恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これは少女の持つ、一瞬のはかない繊細さ、その雰囲気を味わう作品なのだ。
だからリアリティを申し立てるのは野暮だということはわかっている。
しかし、舞台の上で明かされた真実はあまりにも机上の空論で、物理的に無理だろう、と何度も突っ込んでしまった。
そうしたら、最後の最後に…。
3章それぞれに違う少女の一人称で語られるのには意味がある。
一人称になると、ほかの人物の心情を書かなくてすむのだから。
最初から不穏な空気があふれていた。
おどろおどろしいとは違う、とらえどころのない違和感。
登場人物の誰もが何かを心に秘めていて、せっかくの高校生の夏休みが、全然きらめいていない。
そもそも両親が不在の先輩の家で合宿って、ありなのでしょうか?
私は部活動をしたことがないからよくわかりませんが、大人の監督のない一週間の合宿って、私が高校生の娘に言われたら、参加を認めません。
いやだから、リアリティはさておいて。
登場人物みんなが少年少女を逸脱した、大人の苦さを持ち合わせているのに、みんなが頼りないくらいにはかなげ。
不穏の正体がわからないから、余計に不安。
作中でダフネ・デュ・モーリアの『レベッカ』について書かれているので、多分にそれをイメージしていると思われる。
っていうことは、これはホラーなのか?
ホラーでもありミステリでもあるかもしれないけれど、これは少年少女が大人になっていく過程をこそ書きたかった作品なんだと私は思う。 -
Posted by ブクログ
古本屋で購入⑹
理瀬シリーズ3作目、スピンオフ。
1作目の、空想上の本『三月は深き紅の淵に』の第一章として語られていた『黒と茶の幻想』が本作に繋がる。この仕掛けが既にロマンチックに感じる。
「美しい謎」をテーマにかつての友人たちとY島を旅するあらすじ。
登場人物それぞれの推理に、各々の個性が感じられて面白かった。
会話を中心に物語が進んでいくので、4人の関係性や性格を把握するのに少々時間がかかったけれど、読むにつれて理解が深まってくる。
上巻は利枝子と彰彦の2人のみの視点だったので、下巻のほうが「謎」に対する展開に大きな動きがありそう。読むのが楽しみです。
印象に残ったフレーズ
・「彼は私にそのことを告げるその日までの間、どんな風に私を見ていたのだろう?嫌悪感か、哀れみか、無関心か。それはどんなスピードで彼の心を塗り替えていったのだろう?私の彼を信じきった笑顔を見ながら、私の笑顔の向こうに彼女の横顔を思い浮かべていたのだろうか。」
・「最初に伴侶に出会ってしまった者は不幸だと思う。それは回数を経たからといって、もっとよいものに出会うわけではないからだ。最初にほんとうの恋に出会ってしまえば、それ以上のものに出会えない限り、いつも物足りなさを感じてしまう。ほんとうの恋の巡ってくる順番はあとの方がいい。」 -
Posted by ブクログ
霧の立ち込める重々しい雰囲気の中、ぼんやりとした灰色の道が続くという幻想的な風景の描写から物語は始まります。
英国留学中に、「ブラックローズハウス」と呼ばれるお屋敷のパーティーに招かれたリセ。
そのお屋敷は、猟奇的な殺人事件が起きたソールズベリーの遺跡の近くにあり、五弁の薔薇の形をしているブラックローズハウスでも同じような切断遺体が発見される。そして主人のオズワルド・レミントンは何者かに脅迫されていたという。
疑問だらけの連続殺人事件は、終盤一気に展開が加速していきます。
謎めいた聡明な美少女理瀬の佇まいが、英国のお屋敷と見事に調和されていて、どきどきしながら物語を楽しむことができました。
語り手であった、レミントン家の長男アーサーもとても魅力的な人物で、続編に登場することを願っています。 -
Posted by ブクログ
初めての恩田陸さん。
友人複数人から勧められたのでこちらでデビュー!
表現力に圧倒された。
言葉で映画を観たような感覚。
物語自体は少々複雑で、
完全に理解は出来てないんだけど、
(こことここが繋がってたのか!)
(だからこうだったのか!)
と気づく瞬間も楽しかった。
何より、読書でここまで情景が浮かんでくるのは久しぶりの体験で
いつの間にかこの物語の中に自分も入ってしまったよう…
キーワードが後々どんな意味を持ってくるのか
考えるのも謎解きみたいで新鮮だったし、
純粋に2人の時代を越えた愛も楽しめた。
久しくここまでロマンティックな話に触れていなかったのもあって、照れくさくなる場面もいくつかあったけど本当に素敵な一冊だった。