恩田陸のレビュー一覧
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「月の裏側」の続きではなく、時間が巻き戻って、多聞が変な出来事を引き寄せるような短編集。時間も巻き戻り色々で、「木守り男」「悪魔を憐れむ歌」の頃はまだ二十代後半過ぎくらいで、ジャンヌとも結婚していない。しかし、「幻影キネマ」ではもう、40代半ばになる。その辺のポーンと世界観が飛ぶところとか、内容的にも幻想と現実の境目軸の置き方をどうしたらいいか分かりにくいところとか、入り込みづらい人は多いかも、と思いました。
「木守り男」
国に災いの起こる時に出てくる、木上にいる亡霊のような木守り男。多聞と友人のロバートはそれを見る。
「悪魔を憐れむ歌」
死にたくなる歌というものがあるが、それについての一般的 -
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作者の恩田陸曰く、
始めは地獄の黙示録をやろうというとこから始まった小説らしい。
そんなダークファンタジー・サイキック大長編の下巻。
下巻は闇月を迎えた山へ、キーマン達が続々と入山していくとこから始まる。
復讐を胸に忌まわしき途鎖国に戻って来た実邦。
実邦に異常なまでに執着し、その後を追う隻眼の入国管理官・葛城。
その葛城の旧友で快楽殺人者の青柳。
屋島風塵を裁判の証言台に立たせる為に日本へやって来た黒塚などなど。
山に君臨する『ソク』と呼ばれる存在。
その現ソクである神山倖秀と山奥に隠された宝を巡って
物語は血なまぐさく一気に加速していく。
サイキック対決、頂上決戦といった感じで
もうど -
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『蜜蜂と遠雷』のスピンアウトの作品。『祝祭と掃苔』『獅子と芍薬』『今朝とブランコ』『竪琴と葦笛』『鈴蘭と階段』『伝説と予感』の六つの短編。
栄伝亜夜とマサルの綿貫先生の雑司ヶ谷の広大な霊園での墓参り。二人がコンクールで入賞したことを報告しにいく。風間塵はお墓は初めて見るものだった。
風間塵の父親は、養蜂の研究者でパリ大学生に勤めている、母親は、コズミックソフトアジアCFOだった。お姉さんは、バレリーナでヨーロッパのバレイ学校に行っている。ふーん。裕福な家庭の子なんだ。ホフマン先生の墓は、ドイツにある。風間塵とホフマンがピアノセッションしたテープがある。
嵯峨三枝子とナサニエル・シ -
恩田陸さんの「象と耳鳴り」は、裁判官を退官し、悠々自適の生活を送る関根多佳雄が主人公。
散歩とミステリが好きな彼が、身の回りに起こった、ちょっとした出来事を推理する連作短編集ですね。
はっきりとした白黒をつけずに、曖昧なグレーゾーンで終わる話もあれば、「待合室の冒険」のように、その場ですっきりと気持ちよく決着がつく話が混ざっており、なかなかバリエーションに富んでいますね。
そして、どの話も、ミステリとしてだけでなく、恩田陸さんらしいファンタジー的な雰囲気や映像的な美しさも楽しめますね。
例えば、「曜変天目の夜」に出てくる茶碗。
実際には見ることも触ることもできなくても、情景はありありと思い -
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恩田陸によるダークファンタジー。
日本ではあるが、分断され国家権力の及ばぬ隔絶された地『途鎖国』を舞台に
『在色者』と呼ばれる特殊能力を持った者たちが暗躍するという
どちらかと言えばAKIRAの様なサイキック路線のような物語。
在色者である実邦は身分を隠して途鎖国に入国。
闇月といわれる時期、途鎖では多くの者がある目的をもって山深くを目指す。
実邦も山を目指すが、実邦を追う入国管理局の葛城、
謎の男・黒塚の登場など、周囲に不穏な空気が満ちる。
更に謎の殺人者、恩師が残したメッセージ、隠された過去の悲劇など
何重にも要素が重なり始めてきたとこで上巻が終わる。
息を呑む展開の連続で非常に楽しめ -
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奈智は果たして”通った”のか?木霊は一体誰なのか?というミステリを中心に展開するも、虚ろ舟乗り関係の主要な謎については上巻であらかた明らかになったとおり。
成長譚としては性のアレゴリーである(と、個人的には解釈している)血切りを受け入れて大人になっていく、という過程の描写に注力しているものの、性の方はともかく、血切りは「そういうもの」として割り切れるのではという考え、また翻って、上巻から少しフワフワしていた「そもそも奈智の虚ろ舟乗りになりたいというモチベーションはどこから来ているのか」という問題がまた首をもたげてきて、上巻ほどは入り込めなかった。とかいいつつ楽しんで読んだけどね。 -
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恩田陸ファンの1人として、ずっと読みたかった作品。いままで何度も手に取っては、次回かなと選んでなかった理由は、NHKでやっていたドラマの印象が強すぎて、結末も大枠を知っていたから。
あれから20年(!)の月日が流れて、記憶が薄れてきたこともあり、暑い夏のお供に涼しい作品をということで選んだ。
読み進めていくと、本当に恐ろしく感じたのは、学生時代の教室の空気感や文化祭の熱気のなかに自分が確かにいたことを思い出すのに、どこか遠い物語として受け取ってしまっていること。。
もう少し早く読んでいたら過ぎ去った時間の懐かしさやもどかしさを思い出せたのかもしれないな。
そう考えると、6番目の年に携わったあ -
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僕が読んだ最初の恩田陸の作品は『六番目の小夜子』で、そのあと『球形の季節』などを読んでみましたが、この作品は短編集だけど、一番面白かったです。
常野(トコノ)一族という超常能力を持った一族の短編を集めたものです。
解説者の久美沙織氏は常野一族の由来を柳田國男の『遠野物語』からのものだろうと言ってますが、それは違うよなあと思いました。
民話のイメージを借りた部分はあるかもしれないけど、常野一族の源は明らかに萩尾望都の『ポーの一族』ですよ。
恩田陸の年齢ともリンクしているし子供の頃読んだポーの一族の影響が強く出ていると自分は考えます。
常野一族とポーの一族では語感もよく似ているし。