あらすじ
安藤大尉、栗原中尉、そして石原莞爾は、再生プロジェクトの指示のもと、コンピュータ『シンデレラの靴』がつくり出す時間の狭間で「再生」された過去をなぞり歴史を「確定」してゆく作業にとりかかる。だが、3人の胸の内には、異なる決意があった。錯綜する時間、空間、それぞれの思惑。「二・二六事件」という歴史の事実に材をとり、自在な筆致で想像の極限を描くSF長編。
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Posted by ブクログ
10年ぶりくらいの再読。読んでいくうちに、そうだった!これこれ!と思い起こされ、あぁやっぱりなんて面白い作品なんだ!と最後までノンストップでドキドキワクワクさせられた。最高の一冊。
何のための遡行プロジェクトなのか判明する時の鳥肌といったらないし、これまで割といい子だった石原がまさかの行動により不一致を起こした瞬間もジトりとした恐怖が沸く。
そして懐中連絡機を持ったマツモトの口調や喋り方、こんなにゾクゾクするものはない。置かれた環境が人格を作るのだとまざまざと感じられる。
何といっても目を離せないのは栗原中尉。彼の冴え渡る勘と研ぎ澄まされたカリスマ性には心を奪われてしまう。必死にもがいて巧みに誘導してきた彼の、最後の不一致での叫びに胸を締め付けられないものはいまい。
こんなに面白い物語をこれから初読できる人たちが羨ましくてたまらない。
Posted by ブクログ
下巻は始めからフルスロットル。fragment5はジョンが望んだ未来か…「よその国で戦争するということをアメリカはもっと思い知っておく必要がある」為に、、
「二・二六事件」で岡田総理や鈴木侍従長が亡くなり、陸軍と海軍が戦闘したり、陸軍同士で戦闘したり、石原莞爾が東条英機を射殺したり……IFが凄すぎる。。
上巻からわりとボサっとしているマツモトがかなりの重要人物でした。特別な4台目を持って外にいるときのマツモトのキャラが変わって口調がそれまでと違うところ、命のやり取りという極限状態での人の変なテンションという感じで腑に落ちます。実際にその場にいないと感じられないことはあるのでその後のマツモトの行動も納得。幼少期のマツモトのとこに行ったのはマツモトなんだろうけど、あれは再生プロジェクトが1回目ではないことの伏線だったのか。
“正しい「二・二六事件」”は確定しましたが苦い読後感です。ラストの出会いが良い方向へ繋がりますように。読み応えある作品でした。
襲撃された教育総監渡辺錠太郎って、渡辺和子さんのお父さんですよね…「置かれた場所で咲きなさい」のさ。。
Posted by ブクログ
面白かった。
鉄棒の練習を助けた人、車の暴走などなど最後で何故起きたのか分かる。過去を変える大変さもコミカルに描かれて重い空気も軽くみえる。
この作者と相性はすごくいいのでもっと作品を読んでいきたい。
Posted by ブクログ
ひねったアイデアと、その世界観を見事に描き切っている。
細かい説明を上手く回避するテクニック。
当時の日本のリアリティ。なかなか書けるものではない。
ウイルスの蔓延など、今の状況とシンクロしすぎて怖かった。
IF 今の世界も確定の最中だとすると…。
Posted by ブクログ
第二次世界大戦の頃の話なので、軍隊とか軍人が沢山出てきて難しいと言うのが読み始めの印象。
やけどすぐにストーリーに入り込めて、普通の小説として面白かった!
3回読み直しました!
