恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
舞台は歴史の教科書でお馴染みの二・二六事件。歴史の分岐点であり謎の多い事件だ。
他の二・二六事件の本を読んで分かったのだけれど、かなり史実の細かいところまで物語に組み込まれており、それがリアリティーと緊迫感をより一層際立たせているように感じた。
二・二六事件の実在の登場人物、安藤大尉や栗原中尉、石原莞爾が未来人の再生プロジェクトのもと歴史を確定させていく過程が描かれている。
興味深いのは彼らが過去を忠実になぞることを強いられながらも各々の思いが交錯し、どんな行動をとるか想像が難しいところだ。
特に安藤と栗原が昭和維新を成功させるのか?統制派に近い立場の石原の役割は何なのか?が気になるところだ。
もし自分だったら逆賊として歴史に名を残したくないし昭和維新を成功させたいから史実とは違う行動をとるかもしれない。
安藤や栗原の未来を知っているだけにあんな思いは二度と御免だと思うのが普通だろう。
読み進めていくうちに彼らが自分の意思で行動しているのか、歴史という巨大な歯車に動かされているのかが混同してくる。
そもそもこのプロジェクト自体が歴史の流れの一部に組み込まれているのではないかと…
こんなことを考えていると案外今の自分も歴史に動かされているのかも、なんて思ったりしてしまうから不思議だ。
私的には興味のある二・二六事件を背景にifの世界観がとても面白く感じられた。
本書はあったかもしれない未来、いろいろな可能性を考え想像するきっかけと好奇心を与えてくれる「最高のギフト」だ!
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Posted by ブクログ
歴史のターニングポイントといわれる二・二六事件をテーマにしていることで手に取った作品。宮部みゆきの『蒲生邸事件』も同じ二・二六事件を扱った物語、恩田陸がどんな二・二六事件を描くかとても楽しみ。
もし自分が二・二六事件の首謀者の一人で、二度目の人生を与えられ事件がやり直されるとしたらどんな行動をとるだろうか。
読み手は二・二六事件の悲しい結末を知っているだけに皇道派の安藤や栗原に感情移入してしまう。
石原莞爾や謎のハッカーの存在も常に不穏な空気を物語のなかに漂わせており雪が降り積もる東京は独特の臨場感とぴりぴりとした緊張感が伝わってくる。
歴史の忠実な再現を行おうとする未来人、それぞれのの思惑が交錯して誰が味方?で誰が敵?か次はどうなるのか先の読めない展開に好奇心が刺激され次から次へとページを捲ってしまう。
史実通り再現されるのか?歴史を変えようとするのか?歴史のifにぐいぐいと引き込まれ様々な余韻と謎を残し下巻への期待が大きくなる。
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Posted by ブクログ
神原恵弥シリーズの3作目
今作は、異国情緒漂う中東の国に出張の恵弥
仕組まれたような出張の予定や、黒い苔に覆われた遺体という謎、画期的な鎮痛剤という噂レベルの薬 D・F、多田直樹から頼まれた人探し等、またまた色々な思惑が交錯している
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外資製薬会社に身を置く凄腕ウイルスハンター・神原恵弥。
ある博士の捜索を依頼されてT共和国にやってきたが、博士は殺されてしまう。
一方、この国では全身を黒い苔で覆われて死んだ人間がいるらしい。
ビジネスで滞在中のかつての恋人・橘は不穏な行動を見せる。
恵弥が想像だにしない、これらの背景に存在するものとは――?
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例によって、舞台となる地名が「T共和国」と伏せ字になってるけど、明らかにトルコ共和国ですね
ってか、バレバレの伏せ字にする必要あるんですかね?
恵弥は様々な理由でT共和国を訪れる
・アキコ・スタンバーグという人物の人探し
彼女は会議と休暇を兼ねてT共和国に一週間の滞在予定だったが、調べたいことができたから帰国が遅れるとメールが届いてから帰ってこないという
その夫から、多田直樹を経由した依頼
・D・Fと呼ばれる鎮痛剤の調査
最高にハイになれて、ダメージがない薬で、日本人が開発に関わっていたという噂
その真相を探るため、会社の指示でレセプションに赴く
・橘浩文との邂逅
高校の頃の元彼で、大手ゼネコンに就職後結婚するも3年ほどで離婚したらしい
・謎の病気
体中に黒い苔のようなものが生えて亡くなる病気が発生しているという
到着後、橘浩文と早々にホテルで再会できたり
アキコ・スタンバーグらしき人物を見かけて後を追うも、通り魔に刺されて亡くなる現場に立ち会ってしまう
また、「アンタレス」という謎の人物からの接触と、その指示通りの行動を強制されるなど
MAZEに出てきた満が再登場
あれがきっかけでこの国に住み着いたらしく、今は焼き鳥屋を経営しているようだ
やはり、満には癒やされるわー
様々な謎や疑惑が出てくるし、黒い苔のようなものが生える病気に関してはウイルスハンターである恵弥が何か手を出すのだろうという予断で読み進めていたけれども
やはり設定は壮大な恩田陸だけあって、真相はちょっと拍子抜けな感じ
あと、とある仕掛けは前作の「クレオパトラの夢」でも使ってた理屈だな
まぁ、納得のいく光景を見せられたらそれを信じるというのは当然と言えば当然なのでしょうけどね
ブラックベルベットというカクテルがあるのは知らなかった
シャンパンとスタウト(黒ビール)を同量ずつ混ぜ合わせたカクテルらしいけど
シャンパンをビールと混ぜるとか、もったいなくない?と思う
あと、物語には関係ないけど、ベルベットとベロアって何が違うのだろうな?
同じような生地に思うのだけれど
今のところ続編は出てないようだ
これで終わりでも一区切りついているようにも思えるし
また続編がでてもおかしくないようでもある -
Posted by ブクログ
『三月は深き紅の淵を』という幻の本にまつわる一冊。
一章ではこの本のありかを探していて
二章ではこの本の作者を探していて
三章では二人の少女の死の真相を追い、
(このあたりで、んぬぁ!?ってなる)
四章ではこの本の構想を練っている。
なにを言っているかわからなくなってきたけれど、
これは何度も咀嚼したい作品だった!
印象としてはセピア色でノスタルジック。
最後にガツンと目が覚める物語が差し込まれていて
これが次の『麦の海に沈む果実』に続くというんだから読むしかない。じっくり頭を使って心に落とし込む。これだから恩田さん作品はクセになるんだなぁ。