恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
奈智は果たして”通った”のか?木霊は一体誰なのか?というミステリを中心に展開するも、虚ろ舟乗り関係の主要な謎については上巻であらかた明らかになったとおり。
成長譚としては性のアレゴリーである(と、個人的には解釈している)血切りを受け入れて大人になっていく、という過程の描写に注力しているものの、性の方はともかく、血切りは「そういうもの」として割り切れるのではという考え、また翻って、上巻から少しフワフワしていた「そもそも奈智の虚ろ舟乗りになりたいというモチベーションはどこから来ているのか」という問題がまた首をもたげてきて、上巻ほどは入り込めなかった。とかいいつつ楽しんで読んだけどね。 -
Posted by ブクログ
恩田陸ファンの1人として、ずっと読みたかった作品。いままで何度も手に取っては、次回かなと選んでなかった理由は、NHKでやっていたドラマの印象が強すぎて、結末も大枠を知っていたから。
あれから20年(!)の月日が流れて、記憶が薄れてきたこともあり、暑い夏のお供に涼しい作品をということで選んだ。
読み進めていくと、本当に恐ろしく感じたのは、学生時代の教室の空気感や文化祭の熱気のなかに自分が確かにいたことを思い出すのに、どこか遠い物語として受け取ってしまっていること。。
もう少し早く読んでいたら過ぎ去った時間の懐かしさやもどかしさを思い出せたのかもしれないな。
そう考えると、6番目の年に携わったあ -
Posted by ブクログ
僕が読んだ最初の恩田陸の作品は『六番目の小夜子』で、そのあと『球形の季節』などを読んでみましたが、この作品は短編集だけど、一番面白かったです。
常野(トコノ)一族という超常能力を持った一族の短編を集めたものです。
解説者の久美沙織氏は常野一族の由来を柳田國男の『遠野物語』からのものだろうと言ってますが、それは違うよなあと思いました。
民話のイメージを借りた部分はあるかもしれないけど、常野一族の源は明らかに萩尾望都の『ポーの一族』ですよ。
恩田陸の年齢ともリンクしているし子供の頃読んだポーの一族の影響が強く出ていると自分は考えます。
常野一族とポーの一族では語感もよく似ているし。
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