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2018年〈小説家50人が選ぶ“今年の小説”〉に選出、第51回韓国日報文学賞受賞作!
十六の夏に出会ったイギョンとスイ。
はじまりは小さなアクシデントからだった。
ふたりで過ごす時間のすべてが幸せだった。
でも、そう言葉にすると上辺だけ取り繕った噓のように……。
(「あの夏」)
二度と会えなくなった友人、傷つき傷つけた恋人との別れ、
弱きものにむけられた暴力……。
誰も傷つけたりしないと信じていた。
苦痛を与える人になりたくなかった。
……だけど、あの頃の私は、まだ何も分かっていなかった。
あのとき言葉にできなかった想いがさまざまにあふれ出る。
もし時間を戻せるなら、あの瞬間に……。
韓国文学の〈新しい魅力〉チェ・ウニョン、待望の最新短編集。
第8回若い作家賞受賞作「あの夏」を含む、珠玉の7作品を収録。
【目次】
・日本の読者のみなさんへ
・あの夏
・六〇一、六〇二
・過ぎゆく夜
・砂の家
・告白
・差しのべる手
・アーチディにて
・あとがき
・訳者あとがき
Posted by ブクログ 2022年05月03日
よかった。ヒリヒリした。これからも付き合っていきたい友人とは、お互いに意図せぬとも無害な関係ではいられない時もあるなと思った。一時の人とは深い対話もしないし、お互い無害な関係でいられるけど。
大事な人とは付き合っていくうちに無害ではいられないときもあると思うけど、そうなってしまった時には(傷つけられ...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年09月14日
ほぼ百合短編集。どの作品も素晴らしい。ほとんどが女と女の話、喪失の話。その後のかすかな希望の話も。どの話も切なく心に迫ってくる。この人の作品は、嫌味や抵抗なしに物語に、登場人物に入っていける。
彼らの胸に迫る苦しさ、哀しさは私が持っていたものであり、気づくと自分の物語として読んでいる。
どの作品にも...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年02月21日
各作品がいちいち胸に刺さるし、なんちゅうフレーズやねんていうパンチラインが頻繁する。
ほとんどの登場人物が寂しさ、孤独をまとい、同じような苦しみを持った人々と交わるのに、それは一瞬はポジティブな関係を築けても、やがて小さく砕けていく。
はっきり言って自分は恵まれてたのかなって思う。
これほどまで...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年02月13日
まず、文章がひたすら良くてびっくり。
親しいひとを知らずに傷つけたり、失ったりすることがある。そのときはわからないことも多い。この小説はその痛みを直視させてくれるよう。
いちばん没入したのは、「砂の家」。繊細なバランスの上に成り立った関係の崩れる兆しに、胸が締めつけられる思い。
読んだきっかけ...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年02月09日
ここまで自分の心情や記憶と距離が近い文章には初めて触れた、と衝撃を受けた前作『ショウコの微笑』と同様、どこまでも人の心の動きに寄り添う微視的な細やかさに胸を抉られ、慰められる短編集。この近さには国も言葉も違うのにと驚くべきなのか、それとも隣人ゆえの必然なのか。何にせよチェ・ウニョンさんは凄い作家だ。...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年09月28日
「あの夏」:イギョンとスイが出会ったのは偶然だった。16歳の夏、グラウンドを横切っていたイギョンの顔に、スイの蹴ったボールが直撃したのだ。サッカー部に所属しているスイがグラウンドを走るのをイギョンは見つめていた。スイを見つけ出すのは難しくなかった…。同性を好きになるイギョンとスイの物語。「601、6...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年09月19日
人を傷つけるのに悪意はいらないんだということ。ちょっとしたズルさ、保身、諦め、自分に言い訳できると思っていること、でもその言い訳は自分にいちばん通用しない、そういう弱さと繊細さを持ち合わせた登場人物が多くて、静かに泣きながら読んだ。
『差しのべる手』は血の繋がらない叔母と姪のシスターフッドで、叔母す...続きを読む
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