恩田陸のレビュー一覧
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ネタバレトータル3.5くらい。
書き下ろしなので全部新作だったのが良かった。
この中で好きなのは貴志祐介の『猫のいる風景』かな。曖昧オチではなく、きっちりミステリーもしてホラーもやってる。お化け無しで楽しませてくれた。
有栖川有栖『アイソレーテッド・サークル』
クローズドサークルの定義について話をしていて、どこかミステリーな雰囲気はあるものの、結局何かは不明で、結局どこかの異界らしいということで終わる。でも面白かった。
ミステリー小説だったら犯人がいるのに、この話では何かを見つけてはいけない、見てはいけない。犯人を見つけることが禁じられる恐怖。
北沢陶『お家さん』
丁稚奉公目線なので時代がわかりにくかったけど、尋常小学校や電話などで結構最近なんだなと感じるが、最後にスペイン風邪でした、と知らせるのは面白かった。本当に怖いのは怨み節をぶつけてくる幽霊か、それを素通りして恨みを果たそうとする人間か。というか一家全滅して良いのか。
背筋『窓から出すヮ』
恐怖って理不尽で理由なんて無いんですよ、という話だが、まあまあ一貫してて、ちょっと中途半端な印象。
作中の一つ目小僧の一応のオチも怖かったけど、怪奇現象が起きてくれないと困ると切に願う主人公作家もまた恐怖というか。笑い話にもなりそうなあんばいだなあと思った。
櫛木理宇『追われる男』
人間怖いの話の類いだけど、現代においていつとばっちりを食らうかわからないという恐怖を味わえて面白かった。でも最後のサユミは誰に殺されたのか曖昧にしたのはちょっとつまんない。状況的に主人公が殺したというオチにもっていけそうなところもあるが、結局主人公目線でしか読めないので、そこら辺が不明瞭。
貴志祐介『猫のいる風景』
姪がめちゃ頭良い。理詰めで主人公を追い込んでいくところがホラーというよりミステリー。でも最後は猫に舐められ食われるホラーで終わって面白かった。この作品のみお化け要素無しでガチのミステリーと恐怖を味わえて面白かった。
言葉遊びの類いは貴志祐介の好きなやりとりすぎてもはやほほえましい。
恩田陸『車窓』
富士山を見ようとする最初の下りのゾッとした感じは良かったな。幽霊みたいだなと思わせる前フリでめちゃ良い。
でも結局見えたのは隣の男、Nなのか?満面の笑みなのは、ようこそこちら側へ、という意味なのか?
現代に寄せていろいろ見せてくれたが、結局は曖昧オチでそこは残念。
数字もきっと大地震とか、テロとかそういう戦争や災害の日にちなんだろうなと思わせるものだが、最近は陰謀論とかそういうのでよく目にするので、この作品自体ちょっとなあ、という感想持っちゃう。何かを見た気がして、勝手にあれはこのことだったんだという改竄の話にしてしまうのはなんかやだ。 -
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ネタバレ1章はなかなか読み進めるのが大変だったが、2章の彰彦の章から色々な隠された過去の事実が明らかになっていって手が止まらなくなった。
下巻はいよいよ、「蒔生は憂理を殺したのか?」問題が明らかになるのだが……その謎はちょっと消化不良だったかも。
蒔生は、利枝子にまだ何か隠していそうな気がしたんだけど、憂理を無理やり犯した、ということだけだった。
「魂の殺人」と言われるくらいなので(しかも男性が恋愛対象ではない)、殺したと言ってもいいのかもしれないけど。
そして最終章の節子。
なぜ彼女が最後なんだろうと思ったけど、彼女によってもう一段階利枝子と蒔生の解像度が上がる、そして現実に引き戻される、という仕組み。 -
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ネタバレこれはミステリーなのかファンタジーなのか……。
現実世界の出来事の話ではあるんだけど、そもそも理瀬シリーズに出てくる学校?が現実感が全然ないしよくわからない。
一応、理瀬シリーズの1作に入ってるけど、、全然関係ない人たちが出てきて???となっていたけど、全員憂理の友人だったのか。
アラフォーの男女4人が、日常を離れてY島(おそらく屋久島)に旅をする。
一章ごとに視点が変わっていく。
その度に、視点となる人物の過去や、封印していた思いが明らかになっていく。
展開的にラストは蒔生だと思ってたんだけど、違った。
そして、憂理はもう死んでいるのか!? -
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ネタバレ東京近郊にあるショッピングセンターMで起きた、多数の死傷者を出した事故の話。
体験者に対するQ&A形式で話が進んでいく。
話が進むにつれて時系列も進んでいく。
ナレーションが一切なく、会話のみで進んでいくストーリー展開は斬新。
とても読みやすかった。
「初対面同士でこんなに話すかね」という違和感はありつつも、「まぁ変わった登場人物同士だからこんなもんか」という思いもあり、悪い違和感ではなかった。
ザッピング形式でどんどん主人公が変わっていき、一つの事件を色んな視点から触れていく形式は面白いし好きだなぁと思う。
事件の真相が明らかになっていく展開なのかと思ったらMの事件のいう共通テーマで、それぞれの時系列でそれぞれの人々の暮らしが描かれている、長編だけど短編集みたいな話だった。
真相が明らかにはならないのでスッキリしない感じが残ったけど、何となく政府陰謀論が原因なのか?という輪郭は描かれていたので、真相に関してはそこまでのモヤモヤはない。
登場人物に関しては深掘りされていないパターンが多く、そこはモヤモヤが残った。
・なぜ顧問弁護士は自殺したのか?
