恩田陸のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ自分は特別な人間かもしれない、と勘違いした経験は誰にでもあるのではないだろうか。
この話は世間にひっそりと紛れ込みながら、特別な力をもつ「常野」の人々のお話である。
恩田陸さんは私の好きな作家であり、幻想や不思議といったテーマが好きなので、このお話はまさに私の好みドンピシャの作品だった。
連作短編集で、内容も主人公も全て違うのに、全ての登場人物が関わっている。
昔好きだった人がひょっこりと同窓会に顔を出した時のあの感じ。物語が完結した後、またその主人公の息を感じる瞬間、たまらなく興奮する。
私は常野の人間ではないが、光の子供である。
ツル先生たちならそう言うだろう。
常野の人たちが私の隣で -
Posted by ブクログ
蜜蜂と遠雷のスピンオフ作品。
短編集なので、あっという間に読み終えられます。亜夜やマサル、風間塵のその後がチラッと覗けます。思ってたよりもサラッとチラッとでした。が、これはこれでよいのかもしれません。
彼らの無限の可能性は読む人がそれぞれに自由に想像できる方がいいのかもです。明石さんの話がなかったのが少々気になりましたが。
個人的には菱沼先生の話が素敵でした。
本編では予選の課題曲を作曲した人で偉い大御所先生…くらいの印象しかなかったのでお弟子さんとの絆よかったです。ホップ組曲聴いてみたいです。
結構駆け足で読んでしまったので、本編と含めて時間のある時にじっくりと再読したいです、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ芸術系恩田陸作品。
役者家系で子どもの頃から役者として活躍している響子と芝居を始めて数か月の天才飛鳥が、伝説の映画プロデューサーの開くオーディションに参加する物語。
舞台が主題の話だけど、実際に観客に見せる舞台は一回だけで、それ以外はオーディションのシーン。芝居は見たことないけど、「なんかすごい」と感じさせられる圧倒的表現力。「ゼロ」の初公演、一次オーディション、二次オーディションで飛鳥はどう演じるのかが楽しみでワクワクしながら読めた。
あと、エピローグの雰囲気がすごく良かった…そして最後のタイトル回収もチョコレートコスモスというワードと物語がマッチして気持ちよかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ感想書くため再読。
初めの「光の帝国」より、こっちの方が好きだなあ。
優しい雰囲気が漂う中で、そこに集まる人たちの過去や人柄、想いが明らかになり、そしてそれぞれが変わっていく。んー、なんかいいね。
と思ったら、とんでもない災害。また後味の悪いことに…、と思ったら、聡子様の奮起、強い想いが明らかになり、悲しいながらもポジティブな雰囲気に感動した!
で、(またまた)と思ったら、戦後の混乱状態に時が進み、この対照的な雰囲気の違いが、戦後の大変さを際立たせて、しんみりしてしまう。
最後が少々ポジティブさが欠けた感があるけど、全体的な優しいイメージが(峰子さんのお話口調がお上品で)なんというか安心して読 -
Posted by ブクログ
賛否が分かれるような気もするが、わたしは好きなタイプの物語だった。
豪華なクルーズ。
非日常と日常が溶け合う旅。
そして、そこに確実に「存在」する、飯合梓という作家と、『夜果つるところ』という小説。
全体的にミステリというよりは幻想小説に近い印象で、すっきりした解決というよりはそれぞれの心の落ち着きどころをもたらす結末。
それでも、恩田陸の確かな筆致、安定していて安心できるストーリー、叙情的で内省的な、雅春と梢のモノローグが、読んでいて心地よかった。
読み終えた今は、なんだかぼんやりとしているが、何となく(言葉にはできないけれど)これで良かったんだ、という気持ち。
もちろん、作中作であり