【感想・ネタバレ】酩酊混乱紀行 『恐怖の報酬』日記のレビュー

あらすじ

なぜ「あんなもの」が飛ぶのか未だによく分からない。人間が存在していられないくらい高い高いところ。頭の中は、私の悲鳴と加速する「あれ」の音でいっぱいになるーー。イギリスとアイルランドにはとても行きたい、ビールも飲みたい。だが、飛行機には乗りたくない。番外編3本も収録、初の紀行エッセイ。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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Posted by ブクログ

『海外旅行処女』??? なんでしょ、この怪しい言葉。『私の仲のよい友人たちは、しょっちゅう海外旅行に行っている』という彼らから、こんな『ありがたくない異名』を2003年9月まで頂戴していたという恩田陸さん。『これまでに飛行機に乗ったのは生涯でたった一回。そのたった一回乗った飛行機が、それはそれは恐ろしかった。お陰さまでますます飛行機が怖くなってしまった』という恩田さん。これはそんな恩田さんがイギリスとアイルランドに取材旅に行くことになったドタバタ旅をまとめた初の紀行文、いやいや、旅行エッセイであります!いや〜これ、たまらなく面白い本です。レビュー冒頭ですが、もうとってもおすすめーって言わせてください。

『行きたくないわけではない。行きたいところはいっぱいあるし、取材もしたい。しかし、飛行機にはどうしても乗りたくないのである』という恩田さん。もう徹底的に飛行機が大っ嫌いなようです。その理由が凄い。『事故にハイジャックにUFOの襲撃、サイコな乗客にマッド・パイロットにゾンビにガメラ。なにしろ空飛ぶ密室で、運命共同体。浮力と揚力について説明されても、なぜあんなものが飛ぶのか未だによく分からない』って、いやいや、そんな風に考え出したら、誰も飛行機なんて乗れないでしょ。一方で、『私がこんなにも恐ろしいことが、周囲の人は平気なのだ、ということがとても怖かった』となんだかかっこよく締めるところがやっぱり作家さんなんだなぁとも思いました。でも、何が凄いって、こんな感じでぐだぐたと飛行機が怖い!、乗りたくない!、ということをひたすら書く、そのぐだぐだ感が半端ないということです。『いつかは来ると知っていたが、ついにその日の朝が来てしまった』『これで日本のビールとうどんは食べ納めかもしれない』『あんたはこれからあの怖い怖い飛行機に乗るんだぴょん』ともう目的地のイギリスに着くまでに、な、なんと全体のページ数の三分の一を使っちゃったよ、なんだよ、これ。紀行文なの?これは?という呆れた展開。でも、何と言っても恩田さんは作家さんです。『飛行機の中というのは、今いち本格ミステリには向いていない。飛行機には死角がなさすぎるし、トイレだけでは雰囲気がなさすぎる。やっぱり、ミステリと相性がいいのは電車のほうだ』と冷静に飛行機の中を小説の題材に出来るかを分析されるところなんて流石だなぁと思いました。

そんなこんなで無事にイギリスに着いた恩田さんはここから、普段の地の部分で勝負します。『列車といえばビールだ。これは世界共通の掟である。私はそそくさと駅の売店にビールを買いに出かけた』。恩田さんにはビールがよく似合います。ご自身も『私がいつからビール党になったのかは覚えていない。酒は何でも好きだし。実は、焼酎のうまさだけは私にはよく分からない』とビール党を自覚されています。でも、今回の旅はあんなに怖い飛行機での辛い時間を乗り越えた貴重な取材の機会のはず。でも、『日が傾いてきて、ビールの時間である』、そしてまた、『楽しく飲み食いをしてタクシーで宿に戻ったが、勢い飲み食いついてしまった私はホテル内のパブで更にビールを飲む』、ともう、ずうっとビールから離れない恩田さん。ストーンヘンジとかテート・モダンとか色々と巡った記述がすっかり霞んでしまって、ひたすらにビール、ビールという三文字ばかりが印象に残ります。そして、また帰りの飛行機が怖いの、乗りたくないの大騒ぎの挙げ句、ようやく日本に帰国した恩田さん。でも着いた早々、『成田エクスプレスを待つ駅のホームで、思わず缶ビールを一本買い、ほとんど条件反射のようにプルトップを開けて一気に飲む。ああ、日本のビール。このウエットな気候には、やはり日本のビールが一番だ』。ううううう。結局、最後までビールで終わってしまったぁ、という、いやいや、ある意味凄いなぁ、この作品。

