恩田陸のレビュー一覧
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真冬を舞台にした物語、真夏の夜に一気読みをした。年末帰省をしない4人の学生寮での1週間を描いた物語。
有名校の由緒ある古い建物の寮。私は寮生活を経験しておらず、少し憧れを抱いていた。それはある種青春の代名詞のようなものさえ感じる。若者らしく冬の寒さの中でも活発に行動する日中と、それぞれが抱える過去や現在の苦悩を打ち明ける夜。誰にでもある裏の部分が少しずつ解かれていくのだが、それでも次の日にはほとんどあっけらかんとして過ごす潔さに心地よささえ感じた。ゲームの罰ゲームのようなものとはいえ、心の中にある闇を打ち明けられる仲間がいてよかったなと思う。
新しい年には前を向いて歩き出せるようなきっかけが年 -
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恩田陸の理瀬シリーズ第二作目のこちら。
ネットで調べたところ、刊行順ではなく二作目の『麦の海に沈む果実』から入るべし!との声が多かったのでその通りに。
結論、めちゃくちゃ面白かった!!!
閉鎖環境にある全寮制の学校が舞台。望めば何でも好きなことを学べる贅沢で素敵な環境…の裏は、若く麗しい校長が君臨する不気味で美しい狂った王国。ちなみに学校長は男性。
この風変わりな学園は通称『三月の国』と呼ばれ、基本的に三月にしか入学出来ないとされている。そんな中、主人公の理瀬は二月の終わりに入学したことで、破滅をもたらす魔女と噂される。理瀬を訝しむ者、親しげに接する者、様々な人間関係と歪な環境、次々に起 -
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恩田陸がこのような作品を書くのかと感心した。全く、違ったテイストだ。
主人公の神原恵弥のキャラクターがユニークだ。医学部を卒業し、外資系製薬会社に勤め、事業のシーズハンターである。精悍でタフだが、姉三人と双子の一人で、もう一人は女。都合四人に囲まれて育ったので、お姉言葉を話す。記憶力抜群で、一度見たら覚えてしまい忘れない。映像記憶能力が高い。
双子の一人、菅原和見は、東京の大手弁護士事務所の弁護士であるが、医学研究者の若槻慧と不倫をしていた。若槻が、北海道に移転することで、追いかけてH市に移転した。そんな和見を連れ戻すために、神原恵弥はH市にやってくる。
恵弥がH市で、和見に会った -
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ネタバレトータル3.5くらい。
書き下ろしなので全部新作だったのが良かった。
この中で好きなのは貴志祐介の『猫のいる風景』かな。曖昧オチではなく、きっちりミステリーもしてホラーもやってる。お化け無しで楽しませてくれた。
有栖川有栖『アイソレーテッド・サークル』
クローズドサークルの定義について話をしていて、どこかミステリーな雰囲気はあるものの、結局何かは不明で、結局どこかの異界らしいということで終わる。でも面白かった。
ミステリー小説だったら犯人がいるのに、この話では何かを見つけてはいけない、見てはいけない。犯人を見つけることが禁じられる恐怖。
北沢陶『お家さん』
丁稚奉公目線なので時代がわ -
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ミステリー、ホラー、青春、学園。ありとあらゆる要素を詰め込んだ作品でした。
前作の『三月は深き紅の淵を』の最後にサラッとでてきたある学園。そこを舞台にスタートしましたが、なんとも言えぬ不安感。何かわからない恐怖がずっと付きまとい、終始不思議な世界でした。
連続で起こる事件に加えて、読者を混乱させる描写。最終的に明らかになる恐怖の事実。恩田陸ワールドとはこのこと!読後も三月の国から中々抜け出せません!
正直この作品だけでも楽しめますが、理瀬、憂理、ヨハン、麗子、黎二のその後が気になり過ぎる終わり方だったので刊行順に続きを読んでいこうと思います!