恩田陸のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
恩田陸のデビュー作「六番目の小夜子」の主人公である秋の父親・関根多佳雄を主人公に据えた、本格ミステリ短編集。
元判事で大のミステリ好きの多佳雄が安楽椅子探偵さながらにさまざまな謎を解いていく連作短編12篇。
それぞれがバラエティに富んでいて飽きさせず、小さな違和感から論理的思考によって謎を解き明かしていく過程がたまらなくゾクゾクする。
多佳雄もさることながら、検事である息子の春(しゅん)のキャラクターもいい。
江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」、「パノラマ島奇談」や中原中也の「北の海」、アンセル・アダムスの「エルナンデスの月の出」など小説や芸術作品をテーマに盛り込んだ話も多く作者の知識の広さは -
Posted by ブクログ
「『蝙蝠』が上海に入った」。豫園からほど近い路地裏の骨董品店に緊張が走った。門外不出のお宝が闇のルートで輸入されたのだ。虎視眈々と狙う店主だが、なぜか問題の品は、人気急騰中のホテルの厨房に流れ着いていた・・・。かつて東京駅で数奇な運命を共にした面々に、一癖も二癖もある人物たち、さらには動物園脱出を目論むパンダも加わって、再び運命のドミノが倒れ始める!予測不可能、爆笑必至のパニックコメディの金字塔!!
前作から随分たちますが面白さはパワーアップしていて本当にあっという間にぐいぐい読みました。ダリオや厳厳など動物目線のパートも違和感なく、むしろ人間以上に感情移入してしまう筆力とテンポが素晴らしい -
-
Posted by ブクログ
ネタバレもーーー!ま・た・やられたよーーー!!って感じ(笑)恩田陸ワールド全開。もし初めてをこれにしたらもう二度と他作品読んでもらえないんじゃなかろうか…。
学生の時何度か読んでいて、毎度のごとくサッパリ!中身覚えていなかったのでそれなりに楽しく読み始めたのだけど。
もー話の核の謎、アイデア、構想、骨組みは面白いよ!すっごく!でも本一冊に足りなくてもうのばしにのばして何味だったか全くわからなくなってる!みたいな!
割りと前半から骨格がぼやけ始めててもうほぼ恩田さんの独り言とか最近の世に思ったこととかを登場人物が話してるだけじゃないか…?わたしは好きだけど。
これをミステリと言ったらもう…なんか…激怒 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレもー!わかってるのに、めっちゃ面白い!気になる〜〜!となって一気読みして最後放り投げられるっていういつものパターンにはまりました。わかってるのに…。
でもまた何度でも繰り返してしまうの。そういう中毒性が恩田作品には確かにある。
昔読んだ時は学生で、なんというか…日本文学!として真面目に読んでたけど
大人になって読み返すと少女漫画っぽくてちょっと笑ってしまった。
エッセイを読むと恩田さんは強く少女漫画に影響を受けているとのことでなるほど。
でもなんていうんだろ、恩田作品て脚本ぽくて演劇ぽくて、キャラクターと設定がすごく魅力的だから否応なしに惹かれてしまう。
特に導入がもう…!読むっきゃない! -
-
Posted by ブクログ
ネタバレわちゃわちゃ感いっぱい。
プロローグが第1章、ではなく、第-5章から始まっていました。
その最初の最初でダリオがいきなり・・・・で、ビックリした。でもその後も全編にわたって活躍していましたが(笑)。
「玉」もしくは「蝙蝠」と呼ばれるお宝の争奪戦
上海警察vs寿司喰寧のデリバリー
キョンシーとゾンビの半々メイクさせられた蘆蒼星
厳厳の脱走劇(ぬいぐるみのところ面白かった)
見えるようになりたくなかったけど、見えるように覚醒してしまった小角正
風水・神道・修験道のバトルと共闘
パンダvs柔道黒帯
燦燦の追走劇
優子をカッコ良く救出したえり子とモンスターバイク
厳厳のその後(とても気になる)
「玉 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ電子版で読み始めたけど、やっぱり思い直して久しぶりに紙単行本で再読
纏まりごとに紙の色もフォントも組み方も異なるのに、めくり心地は均一だから没入感がたまらない
悪い春だけ文庫電子版で
311を過ぎた後の東京が舞台の2015年刊行の本作だが、「必ずまた疫病は来ます。」などハッとさせられる文言はあるし、東京オリンピックへのネガティヴな印象は開催前後のドタバタを思うと薄寒くなる
この本自体が東京の墓標になりやしないかと思えてくる
幸いまだゴジラは上陸していないし、平和サポートボランティアは導入されていないけれど、きな臭い空気感に包まれている社会がそれを笑い飛ばせなくしていて気が遠くなる