ところで、この作品ですが、最初に単行本で出た時にはこのイギリスとアイルランドの旅だけだったのが、文庫本になった際に、この後に更に『生麦のキリンビール』、『札幌のサッポロビール』、『沖縄のオリオンビール』のそれぞれの工場を巡る『線路は続くよどこまでも。宴会は個室で続くよ。「身体に悪い大人の修学旅行」というコンセプトに忠実な我々』というビール工場巡りの短編が三つ追加になって刊行されたという徹底ぶりなのです。もうこれは飛行機の怖さとビールの喜びを語る恩田さん、以上!、それでいいじゃないか!ハハハハハ!という印象の一冊を極めていただいた感じです。う〜ん、凄いなぁ、この作品。う〜ん、出版社も偉いよぉ。

ということで終わりにしてしまうと、この作品、中身がスッカラカンのぐだぐだ作品に見えてしまうので補足をさせてください。我らが恩田さんは、読者のことも考えていてくれるのです。『物書きになって、旅行というものに対する考え方が一番変わったように思う。日常からの脱出であることは変わらないのだけれど、ゆっくり妄想しに行く、というのが主な目的になったのだ』とか、『私が鉄道を好きなのは、連続している感覚が好きだからだ。日頃、日常は続いているようでいて、実は続いていない。我々の生活は常に中断され、つぎはぎされ、誰かに時間を奪われている』などなど、なるほどなぁと思える記述がそこかしこに散りばめられているのです。そしてまた、「ライオンハート」や「月の裏側」、そして「ネクロポリス」など、自身の作品に関する言及もあちこちに登場して、これは興奮します、そうなんだ〜と嬉しくもなります。そう、ビール飲んでるだけじゃないのです。恩田さんは。

ということで、とっても面白い作品、幸せな読書でした。恩田さんという作家さんの人となりがよく分かった気がします。そして、更に好きになりました。でも一番分かったのは、恩田さんにとってビールというのは、三食ご飯を食べるように当たり前の日常風景なんだということです。だからこそ、「ネバーランド」とか「蛇行する川のほとり」のような高校生が登場する青春ものであっても、あまりに当たり前に、彼ら、彼女らがビールをジュースのようにあまりに自然に飲む光景が出てくるんですね。なんてことはない、当たり前の日常の上に描かれていたからだと、それでもとっても変な気はしますが、まあ納得できました。もう、納得するしかないでしょう、あなた。いやあ、面白い方ですねぇ、恩田さんって。

いずれにしても、この作品、とってもおすすめします。うん。これ、絶対面白いです。ビールのつまみに是非どうぞ!、でも、なんだか悪酔いして、ぐるぐるしそうなのがちょっと心配ですけど。まあ、小説家っていうのは、本当に何でも書けるんだなぁ、ととても感心させられた一冊でもありました。

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2020年04月09日

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再読。時々思い出したように読みたくなる。
飛行機嫌いの恩田陸さんが、初めて海外へ取材旅行に行った時のことをまとめたエッセイ。
著者の人柄がよく現れていておもしろい。
理瀬シリーズの最新作『薔薇のなかの蛇』の為の取材だったらしい。早く単行本にならないかな…。

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2012年06月02日

Posted by ブクログ

これおもしろいんだけどなー。
恩田陸ファンの人意外は無理かなー?
恩田さんの飛行機怖い話がおかしくておかしくて。
飛行機旅行は飛行機怖くておかしなことになってるけど、鉄道旅行は一転イキイキしてて微笑ましい。

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2011年12月31日

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恐怖の報酬、ってなに!!(笑)と題名見てまずにやにやしました。
更に出勤の電車の中で読みながらにやにやしました。
エッセイと物語にギャップがありすぎてそれさえもツボです。
何度もリピートしたくなる本。

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2011年05月08日

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恩田さんのエッセイはおもしろい。こんなことを、こんな風に感じるの?みたいなことがたくさん。普通の人にはない視点で、これまた色々な感情や疑問や感想を、豊かな言葉で巧みに表されていて、さすがあの小説を書く方だけあってすごい…!と、感嘆した。
ビールが好きで、ビールにまつわる文章も美味しそう。出会えてよかった一冊。

