恩田陸のレビュー一覧

  • 愚かな薔薇 下

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    思春期の危うさと不気味さを感じながら、人間の在り方がぐらっとするようなSFの世界観に引き込まれた。あの村に居た感覚になれる、そういう没入感をくれる恩田陸、大好き

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    2025年08月03日
  • ネバーランド

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    真冬を舞台にした物語、真夏の夜に一気読みをした。年末帰省をしない4人の学生寮での1週間を描いた物語。
    有名校の由緒ある古い建物の寮。私は寮生活を経験しておらず、少し憧れを抱いていた。それはある種青春の代名詞のようなものさえ感じる。若者らしく冬の寒さの中でも活発に行動する日中と、それぞれが抱える過去や現在の苦悩を打ち明ける夜。誰にでもある裏の部分が少しずつ解かれていくのだが、それでも次の日にはほとんどあっけらかんとして過ごす潔さに心地よささえ感じた。ゲームの罰ゲームのようなものとはいえ、心の中にある闇を打ち明けられる仲間がいてよかったなと思う。
    新しい年には前を向いて歩き出せるようなきっかけが年

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    2025年08月03日
  • 月の裏側

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    読み終えた感想は「怖い」なのだけど、これは決してホラー映画を見たとか、そういった類の直接的なものではなく、自身の内から来る、不安とか、不安定な部分を刺激される…非常に不思議な物語でした。

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    2025年08月03日
  • 麦の海に沈む果実

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    恩田陸の理瀬シリーズ第二作目のこちら。
    ネットで調べたところ、刊行順ではなく二作目の『麦の海に沈む果実』から入るべし!との声が多かったのでその通りに。

    結論、めちゃくちゃ面白かった!!!

    閉鎖環境にある全寮制の学校が舞台。望めば何でも好きなことを学べる贅沢で素敵な環境…の裏は、若く麗しい校長が君臨する不気味で美しい狂った王国。ちなみに学校長は男性。

    この風変わりな学園は通称『三月の国』と呼ばれ、基本的に三月にしか入学出来ないとされている。そんな中、主人公の理瀬は二月の終わりに入学したことで、破滅をもたらす魔女と噂される。理瀬を訝しむ者、親しげに接する者、様々な人間関係と歪な環境、次々に起

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    2025年08月02日
  • クレオパトラの夢 新装版

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     恩田陸がこのような作品を書くのかと感心した。全く、違ったテイストだ。
     主人公の神原恵弥のキャラクターがユニークだ。医学部を卒業し、外資系製薬会社に勤め、事業のシーズハンターである。精悍でタフだが、姉三人と双子の一人で、もう一人は女。都合四人に囲まれて育ったので、お姉言葉を話す。記憶力抜群で、一度見たら覚えてしまい忘れない。映像記憶能力が高い。

     双子の一人、菅原和見は、東京の大手弁護士事務所の弁護士であるが、医学研究者の若槻慧と不倫をしていた。若槻が、北海道に移転することで、追いかけてH市に移転した。そんな和見を連れ戻すために、神原恵弥はH市にやってくる。

     恵弥がH市で、和見に会った

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    2025年08月02日
  • こわい話の時間です 六年一組の学級日誌

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    恩田陸「六年一組の学級日誌」本気で怖くて嫌な未来の話だった。起こるかもしれないっぽいところが、本当にイヤだ。短い話なのに、読み応えがある。
    我孫子武丸「猫屋敷に気をつけて」は最後が切なかった。

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    2025年08月02日
  • 蒲公英草紙 常野物語

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    『光の帝国』の1話目に出てきた春田一家が(名前の漢字は違うけど)、明治時代、世紀の変わり目の東北の農村の旧家にやってくる。
    一見小さな農村で完結する物語のようだが、列強に肩を並べようと戦争に進んでいく日本の時代の空気感が繰り返し述べられる。
    歴史修正主義が跋扈する今読むと、過去をあったがままに「しまい」、人々が経験したこと、その思いを今生きる人たちに伝えてくれる春田一家が、記憶すること、それを後世に伝えることの大切さを教えているように感じた。

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    2025年08月01日
  • 六番目の小夜子

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    恩田陸の小説によく出てくる、頭脳明晰で美しくミステリアスでありながら戦略的な人間関係を築く少女が主人公の物語。
    恩田陸のデビュー作であり、当時からこの世界観を作り出す文章力があったことに驚きが隠せない。
    ミステリーと青春群像劇の組み合わせであり、恩田陸のノスタルジックな文章との整合性が高い。
    紗代子以外の登場人物一人ひとりの魅力がより表現されている方が、個人的には好みだと感じたが、普通の高校を舞台にここまで発想を膨らませられている点が素晴らしい。

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    2025年07月31日
  • 黄昏の百合の骨

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    麦の海に沈む果実の続編。
    個人的には世界観に浸る3月の国編の方が好みだったが、本編は主人公である理瀬の他者分析や明晰な思考が読み取れる点が興味深い。
    事件の展開は多いが、それだけでなく常に文章から溢れ出る奇妙な不安や刹那的な美しさが心地いい。

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    2025年07月31日
  • ドミノin上海

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    まず、前回それなりにキーイグアナだったダリオがいきなり食材にされてたのは笑った。
    ボリュームもかなり増えていて、繋がるようで繋がらないもどかしさをラスト同様にドミノしてくれた。
    ダリオとアルティメットパンダの印象が強過ぎて、他のメンツがやや薄くなってしまったのが残念。けど面白かった。

