あらすじ
近未来。時間遡行装置の発明により、過去に介入した国連は、歴史を大きくねじ曲げたことによって、人類絶滅の危機を招いてしまう。悲惨な未来を回避するために、もう一度、過去を修復してやり直す。その介入ポイントとして選ばれたのが1936年2月26日、東京「二・二六事件」の早朝。そして史実にかかわる3人の軍人が使命をおうことになる。過去の修復はできるのか!?
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Posted by ブクログ
歴史SFとでも言うのだろうか。
時間遡行装置の発明により、過去の歴史に介入することが
できる様になった近未来のお話。
過去を修復してやり直すというプロジェクトの元、
選ばれたのは1936年2月26日の東京。
そう、かの有名な二・二六事件である。
この突飛な設定と壮大な歴史、
日本史上最大のクーデター事件を取り扱う勇気。
これにはもう感服である。
そして読み応えは十分。
歴史を正す者、その当事者、双方の入り乱れる信念。
あっという間の上巻であった。
少しでも二・二六事件についての知識があれば
より楽しめる作品である。
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数年前に手放してしまったが、面白かったという思いが強く残っていたので再読。開始30ページで心を掴まれた。なんて面白い作品!
恩田陸の気味の悪いミステリーがとても好きだが、これはまた格別。自分がシンデレラの靴に選ばれたなら、栗原のように動かないと言えるだろうか?
早く下巻が読みたい。
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時間を遡ることが出来るようになった世界で、過去に戻った人が重要人物を暗殺した事でとんでもない未来になってしまったことから、国連は歴史を再生して再確定する計画を始めた。(明言されてないけどホロコースト云々なので暗殺されたのヒトラーなんじゃないかと思っている)
日本がやり直すのは「二・二六事件」。その時代の人物で、やり直している歴史だと知っているのは3人。でも、細かい部分で史実との差異が表れ、死ぬはずではなかった人物が殺されたりしても「不一致」とはならないことで、「正しい歴史など存在するのか?」「これは“新しい世界”なのでは?」と思い始めた彼らは、日本が辿る悲惨な歴史を変えられるのでは…という思いに駆られていく。3人のこの意識の変化の流れがわかりやすいし理解できるのもどこか悲しくなります。歴史好きならこう思うのは一度や二度ではないので。
かなり面白いです。歴史改変SF。「歴史は自己を修復する」やバランスを取るという説はよく耳にしますし(「戦国自衛隊」も「百年法」も既読)、この作品も悲惨な戦争の歴史は改変したもののHIDSという激しい新陳代謝で短時間で老化し死に至る病気が蔓延して未来の世界は滅びかけています。
大勢が合ってたら細かい部分の相違は問題ない…というのも本当はそうでなく、、、相違も実は大変な違いだったのでこれから先の歴史の大勢と合わなくなってしまうのはどうするのか。
この時代でもHIDS罹患者が、という不穏なラストも良いです。歴史ハッカーは何者だ。ハラハラと下巻へ。
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二二六事件は全く知らない出来事で予備知識なく読んでも分かりやすい。
未来の人間が史実とおりに再現することでまた未来が変わる変換点が二二六事件
どうなっていくのか下巻が楽しみ
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ひねったアイデアと、その世界観を見事に描き切っている。
細かい説明を上手く回避するテクニック。
当時の日本のリアリティ。なかなか書けるものではない。
ウイルスの蔓延など、今の状況とシンクロしすぎて怖かった。
IF 今の世界も確定の最中だとすると…。
