あらすじ
妻と別居中の多聞を、三人の友人が「夜行列車で怪談をやりながら、さぬきうどんを食べに行く旅」に誘う。車中、多聞の携帯に何度も無言電話が……。友人は言った。「俺さ、おまえの奥さん、もうこの世にいないと思う。おまえが殺したから」(「夜明けのガスパール」)――他四篇、『月の裏側』の塚崎多聞、再登場。恩田陸のトラベル・ミステリー!
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多聞の柔らかい雰囲気と繊細さが分かる一冊。
不思議な体験がちゃんと説明がつくのでどんどん止まらなくなる。
理瀬もいいけど多聞もシリーズで出して欲しい。
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塚崎多聞が主人公の短編集。
目立つようなキャラではないけど、魅力的なキャラです。側にいたらいいなって印象です。
この短編集のうち気に入ってるのが下記の二編です。
「悪魔を憐れむ歌」:最後の拭いきれない後味の悪さは鳥肌ものです。そんなトラウマに残るような笑い方しないでと思いました。
「夜明けのガスパール」:妻が別居中に3人の友人と夜行列車で怪談をやりながら讃岐うどんを食べに行くお話。中年男性が大学生のようなことをしているってところがこのお話のキーポイントになってる感じした。そして読み終えて思ったのは友人っていいものなのだなと思ったことです。いいな、なんか。
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月の裏側の関連作品。短編集。
月の裏側は恩田陸さんの作品の中で私的Top5に入るから嬉しい!
そして数えてみたら48冊目の文庫でした。枕辺の小さい本棚にずらっと並べてるけど壮観どす。
月の裏側からするとパラレルワールド的な感じなのかなぁ。
明確に繋がってるわけではないそうです。なるほどのタイトル。
あとはクレオパトラの続編もこないかなー!
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『月の裏側』ほどは怖くない。ほんのり、じわっと沁みてくる怖さがあった。「幻影キネマ」のお話と最終話の「夜明けのガスパール」が好きだった。特に「夜明けのガスパール」はひょうひょうとしている多聞さんの感情が大きく揺らぐ姿が新鮮。塚崎多聞ってなんなんだろう…
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多聞がシリーズになっていることを「珈琲怪談」で知り、読んでみた。「月の裏側」はこれぞ恩田陸というぞっとする怖い話だった記憶。
今作も世界観を引き継ぎ、たくさんの不穏なことが起きる。時系列はバラバラの短編集。
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「月の裏側」の続きではなく、時間が巻き戻って、多聞が変な出来事を引き寄せるような短編集。時間も巻き戻り色々で、「木守り男」「悪魔を憐れむ歌」の頃はまだ二十代後半過ぎくらいで、ジャンヌとも結婚していない。しかし、「幻影キネマ」ではもう、40代半ばになる。その辺のポーンと世界観が飛ぶところとか、内容的にも幻想と現実の境目軸の置き方をどうしたらいいか分かりにくいところとか、入り込みづらい人は多いかも、と思いました。
「木守り男」
国に災いの起こる時に出てくる、木上にいる亡霊のような木守り男。多聞と友人のロバートはそれを見る。
「悪魔を憐れむ歌」
死にたくなる歌というものがあるが、それについての一般的な考察から、多聞が調べたラジオで流れた死人のでた歌の正体は。
「幻影キネマ」
広島のO市は映画のロケ地に良くなる。そこ出身のアーティストをプロデュースすることになった多聞は、ミュージッククリップの撮影場所となったそこにアーティストとともにいたのだが、アーティストの1人、保は嬉しくなさそうなのだ。
「砂丘ピクニック」
技術翻訳を得意とする巴とともにT市の砂丘を訪れた多聞は、なぜ巴が砂丘に行ってみたかったのか、という話を聞く。訳している文章に砂丘が消えたような記述があるのだという。
「夜明けのガスパール」
多聞は細身で下手の良い服を着る黒田(東京地方検察庁検事)、でっぷりして、ボウズ頭に丸眼鏡の尾上(芸大作曲科卒のミュージシャン)、色付き眼鏡、黒Tシャツに白パンツ、赤くてライオンの鬣のような髪という夜世界ぽい出立ちの水島(外科医)とともに、夜行列車で讃岐うどん目指していた。道中は怪談話をして、帰りは飛行機で戻る酔狂な旅行。しかしこの旅行には多聞だけが知らない目的があった。
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『珈琲怪談』の前に復習しておこうと手に取った1冊。
多聞が登場するのは2作目で、この前に『月の裏側』があるのね。読んでいるかもだけど、すっかり忘れている。
