登場したりする。女性のあけすけな言い方もなにわだな、と思ったりする。会話が上手い。
なんというか、人の機微テレビ局編、という感じでした。
Posted by ブクログ
星3.5
大阪にあるテレビ局で働く人たちを描く連作短編集。
お仕事小説というより、それぞれの人生を描く側面が強い。
さすが一穂ミチさん。文章が本当にうまい。
一話目は幽霊が出てきたりして、少し驚いたが、どの話も、前向きに生きる結末。単行本の初版特典の「砂嵐に花びら」もよかった。
連作短編集なので、前の章の登場人物が意外な性格で登場したりするのもよかった。
Posted by ブクログ
内容を知らずに読んだらテレビ業界のなかの話だった
う、なんと…
最愛の男子がこの春テレビ局に入るのだ
がんばれよ
なんとかなるよ
そう声をかけてあげられそうな読後感
よかったー
Posted by ブクログ
テレビ業界の、画面から見える華やかさだけではない、裏側のリアルを滲ませている感じなのかな。
忙しいし大変なんだろうなと思っていたけど、TVの裏側を見た事がないので、こんな感じなのかなぁと想像しながら読めた。TKさんの存在もほとんど知らなかった。
その後の解説も良かった。リアルにそのフィールドで働いている人が読んで解説を書くのっていいなぁと思うし、内容も楽しかった。
Posted by ブクログ
テレビ業界のお話、とても新鮮だった。1話目の幽霊のお話に引き込まれてしまった。それをしてる俺!それに夢中な俺!が好き!みたいなとこあるよなー。それが忘れられなくて幽霊になっちゃったんだろうなぁ。
Posted by ブクログ
個人的には冬の話で、人毛関係における踏み込み方が下手な主人公がこれまで出てきた登場人物の地雷をことごとく踏む様が面白く、連作短編集の良さを活かしているなと感じました。
Posted by ブクログ
連作短篇4篇+1篇
大阪のTV局を舞台にアナウンサーやディレクター、TKなどの仕事や恋愛の悲喜交々を描いている。心の揺れ、あり様がとても上手くて。登場人物たちが成長していく様子も読んでいて楽しい。