恩田陸のレビュー一覧

  • 私の家では何も起こらない

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    小さな丘の上に佇む古い洋館。
    そこに住む小説家。
    二段重ねのこじんまりしたケーキのような家は、遠目には結構愛らしい。2階の小さな破風、1階の小さなポーチ、明るいキッチン。静かに暮らすこの家には たびたび客が訪れる。今日の午後も男が1人やってきて、小説家にたずねる。「どうしてこんなに古くて不便な家を買い取ったのか?」と。訪問客はみな「なぜ?」と聞く。「『何か』をみたことはないか?」と聞く。2階の窓で、ポーチで、キッチンで。
    _どうやら この家は『幽霊屋敷』として有名らしい。


    各章で語られる 洋館で起きた過去の凄惨な事件や 不思議な出来事。読み進めていくうちに 本当に怖いのは幽霊なのか 生きて

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    2023年06月13日
  • ネクロポリス 下

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    ネタバレ

    ミステリーやホラーのオチというよりは、ファンタジーの結末って感じの終わりだったので、思ってやつと違う!ってなってしまったけど、夢中で読んだし普通に面白かった。

    たまたま最近アポロン神についての解説を聞いたばかりだったので、そのあたりの話はとても興奮した。日本神話とか米英の民俗学とかに詳しい方なら、いろんなモチーフを拾えて、もっと楽しめるんじゃないかしらと思う。100パーセント楽しみ尽くせなかった自分の知識不足が少し悔しい。

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    2023年06月04日
  • 蒲公英草紙 常野物語

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    陽だまりのような温かさがある少女の日記。
    静かに着実に時代が変化する様子を少女の視点からみる。
    所々で戦争へ突入する前の不穏な空気がジワリジワリと感じ、後半は切なく、悲しい終わり方。

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    2023年06月03日
  • 歩道橋シネマ(新潮文庫)

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    恩田陸作品は、不穏な空気を纏っている。それが妙に心地よい。この短編集はホラー、幻想、SFなど多岐にわたり、どれも流石の面白さ。今連載している小説の前哨戦ともいえる作品もあるとのこと。

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    2023年05月17日
  • 月曜日は水玉の犬

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    ネタバレ

    なるほどなと、新しい見方を提示してくれる。
     そんなに吃驚するような斬新さというのではなく、そうだよなぁ確かにそうだと、忘れていたことをきちんと見せてくれるような。
     
     ちくま文庫で、恩田陸の読書関係のエッセイだけ集めて、そんなに沢山でなくて良いから、ベスト本を作ってくれないか。

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    2023年05月14日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    豪華寝台列車の「ななつ星」を題材に5人の作家と糸井重里さん、小山薫堂さんが物語や想いを綴る。寝台列車はセンチメンタルな気持ちになる。闇夜を走り抜ける中、人は過去を思い出し、その時にしかできない話しをし、解決できなかった想いを投げかける。5つの物語はどれも労りがあり、癒しもある。旅(ななつ星は旅というより乗ること自体に価値があるのだが)は不思議だ。自然と自己に向き合わせていく。
    自分を見つめ直したくなる一冊だった。
    お気に入りは「夢の旅路」「アクティビティーは太極拳」。

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    2023年05月02日
  • 上と外(下)

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    上巻ではこの先どうなるのだろうと謎めいた期待感があった。
    下巻で一気に展開していくが、割と現実的に収束していった。

    小中学生とは思えない利口な判断力と行動力に関心し、その根源は子供達のお爺さんの影響が強いようだ。
    作中に出てくるお爺さんの教えが割と金言だなあと思った。

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    2023年05月02日
  • 私と踊って

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    犬と猫のお話が特に好き。あとは題名の私と踊ってかな。恩田陸さんは短編集も素晴らしいから、読んでいてとても楽しいです。

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    2023年04月27日
  • 七月に流れる花/八月は冷たい城

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    理瀬シリーズ、読んでてファンタジーにも近いものを感じます。

    でも読んでて飽きさせないミステリアスな雰囲気が秀逸ですね!

