恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
鈍色幻視行の中の核となる小説!
墜月荘での主人公の生活を自ら回想。人々が集う夜の館でおこるなげき、許されぬ愛、絶望、問い、淡い恋、死、幽霊たちを主人公目線で語る。
「墜月荘には途切れることのない緊張感がある」
「墜月荘自体が、この世のものではなかったのではないか」
「思い出はあたしのもの、あたしだけのもの誰にも評価なんかさせない」
「生きることはすざましいことだ」
いろいろな登場人物のセリフが刺さります。
死を見つめ、生きることを考え、せつなさを感じる、そして夢を見ているようなそんな小説でした。千早茜さんの「魚神」を思い出しました。
鈍色幻視行で船を選んだのは、途切れることのない緊張感を -
Posted by ブクログ
始まりは、とある三面記事。
一緒に暮らしていた女性2人が飛び降り自殺を図ったという内容。
作家である著者は数十年も前に目にしたその記事がずっと心に引っかかっていた。
著者(ノンフィクション)と記事の女性たち(フィクション)を交差させる物語の運び方に夢と現が混じり合うような不思議な気持ちで読み進めた。
"結局自分の理解する範囲でしか物事を見られない。ましてや人間には感情があって、必ずしも合理的な行動を取らないことは証明されているし、他人の考えていることも決して理解できない。記録があっても、それを残したのは勝者と決まっているから、何か事件があっても「どうしてなのか」を知ることは無理だ -
Posted by ブクログ
『鈍色幻視行』の作中作。
『鈍色幻視行』の登場人物達が魅せられた作品。
表紙を捲り、数ページ捲ると、“飯合梓”の作品としての表紙が現れたり、奥付けもまた然り。
『鈍色幻視行』の登場人物達のようなコアなファンからしたらワクワクの作りになっています。
なんとも、怪しい淫靡な世界観でした。いや、淫靡なんて言葉を用いてはいけないのかもしれないな、とも思います。様々な愛の形が描かれていたのは間違いないです。
そこに政治だの思想だの革命だのが入り組んでいて、さらにこの世のものではない異形のものも現れ、この世界観にのめり込む者、映像化したいと思う人はいるでしょうね。そして、映像化の企画があがる度に頓挫する -
Posted by ブクログ
これは少女の持つ、一瞬のはかない繊細さ、その雰囲気を味わう作品なのだ。
だからリアリティを申し立てるのは野暮だということはわかっている。
しかし、舞台の上で明かされた真実はあまりにも机上の空論で、物理的に無理だろう、と何度も突っ込んでしまった。
そうしたら、最後の最後に…。
3章それぞれに違う少女の一人称で語られるのには意味がある。
一人称になると、ほかの人物の心情を書かなくてすむのだから。
最初から不穏な空気があふれていた。
おどろおどろしいとは違う、とらえどころのない違和感。
登場人物の誰もが何かを心に秘めていて、せっかくの高校生の夏休みが、全然きらめいていない。
そもそも両親が不在