わたしに無害なひと

わたしに無害なひと

小説・文芸
1,760円 (税込)

8pt

2018年〈小説家50人が選ぶ“今年の小説”〉に選出、第51回韓国日報文学賞受賞作!


十六の夏に出会ったイギョンとスイ。

はじまりは小さなアクシデントからだった。

ふたりで過ごす時間のすべてが幸せだった。

でも、そう言葉にすると上辺だけ取り繕った噓のように……。

(「あの夏」)



二度と会えなくなった友人、傷つき傷つけた恋人との別れ、

弱きものにむけられた暴力……。

誰も傷つけたりしないと信じていた。

苦痛を与える人になりたくなかった。

……だけど、あの頃の私は、まだ何も分かっていなかった。

あのとき言葉にできなかった想いがさまざまにあふれ出る。

もし時間を戻せるなら、あの瞬間に……。



韓国文学の〈新しい魅力〉チェ・ウニョン、待望の最新短編集。

第8回若い作家賞受賞作「あの夏」を含む、珠玉の7作品を収録。



【目次】
・日本の読者のみなさんへ
・あの夏
・六〇一、六〇二
・過ぎゆく夜
・砂の家
・告白
・差しのべる手
・アーチディにて
・あとがき
・訳者あとがき

詳しい情報を見る

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 海外文学
  • 出版社
    :
    亜紀書房
  • タイトル
    :
    わたしに無害なひと
  • タイトルID
    :
    810221
  • ページ数
    :
    344ページ
  • 電子版発売日
    :
    2020年06月19日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

わたしに無害なひと のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    終生誓願をして修道士になる直前の男性の打ち明け話として語られる『告白』。男性ジョンウンは、一時期つきあっていたミジュに「神は殺人者も自殺者も等しく許すのか」と聞かれたことを思い出す。ミジュにはかつて三羽烏のように仲良くしていた友人ジニが自死した過去があった。ミジュの話の中にある殺人者とは自分、自殺者とはジニのことだ。ジニがある事を打ち明けた時に、もう一人の友人ジュニは率直な感想を口にし、ミジュは何も言わなかった。しかし「表情が全てを物語っていた」と後でジュニに言われたことで、彼女は直接手を下したわけではないが、自分がジニを追い詰めたことを悟る。

     ジョンウンは誓願をする前に「被造物(人間)に話さず慰めも求めてはならない。神に語り掛けよ」と言われるが、必ずしもその言葉に従えない時があった。誰かに話せば、もしかしたらその時は、相手にとって自分は“無害”でなくなっているかもしれない。相手の反応によっては相手も“無害”でなくなっているかもしれない。それでも話してみたい、聞いてみたいという欲望を棄てられないのが人間であり、その反応の方が自然ではないかと感じたからだ。

     『告白』は言葉が足りず後悔した女性が登場するが、逆に言い過ぎて後悔することもある。家族ならば、特に相手への遠慮を忘れて感情に任せて口走る事が多々ある。『過ぎゆく夜』は優等生の姉と落第生の妹というよくある取り合わせだ。母が早くに亡くなり、つい道を踏み外しがちな妹に口うるさく言ってしまう姉だが、必ずその後に来るのは後悔だ。謝るには時期を逸し、澱のように心に溜まってゆくものを長年抱え続け、久々の帰国で再会する。

     他の短編『あの夏』『六〇一、六〇二』『砂の家』『差しのべる手』『アーチディにて』とも、総て登場人物が過去を振り返る形式になっている。所詮“たられば”にならざるを得ないが、言葉にもしなければ、後悔も相手への想いもただ忘れるだけだ。そして大抵の場合、被害者より加害者の方が容易く忘れる。言葉が武器になりうることを知っている作家だからこそ、物語という形で弱者の痛みを語り続けることに決めた著者。今後の挑戦に期待したい。

    0
    2026年01月24日

    Posted by ブクログ

    恋人や親友との関係がもう終わりになるだろうとお互いに気付いている頃の感じとか、自分の無知さや狡さで大切な人を傷付けてしまったこと、傷付けられたことを思い出してギュっとなる。繊細な感情と瑞々しい文章で、映画『はちどり』が好きな人は刺さると思う

    0
    2023年08月20日

    Posted by ブクログ

    よかった。ヒリヒリした。これからも付き合っていきたい友人とは、お互いに意図せぬとも無害な関係ではいられない時もあるなと思った。一時の人とは深い対話もしないし、お互い無害な関係でいられるけど。
    大事な人とは付き合っていくうちに無害ではいられないときもあると思うけど、そうなってしまった時には(傷つけられたり、傷つけてしまった時には、)真摯に話し合ったり、許したり、忘れたり、したいな。

