恩田陸のレビュー一覧

  • 七月に流れる花/八月は冷たい城

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    6月初めに、夏流(かなし)という名前の土地に転校してきたミチルは、全身緑色の「みどりおとこ」に出会い、夏のお城夏流城(かなしろ)での林間学校に参加する。
    主人公が中学生の、淋しくて悲しいひと夏の物語。

    「七月に流れる花」は少女の視点で、「八月は冷たい城」は少年の視点で描かれていて、「七月」を読んでから「八月」を読むので、物語に入りやすく、より鮮やかなものに感じられる。
    物事の裏と表が透けて見えるような感じがして、面白かった。

    彼らが夏の城に呼ばれた理由が謎に満ちていて、真実がわかるとほっとする反面、近い将来起こってもおかしくないような出来事だと思うと怖くなってくる。
    悲しいおとぎ話のようだ

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    2023年02月18日
  • ネクロポリス 下

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    2023.1.28-2.9

    久しぶりに恩田陸を読んで、久しぶりに恩田陸を満喫したー!と感じました。道中のワクワクと終いにかけての転がり方、なつかしいこの恩田陸感。
    今回のラストは肩透かしではなかったけど、若干複雑になりすぎたかな、というのが初見の感想。ちょっと理解が及んでいない所がある気がするので、ラストだけ読み返す予定。
    少しだけあったエピローグはきちんと不気味で良かった。

    現実と非現実の融合。この世の中のどこかにあるかもしれない、陸続きの世界。そういうものに対する畏れと憧憬。
    目に見えるもの、自分が見たものしか信じない人は多い。この世に氾濫する情報の波に飲み込まれないためにもそれはある

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    2023年02月10日
  • 蛇行する川のほとり

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    登場人物である毬子、芳野、真魚子、そして物語の核となる香澄の4人の視点から物語は展開して行く。
    恩田女史が描く女高生達は、常に可愛い少女ではなく、大人びた美しさを擁した女性たちだ。
    今回の4人の女高生たちもこの例に洩れず、女高生とは言い難いほどの神秘性を与えられている。
    物語の前半は、同級生や下級生たちから憧憬ともいえる視線を集める美しい少女4人の関係が綴られる。
    その彼女たちの舞台となっている背景が美しく、緑豊かな欧風の牧歌的な川べりの風景が思い浮かんだ。
    そんな環境の中で、女高生らしい4人の交友関係に、徐々にではあるが違和感が生まれてくる。
    少女たちが抱く違和感は、香澄の母親の死が殺人なの

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    2023年02月03日
  • ブラザー・サン シスター・ムーン

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    同じ高校から同じ大学に進んだ3人の男女それぞれの学生生活。

    高校時代は仲良しトリオだったのに、いつの間にか疎遠になっている。決定的な何かが起きたわけでもなく、ただ何となく。というのが、いかにもありそうな話。

    彼らの間に何かがあったという話ではなく、何もなかった。という物語でもある。

    もう少し何とか出来たのではないか?こんな事もしたかったのに出来なかった。

    振り返ってみると、学生時代というものは漫然と過ごしてしまいがちで、今思えば後悔ばかり。

    「大学生というのはあまり停車駅のない長距離列車に乗っているようなもの」という例えが、じわじわと読み手の胸を抉る。

    恩田作品にしては珍しく、自伝

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    2023年01月31日
  • puzzle(パズル)

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    恩田陸さんらしい独特な世界観。
    他の方も仰っているように、短さゆえの不完全燃焼感はあると思います。真相が分かったときのスッキリ感みたいなものは少なめかも。
    ですが、物語そのものは難しくないのでサクっと読み終えることができます。

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    2023年01月19日
  • 終りなき夜に生れつく

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    スピンオフだとは知らずに手に取る

    不思議な能力者達が繋がりながら別の物語が紡がれる
    なかなかよかった

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    2023年01月15日
  • ブラック・ベルベット

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    過去2作の内容をすっかり忘れていますが、そんなことは関係なく楽しめる作品でした。
    トルコを舞台にスパイ映画さながらの展開は面白いし、まるで観光案内のような名所紹介も別の意味で良かったです。

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    2023年01月10日
  • ネクロポリス 上

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    2023.1.9-1.28

    想像力をかきたてられる独自の用語にいちいち心が踊りながら、その用語自体が我々の日常に存在するものだったりそれに関連するものだったりするが故に日常と地続きにも感じられる"どこかあるかもしれない世界"に魅了され、気付けば時間を惜しんで読み進めていた。これこれ、恩田陸を読んでるって感じがするこの感じ、脳みそが喜んでるなぁってわかるこの感覚がとても嬉しい。らしい〆方で上巻は終了。

    源氏物語と日本の風俗
    会話に潜むなつかしさ

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    2023年01月28日
  • 黒と茶の幻想(上)

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    家庭を持ついい年した美男美女四人組が旅行に行く話。思い出話や日常の謎を語り合う。
    こんなのはやましい話に決まっている。是非とも旅行先で悲惨な目に遭ってもらいたいと期待しながら読む。くたばれリア充。
    話の本筋に関係あるのかないのか分からない会話の数々に、何度もドキッとさせられたり興味深々になってしまう。こういうのが絶妙に巧い。これが恩田ワールドというやつか。
    物語の内容そのものはどうでもよくなってきて、この会話を盗み聞きしている面白さに浸ってしまった。
    くたばれリア充。

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    2023年01月01日
  • 月曜日は水玉の犬