Posted by ブクログ
わたしは好きですよ
恩田氏の著作の中でも大好きな作品です。
人類のあまりの傲慢さ・・歴史に介入せんとする姿勢
まあ人間的には「黒歴史」は潰したいというの理解できますが。
実際に当の「2.26事件」を生き抜いた人々に対する
冒涜以外の何者でもないでしょう。
頼むから「死なせてくれ」そういうの辛いですよね。
Posted by ブクログ
間違いなくSFなのだけれど、よくよく考えると、これって一種の歴史観を示してもいるのかもしれない。
私がそれを感じるのは、「登場人物たちは『正史』通りに確定しようとしている」という部分。
つまり、「正史」って、「勝者の記した『正しい史実』」だから。
恩田先生がどこまで「正史」に意味を込めたかは分からないのだけれど、この話のオチ(あまりに衝撃的な展開)を思い出すに、「歴史」ではなく「正史」としたのは、やっぱりそういう考え方が根っこにあってのものな気がする。
Posted by ブクログ
こんな結末だったっけ(°_°)fragmentがこんな形で伏線になっていたとは。
結末をわかった上で“歴史を再生”するのはどれほどもどかしく苦しいものなんだろう。歴史が変われば違った未来があったかもしれないと、安藤も栗原も石原も感じていたんじゃないかなぁ。特に安藤に感情移入してしまった。
Posted by ブクログ
いわゆる2.26事件は、不思議な出来事だと感じさせられる。
主に皇道派の軍事クーデター未遂、と単に言えるわけでもない。その中には国家社会主義に傾倒した者や、東北の農村の窮状に義憤を感じた者もいる。
確かに血は流れたが、他国のクーデターのような革命や国家転覆、暴力としての悲劇性は薄い。
が、首謀者達の末路は陰惨さを感じ、暗く長い時代の象徴的出発点とも言える。
そして、昭和の時代に天皇が自らの御意思を強く発露されたのは、この事件と先の大戦の終戦、この二回だけだろう。
そういった意味でも、2.26事件に目をつけ、SFとして書ききった著者の力は素晴らしい。
読後には様々なことを考えてしまう。
例えば、そもそも国連にそんな力はあるのか、だとか。
北一輝は現れないのか。磯部浅一はモブ役だなあ。トウジョーを殺したとて、果たして……その前の首相の方がマズくないか……などなど。
そんな野暮な事を考えながら、海軍が来るシーンなどはビックリしたし、鉄棒のシーンはやっぱりな、などと、色々考えている時点で、著者の術中にハマっている気がする。
ラストも同じく、これはそのまま受け取れば、いや、ひょっとしてこれ自体が、という謎も残った。
改めて「正史」とは何だろう、と考えさせられる。そもそも「時間」とは。歴史介入モノは面白い。
Posted by ブクログ
正しい歴史に導く為に何回も二二六事件が繰り返され、俄然、面白さが増してます。
物語の間にあるインタールードも最後に繋がっていきます。
まさか、上巻の子供が逆上がりの練習している話がここに繋がるのかなーと納得。
パラレルワールド?を上手く描いた作品だと思います。
ラストもなんか、映画の美しいシーンのようで良かったです♪
Posted by ブクログ
舞台は歴史の教科書でお馴染みの二・二六事件。歴史の分岐点であり謎の多い事件だ。
他の二・二六事件の本を読んで分かったのだけれど、かなり史実の細かいところまで物語に組み込まれており、それがリアリティーと緊迫感をより一層際立たせているように感じた。
二・二六事件の実在の登場人物、安藤大尉や栗原中尉、石原莞爾が未来人の再生プロジェクトのもと歴史を確定させていく過程が描かれている。
興味深いのは彼らが過去を忠実になぞることを強いられながらも各々の思いが交錯し、どんな行動をとるか想像が難しいところだ。
特に安藤と栗原が昭和維新を成功させるのか?統制派に近い立場の石原の役割は何なのか?が気になるところだ。
もし自分だったら逆賊として歴史に名を残したくないし昭和維新を成功させたいから史実とは違う行動をとるかもしれない。
安藤や栗原の未来を知っているだけにあんな思いは二度と御免だと思うのが普通だろう。
読み進めていくうちに彼らが自分の意思で行動しているのか、歴史という巨大な歯車に動かされているのかが混同してくる。
そもそもこのプロジェクト自体が歴史の流れの一部に組み込まれているのではないかと…
こんなことを考えていると案外今の自分も歴史に動かされているのかも、なんて思ったりしてしまうから不思議だ。
私的には興味のある二・二六事件を背景にifの世界観がとても面白く感じられた。
本書はあったかもしれない未来、いろいろな可能性を考え想像するきっかけと好奇心を与えてくれる「最高のギフト」だ!