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「二・二六事件」に題材をとった歴史改変SFだ。宮部みゆきも「蒲生邸事件」で同じく二・二六事件を舞台にしていて、かぶるのかなあとちょっと不安になったが、いやいやこれは恩田陸独特の世界観があって、読みごたえがあった。むしろこちらの方が断然面白い。未来からやってきた国連の人間たちが、実際の事件をもう一度なぞっていくはずなのに、誤差がいろいろと出てきて、おいおいこれで大丈夫なのか、歴史がぐちゃぐちゃになるぞと読者を不安がらせるところも上手い。先を読みたくて、すぐに下を読むこと請け合い。
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時間遡行を使ったSF小説。・・・と言っても難解な科学理論で頭が痛くなるようなものじゃない。読み進む中で時々思考が追いつかないような場面があったとしたら、それは物語の伏線を張るための巧妙なスモークのようなもの。本当にこの物語は多くの伏線が巧妙に張られ、知らず知らずにその1本1本が脳に付着して静かに息を潜めている。そしてクライマックスの合図の瞬間、1本の強く長いロープとなり私の脳を一気に縛り上げてしまう。快感、まさに快感。『近代日本史』『軍』は今の私のちょっとしたブームであり、その点も相俟ってとても快感な作品でした。何度も言うが伏線の張り方が本当に凄い。
Posted by ブクログ
うーん、再読なので面白いのは知っていたけれど、やっぱり面白い。
前回読んだのは高校の時で、二・二六事件やその周辺の時代背景をそこまで知っていたわけではなかった。
今だってそう詳しくはないけれど、多少知識が増えたことで、より深く読むことができたような気がする。
栗原たちや国連の行動が招きかねない「未来」、これって現代日本に生きる私たちにとって、すごく、恐ろしいものなんだよなぁ…
Posted by ブクログ
私はこの本で恩田さんが好きになりました。恩田さんは作品ごとに雰囲気がかなり違う作家さんだと思うんですが、私はスピード感がある作品が好きです。
あと、二二六事件についてまったく知識がなかったのですが、この本をきっかけに興味を持つことができました。
Posted by ブクログ
歴史のターニングポイントといわれる二・二六事件をテーマにしていることで手に取った作品。宮部みゆきの『蒲生邸事件』も同じ二・二六事件を扱った物語、恩田陸がどんな二・二六事件を描くかとても楽しみ。
もし自分が二・二六事件の首謀者の一人で、二度目の人生を与えられ事件がやり直されるとしたらどんな行動をとるだろうか。
読み手は二・二六事件の悲しい結末を知っているだけに皇道派の安藤や栗原に感情移入してしまう。
石原莞爾や謎のハッカーの存在も常に不穏な空気を物語のなかに漂わせており雪が降り積もる東京は独特の臨場感とぴりぴりとした緊張感が伝わってくる。
歴史の忠実な再現を行おうとする未来人、それぞれのの思惑が交錯して誰が味方?で誰が敵?か次はどうなるのか先の読めない展開に好奇心が刺激され次から次へとページを捲ってしまう。
史実通り再現されるのか?歴史を変えようとするのか?歴史のifにぐいぐいと引き込まれ様々な余韻と謎を残し下巻への期待が大きくなる。
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歴史改変SFでありながら、終始不穏な空気が流れていてゾクゾクします。「歴史改変の失敗を修復をする」という設定が難しいところもありますが、危険要素がいくつも積み重なっていくので展開が全く予測できないです。SFとホラー要素が好きな人はおすすめです。
Posted by ブクログ
二・二六事件、昭和11年2月26日からの四日間、陸軍青年将校が下士官を率いて起こした日本のクーデター未遂事件。この事件をきっかけに軍部が力を得て第二次世界大戦へと繋がっていくとされる歴史の分岐点。この作品ではその史実を取り上げていますが、単純な歴史ものではありません。
『「あなたは過去に行けますよ」と言われたら、人はどんな行動をとるだろう?全人類で一つだけ、過去が修正できると言われたら?人はいったいどの過去を修正しようと考えるだろうか?君だけが過去に行けるし、修正できる箇所はたった一つだけと言われたらどうするか。』、これは恩田さんが描くSF長編小説!恩田さんのSFが読める!という喜び。