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2025年01月21日

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人が怖そうなのは楽しいなぁ、と改めて悪趣味な事実に気づかされる一冊。テーマが「恐怖」「酒」「紀行」と三つあるので、どれかに引っかかれば楽しめる。
恩田さんの小説は苦手なのが多いけど、こういう軽いエッセイは合うみたいだ。

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2019年10月02日

Posted by ブクログ

恩田本は結構好きですが、エッセイは初めて。そういえば若い頃はエッセイが大好きでしたが、最近ほとんど読まなくなりました。イギリス、アイルランドに日本がおまけ。あちこちで見聞し、呑んだくれるという話。私もたいがい飛行機が嫌いなので、ちょっと怖さがブーストして背中に変な汗がでました。飛行機の中では読みたくない(高所恐怖症、閉所恐怖症、飛行機恐怖症なら)。小説よりもさらに軽快な文章で、恐ろしいスピードで読めます。かなり気の散る環境でも楽しめる文庫本だと言えるでしょう。イギリスアイルランド札幌方向への旅行には良いチョイスだと思います。

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2018年09月12日

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恩田陸の『恐怖の報酬』日記を読みました。

酩酊混乱紀行 イギリス★アイルランド★日本〈ほぼ縦断〉とサブタイトルがついています。
恩田陸がビールを求めてイギリス、アイルランド、生麦(キリンビール)、札幌(サッポロビール)、沖縄(オリオンビール)と旅行してひたすらビールを味わうという旅行記でした。

さらに、恩田陸は強度の飛行機恐怖症とのことで、その恐怖についてもしつこく書かれています。

とは言え、アイルランドのどこまでも続く丘を見ているだけで、手紙を書く青年、手紙を読む少女、空を飛んでいく帆船たち、それを見上げている少年、といったイメージが浮かんできて1篇の物語が書けそうだ、というところが恩田陸の小説家たる所以なんだろうな、と思いました。
まあ、それ以外は飛行機恐怖症でビール好きの飲んだくれのお姉さんだというギャップもいい感じなのですが。

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2015年06月04日

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『隅の風景』を読んでまた読みたくなり本書を手に取る。
やっぱりこっちの方が面白いでしょ、飛行機嫌いの気持ちも良く分かるし、何より麦酒の美味さが伝わってくる。
おかげで楽しげに感じられた麦酒園にも行くことになったし。
実際は日本の麦酒はそんなに美味くないし、麦酒園もそれほど面白いものではなかった、少なくとも当方にとっては。
それでも騙されてみようか、行ってみようかと思わせる楽しげな酒紀行、是非ご一読をば。

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2014年05月07日

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飛行機が怖いという意外な弱点を持つ恩田氏のエッセイ。彼女ほどではないにせよ、飛行機が得意ではないので共感できる部分も多い。
それより行く先々で展開する妄想のレベルと、瞬間的なイメージを作品につなげる独特の手法は、天才とはこういう人のことをいうんだなと圧倒されるばかりでした。
だけど、ちょっと飲み過ぎじゃないかな。

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2014年03月15日

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大好きな恩田陸のエッセイ。
何気に初エッセイ。いやー面白かった。飛行機嫌いの恩田さんが決死の覚悟で挑むイギリス&アイルランド。
そこまで飲むかというくらいに飲んでいて羨ましい限り。
イギリス&アイルランド話よりも、札幌の札幌落雪注意報のが好きだった。

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2012年10月04日

Posted by ブクログ

にわか恩田ファンとしてこの紀行エッセイも読んでみたのだけれど、恩田さんの人となりがよくわかったような気が。ユーモアがあっていい人で一緒にいて楽しくてしかも博学で、チャーミングな人だなー、と。読んでて楽しかった。

飛行機が心底こわい、ということで、そのこわがりっぷりが他人ごととして読んでるとすごくおかしいんだけど、でも、臆病なわたしも日々いろんな恐怖にふりまわされているので、なにかがこわいっていう気持ちにすごく共感した。そう、個人的な恐怖ってものすごく孤独なのだ。

イギリス・アイルランド紀行はムア(荒地)の描写なんかが恩田さんのファンタジーに通じるものがあって。行ってみたくなる。あと「秘密の花園」を読もうと思った。

わたしはお酒飲まないのだけど、それでもビールの話とかおもしろくておいしそうだった。

恩田さんの小説もいいけどエッセイももっと読みたいなあーー。

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2012年03月06日

Posted by ブクログ

これは、かつて「地球の歩き方のロンドンのガイドブック風」のカバーで出ていた本が文庫本化されたものです。作者がイギリス・アイルランドに行った時の話ですが、とにかく飛行機嫌いと言うことでその恐怖が大きく取り上げられているエッセイです。紀行文じゃないと宣言していますので、確かに、イギリス・アイルランドに行った場所で感じたことを書いたエッセイと言うのが的確でしょう。