でも、まったく問題なく楽しむことができた。
なんともつかみどころのない音楽プロデューサーの多聞。
なぜか、いろんなところで不思議な出来事と出会う。
その不思議について、語りあう雰囲気がとらえどころがなくて目が離せない。
いったい、何が起こっているのか。
人の心は不思議で怖い。
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私が好きな恩田さんのジャンルでした。
そこには登場する人物たちの日常があるのだけど、何かしら少しの違和感がある。
小説ゆえイベントや事件的な話題があるし、その話も不気味な要素をはらんでいたりするけど、喉に小骨が刺さっているような、そうでもないような…そんな、言葉にできない違和感、いや不安感が終始あるお話。
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続編の「珈琲怪談」の前に再読。塚崎多聞を主人公とする五つの短編集。しっかりオチのある話からふわっと終わる話、ゾッとする話など恩田さんらしい短編集。この空気感がたまらなく好み。ふと旅行に行きたくなる一冊。「珈琲怪談」も楽しみ。
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恩田陸さんの1冊目がこの本でよかったのか?はわかりませんが、まずはこの本から購入。
主人公・多聞の5話からなる本。
主人公は話毎に年齢を重ねていき、タイトル通り5話の内容のつながりはありません。
評判通り、情景描写の表現力が秀逸で実際にその場に居合わせているような感覚にさせられます。
表現が綺麗が故に恐怖も繊細なレースに包まれるようです。
恩田陸さんの作品は、ホラーだけでなくいろいろなジャンルの作品をこれから読んでいこうと思います。
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奇妙な世界へ引き込まれる独特な筆致、世界観だった。ホラーとはまた違う、気づいたときには日常に戻れないような感覚を味わえる「不気味」ジャンルを確立した印象。
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ぼやっとして思い出せないけどうっすらと春の不気味さが漂う作品だったのは覚えています。
あとスイスイ読めて読んだ後に面白いなこれはと思った記憶があります。
他の小説とは違う奇妙さを感じて好きでした。
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『続かないと教えてくれる物語のつづき』
2015年に月の裏側を読んで、今回不連続の世界を読んだ。内容なんてなにも覚えてなかったはずなのに、読み始めるとじとっとした水のにおいと揺れる柳の音が蘇ってきた。
恩田作品の仄暗さは、どこから湧いてくるのだろう。重たくて湿った空気が頬を撫でる。ホラーでは決してないのに、読み終わると少し肌寒く感じる、夏にぴったりな1冊だった。
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読んでいると世界観に引き込まれて不安感が煽がれるが、続きが気になりページをめくってしまう。
個人的に「悪魔を憐れむ歌」が背筋がゾクッとして読み応えがあった。
また、「幻影キネマ」は読んでるだけでも想像してトラウマになりそう
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音楽ディレクター塚崎多聞のフランス人の妻ジャンヌが
突然里帰りし、そのまま音信不通になって、そろそろ
1年になろうとしていた。多聞はジャンヌの実家を
訪ねたが…。「夜明けのガスパール」ほか中編5編。
「月の裏側」の塚崎多聞、再登場。
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塚崎多聞シリーズ、順番は違いましたが3作読むことができました。満足。
「夜明けのガスパール」
寝台特急サンライズの中で繰り広げられる不穏な世界。
今も現役のサンライズが走っていてよかった。
ますます、サンライズへの乗車が高まる!
多聞シリーズ、珈琲怪談で復活した勢いでこの先も続いて欲しい。
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【月の裏側】が最初とは知らず、こちらから読んでしまいました。
時系列が急に変わるので、いつの間にか多聞がジャンヌと結婚していたのでびっくり!笑
これこそが不連続の世界?と思っていたが違った。
少しぞっとするような話を多聞が解決するけど、
最後の話だけ多聞が気付かされる話。
男4人で夜行列車に乗って怪談して讃岐うどんを食べに行くって楽しすぎる旅でしょ!
