恩田陸のレビュー一覧
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黒幕は誰なのか?実際は何が起こったのか?これを断定することは出来ない。多分わざと、材料が足りない状態にしている。
緋紗子という盲人の少女。彼女の存在感も手伝って、『群盲、象を評す』という言葉が思い出される。盲人が象の身体の一部を触った感触から象を語ろうとするが、いずれも見当違いな感想になるという皮肉の言葉だ。
本作では頻りに、真実を語ることの難しさについて述べられている。それは、我々は等しく「象」という全体像を見ることは出来ないからだ。同じこと体験したとしても、そこから得られるのはそれぞれの視点から見た断片でしかない。その事を忘れて真実を知った気になって、象を語らそうとする愚かさが表現 -
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全校生徒が朝から丸一日歩き続ける北高の伝統行事「歩行祭」。甲田貴子は高校生活最後の「歩行祭」で小さな秘密の賭けを実行することにした…
80kmも歩行するって一体!想像するだけで足がつりそうになる(笑)
友達と会話しながらただただ歩く(たまに走る)青春小説。思春期ならではの「好き」という気持ちに対する区切りのつけ方に悩む彼女達がいじらしい。「誰が誰を好き」とか「告白するしない」とか、盛り上がるんよねーこの頃。普段一緒に過ごさない夜だからこそ、ぶっちゃけたくなる気持ちもわかる。一人で悩んできたことを打ち明けるのはとても勇気のいること。素晴らしい友人達に囲まれていたこともあって、晴れやかなラストで -
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ネタバレバレエダンサーであり振付家の萬春(よろずはる)の半生。
集中力と観察力、そしてそれをトレースする力と表現力。
必要な才能はすべて持っている。
でも、だからと言ってそれだけで世界のトップに立てるほど、甘いものではない。
中学生時代に出会い、ともにドイツに留学したJUN。
幼い頃から近くで春のそばで彼を見守ってきた稔おじさん。
同じバレエスクールに通っていたが、その後作曲家になった七瀬。
そして彼自身の言葉で萬春を語る。
全体の感想としては、面白かったです。
JUNのパートは、まあ普通のバレエ小説、バレエマンガにありがちではあったけど、恩田陸の筆にかかるとワクワクするほど面白い。
一番好きな -
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「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ短編集。
「祝祭と掃苔」「獅子と芍薬」「袈裟と鞦韆」「竪琴と葦笛」「鈴蘭と階段」「伝説と予感」の6作収録。
最初に言っておくと、「蜜蜂と遠雷」は記憶の彼方である。
素晴らしい作品だったこと、栄伝亜夜や風間塵など主要キャラの外殻など断片的なものしか覚えていない。正直、再読せずにこの短編集を読んでしまって良いものか直前まで悩んだ。でも、えいやという気分で頁を開いてみた。
最初の作品が「祝祭と掃苔」で、前述の栄伝亜夜と風間塵が出てきてくれたので、意外とすんなりと世界に戻ることができた。天才たちの年相応の雑談に、心が和んだ。記憶が曖昧でもちゃんと楽しませてくれるなあ。
「 -
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昭和初期、山間の遊郭・墜月荘で、私は三人の母と共に生活していた。
産みの母・和江、育ての母・莢子、名義上の母・文子。館に訪れる軍人や客、下働きの男女たち…私の視点で紡がれるのは、不穏で耽美な空間。「鈍色幻視行」の核となる作中作。
浮き世離れしている作品。
主人公であるビイちゃんがあまり主張してこないせいか、のっぺりした平板な印象を受ける。読者は、輪をかけて遠くから墜月荘を眺めているような気分にさせられ、終始視点は俯瞰だった。それをのめり込む事ができなかったと評価することもできるのだが、この奇妙な距離感があったおかげで、墜月荘の非日常感が色濃く演出できていたという見方もできる。非常に評価が難し