あらすじ
あの夏、白い百日紅の記憶。死の使いは、静かに街を滅ぼした。旧家で起きた、大量毒殺事件。未解決となったあの事件、真相はいったいどこにあったのだろうか。数々の証言で浮かび上がる、犯人の像は--。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
これは、犯人を当てることが目的の推理小説ではない。むしろ、事件を通して「人は人をどう見るのか」を考えさせられる作品だった。
ある名家で起きた毒殺事件。
生き残ったのは、盲目の少女・緋沙子ただ一人。
数十年後、事件を再調査するため、関係者へのインタビューが行われる。
証言を読み進めるうちに、あたし自身も「もしかして緋沙子が……?」と疑わずにはいられなかった。
でも、最後に彼女の胸の内に触れたとき、その疑いは一気に切なさへ変わった。
盲目で、美しくて、知性があって、勘も鋭い。
そんな「特別な人」だからこそ、周りは彼女を恐れ、勝手なイメージを作り上げてしまう。
被害者なのに、誰にも信じてもらえない。
周りから作り上げられた「特別な人」という物語の中で生きるしかなかった彼女を思うと、胸が苦しくなった。
人は、自分とは違う存在を恐れてしまう。
そしてその恐怖はいつの間にか、
「あの人ならやりかねない」
という根拠のない先入観に変わってしまうのかもしれない。
最後、彼女はもう「美しい人」でも「盲目の少女」でもなく、ただの一人の人間としてそこにいた。
そのときの彼女の痛々しさと、どこまでも報われない孤独が、ずっと心に残った。
Posted by ブクログ
真実とは何で、誰に分かり得るものなのか。
ミステリだけど、ミステリより深いものを見たような気がする。
ミステリを読む時、なんとなく犯人が誰か、どんな動機かを推理しながら読んでいる(当たることなどそうそうないが)。物語はとある事件を追うインタビュアーの視点と、回想で進んでいく。私たちは想像しながら読み進める。可憐で神秘的な犯人を。鮮やかに、優雅に、未解決事件を裏から操る犯人を。名探偵に指差され、読者への一礼と共に有終の美を飾る犯人を。
さて、私たちが望んだ犯人はそこにいたのだろうか。この物語にとっての真実は、果たしてどこにあるのでしょうかね。
Posted by ブクログ
読み終わっての率直な感想、
なんだこれは?でした。
ハッキリと犯人がわかるわけでもない、
各章ごとに誰かの主観で話が進む…かと思ったら時々違う人の主観で進んでいる違和感。
途中で毒殺された一家の名前が違う章が出てきたり…。
人間の記憶の曖昧さを表現したのか、
かなり理解が難しく、
何度も戻ったりした。
ただ、ホントに少しずつ真相に近付くような展開、
少し肩透かしをくらうような体験は中々味わえないような面白いものでした。
読み終わってもずっと目は見えていたのではないかと自分は思っているけど…。
Posted by ブクログ
もう一度頭から読み直したい!
というのがまず読み終えた時の感想です。1回では最後の結末がわかりそうでわからなかった。記憶力と読解力不足か、、。少しずつ再読したいも思います。
でもとても読みやすくて、一気読みでした。
個人的にぞわっとしたのは「この世のものとは思えない笑顔」という文章(すみません正確じゃないと思います)。なんとなく頭の中で想像できる。狂気に満ちた笑顔がありありと浮かんできました。
初の恩田陸さん作品でしたので、また別の作品も読みたいと思いました!