しかし、恩田さんの作品は好きだけど、エッセイはどうも合わないなあ。面白くない訳じゃないし、書かれていることも好きなんだけど、なんだか合わない感じです。

他に「キリンビール」「サッポロビール」「オリオンビール」の工場見学のエッセイも加わっています。それだけビールが好きなんですね。ビールを飲むために嫌いな飛行機に乗るという構図です(笑)←人のこと笑えない(^^;

この本の中で、電子図書について書かれていた。何でも詰め込めるというのはある意味、旅行に持っていく本を悩んだり選択するという楽しみや能力を削ぐのかもしれないなあ。この本の中では、もともと文庫本は究極のモバイルだって書かれていたけど、なるほどなあ。

最後に、イギリスとアイルランドの他にチェコにも行ったことがあるらしい。そこでチェコの生ビールはさすがに美味しいとのこと。ドイツやベルギーは行ったことがないようだけど、チェコのビールはお茶でいうと玉露と緑茶の違いくらいあるとのこと。ますます体験しなくてはと言う思いが強くなった。

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2011年11月18日

Posted by ブクログ

恩田さんのエッセイ。ビールがとにかく大好き、そして飛行機嫌いな作家さんのエッセイです。これを読んで思ったのがどこがエッセイは苦手だよ!、ってことです。なんせ読んでるだけでビールがとてもおいしそうに感じられるし(←実は嫌い)、とにかく読んでて面白いです。ファンならきっと楽しんで読めます。

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2011年04月11日

Posted by ブクログ

すいません、すげー笑いましたぴょん。

友人に飛行嫌いがいるので、こんな気持ちなのかと想像を飛ばしました。
中版、作家さんの想像に触れれたのは嬉しかったです。
後半、ビール好きな自分は大喜びしてしまいました。
地元にいらっさたのね!
恩田さんのファン以外でも、ビール好きでイギリス紀行に興味のある方に書店で目を通して判断していただきたいです。

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2010年12月21日

Posted by ブクログ

恩田さんは徹底的に作品は作品として作り上げる人なので、
どの本を読んでも作者の影がチラつかない。
安心して物語りに没頭できる反面、
作者自身の顔が見えずに作品を離れた時、恩田さん自身をものすごく知りたくなる。
そういった欲を満たしてくれるので
嬉しい一冊。

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2010年12月03日

Posted by ブクログ

そんなに飛行機が怖いのですね(笑)
ご本人は洒落でも冗談でもなく本気で恐怖を感じていらっしゃる
のがわかるだけに、その本気の怖がり方には却ってユーモアを
感じます。

イギリスやアイルランドのパブの描写が面白い。新聞記者たちのたむろするパブとか、すごく興味がある。

北海道へ向かう時の夜行列車内での宴会、超たのしそうですよねー。夜行列車、憧れです。

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2010年08月31日

Posted by ブクログ

何度目かの読み返しです。

飛行機嫌いの著者が、「イギリスとアイルランドに行きたいねー」と口走ったために実現してしまった「処女海外旅行」。

サブタイトルには「酩酊混乱紀行」とあるけれど珍道中になってはいません。

他に本土・北海道・沖縄と国内3ヵ所のビール工場見学記も収録されています。

冒頭では「飛行機」と記されていたのが、しまいには「アレ」になっているのが笑えます。

どこに行っても物語のインスピレーションを得ているようで、この人は根っからの作家なのだとあらためて思いました。

短いけれど司馬遼太郎批判はするどいものがあります。

欄外に117ある著者による注もニヤリものです。

オススメ度 ☆☆☆☆★ 4,5です。

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[内容(「BOOK」データベースより)]
なぜ「あんなもの」が飛ぶのか未だによく分からない。人間が存在していられないくらい高い高いところ。頭の中は、私の悲鳴と加速する「あれ」の音でいっぱいになる—。イギリスとアイルランドにはとても行きたい、ビールも飲みたい。だが、飛行機には乗りたくない。番外編三本も収録、初の紀行エッセイ。