Posted by ブクログ
歴史は自己を修復する。
まさにその通りだなと思わせる。
上巻のスピーディーな展開に勝るとも劣らない展開が続く下巻。
だが、やはりというか、どこかモヤっとした終わり方であることは否めない。
Posted by ブクログ
シュレディンガーの猫をはじめ、重ね合わせの世界が同時に存在する、量子力学のモチーフも下書きに、パラレルワールドのSFストーリーは予測不能な面白さだった
Posted by ブクログ
恩田陸ならではの不可思議な世界。タイムマシンと歴史事件をミックスして描く小説。面白いのと実験的ですぐに理解できない方もあり、消化不良。まだ自分の頭の力が足りない
Posted by ブクログ
凄い!!
最後の伏線回収が物凄い!!
ゾワっとする。
本当の歴史を織り込みながらここまで別の物語にするとは…!!
私の知ってる恩田さんの他の作品とは全然違うこの作品。もっと他の話も読みたくなった。
Posted by ブクログ
「正しい歴史」を作り出せ。
上巻のラストで、HIDSをこの時代に持ち込んでしまったことが発覚。調子の悪い『シンデレラの靴』やHIDSへの対応だけでなく、3人の軍人たちの思惑が絡んで、国連メンバーはとても歴史を「確定」させるどころではない。疑心暗鬼に陥りかけたところ、ジョンがマツモトに明かした秘密とはーー。
もしかして、ラストシーンの2人が出会ったことで、時間遡行の技術が生まれたのでは。それならば、マツモトの選択が時間遡行装置を生んだことになってしまう。そんなパラドックスも含めて、読み応えのある物語。誰だって、やり直せるなら、やり直したいと思ってしまう。どれだけ正義にまぶしていても、一部の利益につながる行動。もしくは、何もかもを超えた、ただの好奇心。
Posted by ブクログ
なんだかんだ言いながらもアメリカを主体とした国連の真の目的は、偏見かもしれませんが頷けるところがあります。
また日本の将来を憂う昭和初期の若き将校達の情熱と焦燥、あくまでも職務として取り組み、ある意味ではゲーム感覚の未来の科学者達など、非常に上手く描かれていました。それらをこんな大作に仕上げた恩田氏はやっぱりスゴイ!
Posted by ブクログ
再読。設定も伏線も複雑で、すべて整合性があって回収しきれているのかは不明だが、面白いからそんなことはまあいっかと思った。日本に完全なる敗北をさせ、アメリカに罪の意識の抑止力を持たせようとするあたりは現代的な視点も入っていて興味深い。どこかで誰かが絶えず歴史をやり直していたとしたら・・・、なんて空想してしまった。
Posted by ブクログ
SFの親殺しのパラドックスに何度も対面させられる。
歴史の流れを変える事は是か非か。フラグメントとして表される事象はいつの時代のいつの出来事なのか、読み進めれば進めるほど錯綜し、伏線に気づき、また元に戻る…
映画マトリックス的な構成を小説で構築する素晴らしさは圧巻だけど、読後感はすっきりはしない…
Posted by ブクログ
2回目の時間(石原の東條英機暗殺)までは面白かったのですが、マツモトが「つまむ」で介入していくところから少し理解に苦しみました。タイムパラドックスものの宿命である、設定の複雑さから入れ子構造についていけなくなりました。4つめの懐中連絡機を誰がもっているかを期待していましたが、上手く活かされず。ただ、二・二六事件と不穏な空気、表現の巧さによって終始ハラハラゾクゾクする展開で、途中まではとても面白く読めました。
Posted by ブクログ
下