でもみんなの話怖すぎるけど、、笑
多聞の話は最初意味が分からなかったが
最後なるほど!
みんないい友達だなぁ。
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音楽関連の仕事をしている主人公の塚崎多聞が、不思議な体験をする5話の中編構成だ。
1〜4話までは独立したミステリーとして読み進んだのだが、最後の5話で全ての話が繋がる仕掛けだ。
人の心の曖昧模糊とした不可思議さ、現実が朧げになる人の記憶、現実と空想の境の曖昧さなどを下敷きにして、人が陥りやすい「思い込み」がテーマとなっている。
今回の相変わらずの摩訶不思議な恩田ワールドは少々難解だったが、最終章で「そういうことだったのか⋯」と云う結末で終わる。
読み終わって知ったのだが、前編に『月の裏側』、続編に『珈琲怪談』があることを知った。
『珈琲怪談』は既に手元にあるので続けて読み、それから『月の裏側』に戻って読もうと思う。
変則ながら恩田陸女史が綴る不思議な世界を楽しむつもりだ。
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読み始めてから、ファンタジーな展開に「ん?こういう系なんだ」と思い、ちょっと怖い雰囲気も漂ってきて若干ひるんだけど、最後までそれなりに楽しんで読めた。
4話までの多聞の人物像と最終話の彼があまり結び付かず、多聞ってこんな感じになっちゃうような人物かなぁ??と違和感を覚えたけれど、それだけショックが大きかったということなのかな。
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塚崎多聞が日本のあらゆる場所でいろんな人とミステリーに巻き込まれる短編集。多聞ののんびりした無害な人柄が良い。話はどれもゾッとする部分があった。最後の話は、予想外の結末で面白かった。
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「月の裏側」の多聞が好きでこちらも読んでみた。
相変わらずのなんだか掴みどころのない性格でなんだかほんわかする。
話自体は、少し怖いホラーのような感じで、独特の不気味な雰囲気の短編集。
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最後以外はどの短編も面白かった。最後が無ければ3.5点だったと思う。
あまり覚えていないが、前作でこの主人公の多聞という人物が嫌いだったような記憶がある。だから本作を読むのを先延ばししていたような感じがしている。
本作の他の短編では、そのイヤな部分を感じることが無く、むしろ好感を持っていただけに最後の話で主体性が無く無意味に弱い部分(=おそらく前作で嫌った部分)がオチに出てきており、この主人公の出てくる作品は二度と読まないと決めた。
流されて生きている(しかし他の短編ではかなり感性が鋭く感じる)男が現実を1年以上も受け入れられずにバカみたいにしているのは到底受け入れられない。
最後の短編のイラつきで2点を付けようかと思ったくらい著者と感性があわないと感じた。
恩田陸の作品は3作目だが、どれも印象が薄く、今後は倦厭する作家になりそう。
Posted by ブクログ
2021.12.17
『月の裏側』の多聞さんの話。本当に久しぶりに恩田陸作品を読み、やはりわたしはこの方の作品が大好きだ、と思った。魅力的な登場人物が多いけど、あとがきで「小説世界の設定が先」で人物ありきの小説は書いたことがない、とおっしゃっていたのが印象的だった。たしかに登場人物と並ぶくらい舞台も魅力的ではある。日本のどこかの土地らしいがそこではない、という描き方がよい。
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多聞さんの中編集。多聞さんのための文庫ではないだろうか。私は最初多聞さんを軸に置いた、話を作り、何個か纏めたのかと思っていたが、あとがきで「登場した話をまとめた」と書いてあった。だから内容が続いてなく、何となくちぐはぐだったのだなと思った。しかし多聞というキャラクターが掴みどころのないゆらゆらとした感じで書かれていて好きだった。
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始めの方の短編は描かれている内容が理解できなくて、こんなのが続くのは嫌だなあと読み進めた。他の話は理解できるとともに、怖いのに、先が知りたくて読むのが止まらなくなった。
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夜明けのガスパールの最後でぐっとなきそうになった。大人になっても集まって話しながら時間を過ごせる友達が何人かいるのは良いなぁ、と。
時間ができたら鳥取砂丘と小倉の松本清張記念館に寄らねば