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    2025年07月31日
  • 慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    ネタバレ

    トータル3.5くらい。
    書き下ろしなので全部新作だったのが良かった。

    この中で好きなのは貴志祐介の『猫のいる風景』かな。曖昧オチではなく、きっちりミステリーもしてホラーもやってる。お化け無しで楽しませてくれた。


    有栖川有栖『アイソレーテッド・サークル』
    クローズドサークルの定義について話をしていて、どこかミステリーな雰囲気はあるものの、結局何かは不明で、結局どこかの異界らしいということで終わる。でも面白かった。
    ミステリー小説だったら犯人がいるのに、この話では何かを見つけてはいけない、見てはいけない。犯人を見つけることが禁じられる恐怖。


    北沢陶『お家さん』
    丁稚奉公目線なので時代がわ

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    2025年07月30日
  • 蜜蜂と遠雷(下)

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    耳を澄ませば、こんなにも世界は音楽に満ちている。

    ・最後の結果発表の仕方が素敵だった。その後のことを多くは語らないで、すって終わる感じ。
    ・すごくきれいな小説だった。読めてよかった。

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    2025年07月30日
  • 木洩れ日に泳ぐ魚

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    男女ふたりの関係性や男の正体やら、最初に思いこんでいたものとはかけ離れていて驚きばかりだった。場所も時間も限られている、会話と回想だけなのに、読みながら浮き沈みしていた。自分の脆さとか狡さとか、嫌なところが見えることはよくある。刺さる部分が多かった。

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    2025年07月29日
  • Q&A

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    ケムに巻かれたような読後感。
    各章ごとにハッとする展開があり、さすがのストーリーテーラーっぷり。作品全てを会話で成立させるなんて。

    「M」で起こった事件を契機に、関わった人間の本能的な業の部分を炙り出される。一次災害から二次災害へ、さらにその先へ物語はあらぬ方向へ転じていく。それぞれの物語がかすかに交錯していることもあるし、全くのスポット的な事態だったりする。

    ざぁーっと読み進めたけど、あちらこちらにキーワードが散りばめられている。そもそも登場人物のパーソナリティが全く読めない。読者が自分で結びつけていくしかない。不思議な作品である。

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    2025年07月29日
  • 蜜蜂と遠雷(下)

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    面白かった
    読み進めていくうちに
    内容に引き込まれた
    風間塵の影響で周りが変わっていくように
    最初は思えたが風間塵も周りに影響されて
    変わっていると思えた。
    音楽知識があればさらに楽しめたと思う

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    2025年07月28日
  • スキマワラシ

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    読みやすくて、どんどん伏線が回収されていくから一気に読んでしまった。
    全体的に不穏で、不気味な空気が静かに流れていて、でもそれがやりすぎじゃなくてちょうど心地いい。

    あの土地の記憶とか、人の営みのなかに何かが棲んでるような雰囲気や、土着的でミステリアスな世界観だけれど、どこか懐かしさも感じる説明のつかない気味悪さがじわじわ残る感じが私は好きでした。

    夏に読むのがぴったりで、夏イチで買ってよかったと思える一冊だった。面白かったです!

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    2025年07月28日
  • 錆びた太陽

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    ネタバレ

    原発事故で汚染された地域を巡回するロボットたち。国税庁から派遣された徳子の目的は昔あった祖母の家とゾンビの調査。ゾンビから税を取るためにアンケートを取る。なんかどうなっているの?と思うような意外なsituation.
    ただ少し間の抜けた徳子の存在が良い感じ。

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    2025年07月27日
  • 麦の海に沈む果実

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    ミステリー、ホラー、青春、学園。ありとあらゆる要素を詰め込んだ作品でした。
    前作の『三月は深き紅の淵を』の最後にサラッとでてきたある学園。そこを舞台にスタートしましたが、なんとも言えぬ不安感。何かわからない恐怖がずっと付きまとい、終始不思議な世界でした。
    連続で起こる事件に加えて、読者を混乱させる描写。最終的に明らかになる恐怖の事実。恩田陸ワールドとはこのこと!読後も三月の国から中々抜け出せません!
    正直この作品だけでも楽しめますが、理瀬、憂理、ヨハン、麗子、黎二のその後が気になり過ぎる終わり方だったので刊行順に続きを読んでいこうと思います!

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    2025年07月27日
  • 麦の海に沈む果実

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    ずっと不穏な空気。なんだかよく分からないまま読み進めたけど、真相がわかると各人物の行動に納得がいく。再読必須。長いけど飽きずに読める。

    青春要素もあってハリーポッターみたいだった。シリーズものということで、ほかのも読んでみたい。

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    2025年07月25日
  • 蜜蜂と遠雷(下)

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    第二次予選の続きから本選まで一気に駆け巡る下巻。
    何だろう、上巻の素晴らしさは引き続き下巻でも継続されていた。
    だが、後半に失速を感じてしまった。
    音楽を通しての会話が妙に多く、
    小説という媒体で音楽を表現するにはもってこいの手法だが
    それがどうにも物語の深い部分を削いでしまっていた気がした。

    読み終え、読後感含めトータル素晴らしい作品であることは
    変わりないのだが、だがどうにも腑に落ちない箇所もあるにはあった。

    そこだけが何とも言えず、むず痒い。そんな感覚である。

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    2025年07月25日