・詐欺師を詰めた正義感の強い質問者はどうなったのか?
・老夫婦は何だったのか?どういう素性?
・犯人?の薬品男はどうなったのか?
・最後教祖の娘が未来を変えられないのなら、最終章をなぜ描いたのか?(事件の真相ぐらいしか可食部がなかった)
辺りがハッキリしないのは個人的にはマイナスだった。
序盤は会話している人間の自己紹介があったのでキャラクターの背景が掴みやすかったが、説明がない分「誰と誰がしゃべってるのか」が判然としない部分があった。
話が進むにつれ「この人前に出てきた人なのかな?」と思う場面があった。
そこが明瞭でなく、そこがわかればもっと楽しめる気がするのに!という歯痒さがあった。そこは読者の推測に委ねます、のスタンスなのだとしたら自分にとっては難解で、合わない部分であるなぁと思った。
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娘を教祖に祭り上げようとした母親。
そのシンボルとして、Mの被害者の見舞金で地蔵を作る計画を話していたが、それがツアーの段階で完成している…!
しかも最終章では何百人単位の大教団に成長している!
詐欺師が捕まる勧善懲悪の展開かと思ったら最後はスピリチュアル展開になった。
元調査員のタクシードライバーは以前に出てきた調査員の誰かだったりするのかな?
「人間は素敵な誰かが現れて、その人に従えるのを待っている」という淑子の言葉は印象に残った。
確かに誰かが事を成してくれればいいのにな、と思うことは自分にもある。
これは反省だな。
「人いきれ」という言葉を初めて知った。 -
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ネタバレ理瀬シリーズ・白百合の館篇
学園にいた頃の理瀬とは結構印象が変わっていたけど、記憶を取り戻したからこっちが本当の姿なのだろう。
学園にいた頃同様、事件が頻発するので、続きが気になってすぐに読み終わってしまった。でもどちらかというと、ファンタジー小説のような学園を舞台にした前作の方が、わたしはワクワクして好みだったかな。
最初は疑われていた梨南子だったが、朋子が急に頭角を表してきて、梨南子さん疑ってごめん!と油断した途端、理瀬の首を絞め始めてめちゃくちゃ怖かった。
振り返れば、梨耶子が亡くなった後、理瀬の部屋で寝ていた時に下の階の会話を聞いていた説や、理瀬の部屋に度々侵入して、戸棚を覗いていた説など、怪しいポイントをすっかり忘れてしまっていた…
梨南子が最後の最後に正体をあらわしたとき、亘はすでにいなくて、やっぱり亘が生きる無垢な世界と、生き馬の目を抜くような緊張し、暗く孤独な世界とでは大きな隔たりがあるし、運命の違いを感じた。
それにしたって、会う人すべて虜にする理瀬ってどんだけ魅力的な女性なの…あまりにも無双しているから、あり得るか?ってちょっとツッコみたくなってきた笑 -
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異母兄にあたる男性が仕事中に奈良で消息を絶った。その恋人でもあった四歳年上の女性から、「一緒に奈良に行かない?」と誘われる。静は彼女に連れられて旅を続けるうちに、様々な隠された秘密を知り、それぞれの想いに触れていく。
……ということでなかなか説明が難しいのが本作『まひるの月を追いかけて』で、この旅(物語)はどういうふうに転がっていくのだろうか、というのがまったく読めず、決して読む側を安心させてはくれません。安心と引き換えに、新たな世界を求めようと、歩き慣れた道をふいに逸れてしまいたくなるひとに、特におすすめしたい作品でした。普遍的な懐かしさを喚起する描写も魅力的でした。