恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ有名な「蜜蜂と遠雷」を昔々に読んで、あんまり刺さらなかったのだけど、これはすごく面白かった!こんなゴシックミステリーも書かれる作家さんとは知らなかった。
蜜蜂〜でも感じられた幻想的な筆致で描かれる、某魔法学校のような仄暗く冷たい世界観は、現実を離れて小説の世界にのめり込みたい時にもぴったり。最近こういう雰囲気の小説を読んでいなかったなあと思う。
中でも麦の海に浮かぶ檻が一番好きだった。タマラはまるで宝石の国のシンシャのよう。愛そうとすると、殺してしまう。みんなといたい、ひとりでいたい。矛盾を抱えるキャラクターはいつだって魅力的だ。
世界観としてはフィクションだけど、登場人物たちの渦巻く疑念、嫉 -
Posted by ブクログ
久しぶりに恩田陸の作品を読んだのですがとても面白かったです。
舞台は豪華客船に乗ったある本に惹かれた様々な人々が集まり議論や交流をするもので、閉鎖された空間で繰り広げられるストーリーに引き込まれました。
作中に何度か出てきた「真実とはパレードの紙吹雪みたいなもの(最初はひらひら舞って綺麗で見る人によって変わるものが時間が経つと大勢に踏まれて紙屑同然になってしまう)」という表現も好きでしたが、私が1番好きになった表現は武井京太郎のインタビューにある現実には真実など無く事実と現実と生活、感情があるだけという言葉がとても気に入りました
物語や虚構の中にこそ真実がある
生きている人間はそれだけ -
Posted by ブクログ
【禁じられた愛だから、】
ひとは「やっちゃダメ」なことに惹かれる。
頭では分かっている。
でも身体は理解しないものである。
頭と身体の答えが、常に一致しているとは
限らないのだ。
本作は、ふたりの関係性だけでなく
その背景や生き方、性格まで深堀って
かかれており、「うっっ」と胸が
苦しくなる人もいるのではないかなと。
本書と同じような境遇の人はおそらく少ないだろう。
マイノリティであることは間違いない。
しかし、何故だか理解できてしまう。
自分なら……と深く考え込んでしまう。
不思議な魔力を持った本なのだ。
騙されたと思って本書を手に取り
この魔力に身を委ねてみてほしい。
心地よ -
Posted by ブクログ
混乱と驚きのパレード
『待っている人々』では、あらすじ通りに話が進みましたが、結末は全くの予想外。作中作構成かと思いきや全く別物で『三月は深き紅の淵を』が2冊!?って感じです笑
『出雲夜想曲』は作者を探し求めに行くストーリーでここでも『三月は深き紅の淵を』の正体はイマイチ分からず…。
『虹と雲と鳥と』では、おそらく『三月は深き紅の淵を』の執筆が始まった様子。
そして 『回転木馬』がほか3つと違いすぎて。恩田さん本人が登場しているように感じ読み進めていくとこの短編が有名な理瀬シリーズの1作目になっているらしくまたまた混乱。
結局終始混乱と驚きの繰り返しでしたが、なぜか読後感はスッキリ