恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
シリーズものだとは知らずに読み始めた。
多聞に興味がわいて、そちらのシリーズも読んでみてもいいな、と思ったり。こういう本との出会いもまた良し。
4人の男性が喫茶店を巡りながら怪談話をする、と言う設定。京都や大阪は分からないが、確かに神田は昔ながらの雰囲気ある喫茶店が多い印象がある。
喫茶店の少し照明が抑え目でアンティーク雑貨があったりする感じ、言われてみれば怪談と親和性が高いかも。
あとがきで、これらの話が実話だと言うことにも驚き。私自身は不思議な体験をしたことがないけれど、意外とこう言うちょっと怖くて不思議なことってよくあることなんですかね。
たまには、こんなまったりとした読書時間も良いな。と言う意味での星4つ。 -
Posted by ブクログ
あらすじを読まずに表紙買いしたので、あれあれ……と思ううちにホラーになって、思わず笑ってしまいました。詩的な表現の多い作家さんだというイメージだったので、序盤で、この不穏な感じがだらだら続いていくのかな?とのんびり歩くような気持ちで読んでいたら、三分の一くらい読んだ辺りからSFホラー……それも、段々と何かが人間に入れ替わるという、どっかで見たSFホラーに。個人的には大好物なので、『面白くなってきたあ!』と駆け足になり、最後は全速力で走る気持ちで読み切りました。ホラーとは言いましたが、中盤以降は洋画的な、動きのある展開が多く、SFとか洋画とか好きなら笑いながら読めるかも。
むしろ、ストーリーよりも、登場人物の語る「生命の戦略」についての話のほうが刺さりました。「私って、なんでこうなんだろう……」に対しての力強いアンサーにも感じてしまいます。一つになれば平和になるし楽になるだろうけど、やっぱり私は他の人と同じにはなりたくないかなあ……。 -
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ミステリーを読んだはずなのに、心に残ったのは女たちの矜持だった。
˖ ⊹ ࣪ ˖ ☽ ⊹ ࣪
ミステリーとして紹介されることの多い作品だけれど、実際に読んでみると謎解き以上に、女性の強さを感じられて面白かった!
ひとりの作家の死をめぐる真相に翻弄されながらも、それを乗り越えるどころか糧として取り込み、それぞれの人生を前へ進めていく女性たち。
終始お互いを探り合う緊張感のある物語なのに、完全に敵にはなりきれない微妙な距離感が良い。
美味しそうな料理を囲みながら交わされる、女子会のような気の置けない会話がいい具合に緩みを作っていて、とても読みやすく一気読みしてしまった。
そして何より、登場する女性たちがみんな格好いい。
それぞれが自分なりの矜持やプライドを持ち、その強かさに触れることで、自分が女であることを少し誇らしく思えた。
欲を言えば、物語の中心にいる時子自身の魅力をもう少し見たかった気もする。
周囲の人々が長年囚われ続けるほどの存在としては少し物足りなく感じた。
でも、それもまた登場人物たちが過去に縛られるのではなく、それを糧に未来へ進んでいくラストのためだったのかもしれない。
ミステリーとしても面白かったけれど、それ以上に女性たちの生き方や関係性が印象に残る一冊だった。 -
Posted by ブクログ
本のページ数かつ三分の一がエッセイなので、想定よりもそれぞれの話は短かった。ホフマン先生と風間塵の出会いがあるというので、本編では故人であったホフマン先生がどんな人かわかるかと思ったが、話が短くて人柄を把握するほどではなく、そこはちょっと残念だった。
しかし、本編では脇役であった審査員の三枝子やナサニエル先生、課題曲を作曲した菱沼さんについてはそれぞれの性格が垣間見える過去がわかり、より好きになった。特にナサニエル先生は、本編よりかわいい先生だなという印象になった。
スピンオフ以外の恩田陸先生のそれまで寄稿したエッセイ集は、先生のクラシック好きがよくわかり、面白かった。クラシックが好きだと、レコードの時代からの曲の集め方の変遷や、聞くだけでなく記譜を集めるという考えたことがなかった聞き方をしており、もう一度本編の蜜蜂と遠雷を読みつつ、登場した曲を聴いて見たいと思った。 -
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恩田陸さん著「祝祭と予感」
最近読み終えた「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ作品、6篇からなる短編集。
「蜜蜂と遠雷」の個性豊かな登場人物達。その彼らのスピンオフ。どれも素晴らしかったし、読んで良かったと思わされるものばかりだった。
本編「蜜蜂と遠雷」に挿入してしまえば更に長くなってしまうだろうし、コンテスト内という一つの軸がぶれてしまう。
この形で読者に届けてくれた著者に感謝。
特に印象に残った2篇
「袈裟と鞦韆」
作曲家菱沼忠明が宮沢賢治の詞でもある「春と修羅」という曲の作曲に至るまでの背景が描かれている物語。
秀逸なのは「蜜蜂」の本編で「菱沼賞」を受賞したコンテスタントは2次で落選した明石。この物語と見事にリンクしている。
菱沼は明石の演奏こそが彼の作曲までの苦悩や葛藤が共鳴していると思えたのだろう。
本編では詳しくは描かれなかった「菱沼賞」受賞の経緯、この1篇に集約されていてこの作品を読んでこそ本編の真の姿が分かるといった様な内容だった。
「伝説と予感」
ホフマンと風間塵の出会いが描かれる、本編の前日譚の物語。
このサブタイトル「伝説と予感」、なんて素晴らしいのだろう。
「蜜蜂」本編でさえ天才ピアニスト?天才ソリスト?なんと形容していいか分からないが風間塵に関しては序章に過ぎないと思わされる描かれ方の中で、その「伝説と予感」は充分すぎるほど描かれていた。
その前日譚にもある「伝説と予感」…
素晴らしすぎた。
本編「蜜蜂~」本作品もそうだが描かれている登場人物達のキャラクターが素晴らしいし、各々が生身で生きている作品なのだと感じられる。
だからこそ音楽のみならず物語が共鳴して胸に響きわたる様に感じるのだろう。