恩田陸のレビュー一覧

  • 木曜組曲 〈新装版〉

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    ミステリーを読んだはずなのに、心に残ったのは女たちの矜持だった。

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    ミステリーとして紹介されることの多い作品だけれど、実際に読んでみると謎解き以上に、女性の強さを感じられて面白かった!
    ひとりの作家の死をめぐる真相に翻弄されながらも、それを乗り越えるどころか糧として取り込み、それぞれの人生を前へ進めていく女性たち。

    終始お互いを探り合う緊張感のある物語なのに、完全に敵にはなりきれない微妙な距離感が良い。

    美味しそうな料理を囲みながら交わされる、女子会のような気の置けない会話がいい具合に緩みを作っていて、とても読みやすく一気読みしてしまった。

    そして何より、登場する女性たちがみんな格好いい。
    それぞれが自分なりの矜持やプライドを持ち、その強かさに触れることで、自分が女であることを少し誇らしく思えた。

    欲を言えば、物語の中心にいる時子自身の魅力をもう少し見たかった気もする。
    周囲の人々が長年囚われ続けるほどの存在としては少し物足りなく感じた。

    でも、それもまた登場人物たちが過去に縛られるのではなく、それを糧に未来へ進んでいくラストのためだったのかもしれない。

    ミステリーとしても面白かったけれど、それ以上に女性たちの生き方や関係性が印象に残る一冊だった。

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    2026年06月04日
  • 月の裏側

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    ネタバレ

    ホラー。人は元々一つで、今まさに揺り戻しで一つになろうとしていて、掘割から水の津波のような母体が回収に来る、というモノ。人造人間が出来る様は少し気持ち悪いが、全体は淡々としており読みやすい。辻褄が合わない所もあるが、目を瞑れる。

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    2026年05月31日
  • 月曜日は水玉の犬

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    小説もエッセイも好きな数少ない作家の恩田さん。なぜこうも読みやすいのだろうと文がすらすら進んでしまう。いろんな本の解説が載っていたけれど、そこからよく絡めて着地するなぁという視点が面白い。この人を作り上げた本たちが垣間見えるのはとても良い。

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    2026年05月31日
  • 六番目の小夜子

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    ネタバレ

    問いかけてくる作品 群像劇
    学祭のシーンは緊張してしまった 
    ラストはあやふやではあったけど、何人かの小夜子がいたし、これからも現れるし自分も小夜子になるかもしれない 

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    2026年05月30日
  • 祝祭と予感

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    本のページ数かつ三分の一がエッセイなので、想定よりもそれぞれの話は短かった。ホフマン先生と風間塵の出会いがあるというので、本編では故人であったホフマン先生がどんな人かわかるかと思ったが、話が短くて人柄を把握するほどではなく、そこはちょっと残念だった。
    しかし、本編では脇役であった審査員の三枝子やナサニエル先生、課題曲を作曲した菱沼さんについてはそれぞれの性格が垣間見える過去がわかり、より好きになった。特にナサニエル先生は、本編よりかわいい先生だなという印象になった。

    スピンオフ以外の恩田陸先生のそれまで寄稿したエッセイ集は、先生のクラシック好きがよくわかり、面白かった。クラシックが好きだと、レコードの時代からの曲の集め方の変遷や、聞くだけでなく記譜を集めるという考えたことがなかった聞き方をしており、もう一度本編の蜜蜂と遠雷を読みつつ、登場した曲を聴いて見たいと思った。

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    2026年05月30日
  • 光の帝国 常野物語

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    実は自分の周りにも常野の人が隠れているのではないか、なぜ不思議な能力を持っているのか、何か理由があるのではないか。脈々と受け継がれる能力とは相反して、散り散りになって行く一族。読み進めていくうちに、どんどんハマって行く物語、続編があるならばぜひ読みたい。

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    2026年05月28日
  • 木洩れ日に泳ぐ魚

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    男女の語りが交互に入れ替わる。
    よって次の章には答えがあるので、予想しながら読んでいくとすごく楽しめる。
    展開もたくさんあるので飽きず読みやすい。

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    2026年05月27日
  • spring another season

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    素敵な作品
    少年達がバレエを通して表現する美
    追求する美を身体と心を使って表現する
    美の追求者に多い性的嗜好
    それも美しく表されていて
    恩田さん凄い
    この著者の作品でこんなヨーロッパ的
    な歴史や空気を感じさせるの初めて
    だった
    何だか想像力を刺激されて頭の中を涼やかな風が吹き込んだみたい