でもそれだけも終わらないのが恩田さん。『キティ、キティ? やだ、どこに行ったのかしら。』『噂には聞いていたが、これが「シンデレラの足」か。随分太い足だな』真面目な史実を舞台にSFが展開し、そこに恩田さんらしいはちゃめちゃな世界感が乗っかる世界感。これぞ恩田ワールド!が展開します。
恩田さんの上下巻ものでは、上巻でストーリーを理解しようとしてはいけません。『決起から収束までの四日間を、忠実に再現しなければ、俺はいつまでも成仏できないのだという。自分が結末を知っている運命をなぞることが、こんなにも苦しいこととは思いもよらなかった。』、史実にも登場する栗原中尉が語ります。時間遡行技術により過去に戻り過去をやり直せる機会を経た、史実では銃殺刑になったはずの人物がとる行動の意味。歴史が微妙に変わっていく瞬間、第二次世界大戦を経て現在の日本に繋がるその後の分岐点にいた人たちが死んでいく、歴史が繋がらない…これはこの時代の歴史をよく知っている人ほど、ぞくぞくするような展開なのではないでしょうか。
『神は人間に好奇心という起爆剤を与えたんだ。人間が得た最大のギフトは知能じゃない、好奇心だ。』歴史を作っていくのは好奇心。もの凄い破壊力を持った人類の叡智。こうして歴史は変わっていく。
一方で恩田さんは国連から派遣されてきたジョンの言葉を通して、この事件をこのように語ります。『確かに、これは日本的な事件だな。責任の範囲と所在の曖昧さ、コミュニケーションよりも隠蔽を「和」と呼んで尊ぶ欺瞞。非常に日本らしい。 』強烈な皮肉、今も引き継がれる日本らしさ。『和』。こういう視点から恩田さんが書くセリフはとても珍しくて新鮮です。
『正規残存時間、シンデレラの靴、HIDS(歴史性免疫不全症候群)、ピリオド、懐中連絡機、王子の手』、例によってよくわからない名詞が続々登場します。でも、よくわからないからこそ知りたいと思う。よくわからないからこそ知りたいと願う。よくわからないからこそ次に進もうと思う。ということで下巻もとても楽しみです。
でも、自分にはその前にやることがある…。
二・二六事件、この作品では、基本、史実を投影しているはずなのに、学校で習ったはずなのに、超有名な事件なのに、登場人物を誰も知らないという情けなさ。学んだものを学校に置き忘れてきたことに気づく反省の読書。
知らなくても十分楽しめるのはわかっていますが、反省の意味を込めて、下巻を読む前にこの事件について少し知識を得て来たいと思います。
Posted by ブクログ
バランス、それこそが神の摂理だ。
世界は常に均衡していなければならない。例外や過剰は許されないのだ。
神の摂理は、不自然なもの、いびつなものを見逃さず、均一であるのも許されない。
一つ印象に残っているのは、陛下が残した手記の中で、日本国民のことを「徒に付和雷同する」と評していたことだ。そうなのだ、決して戦争は軍だけが行うのではない。殺せ、奪え、あの陣地を取ってこいと銃後で囃し立てたのは国民なのである。目の前に提示された情報を吟味することなく、すぐに浮き足立って他人の尻馬に乗り、その場の雰囲気に酔うのは日本国民特性である。
なぜかは知らないけど、神は人間に好奇心という起爆剤を与えたんだ。人間が得た最大のギフトは知能じゃない、好奇心だ。
2.26事件を史実通りやり直そうという話。
ほっとけば同じように展開する、というようなことを言っていたのが印象的。下巻の展開が気になる。
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「正しい歴史の再生」という全貌が掴めない未来的プロジェクトと2.26事件の際の軍人らの生々しい感情を描きつつ、だんだんとんだんと内容が明らかになっていくという恩田さんお得意の手法。乗せられてよく分からないままどんどん読んでしまうが、どうやって落ちをつけるのか、相変わらずドキドキする。
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歴史の再生と二ニ六事件とは、えらく壮大なテーマに挑んだものですが、今のところは負けずに緊張感を維持しています。