[目次]
イギリス・アイルランド
麒麟麦酒横浜工場
札幌落雪注意
オリオンは新年、東の空から昇る

・・・・・・・・・・・・・・

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2010年07月08日

Posted by ブクログ

初めて読む恩田さんのエッセイ。恩田さんの小説というと『三月シリーズ』に登場する、モンサンミッシェルに似ている学校を思い出します。なんとなく「恩田さんってヨーロッパが大好きで何度も行き来してるんだろうなぁ」と想像していたのは私の勘違いだったらしい。面白いエッセイでした。

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2010年03月07日

Posted by ブクログ

恩田陸さんと私の共通点は何か。
飛行機が苦手なことである。

旅行は嫌いではないが飛行機が大の苦手な著者が、十何時間も飛行機に乗って海外へ取材旅行へ行くところから始まるエッセイ集。
実際に飛行機に乗る描写はそこまで多くなく、基本的には現地で見て、感じたことがユーモラスに書かれている。どこに行っても酒を飲み、酒を飲み、酒を飲み、何なら酒を飲むために旅行に出かけている著者の飲みっぷりが気持ちよくて、普段酒を飲まない私でも楽しく読めた。

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2025年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

恩田陸氏による2004年の作品。

当時、氏は飛行機恐怖症であったとのこと。とはいえ海外への憧れは強く、ムズムズしていた模様。

本作では恐怖症をおして、ゆきたかった英国・アイルランドへ赴き、その道中を綴るという作品。

なお、文庫化に伴い、『麒麟麦酒横浜工場』『札幌落雪注意』『オリオンは新年、東の空から上る』を収録

・・・
で、本作、ありていに言えば恩田氏による旅行記です。

飛行機恐怖症をアルコールで紛らわせるさま、飛行機で読む本をチョイスする、そして現地で楽しむ様子など、私のポイントにドはまりしまして、楽しめました。

特に好きだったのは、こんなくだり。

随行したK嬢は恩田氏の搭乗前の緊張をほぐそうとし、歴史上好きな人物について聞き合う。呼応して恩田氏は歴史上の人物から、探偵へのハマり役になりそうな人をあれやこれやと考えるくだり。作家の想像力の強さを感じました。

ガンジーやマザー・テレサを探偵へと仕立て、しかもそれを偶然見てしまった少年の目線から物語の端緒を描くなど、スラスラと面白そうな冒頭部分がさささと出来てしまう様にすげーなー、とつぶやいてしまいました。
あの人物はハマりそうとか、政治家はダメだとか喧々諤々する様子も良かったです。

他にも、現地での飲みっぷり、日本の三工場の見学等もなかなか面白かったです。自分で行くときの参考にしたいと思います。

そういえば、北海道旧本庁舎を見学に行った際に樺太コーナーという展示に立ち寄った旨がありました。ソ連の侵攻のギリギリまで樺太から北海道へ通信を担う女性たちの最期のメッセージ(その後集団自決)が書かれていましたが、先日読んだ『硫黄島上陸』を彷彿とさせました。戦争の爪痕は目にとめないだけで、日常に潜んでいるのかもしれませんね。

・・・
ということで恩田氏の旅行エッセイでした。
普通に面白い作品でした。

英国、アイルランドへの旅行を考えられているかたのみならず、沖縄・札幌・横浜のビール工場の見学を考えられている方には参考になる情報がある?かもしれません。

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2025年03月27日

Posted by ブクログ

以前も伊坂幸太郎の仙台ぐらしで書いたが、私は小説家のエッセイのような作品はかなり好きだ。
普段は私たちを、物語の世界という非現実的な所へ連れて行ってくれる作品を書く人たちの生活を見るとホッコリとするのだ。
今回の作品では旅行記でやはり作家という職業柄なのか感性が研ぎ澄まされて私が感じないであろう所に感性が働いていて学びだった。
他に作中で出てきた、本を読んでみようと思った。
作品紹介。

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2022年03月21日

Posted by ブクログ

読んでみて、一番に思うのは
「そんなに飛行機が怖いの⁉️」
という素朴な疑問。次に感じるのは
「どんだけビールが好きなの❓」
という驚き。

私はお酒が飲めないから、ビールやアルコールに酔う楽しさは理解できない。でも、楽しそう。
反対に飛行機を怖いなんて思った事がないので、ここまで怖がる気持ちが不思議に感じられる。飛行機よりも遊園地のアトラクションのほうが、よっぽど怖いと思うけど‥‥

