恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読むと奈良に行きたくなり、
奈良に行くと読みたくなる。
大好きな恩田陸さん。
夜のピクニックは代表作の一つだが
この『まひるの月を追いかけて』は、大人版「夜のピクニック」だ。
二人の女性が、一人の男性の話をしながら奈良を、明日香を、山辺の道をひたすらに歩く。のどかな風景描写も挟まって…と、ほっこりした作品かのようだが、さすがは恩田陸さん、そんなストレートな展開にはしてくれない。
そもそも、恩田さんの作品には「不穏さ」がつきまとう。はっきりとは書かないけど、何か良くないことが起こるのではないか、と気持ちをざわつかせる描写がとてもうまい。
この作品も同様で、どこか不穏なのだ。
そして、次々と「何か」が起こる。
何かと京都と比べられがちな奈良。
京都は泣く子も黙る大観光地だが、恐らくこの作品は、京都が舞台では成立しない。舞台に奈良を選んだことが、既に「不穏」なのだ。 -
Posted by ブクログ
audibleにて。うすぼんやりと不気味なような怖いような、1作目ともつながっているようないないような、な連作短編集。1作目と3作目でそんな雰囲気にも慣れて、それをを味わいたくて読んだのでわりと満足。3作の中ではこれが一番好きかなあ。
死者の歌声の話がなんでそんなことするん…感が不気味で好み。サンライズはいつか乗りたい。鳥取砂丘を2年前に生まれて初めて訪れた時にちょうど能登半島の地震速報が来て、土産物屋では緊迫した様子のテレビのニュースが流れていたりして、なんだか記憶もわやわやしている。砂丘が舞台の作品のあいまいな感じはそういう個人的な記憶にしっくり馴染んだ。 -
Posted by ブクログ
「怖い話は、こんなふうに、エレガントに優しい声で語られるべきものなのだ」
地元の名士が語った山の話が恐ろしい「悪魔を憐れむ歌」この話は、その歌声を聞くと死にたくる歌「山の音」の謎を追う話で、その歌声の主の女性を『珈琲怪談』にも登場する塚崎多聞が追う。
多聞と友人との会話の中で、『山の音』と言えば、川端康成の小説だよね、という話が出てきて、そうそう私もそう思った。内容ほとんど覚えてないけど、山の音は死を予感する音だったような…
恩田陸さんの『不連続の世界』、『珈琲怪談』は小説や映画、音楽についての雑談が自然に織り込まれているところも素敵です。登場人物たちの会話を聞いていると、「それ読んだ」「懐かしい」とうなずきたくなりますし、そこからまた新しく読みたい本が増えていくのも楽しいです。
オムニバス形式のホラーというか、旅先の空気や土地の気配を味わうトラベルミステリーのようでもあり、読んでいるとその土地の風景や温度まで浮かんできます。旅先で読みたい本です。 -
Posted by ブクログ
とあるショッピングモールで起きた大人数の死傷事件。その発生原因には謎が多く、事故なのか犯罪なのかもよく分からない。その事件の被害者及び関係者に対するQ&Aだけで構成された小説。
読み進めるにつれて群集心理の愚かさやグロテスクさがこれでもかと出てくる展開に、嫌気がさしつつも引き込まれずにはいられない。
結局この事件の真相は何だったのか?タクシー運転手の彼が言っていたことが真実なのだろうか?分からないまま小説は意外なラストを迎える。
全体的にスッキリしない。胸につっかえた嫌な感覚が残る。しかし決して駄作ではない。
好きではないが、つまらなくもない評価が難しい作品だった。