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    2023年04月20日
  • 消滅 VANISHING POINT (上)

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    空港で足止めされた人達。この中にテロ犯が!ということでまだ何もわからず上巻終了。
    題名からものすごい何かを想像しながら下巻へ。

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    2023年04月12日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    死ぬまでにしたいことの一つ、豪華クルーズトレインの旅を、豪華執筆陣のアンソロジーで擬似体験。「ななつ星」をめぐる7編、どれもいい話だった。中でも印象に残ったのは、ラストが切ない、井上荒野さんの「さよなら、波瑠」と、母娘リモート旅が和む、川上弘美さんの「アクティビティーは太極拳」。老春、相生、家苞etc…単語をお題にした小山薫堂さんの随想「旅する日本語」も刺さった。

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    2023年04月13日
  • 不安な童話

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    怪力乱神が引き起こしたとしか思えない怪事件の解明は、不可能犯罪という本格ミステリの表看板の一つだし、ライトミステリを中心に、心霊探偵の類いは百花繚乱の観がある。しかし本作のように狭義のオカルト現象を扱うミステリは意外と例が少ないような。ミステリとしては一種の不可能犯罪ものになるのだろうが、ハウは大したことがないので、ホワイダニットになりますか。それよりも、お話がどんな地点に着地するかがさっぱりの、フワフワした感じが、むしろ心地よい。

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    2023年04月02日
  • 私と踊って

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    読み慣れない本が続いたので、恩田陸読んで整える
    前に読んだ時よりも面白く感じる
    今回電子書籍版を買ってみたけど、東京の日記と交信のために紙版に軍配

    台北小夜曲、二人でお茶をが今回特に沁みた
    内面と向き合いたい時期かも

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    2023年03月29日
  • ブラザー・サン シスター・ムーン

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    高校時代に関わりのあった綾音・衛・箱崎一 の名字にザキがつくザキザキコンビ。
    それぞれが昔を回顧する群像劇。高一で三人組でフィールドワークのようなことをし、田舎で昼間人がいないことが記憶に残っていたり、それぞれの大学時代の思い出が語られている。高校時代に出会い、関わりはあるが関わりがない人生の進行が描かれている。綾音は本、衛はベース、一は映画を意識の差はあれど大学で取り組んでいた。

    一人が伸ばした興味の先に、他人の興味がぶつかっている、関わりが拡散から収束している美しさ・偶然の運命に心が動かされた。過去に同じ体験をした人たちがそれぞれの人生を歩んでいく風景が心にぐっと来た。
    自分にこのように

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    2023年04月16日
  • 歩道橋シネマ(新潮文庫)

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    18の短編集だが、作者の目線が縦横無尽であることが実感できる.少しゾッとする読後感が楽しめるのもユニークだ.種をしっかり探してそれを温める過程を経て中身の濃い短編にまとめることが、ある種の才能であるとも感じた.

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    2023年03月13日
  • エンド・ゲーム 常野物語

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    常野シリーズ3作目。光の帝国や蒲公英草子にあった、異能を持ちひっそりと人々の幸せを祈る一族、という雰囲気は無く、異能一家の失踪した父の謎を追う母子は自らの苦悩にも向き合う。前2作のノスタルジックが無いので違うシリーズのようだけど、ラストには常野らしさを感じた。
    何が本当なのか、裏返されているのは誰なのか、最後は一気読み。

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    2023年03月03日
  • ブラック・ベルベット

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    シリーズ3作目。
    話の広げ方、謎の提供はさすがの安心感。
    本当にいつも中盤までは大好きだ。
    終わりはサラッとした感じだけど、珍しく閉じた物語で逆に驚くなど。閉じてるほうが面白いんだけど、オープンエンドのほうが記憶に残る不思議。

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    2023年02月26日
  • 夜の底は柔らかな幻(下)

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    相変わらず上巻が素晴らしい。
    「常野物語」を思い出す異能力と謎の大行進。下巻の前半に訪れるクライマックス。そして盛大に広げた風呂敷を放り投げて、いつものオープンエンド!…と思ったら、え、そんな?と、ゆるーく包んで結ばずに…終わったー! 大好き。

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    2023年02月26日
  • 蛇行する川のほとり

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    ミステリーという印象ではないけど、全編通して事件が尾を引いていて謎が霧のようにぼんやりと辺りを満たしている感じ。
    夏の早朝のような、眩しいがまだ一枚膜があるような不思議な感じ。登場人物の思春期(本の中の表現では「少女」)らしさのせいか。

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    2023年02月25日
  • 蒲公英草紙 常野物語

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    単行本既読。と言っても十数年ぶりに読み返しました。

    明治の初頭。優しく清潔で凛とした、農村での暮らし。主人公も友人の聡子様も裕福な家で育つ娘たちですが、素朴な少女で好感が持てます。

    槙村のお屋敷に集う人々と、特殊な力を持つ一族「常野」の春田一家との日々を綴った主人公の日記。
    目の前の暮らしと国の先行きを思う心は、実は根が同じなのだと考えさせられます。
    どうにかなったことも、どうにもならないことも。個人のことも国のことも。春田一家は全て「しまって」くれる。
    それを安堵と呼ぶ主人公の優しさと清潔さが身に染みました。

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    2023年02月23日