三島由紀夫に熱中していた時期があり、「憂国」「英霊の聲」から二・二六事件に興味を持ったが、ちゃんと調べたことはない。
で、たとえば宮部みゆき「蒲生邸事件」をラジオドラマで聞いたり、久世光彦「陛下」、柴田勝家「ヒト夜の永い夢」、奥泉光「雪の階」を読んだりした。
北村薫「鷺と雪」、武田泰淳「貴族の階段」はいずれ。
同じく押井守「機動警察パトレイバー 2 the Movie」やOVA版「二課の一番長い日」が好きだが、鈴木清純「けんかえれじい」は未鑑賞。
と、中途半端な状態。
せっかくだから年に一度関連作に触れようと思い、本作を読み、途中で五社英雄監督の「226」を見た。
まあ、だからといって雰囲気以上に理解できたわけではないが、本作は結構楽しめた。
「タイムマシーン」とか「パラレルワールド」とか「ループもの」という言葉は使わず、「シンデレラの靴」とか「確定」とか「不一致」とか「つまむ」とか「聖なる暗殺」といった、繰り出されるキーワードが絶妙。
あと、「クロノトリガー」とか「ドラえもん」とかで育まれたセンスに感謝。
Posted by ブクログ
いまのコロナ禍と共通するところがある
「ねじの回転」ではHIDSという奇病が蔓延し
世界を破滅に向かわせるけど、もしかしたら
コロナも未来を破滅させるかもしれない…
そしたらどの時代を修正するんだろう?
Posted by ブクログ
同じ歴史を何回も繰り返されるのは当事者にとっては堪らないものがあるだろう。当事者にも思いがあり、その方向性で意図的に少しずつずらしていくと………タイムパラドックスに捻り加えた面白い構成。
Posted by ブクログ
2.26事件を題材に過去をやり直す。。。というSF的な内容で、タイムパラドクスとか、これは一体どうなるの?という読んでいる中でも頭がこんがらがってきそうな話でしたw
何度も繰り返される中で何が正しいのか、あるいはどうあるべきなのかがわからなくなってきて…
最終的にはちょっとホラーチックな感じでしたね。
日本で起きたクーデターとして有名ですが、以前映画で見ていたので、なんとなく内容はわかりましたが、知らないと結構わかりづらかったかなという気もしました。
Posted by ブクログ
テンポは早く読みやすく、落ちもちゃんとあったので一安心。だが、最後は駆け足過ぎて辻褄があっているのか有耶無耶なままになってしまった気がする。歴史が変わっているのに、「つまめる」時間は今の過去ってのはおかしくないか。(確定していないからいいのか?)
何より過去に遡り、干渉できる機械を持っているのに、それにしては旧式なやり方だなぁと。
Posted by ブクログ
う~ん、分かりにくい小説だった。
タイムトラベル物であり、扱ってる背景が二・二六事件となると、かなり面白そうだと思ったんだけど、少々、期待はずれだった。
二・二六事件は、皇道派と統制派の対立(反目)を軸に、様々な人が様々な思惑で動いた事件だと思うが、そのあたりの事が描かれてないのが不満。安藤、栗原の両青年将校と石原莞爾、そして未来からきた「国連」の職員たちを描いてるわけだけど、もう少し他の人たちの動きなり思考なんかを描いても良かったような気がする。
なかなか物語に入り込めなかった。
子供時代の鉄棒なんかは上手い使い方だと思うけど、現実の歴史を知っているだけに、「この後、どうやってストーリーをまとめるのかな?」と言う興味だけで読み進めた。胸に迫るような感動とか余韻もなかった。
☆3個
恩田陸は「夜のピクニック」や「ネバーランド」なんかの学園モノの方が自分に合うな、と再認識。
この手の小説だと宮部みゆきの「蒲生邸事件」の方が奥行きがあって楽しめた。