いわゆる恩田ワールドではない恩田作品もいいものですね。
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再読。読み始めてから気がついたのだが、奇しくも二・二六事件を題材にした作品を2/26に読むことになった。二・二六事件とタイムトリップといえば、宮部みゆきさんの『蒲生邸事件』があるが、テーマも描き方もまったく異なる。でも歴史の転換点として二人がこの事件を選ぶのは、この事件自体が人を引き付けるんだろうなあ。もし自分が歴史をやり直せるただ一人になったら、いつ、どこの何を選ぶんだろうか、と想像しながら読み進めた。深遠なテーマです。そして下巻へ。
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「ねじの回転―February moment(上・下)」恩田陸
歴史SF。オフホワイトって感じでした。
感触としては「ライオンハート」に通じるものがあるかなぁ、と。
あの茫洋とした読み心地と時間軸の「ねじれ」感がとても好きです。
これは何度も読み返すことになるだろうなという一冊でした。
なにより、ハードなSF描写で引きずり込まれてもおかしくない設定がごく当たり前のように導入される雰囲気がいいですよね。違和感がない。
「え、もしかしてこれくらいなら現実におこっててもアリかなぁ」っていう。それはないか。
物語がとても洗練されているんだと感じました。
それでいてSFとしての見せ場も兼ね備えていて、もちろん読み応えはばっちりです。
宮部みゆきさんと並んで「ソフトSF」っていう印象をもっていますが、そんな言葉はないようで残念(笑) (4)
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過去に遡って歴史を確認、修復していく国連の担当官がやってきたのは二・二六事件の直前。
史実とSFの要素が絡まったストーリーで、初めは何が起きているのかよくわからなかったが、いつの間にか、どう展開していくのか先を気にしながら読んでいた。
恩田陸の想像力はスゴい。
Posted by ブクログ
「二・二六事件」
この日付がそのまま名前になった歴史上の出来事は、誰もが知っているのではないか。私も知っている。
・・と思って読み始めたのだが、知っているようでこの事件がどうして起きたのか、この事件が、その後の日本の歴史の中でどういう意味を持つのか、悲しいほど覚えていなかった、、、いや、きっと当時、年号と名前と、国の中枢にいる政治家たちが殺された叛乱だった、と上っ面だけ覚えたのだろう。
そんなわけで、最初はこの事件について知識が足りず、いまいち作品世界に入り込めなかった。
もう1つ、残念なことに、私自身がSFは苦手分野でもあるため、色々な言葉の意味が分かるような分からないような、で。ところどころに挟まれる、現代なのかな?と思われる部分の意味も掴みかねていたり。
と言うことで、自分の読む力量の無さが大きいとは思うが、作品の評価や感想を記すのは、難しい。
下巻まで読んで、改めてまとめて感想を残したい。
Posted by ブクログ
舞台は二・二六事件
史実に詳しくないから最初は入りづらかったけど、
歴史を知らなくてもまったく問題なし
未来のために過去をなぞって修復する
正しい場合は「確定」、違う場合は「不一致」になりやり直していくはずが徐々に不一致が不一致でなくなり…
当時の電話を盗聴していて、オヅとクロサワ映画好きのアリスが感慨深くなるのに共感
たしかに当時の会話は現代よりも優雅で美しいんだろうなあ
Posted by ブクログ
内容は少し難しかった。
過去と現在、未来、少年の話がどうなるのか、また内部に潜むハッカーの正体など、下巻が気になる。
言葉選びのセンスがたまに光って見える。
Posted by ブクログ
最初はどういうことか良くわからないまま読んでたけど、どんどん世界に引き摺り込まれていく。
ちょいちょい出てくる少年が何者なのか。
誰がハッキングしてるんか。
歴史は変わってしまうのか。
下巻が楽しみ過ぎる。
Posted by ブクログ
人が歴史に手を出すことが許されるのか?