好きな作家の書いたエッセイは、出来れば読まないようにしている。予めイメージした人物像が崩れるのが嫌だから‥‥本書を読んで、確かに思い描いていた恩田陸像は崩壊したけど、恩田陸さん自身にはもっと親近感を覚えた。面白い人だったんですね。そういえば、直木賞取った時の挨拶もフランクだったなぁ。

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2019年10月20日

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恩田陸さんがアイルランドとイギリスに旅をする。飛行機恐怖症で、盛んにそのことをうだらうだらと書いていて、鬱陶しいといえば鬱陶しいが、まあご愛敬。全体として、恩田さんの文は面白いし、旅行先の雰囲気がよく伝わって来る。行ってみたくはなるよ。ときどき、文学作品の話も出てきて、これもなんだか面白い。おまけのキリン、サッポロ、オリオンビールの話も酒飲みらしくてよかった。

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2019年10月17日

Posted by ブクログ

紀行なんだけれど、どちらかというと読みどころは飛行機に乗る前と飛行機に乗っている間の到着前という本。(^^;
いや、飛行機に乗りたくない気持ちはちょっとわかりますね。(^^;
どこに行ってもしっかり呑んでいるのが、好感度高いです。(^^
アイルランドでギネス、とか、沖縄でオリオンとか、明らかにおいしそうだよなぁ。
飛行機好きでビール嫌いだとちょっと面白くない本かもしれませんが、それ以外の人ならば。

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2018年11月12日

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ネタバレ

再読。コワイ飛行機に乗って美味しいビールを飲みに行くエッセイ。全般的に楽しい旅行記。その中で恩田さんがどうやって創作しているかの一端がうかがえる。場所の力でイメージがわいてくるんだって。そう思って、柳川や奈良や屋久島や函館が舞台の作品を読むと、作品の舞台を恩田さんが歩いている絵が浮かんできてちょっと嬉しい。

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2015年03月26日

Posted by ブクログ

恩田さんのエッセイ。
初エッセイといっていいのか微妙な「小説以外」が本当に小説以外を寄せ集めたごっちゃごちゃな内容だっただけに、今回は純粋なエッセイになっていて安心しました。

恩田さん自身、エッセイが得意な作家さんというわけではないのですが、もう「小説以外」を読んでいたおかげで慣れた&恩田さんがエッセイ上手になってるのですらすら読めます。

しかし…本当に飛行機のくだりが長い!
恐らく恩田さんが飛行機嫌いという事は一生忘れないんじゃないかと思うほどです(笑)

渡英後は、土地を巡り今後の作品へのヒントを得たり、おいしそうな物を食べたり、大好きなビールを飲んだり、満喫している様子が実にうらやましい内容でビール党であればあるほど悔しさが募ります。

帰国後の各ビール会社巡りなんて鬼畜です!
ビール党へ悪魔の誘惑本と呼ぶ事にしたいぐらいです(笑)

あくまでビールありきなので下戸の方はそれほどでもないかもしれませんが、飛行機のくだりさえ突破できれば楽しめる一冊だと思います。

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2013年12月27日

Posted by ブクログ

恩田陸が旅行の話をつらつら書いたエッセイ。酒を飲みに行きたくなるような内容。酒好きなのでグッと来た。
シンプルに文章を楽しめた。

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2012年01月28日

Posted by ブクログ

嘘から出た真、のように、突如として国外に出る事になった場合
ものすごくその心理はよく分かります、と同意してしまいました。
行ってから色々出てくる建物や風景やパブの状態。
なのに、印象深いのは、飛行機に乗るまでの心境と
乗ってからの対応の悪あがき?
そうですよね、そうやって誤魔化しますよね、と
すごく納得してしまいました。

しかしそれが分かるほどに書き込める文章もすごいです。
そして飛行機内の空想(?)に出てくる小説の数々。
即座にこれだけ出てくるとは、すごいと
違う所にも関心。
何より、飛行機に乗る前と降りる時の絵の明暗が
思わず笑ってしまうほどの差がありましたw

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2011年01月08日

Posted by ブクログ

恩田さんのエッセイ。おもしろくないわけではないのだけど、読まなかったらよかったかも。というのも、恩田さんの小説のなぞめいたあの雰囲気が好きなのに、このエッセイの恩田さん、すごいくだけててかわいらしいんだもん。いや、それはそれでいいんですけどね。お酒がお好きなようで、私も飲みたいなーというお酒がいっぱいでてきたのはうれしかったです。

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2011年09月12日

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