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    2026年05月26日
  • 祝祭と予感

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    恩田陸さん著「祝祭と予感」
    最近読み終えた「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ作品、6篇からなる短編集。

    「蜜蜂と遠雷」の個性豊かな登場人物達。その彼らのスピンオフ。どれも素晴らしかったし、読んで良かったと思わされるものばかりだった。
    本編「蜜蜂と遠雷」に挿入してしまえば更に長くなってしまうだろうし、コンテスト内という一つの軸がぶれてしまう。
    この形で読者に届けてくれた著者に感謝。

    特に印象に残った2篇

    「袈裟と鞦韆」
    作曲家菱沼忠明が宮沢賢治の詞でもある「春と修羅」という曲の作曲に至るまでの背景が描かれている物語。
    秀逸なのは「蜜蜂」の本編で「菱沼賞」を受賞したコンテスタントは2次で落選した明石。この物語と見事にリンクしている。
    菱沼は明石の演奏こそが彼の作曲までの苦悩や葛藤が共鳴していると思えたのだろう。
    本編では詳しくは描かれなかった「菱沼賞」受賞の経緯、この1篇に集約されていてこの作品を読んでこそ本編の真の姿が分かるといった様な内容だった。

    「伝説と予感」
    ホフマンと風間塵の出会いが描かれる、本編の前日譚の物語。
    このサブタイトル「伝説と予感」、なんて素晴らしいのだろう。
    「蜜蜂」本編でさえ天才ピアニスト?天才ソリスト?なんと形容していいか分からないが風間塵に関しては序章に過ぎないと思わされる描かれ方の中で、その「伝説と予感」は充分すぎるほど描かれていた。
    その前日譚にもある「伝説と予感」…
    素晴らしすぎた。

    本編「蜜蜂~」本作品もそうだが描かれている登場人物達のキャラクターが素晴らしいし、各々が生身で生きている作品なのだと感じられる。
    だからこそ音楽のみならず物語が共鳴して胸に響きわたる様に感じるのだろう。

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    2026年05月26日
  • チョコレートコスモス

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    小説なんだけど、何か違う物語や違う視点で話を読んでるみたいな、不思議な感覚になる。

    「そろそろこの辺りで、佐々木飛鳥なる少女が一体どんな人間なのか、彼女側から語っておく必要があるだろう。」

    ナレーションのような説明が小説に入る事はあるけど、読書に語りかける説明を小説で読んだのは初めてかも。

    また、役者の話だから小説の中で役者が演じる違う物語が出てくる。これを演じてる場面や心情を丁寧に説明してわかりやすい文章で読者を引き込む。

    最後は小説を読んだような芝居を見終わったような不思議な感覚になる、すごい小説!

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    2026年05月24日
  • ネクロポリス 上

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    興味深い気持ちで読み進めました。
    少しずつアナザー・ヒルの形が見えてきていて、それが更に続きが気になる。
    目次に見開きで登場人物が並んでいて最初は身構えたが
    意外と困惑することもなく、スっとキャラクターがイメージできた。
    第六章で大好きな源氏物語の話が出てきて、自分自身の日本の古典の捉え方に新たな視点をもらえた気がしています。
    まだまだ上巻は伏線のばら撒きという感じで解決していないことも沢山。
    上巻の終わり方が少し不穏な様子だったけれど、
    どういう形で結末を迎えるのか楽しみです。

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    2026年05月23日
  • 祝祭と予感

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    直木賞と本屋大賞をW受賞した「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ短編小説。マサルとシルヴァーバーグの出会い、風間塵とユウジ・フォン=ホフマンの出会いなど、本編では描かれなかった内緒話を披露してもらったようで、得した気分になった。一番好きだったのは、亜夜と塵が奏のヴィオラを見つけるお話。コンクールの後、2人がパリで演奏活動を続けている様子が垣間見れて嬉しかったし、仲良く奏に電話をしている描写が何とも微笑ましかった。

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    2026年05月22日
  • 木洩れ日に泳ぐ魚

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    旅行先の沖縄のイオンの書店でなんとなく衝動買いした一冊。

    主な2人の登場人物の、視点が交互に入れ替わりながらストーリーが進む。ある事情を抱える男女2人の物語なので、恋愛小説かと思ったがどちらかというとミステリーに近い感覚。

    引っ越し直前の、荷物をほとんど出し切ったがらんとしたマンションの一室が舞台なのだが、その様子がなおこの話の不穏さを後押ししているように思った。

    吉田修一のパレードも、マンションの部屋が舞台だったが、それを思い出した。

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    2026年05月21日
  • チョコレートコスモス