Posted by ブクログ
妻のおすすめで読んだ
ずっとインタビューのような目線で切り替わっていくけれど、自分の世界も本に合わせて切り替わっていく感覚になる
最後は少し読者に考えさせる意味もあり?もやもやしたが、すこしホラーな部分と悲しみが入り交じる小説でおもしろかった
また完全版を再読としてすこし時間をおいて読んでみたいと思った
Posted by ブクログ
最初、誰視点で何について話しているのか全く説明がないまま始まったため、ついて行けずに混乱しましたがちょうど事件についての語りが始まったくらいから徐々に掴めてきて、第2章に入る頃には惹き込まれていきました。こういう、ひとつの事件に対していろんな人の視点が描かれているものが好きなのもあって、とても読みやすかったです。終わりが、なんとなくわかるようなわからないような。私の想像力が拙いだけかもしせませんが。もやもやが残る感じでそういう感じなのも好きなのでこれはこれでいい感じでした。
Posted by ブクログ
途中まで先が気になって読み進められたけれど、終わりが少し気になった。回収されてない伏線もいくつかあるように感じた。
でも視点がコロコロ変わりながら進んでいく話は新鮮で引き込まれた。
Posted by ブクログ
先日、お昼に「夜のピクニック」を職場で読んでいたところ、上司から声をかけられ、同じ恩田陸氏の作品である本書が大変面白いと紹介を受けた。
その上司から本をお借りし読んでみたところ、これが確かに面白い。
まるで推理パズル。
文章構成がとても独特で、取材時の音声資料のような形式や、過去を追憶するような形式、日記形式など、あの手この手で情報を小出ししてくる。
章ごとに散らされた情報から事実を拾い上げ、繋ぎ合わせ、推測する。
読者はまさに探偵役である。果たして真相に辿り着けるのか。
上記のような構成なので、推理に関しては文章によるリードがまったくない。大胆な小説だと思った。
惜しむらくは終わり方か。
最後は余白を残して話を畳まずに終わる。
せっかく色々考察しても正解が示されないので少しモヤつく。
やはりこの事件の中心にいる緋紗子が印象的。
読後は彼女の見え方が大きく変わる。この変わりっぷりは哀愁があり、中々に切ない。
…まあ、「私の考察によると」という枕詞的なものをつけなければならないのだが。
Posted by ブクログ
恩田陸を読んだ〜って感じがした。
とにかく真相を知りたい性質の私は、他の人の物語ならこういう終わり方は全然スッキリしない…となりそうだが、恩田さんのはそうならなくて何故かとても良い気分になる。描き方なのかキャラなのか文章力なのか分からないけれど…。たぶんキャラというか人間の描き方かもしれない。分かるものも分からないものも含めてなんだか納得してしまうのだ。物語にふんわりと包まれて、余韻が優しい。不思議だ。
最近は小説はあまり読んでなかったのだけど、一度恩田さんを読むともっと物語に溺れたくて、この後しばらく恩田さんの未読作品を読むと思う。
Posted by ブクログ
奥田睦さん
勝手に男性かと思っておりました
そんなことより
こんなモヤモヤが残る作品はお初かも
いっこいっこ!
ちゃんと納得&完結して!!
この気持ち悪いモヤモヤのまま
あの時のアレはなんだったんだろう…
なんて考察するの
なんか不気味すぎてヤダ!!
(これが作者の狙いか!)
ある意味
ホラーより、私は怖いと感じた
これが本当のイヤミスってやつ
再読する時は
紙とペン用意しておいた方が◎
Posted by ブクログ
怖い。各章ごとにゾワリとする瞬間がある。町の名家で起きた大量毒殺事件と、生き残った盲目の少女。事件関係者の証言を重ねて輪郭を成そうとするほど生じる不穏と綻び。人間はこれほどに不可解な生き物なのか。真相を求めて頁を捲り、ようやく掴んだと思った最後の拠り所は、いとも簡単に剥がれ落ち、透明な悪意で満たされた藪の中に取り残される。本当に怖い。
Posted by ブクログ
最初は凄く面白かった。
会話だけで物語が進んでいって、あとからそれが誰なのか分かって、それがつながっていって。
私、ちゃんと理解できてるー!って。
そしたら後半全くわからなくなった笑笑