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    赤江瀑って名前は聞いたことあるけど、読んだことなかった。恩田さんがこれ程熱意を持って語る作家なら、読んでみなければ。三島由紀夫は苦手意識があるんだけど、『金閣寺』くらいは読んでおかねばな。
    恩田さんがクリスティ好きなのは知っていたけど、クイーンも好きだったのね。クリスティ、クイーン、カーの作品が普通に手に入る日本ってミステリファンにとってはいい国。

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    2022年12月25日
  • 夜の底は柔らかな幻(上)

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    最初は好みかどうか探り探りでしたが、どんどん読めました。設定は、話の中で自然と折り込まれているので、それも面白くてソワソワしながら引き込まれてた。ワクワクはしない。ソワソワ。終わりの方はだんだんヒヤヒヤしてきたので、下巻はずっとヒヤヒヤなら予感。ミステリアスな部分をずっと引っ張る世界観好きです。下巻にゆきます。

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    2022年12月18日
  • MAZE 新装版

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    ドキドキした。面白くてすぐに読み終わってしまった。恩田さんのこのような作品にはいつも本当に魅了される。
    恵弥さんが登場する続きの話も読みたい。

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    2022年12月14日
  • 上と外(下)

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    あっという間に読み終わりました。面白かった!ずっと辛いし、本当にぎりぎりまで過酷でハラハラしっぱなし。登場人物のぶつける感情で涙したのは久しぶりでした。過酷な環境の中で、若さならではの純粋さと、か弱さがなんとも読んでいて胸が苦しくなる。14歳にしては、賢いし運動能力も凄いのだけど、そこはフィクションとして楽しむ!また、シリーズで練とチカに冒険してほしい。(過酷な冒険になると思うけど)少し登場する家族のみんなも魅力的キャラクターでした。このような設定で読ませる恩田さんますます好きになりました。

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    2022年12月11日
  • 上と外(上)

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    クーデーターに巻き込まれて離れ離れになった家族。というあらすじからは、どんなストーリーか全然わからなかったけど、とにかく訳もわからないけど読み進んでいくと「王の息に触れるな」あたりからどんどん面白くなってきた!心配でずっとハラハラしてる。14歳にしては賢いな!と思ったり。回想による、おじいちゃんの言葉がすごく刺さる言葉が多くて恩田さんの言葉選びすきです。あと恩田さんの少年少女が主人公のお話しいいですよね。

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    2022年12月08日
  • 八月は冷たい城

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     七月…と対になる話だけど、全然異なる。七月…はファンタジーな感じだったが、八月…はホラーというか、ミステリー要素が高い。
    カマキリがでてきた時点で、何となく想像ができたところもあるけど、七月…だけ読んだだけなら美しい感じすらあったのに、180度見かたが変わった。

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    2022年12月08日
  • ブラック・ベルベット

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    2作目飛ばして3作目。MAZEはホラーっぽい面白さだったけど、今回はミステリー。トルコが舞台で、主要観光地を巡りながら謎が深まっていく感じはとても好みだった。
    意外と平和なラストも「これはこれで面白い」と感じた。

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    2022年12月05日
  • 蒲公英草紙 常野物語

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    ネタバレ

    「光の帝国」の続編。常野物語。

    ストーリーとしての話の続きではなく、「光の帝国」の「大きな引き出し」の春田家の先祖?の話。

    ファンタジー的な要素は少なですが、常野一族(というか春田家の「しまう」能力)の事がよく分かった。

    で、ストーリーは身体が弱い聡子様と話し相手にそして友だちになった峰子の交流を中心になんとなく心が温まる話だったんですが。この聡子様は、たぶん遠目の能力があったような感じ。常野の能力が隔世遺伝したのかな?それで先のことを見通せるが故に・・・。

    天聴会、書見台などでなるほど、と思いました。

    最初は明るくてまぶしい感じで始まったストーリーだったんですが、悲しく切ないエンデ

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    2022年11月26日
  • 蛇行する川のほとり

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    高校生の歪みながらも美しい夏と、まだ幼かった少女ともう熟れきってしまった大人の過去の約束、事件が絡み合う作品。美しく、哀しい物語だった。

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    2022年11月13日
  • 夢違

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    夢札という未知のテクノロジーによって、変容していく世界と人類を描く、一種のとかのエクスキューズが要らない、ストレートなSF。惹句の類いにはどこにもSFと謳われていないが、これはおそらく作者さんじゃなくて、出版社サイドの意向だろうなあ。売れ行きに悪影響が出るってね。そんなわけで、案外と道標的な機能があるジャンルがあいまいなこともあるのだろう、どこへ向かうのかさっぱり解らない五里霧中な感じでお話は進む。その霧が結末に至って晴れるかと言えばそうでもなく、謎の多くは放り出されたままで終る。にもかかわらず、奇妙にすっきり感があるのが不思議。テクノロジーと人との関係を表す、カメラが進歩するまで、昔の人はも

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    2022年11月06日
  • 七月に流れる花/八月は冷たい城

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    招待状を受け取った人は必ず行かなくてはいけない林間学校。

    規則はたったの3つ。

    謎めいた共同生活に隠された儀式の意味は。。
    隠された悲しい歴史が切なかった。


    七月は少女、八月は少年の目線で描かれ、切なさの中に大切な人を想う温かさを感じた。

    暗い背景の中わ小川を流れる花の色ははっきり見えるような物語でした。

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    2022年11月05日