時間遡行ができるようになって、国連がしたことはある歴史上の人物の暗殺。それは歴史上の大きな悲劇を回避するための介入だったが、そのために人類に絶滅の危機が迫る。危機を救うために国連は、もう一度、過去を修復してやり直すため、過去の歴史的事件を「再生」し、そこで起きたことをなぞって歴史を「確定」するプロジェクトを始めた。今回選ばれたポイントは、「二・二六事件」。安藤大尉、栗原中尉、石原莞爾の3人が選ばれ、「確定」作業に取り組むがーー。
れきしをかえては、なぜいけないの。ということで。介入しておかしくなった歴史を、「正しい歴史」に戻すために取り組む国連のメンバー。協力を求められ、連絡機を持って、再度その時を過ごす軍人たち。しかし、自然に修復するはずの歴史は、繰り返せば繰り返すほど「不一致」が起こって「再生」をやり直すことになる。
SFなんてあまり読まないけれど、全然問題ない。難しい物理学なんてわからなくていい。歴史に詳しくなくてもいい。とにかく、登場人物と一緒にハラハラしながら、「黒幕」を想像し、歴史に介入する是非を考える。「正しい歴史」とは何か。それは誰かにとって都合のいい歴史では? どうしても考えてしまう。あの戦争に負けないために、悪化させないために、引き起こさないために、何か変えるならここではないか。あの時、ああしていれば。歴史にIFはないはずだった、でも、IFが生まれてしまったら。どうしても手を出したくなるだろう。だから、国連は『聖なる暗殺』(たぶんヒットラー)に手を付けた。そして世界には奇病が蔓延する。
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二・二六事件を部隊にしたタイムマシンもの。ちょっと期待が高過ぎたせいか、今一つ凡庸な印象だった。
解説の田中啓文(!)が指摘する通り、タイムマシンという題材を使っているわりには SF、SF し過ぎない、万人向けの小説。しかし、それにも功罪あって、後半に出てくる「つまむ」動作とかは、「それがありなら、そもそも…」というところが何か所かある。fragment と題した小章で結末を予測させる構成は最近よく見かけるが、成功している例を見たことがない。辞書の下りもあからさま過ぎて、ちょっと興醒める。『蒲生亭事件』を読み返したくなったな。
Posted by ブクログ
えすえふ。
恥ずかしながら、日本史に詳しくなく、この事件もほとんど知識がない。
だけども恩田さんの引力はすごい。
ぐい、と引き込まれてあっというまに下巻まで。
スリルとひやりとした感覚。そしてラスト。
気持ちいよい、好きな作品。
Posted by ブクログ
2・26事件をモチーフに過去と未来の関係性を問う作品。
過去を修正するとどのような結末(未来)に至るのかという命題は、ドラえもん以来永遠のテーマである。
昭和史は詳しくないため、2・26事件の背景等予備知識が無く、読み始めはとまどったものの、読み進めるにつれ、集中力が高まって行った。
下巻がとても楽しみである。
Posted by ブクログ
この本を読む際には最初にあらすじを確かめてから読んだ方が良いかもしれない。冒頭から全く設定の説明がなく物語が進んでいくので、訳が分からなかったが、世界観が徐々に明かされていく。
SFによく見られるような、歴史を改変するために主人公たちが奮闘するような話ではない。もう既に改変を実行してしまった後の世界の話なのである。主人公が所属するプロジェクトチームは、改変してしまった過去の歴史を史実通りに戻すために派遣されたのだ。このふたひねりぐらいしたSF設定は斬新に感じた。
ようやく世界観が現れてきたし、徐々に盛り上がってきた。次巻に期待したい。
Posted by ブクログ
二・二六事件が題材が題材。
宮部みゆきの「蒲生邸〜」もそうでしたよね。
日本人にとって、重要な歴史的事件であることは確かだと思いますが
私自身、正直詳しくは史実を知りません。
時間遡行マシンの開発により歴史がゆがめられたことによって人類はある危機を迎える。それを回避すべく、時間遡行マシンによって未来から来たスタッフ達と、二・二六事件の歴史上の関係者達とが、歴史を史実にやり直すべく使命を任され、共に行動をしていく・・・。
この発想はすごいですよね。
過去の歴史上の人物達が自分達が逆賊と扱われて無念の死を遂げることを知りながらも同じことを繰り返さなければならない・・・自分達が死んだ後の遥か先の未来を救うために。
その精神力は計り知れないし、果たしてそんな事にどんなに強い人間であっても耐えることが可能なのか?
それとも彼らは未来を知ってるからこそ、歴史を変えようと動くのか。
前半は状況を追うのに精一杯でしたが、後半は果たして歴史はどう「確定」されるのか、いっきに読み進められました。
一度では理解しきれなかった部分もあり、読み落としていることも多いような気もしますが、もう一度読むか?と言われるとちょっと辛いな、と思ってしまったりもします。
そういう重さがある作品でした。
そして・・・最後は切なかったですね。
歴史は変えられない、たとえ変えられてもいい未来だけが待っているとは限らない、時間の巡りに終着駅なんてないでしょうね。
時間を遡ることなんてできない今、悲惨な事件がこれ以上起こらないで欲しいと思いました。