恩田陸のレビュー一覧
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横浜の近代建築から32の建物を選んで写真を多用して見るポイントを解説した本。ほとんどが有名建築だが、一般にはあまり知られていない名建築も含まれている。
細かい意匠の写真も多く、今まで気付いていなかったところも多く知ることができて良かった。写真をとるアングルなども参考になる。
建築物の背景や建築家などの情報は省略し、建築を見て感じる楽しみ方に重点を置いたとのことで、解説のテキスト量は最少限といったところだが、割と専門用語が使われていて、一般の人にはわからないのでは、と思われるところもある。
写真を見るだけで楽しく、実物の建築を見に行きたくなる本。 -
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ネタバレ恩田氏の作品といえば、私の印象では爽やかな印象がありました。サスペンス的要素が入っていても、残酷な殺人描写や性描写がない等、優しい印象でした。数例申し上げると、デビュー作『六番目の小夜子』や『夜のピクニック』などです。『ネバーランド』も面白かった。
しかし本作を読んで、この人は凄い人なのだと実感しました。本作はホラーなのです。
恩田色をじゅうぶん残しながらも、しっかり怖いのです。私は、ページを手繰る手が止まりませんでした。確かに裏表紙には「新鋭のモダンホラー」とありました。しかし、これまでの印象が強すぎて、殆ど信じていませんでした。ほんとにホラーかよ、と。読後の今、白旗を挙げますが、モ -
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光文社新書の「文学こそ最高の教養である」を読んでいたら「去年マリエンバートで」が出てきて、そういえば恩田さんがこの映画から話を書いていたなーと自宅本棚を探して引っ張り出した(笑)久しぶりに読み返したらほとんど覚えてなくていろいろ楽しかった。
これは、たぶん「去年マリエンバートで」の内容がわかってないとピンとこないんだろうな、と思いつつ、私も映画見たことないのでアレですが、フランス文学であることと大まかなあらすじを頭に入れたら、あのラストはストンと腑に落ちた。恩田さん風にいうなら「閉じた」感じ。
少しずつずれて重なるこの感じがたまらなく好きだなぁ。恩田さんっぽくて良い。
巻末にインタビューが -
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『球形の荒野』ではない。『球形の季節』だ。
『六番目の小夜子』に続く恩田陸の2作目だが、恩田陸としてはすでに完成しているんだけど、でも、まだまだ途上みたいな?w
続く『不安な童話』やその次の『三月は深き紅の淵を』になると、逆に(プロとして)暗中模索しているのが窺えるんだけど、これは、自分が書きたいのはコレ!(というよりは、今はコレしか書けない?)みたいな勢いがあって、そこがいいんだと思う。
確か、『六番目の小夜子』のあとがきで、著者は“「少年ドラマシリーズ」のオマージュとして書いた”みたいなことを書いていたが、これもまさにそんな話。
すごくそそられる展開に対して、結末は尻すぼみという流れは「 -
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ネタバレ何度も生まれ変わっては、ほんの一瞬交わる男女の愛を描いたSF。
17世紀初頭から20世紀後半まで、エリザベス・ボウエンとエドワード・ネイサンの魂は何度も何度も不思議な邂逅を果たす。
しかしその逢瀬とも呼べないほどの出会いはほんの一瞬のうちに終わってしまい、二人が長い時を一緒に過ごすことはない。
二人はその邂逅の瞬間について、過去から未来にわたって記憶を保持している。
彼らの記憶には不思議な紋章が見え隠れする。
そのモットーは、「魂は全てを凌駕する。時は内側にある」
以下、各章について。
章の始まりには実在の名画が添えられていて、読書時間を彩ってくれる。
0.プロムナード
各章のはじめと最