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    ・大学の劇団に突如現れた不思議な天才少女(佐々木飛鳥)、ステップアップを狙うサラリーマンあがりの中堅脚本家(神谷)、演劇進出を狙うアイドル(安積あおい)、芸能一家出身で圧倒的地位を獲得しつつある女優(東響子)など・・・が伝説のプロデューサー芹澤泰治郎による舞台への出演を掛けたオーディションに臨んでいく群像劇
    ・面白かった!!!!! ゾクゾクした!!!!! というのが読後の率直な感想
    ・演劇の世界の深さや、登場人物の心理描写やスピード感が圧巻
    オーディション場面は、「演劇サークル入部の為のエチュード」「2人3役の脚本」「舞台主演が演じる傍らでその影を演じる」などいくつかあるが、夫々違った方法で想像を超えてくる
    ・オーディション描写の性質上、「同じ脚本を異なる登場人物が順番に演じる」ことになるが、登場人物による演じ方の違いを、ここまで生き生きと文章で表現出来ることに驚くしかない
    ・コンパクトな人物・背景説明で読者に事前知識を与えつつ、改行等も上手く使って臨場感・スピード感でぐいぐい引っ張っていく様な書き方など、プロの技が光っている気がする
    ・個人的には、東響子からの学びが多かった。これだけ恵まれた環境にいて強い自我・プライドを持ちながら、客観的にも自分を分析し、自分に足りないもの、知らないことを積極的に吸収しに行こうとする姿勢、時には恥をかくことも覚悟で飛び込む姿勢など、素敵過ぎる、、、
    ・俳優が常に自分自身を問われ続ける苦しさに対して、自分がビジネスで問われる苦しさは何だろうか
    ・続編『ダンデライオン』『チェリーブロッサム』はいつ出るだろうか、、、

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    2026年05月21日
  • 不連続の世界

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    食わず嫌いするなと言われそうだが、短編集となると伸ばした手を引っ込めてしまう。あくまで個人的な好みだから気にしないでほしいが、物語に続くテンションが一回ずつ上がっては下がり、上がっては下がりを続けるので疲れてしまう。
    だが連作となると別だ。一話一話は完結しているように見えて実は、という仕掛けがたまらなく好きだ。予期せず手にした本がそれだと途端にやる気が漲ってくる。
    『月の裏側』の多聞再びだが、シリーズではなく前作と繋がりもない。怖さとは違う不穏で、白昼夢のような世界観。起きてもまだ夢の中にいるような雰囲気がたまらなく好きである。

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    2026年05月21日
  • 祝祭と予感

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    この人の書く音楽家、みんな素敵。蜂蜜と遠雷、ぜんぜん覚えてなかったけどなんか蘇った、もう一回読みたいなあと思った。

    オーディブルにて

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    2026年05月20日
  • 光の帝国 常野物語

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    ネタバレ

    不穏な話もあればほっこりする話もありちょっと変わったショートで面白かった。
    オセロゲームや草取りの話は繋がっているのかいないのか……。
    最後の話はハッピーエンドで締めくくりとして良かったなあ。

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    2026年05月19日
  • spring another season

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    ネタバレ

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    Springの短編集、各キャラクターのその後であったり本編の隙間話だったり、楽しめました!
    主人公の春はもちろんだけど、周りのキャラクターも魅力的

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    2026年05月19日
  • spring another season

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    ネタバレ

    フランツと春の話が多めでBL小説としても上質に仕上がってるのでは、と思った次第で。前巻と違い、最初から春の素の姿が割れているのでとても可愛らしく思える。
    春とフランツの人生で唯一と思しき季節と、他魅力的なキャラクターの短編集。甘くて苦い短編集。(短編集?)

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    2026年05月18日
  • spring another season

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    バレエダンサーがテーマの人気長編の続編である。続編は、短編集であった。長編で活躍した登場人物ひとりひとりが取り上げられ、前日譚や後日譚、サイドストーリーなどが展開される。

    …ただ、入手するまでにずいぶん時間がかかってしまって、本を開いても出てくる人物出てくる人物、ほとんど覚えてない笑 覚えてなくてもったいない気もしたが、それでも楽しめるのだからさすが恩田陸…。

    そして読んでいくうちに少しずつ思い出す。あの日の光…。挑戦、葛藤、栄光。

    短編のなかで、主人公の萬春のかなり未来を垣間見る物語もある。おじいさんになったバレエダンサー兼振付家へのインタビューという形式だ。不覚にも月日の流れと人生というものに涙した。長編で青春を見届けた主人公の晩年まで読めるとはなんと贅沢なつくり。

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    2026年05月17日