恩田陸のレビュー一覧
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恩田陸のデビュー作「六番目の小夜子」の主人公である秋の父親・関根多佳雄を主人公に据えた、本格ミステリ短編集。
元判事で大のミステリ好きの多佳雄が安楽椅子探偵さながらにさまざまな謎を解いていく連作短編12篇。
それぞれがバラエティに富んでいて飽きさせず、小さな違和感から論理的思考によって謎を解き明かしていく過程がたまらなくゾクゾクする。
多佳雄もさることながら、検事である息子の春(しゅん)のキャラクターもいい。
江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」、「パノラマ島奇談」や中原中也の「北の海」、アンセル・アダムスの「エルナンデスの月の出」など小説や芸術作品をテーマに盛り込んだ話も多く作者の知識の広さはさすが。
「本格ミステリというのは『説得』と『納得』の小説。そこに『驚愕』が加わるようであれば、それは本格ミステリとして傑作と言えるだろう」
と作者あとがきにあるが、その意味では十分に説得され、納得し、驚愕もした傑作短編集でした。
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Posted by ブクログ
ネタバレもーーー!ま・た・やられたよーーー!!って感じ(笑)恩田陸ワールド全開。もし初めてをこれにしたらもう二度と他作品読んでもらえないんじゃなかろうか…。
学生の時何度か読んでいて、毎度のごとくサッパリ!中身覚えていなかったのでそれなりに楽しく読み始めたのだけど。
もー話の核の謎、アイデア、構想、骨組みは面白いよ!すっごく!でも本一冊に足りなくてもうのばしにのばして何味だったか全くわからなくなってる!みたいな!
割りと前半から骨格がぼやけ始めててもうほぼ恩田さんの独り言とか最近の世に思ったこととかを登場人物が話してるだけじゃないか…?わたしは好きだけど。
これをミステリと言ったらもう…なんか…激怒するひと達押し寄せそうだからやめた方が…などと思ってたら山本周五郎賞受賞作なんだ…ふうん…(意味深)
わたしはメタっていうのかな?オチで急に登場人物が語りかけてきたりする話が大嫌い(笑)ってか物語として反則だと思うから、なんかもうまじかよって感じでした。
でも散りばめられているお話や他作品でも見かけたようなお得意の魅力的なキャラクターはほんとに生き生きとしていて、演劇要素も満載で、だからまた読んじゃうっていう沼に毎回沈んでんだけど。
廃線を頼りに古い舞台を目指してあるく二人の場面が印象に残った。
ああいう自然を旅しながら与太話する描写がもうほんとに天才的に魅力的なんだよね〜!
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Posted by ブクログ
ネタバレもー!わかってるのに、めっちゃ面白い!気になる〜〜!となって一気読みして最後放り投げられるっていういつものパターンにはまりました。わかってるのに…。
でもまた何度でも繰り返してしまうの。そういう中毒性が恩田作品には確かにある。
昔読んだ時は学生で、なんというか…日本文学!として真面目に読んでたけど
大人になって読み返すと少女漫画っぽくてちょっと笑ってしまった。
エッセイを読むと恩田さんは強く少女漫画に影響を受けているとのことでなるほど。
でもなんていうんだろ、恩田作品て脚本ぽくて演劇ぽくて、キャラクターと設定がすごく魅力的だから否応なしに惹かれてしまう。
特に導入がもう…!読むっきゃない!という抗いがたい設定なんだよねーー!
そして読んでいて強く感じるのが、日常にとけるミステリー、謎を愛してやまない気持ちというか。
ふと気づいてゾッとするような小さな違和感、風景にまぎれているほつれ、それをねえ、って誰かに話したくなる物語として読みたくなる、そういう衝動。
そこにすごく共感して、わかるー!と楽しく夢中になってると最後にハイ、さよならーとぶん投げられてしまうという。
ここまでめっちゃくちゃ楽しかったけど、この散りばめられた謎、伏線どうするの…?あれ…もう残りページないけど…ま、まさか……でおしまい!笑
そんでいやなんでよーー!?ともんどり打つことになる。毎回!でも好きなんだよー!泣
本作にしても構造は最高に面白いしお得意の老女姉妹でてきて姉弟のキャラクターも魅力的、そして舞台は古い瀟洒なホテル!
絶対面白い!サイコー!やったー!と読んでいくとやっぱ途中からだんだんぼやけてそのままラストで煙に巻かれてしまうのよね。
恩田作品て登場人物が途中でとけていってしまう感覚がある。
最初は際立って確立した人々なのに、話が進むにつれてストーリーに引っ張られてキャラクターの輪郭がぼやけてしまう、書き手の恩田さんが見えてきちゃうというか。いいんだけど!
でも物語の立ち上げ方、こういうお話を書きたいって構想を広げていく鮮やかさが天才的で、
それをいつまでも見ていたいって思っちゃうんだよね。
なので大満足。恩田作品でしか得られない読後感を摂取できて満足しました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ電子版で読み始めたけど、やっぱり思い直して久しぶりに紙単行本で再読
纏まりごとに紙の色もフォントも組み方も異なるのに、めくり心地は均一だから没入感がたまらない
悪い春だけ文庫電子版で
311を過ぎた後の東京が舞台の2015年刊行の本作だが、「必ずまた疫病は来ます。」などハッとさせられる文言はあるし、東京オリンピックへのネガティヴな印象は開催前後のドタバタを思うと薄寒くなる
この本自体が東京の墓標になりやしないかと思えてくる
幸いまだゴジラは上陸していないし、平和サポートボランティアは導入されていないけれど、きな臭い空気感に包まれている社会がそれを笑い飛ばせなくしていて気が遠くなる