このわたしって誰なの?あぁ、兄なの?でも名前が出てこないよ、合ってる?って不確かなまま進んで終わった。
結構わからない人多いみたいなので、こういうもんなんだなと。
モヤモヤさせるのがいいのか?私はハッキリ終わらせてほしい。作中の小説がモヤモヤ終わりだから、この小説自体もそうなんでは?って思ってたらそうでした。
進め方は好きだったのになー。
Posted by ブクログ
名家で起こった無差別殺人。
犯人だと言われていた青年は、目の不自由な少女に指示されて起きた事件だった。
事件について調べている主人公が関係者の証言を個別に聞いていくうちに、真実にたどり着くミステリー。
展開が分かりやすくて良かった
Posted by ブクログ
薄暗いキャンバスに描かれた絵画のような世界観
恩田ワールドなのかは分からないが(恩田作品5作目なので)、背景のように常に感じる闇感が独特でいい
大量毒殺事件当時の状況が語り部たちによって部分的に明かされていくが真相は闇の中
最後の最後でモヤッとして、自分が読み取れてなかったのかと他の人の感想を見てみたら、皆んなそうだったみたいで一安心
これが恩田作品なのかなぁ
Posted by ブクログ
殺人事件の話だけど、ミステリやサスペンスではない…なんかフワフワしてて、目眩く世界というか、白昼夢のような。
真実は分からない。結局分からなかった、私には。
Posted by ブクログ
黒幕は誰なのか?実際は何が起こったのか?これを断定することは出来ない。多分わざと、材料が足りない状態にしている。
緋紗子という盲人の少女。彼女の存在感も手伝って、『群盲、象を評す』という言葉が思い出される。盲人が象の身体の一部を触った感触から象を語ろうとするが、いずれも見当違いな感想になるという皮肉の言葉だ。
本作では頻りに、真実を語ることの難しさについて述べられている。それは、我々は等しく「象」という全体像を見ることは出来ないからだ。同じこと体験したとしても、そこから得られるのはそれぞれの視点から見た断片でしかない。その事を忘れて真実を知った気になって、象を語らそうとする愚かさが表現されている本だと思った。
実際、何度か読み返して自分なりに解釈を試みたが、肝心のところは分からないままだった。以下に、自分なりに解釈した断片を散らしておく。
・第三章だけ、名前が違う。青澤医院は相沢、緋紗子は久代など。名前の違いはこの章だけ。『忘れられた祝祭』の抜粋であることが濃厚。
・第七章。ここも『忘れられた祝祭』の抜粋ではないかと推測。文房具屋は実際にはM書店。『忘れられた祝祭』では古書店があるべき所が違う店になっていると記述がある。若旦那についてわざわざ、書が趣味の文房具屋〜と書かれている。若旦那だけ、取材をされていないし、誰とも繋がりがなく浮いていて気になる。断定できる根拠は見つからず、推測の域は出ない。というか、もはや想像でしかない。
・白い繭。これは兄と猫であると読むのが自然。
だとすると、ユウジンが毒を運ぶ前に毒は既に盛られていたことになる。だとするとどうなるのか?母が毒を盛っていた?断定できる根拠は見つからない。
・事件当日、キミさんが取った電話。かけてきたのは教会の子供たち。緋紗子かユウジンがかけさせた。第十三章で、老人の家に行って花火で遊んでくるように言ったこと、電話をかけさせたことを仄めかしている。『幾つかの断片』で花火に行かせた描写がある。電話の件は、キミさんが事件から数年経ってから思い出したことで、それまでは誰も知らなかったこと。海外に行っていた緋紗子が電話のことを知るには、電話をかけた本人であるか、証言の通りに子どもに電話をかけさせたのでなければならない。現場にいた緋紗子は電話をかけられない。よって電話をかけさせたという証言も事実。目的は不明だが、電話の事を思い出した時にキミさんが目をキラキラさせていたというのが気になる。キミさんはあの電話によって、自分の想像していた真相を否定された。そのことが彼女にとって救いだった。それが分かっていたから、緋紗子はわざわざ電話をかけさせて、キミさんを罪悪感から救おうとしたのではないか。