    砂の家の、理解しなくていいものを理解させられていた心情、言語化してくれてありがとう

    0
    2022年05月03日

    Posted by ブクログ

    ほぼ百合短編集。どの作品も素晴らしい。ほとんどが女と女の話、喪失の話。その後のかすかな希望の話も。どの話も切なく心に迫ってくる。この人の作品は、嫌味や抵抗なしに物語に、登場人物に入っていける。
    彼らの胸に迫る苦しさ、哀しさは私が持っていたものであり、気づくと自分の物語として読んでいる。
    どの作品にも哀しい美しさがある。少し売野雅勇の詞みたいな儚さと尊さも。
    あとがきを読むととても真面目で傷つきやすい女性のようだ。これからも書き続けてほしい。

    0
    2021年09月14日

    Posted by ブクログ

    誰しもが通り過ぎてきた人生のどこかで、ひどく傷つき、一晩中泣き明かし、もがき苦しんだ過去があるだろう。今となってはかさぶたとなっているが、一旦手で触れてしまうと、血がうっすらと滲み、痛かった当時の記憶を呼び起こすような…そんな物語が集まった短編集。登場人物の全てを愛おしく感じた。

    0
    2021年04月13日

    Posted by ブクログ

    各作品がいちいち胸に刺さるし、なんちゅうフレーズやねんていうパンチラインが頻繁する。

    ほとんどの登場人物が寂しさ、孤独をまとい、同じような苦しみを持った人々と交わるのに、それは一瞬はポジティブな関係を築けても、やがて小さく砕けていく。

    はっきり言って自分は恵まれてたのかなって思う。
    これほどまで社会に苦しめられた感覚はなかったなって思う。
    それでも彼らに共感してしまうのは、これまでの人生の中のいくつもの後悔やもう連絡もとらなくなったたくさんの人々の顔が浮かび、懐かしく思うからなんだと思う。

    大きい何かが起こる話ではなくて、心の動きや関係性を正直に言葉にしてしまう今作のような作品は、やっぱ好きなんだなって思う。
    また必ず読み返すだろうし、人に勧めたい。

    0
    2021年02月21日

    Posted by ブクログ

    まず、文章がひたすら良くてびっくり。

    親しいひとを知らずに傷つけたり、失ったりすることがある。そのときはわからないことも多い。この小説はその痛みを直視させてくれるよう。

    いちばん没入したのは、「砂の家」。繊細なバランスの上に成り立った関係の崩れる兆しに、胸が締めつけられる思い。

    読んだきっかけは温又柔さんの書評を見て。全編がとても良く、読んでよかった小説。誰かにおすすめしたい。

    著者、訳者の他の作品も読んでみたい。

    0
    2021年02月13日

    Posted by ブクログ

    ここまで自分の心情や記憶と距離が近い文章には初めて触れた、と衝撃を受けた前作『ショウコの微笑』と同様、どこまでも人の心の動きに寄り添う微視的な細やかさに胸を抉られ、慰められる短編集。この近さには国も言葉も違うのにと驚くべきなのか、それとも隣人ゆえの必然なのか。何にせよチェ・ウニョンさんは凄い作家だ。
    「過ぎゆく夜」に最も心を揺さぶられた。

    0
    2021年02月09日

    Posted by ブクログ



    「人って不思議だよね。互いを撫でさすることのできる手、キスできる唇があるのに、その手で相手を殴り、その唇で心を打ちのめす言葉を交わす。私は人間ならどんなことにも打ち勝てると言うような大人にはならないつもり。」

    0
    2020年10月23日

    Posted by ブクログ

    「あの夏」:イギョンとスイが出会ったのは偶然だった。16歳の夏、グラウンドを横切っていたイギョンの顔に、スイの蹴ったボールが直撃したのだ。サッカー部に所属しているスイがグラウンドを走るのをイギョンは見つめていた。スイを見つけ出すのは難しくなかった…。同性を好きになるイギョンとスイの物語。「601、602」、「過ぎゆく夜」、「砂の家」、「告白」、「差しのべる手」、「アーチディにて」。友達との関係、親子の関係、男性と女性の関係、どの短編にもちくりと胸に痛みを覚える。

    0
    2020年09月28日

わたしに無害なひと の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 海外文学
  • 出版社
    :
    亜紀書房
  • タイトル
    :
    わたしに無害なひと
  • タイトルID
    :
    810221
  • ページ数
    :
    344ページ
  • 電子版発売日
    :
    2020年06月19日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

無料で読める 小説

小説 ランキング

作者のこれもおすすめ

同じジャンルの本を探す