・キミさんの罪悪感について。キミさんは、緋紗子とユウジンの会合を知っていた。そして、自分の渡した、お菓子を包んだ紙に住所が書いてあり、それがメモとして使われたと考えた。自分のせいで、事件が起こった。その罪悪感に苦しんでいたキミさんは、電話のことを思い出す。やはり、外部の人間が手引きしたのではないか、あのメモは関係なかったのではないか。そう考えて、キミさんは目をキラキラさせた。裏付ける記述は見つからず、やはり推測の域を出ない。
・満喜子は『忘れられた祝祭』を書いた時点では「青い部屋」のことだけを聞いていた。後から白い百日紅の話もしていたことを知る。そしてようやく青い部屋とは祈りの部屋であったことに辿り着く。キミさんは、後になって満喜子が知ったことを、事件の起こる前から知っていた。二十年の付き合いになるというキミさんが、母の強迫性と青い部屋での祈りの強要に気づいていても不思議はない。知っていて、放置していた。その事も、キミさんの罪悪感には含まれていたのではないか。
・第十四章が終わり、その後に満喜子は死んだのかなとまず思った。しかし、そうすると第一章と時系列的に矛盾する。第一章では既に、青い部屋と白い百日紅の話を聞いている。婦人警官からその話を聞いたのは第十四章の時点。第一章での出来事は、第十四章より後でなければならない。第十四章の後死んだとなると、婦人警官と話し、兄の友人に会いに行き、四時半の時点で公園のベンチで死ぬことになるがあまりに無理がある。第一章では途中で雨も振っているが死亡が確認された時の記述ではずっと晴れていた。それに第十四章での行動、思考がこの後に人と会う約束をしている人のものとは思えない。また、ファイルからの抜粋では、ベンチに座って子連れの女性と話をしていることを目撃したとあるが、第十四章での描写的には駅の片隅で立ち話をしていたとある。「他人の時間を無駄にしない人だ」という記述からも、移動して公園のベンチまで行って話し込んだとは考えにくい。「ふくよかな女性」と婦人警官の特徴は一致するが、ファイルの記録と第十四章での出来事は微妙に辻褄が合わない。第十四章は満喜子が死ぬ直前の出来事ではない。
・ユージニアとは、ユウジンとユートピアから取った名前。二人だけの世界。緋紗子のいう「二人」とは、あくまで「あたしが一緒にいたいと思う人」のことであり、ユウジンと呼ばれた青年のことは指していない。特定の人物のことを指す言葉ではない。満喜子はユージニアの詩のことを恋文とは読めないかと言っているが、緋紗子にとって『忘れられた祝祭』こそが満喜子からの恋文だったのではないか。『忘れられた祝祭』を呼んで、緋紗子は満喜子のなかに「ユージニア」をみたのではないか。海外に行ったことで緋紗子の時効は伸びている。時効が続いてる限り、私たちの時間は続いてると満喜子は言った。緋紗子は望んでそうしたのではないか。夢の通い路のように、二人は向かい合わせになって共に歩いている。その世界こそがユージニアなのではないか。
Posted by ブクログ
冒頭の詩、事件に関わった人たちから語られる証言から真相を追うミステリー。時系列が複雑、証言者も切り替わっていくので頭の中の整理が大変でした〜。犯人は未だに分かりません!^_^
Posted by ブクログ
最後はどうなるんだろう!とワクワクしながら読み進めていったが結局種明かしはなく終わってしまった感、、、私の読解力がないだけかもと、思わず他の方の感想なんかも見てみましたが、結構同じ思いをしてる人もいるんだなという印象。
もっとちゃんと読み込めば変わったのかな?最後スッキリ伏線回収される小説ばかりを最近読んでいたからか、少し不完全燃焼でした。。。
Posted by ブクログ
WOWOWでドラマ化されるということで読んでみた。
ドラマは、まだ主役しか発表されていないが、小説ではそのキャストは主役ではない。というか、主役が誰なのかもわからない。
ラストに近づき、いよいよ謎はすべて解けた!となるのかと思いきや、いやいや…
思わずAIと考察してしまった。
インタビュー形式の章が続くので、想像力がない人には難しいだろうね
Posted by ブクログ
それも込みで物語の主題の一つなんだろうが、どうしても緋紗子には神のままでいて欲しかった。事実を知ること、見えることといったわからないものをわかるようにする行為は間違いなく安心感を与え、代償に神秘性を失うんだろうな。見えるようになったことで様々な意味で現実を知り、そして誰も前のようには助けてくれず、もう籐椅子にかけたままではいられなくなって人の子に戻っちゃったのかな。
それにしても緋色の緋の字が名前に入ってるのも最早皮肉に思えてくる。
字が傾いていると知った途端、なんだが酔いはじめてしまい自分の単純さに笑えました。
Posted by ブクログ
モヤモヤ。内容は引き込まれるというか読みやすいのだが、終盤ら辺から結末までが弱すぎてモヤモヤが残る。はっきりとした犯人や動機、犯行方法などについては明瞭に明かされておらず読者の想像になるのかな?内容についてもインタビューしたマキが自分の妄想や願望で本来とは異なる内容で書いているという部分で事件の詳細がはっきりしないし。自分の考察不足なのかな?他の人の考察や解説を見てもパッとしなかった。
Posted by ブクログ
2026/04/29
大量毒殺事件を巡って、関係者達の視点から語られる作品。
常にゾワゾワして落ち着かない、そして先が気になる…。
結局真相が明記されないので、それが余計に恐怖を煽った。
Posted by ブクログ
恩田陸さんの本は大好きなんだけど…うーん、誰にも結局感情移入できず、終わってしまった…。
真実がわかっても、ピンと響くものがなかったなあ。
私にはマッチしなかったー
Posted by ブクログ
恩田さんの作品の中でも、クセの強い内容だと思う。取材に応える会話調の章と、三人称の章、問題の小説内の抜粋…視点が様々に移り変わり、テーマの大量毒殺事件の真実に迫る。
結局事件解決に至らず、不調和音で終わる感じは、好き嫌いが分かれると思う。
盲目の美少女の魅力や、心を病んでいる青年の危うさなど、惹き付けられる部分はたくさんあって、読みごたえはあった。
Posted by ブクログ
章ごとに語り手が変わっていき、最初は頭にハテナしか出てこないが、読み進めていくうちに「あれはこういう意味だったのか」となっていくのが気持ちいい。
ただ、結構なボリュームの割に終わり方があっさりしてるというか濁されて終わるというか、そんな感じなので読後の満足度はそんなに。
面白いことは確かだ。
Posted by ブクログ
恩田陸さんの別な話題作を読む前に、と思い読んでみた。 読み終わってこれが日本推理作家協会賞受賞作?と少し疑問だったが。登場人物がそれぞれ語るという形式は、真相とどう絡むのかを考えながら読むのは面白かった。
ミステリのような犯人当てもあるし、ホラーじみた描写もあり、異空間をさまようような雰囲気もあるという面白い構成で。こういう作品は好きだが。
語りには事件の関係者やメインになる人たちの気質の違いが話中にあり、その一部が非現実のようなファンタジックな少し不思議な作風を感じた。
17人の人間が一気に毒殺された背景に犯人と目ぼしい盲目の少女がいるのだが、実行犯は別にいて自殺してしまい、それで解決したことになる。事件に関して常に彼女の心の中の、現実てきでない、不思議な世界が語られる。
一方、街の名士の令嬢だった少女にあこがれて、見守っている少女の話がある。
その少女が大学生になった10年後、事件の傍に居た人たちへのインタビュー記事が本になってベストセラーになるのだが、その本も作者とともに忘れられて行く。
当時関わりのあった刑事は、作者の意図に腑に落ちないところがあって、事件のことを退職後も引きずっているが、この刑事も単に登場人物の一人で警察小説にはなっていない。
そして31年後にやっと話が終わるのだが、それがよく分からない。
動機も犯人もうやむやになったまま終わってしまう。読者はそれぞれの話から自分なりの解決を強いられる。ヒントになる「サルスベリ」「青い部屋」「実行犯の青年とのかかわり」「ユージニア」、などは目の見えない当時の少女の心の風景が多く、現実との齟齬がある、それについて述べられてはいるのだが、結論は一つではないように思える。
中年になり視力が回復して、ついに真実が語られる場面も、一方的で要領を得ない。この曖昧さがなんとも割り切れない。
「ユージニア」については好きな世界だったがあまり成果は無く読後はモヤモヤが残った。