恩田陸のレビュー一覧
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ネタバレとても有名なのに読んだことがなかったので読みました。
夜通し歩く、変わった高校の行事。
ただ歩いてしゃべって、休憩して、なのに、その道すがら気づく友達のこと、恋愛のこと、そしてなにより気まずくて話したことのない異母兄弟のことが、飽きさせずにテンポ良く夜のピクニックを彩っていきます。
自分の感情が良く分からないまま、大人と子どもの中間にいる高校生の危うさみたいなものが、懐かしく感じました。高校のときに読んだら、もっと心に刺さったかも。
異母兄弟同士、最後は話せて良かった。
青春小説でありながら、恋愛に全振りしないのが好みでした。 -
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ネタバレ有名な作品のパロディ5編。五条紀夫さんのが気になって買ってみたけど他の作品も想像以上に面白かった。
まず五条さんのごんぎつねのパロディ。ごんか人間に化けて兵十とともに謎を解いていくミステリーになっている。展開としてはまあまあな感じだったけどこれをごんぎつねに落とし込んでいるのがすごいと思った。有名なあのセリフもしっかり回収されていて気持ちいい。
他の作品で好きだったのは、あをにまるさんの「髭」と斜線堂有紀さんの「偽史・山月記殺人事件」の二編。
「髭」は、どんどん髭が伸びてしまうコンプレックスを抱える教師が、祈りを捧げることで翌日から髭が生えなくなる。それに喜ぶ主人公だが、インパクトのあるツッコミどころがなくなったことで、今まで隠れていた自分の欠点があらわになってしまう。コンプレックスとアイデンティティは裏表のような存在なのかもしれない。
「偽史・山月記殺人事件」では、虎となった李徴が有名な詩人を殺して詩を奪うことで、詩人としての名を馳せていく。その裏では李徴に助言をしていた袁傪は自身の出世のために都合の悪い人間を消す計画を進めていた。ところどころで袁傪の裏切りを匂わすようなヒントが散りばめられていて、不穏な空気を感じながら読み進めていくことになる。その空気感とストーリーが面白かった。 -
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『半歩遅れの読書術』というエッセイが収録されている。
幼いころから読書に親しんでいた著者が、ノンフィクションを読むようになったのは、社会人になってからだったそうだ。
その伝で言うと、私なんぞは相当遅れた読書をしてきた。
学校の図書室が私の読書の基本だったので、文学全集や伝記集、ミステリやSFの子ども向けのシリーズばかりを読んでいて、いわゆるノンジャンルの現代日本のエンタメ小説を読み始めたのは、子育てがひと段落着いた20年ほど前からだ。
だから、彼女が紹介した本の大半を読んでいない体たらくである。
読むべき本、まだまだあるなあ。
私は順番をつけるのが苦手なので、マイベストを作ることができない。
それなのに、『○○な本3冊』とお題を出されて3冊を選び出す著者に頭が下がる。
私よりはるかに多い読書体験の中から、適切な3冊を選び出す才能。
せめてそのくらいは、できるようになりたいものだけれど。
ところで、3冊の選からは漏れたけど、「笑い」の3冊の中にコニー・ウィリスの『航路』が入っていたのに驚いた。
私にとって『航路』は、タイタニックと脳死の話なので、どこに笑いの要素があったのか、まったくピンとこない。
ああ、ここでも読みの浅さが悔やまれる。 -
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ネタバレ豪華客船でのアジア旅行を舞台にした群像劇、その後編。
後編では、蕗谷夫妻がそれぞれへのインタビューをもとに、物語の謎を解き明かしていきます。読んでいて感じたのは、本格ミステリーのように明確な答えへとたどり着く「完全な謎解き」ではなく、憶測と推理の狭間にあるような、考察に近いものでした。
真相もいまひとつはっきりせず、難しく感じる部分も多かったです。それでも、タイトルにある「鈍色」のような、どこか曖昧ではっきりとしない真相と、「幻視行」のような朧げな記憶の中で繰り広げられる推理劇が、この作品そのものを表しているように感じました。
真相が本当にその通りなのかは、最後まで分かりません。けれど、それでいいのかもしれません。
この旅は、謎を解き明かすためだけのものではなく、登場人物たちがそれぞれ抱えていた迷いや心の枷から、少しずつ解放されていく旅だったのではないかと思いました。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
蕗谷梢:水樹奈々
蕗谷雅春:中村悠一
真鍋綾実:高山みなみ
真鍋詩織:緒方恵美
島崎四郎:大塚明夫
島崎和歌子:坂本真綾
角替正:大塚芳忠
清水桂子:朴璐美
進藤洋介:山寺宏一
武井京太郎:菅生隆之
九重光治郎:梅原裕一郎 -
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神原恵弥シリーズ3作目。凄腕ウイルスハンターの神原恵弥が本作で向かうは、トルコ共和国。2作目は国内だったが、3作目は再び舞台は海外へ。1作目の主人公だった満とも再会し、かつての恋人もトルコにいる。高校の同窓生が中年になり異国で再開、隠れミッションを抱えた恵弥は殺人事件に巻き込まれる。
イスタンブールの郊外で、黒い苔に覆われた死体が見つかるようになったらしいという謎。水の研究者の日系の女が殺される事件。顔色が悪く怪しい動きの元恋人。恵弥にミッションを依頼した友人は日本で事故に。満と恵弥はトルコ内を巡りながら謎を追う。
刊行は2015年だが、本作のなかで恵弥は言う。いずれ近いうちに、世界は協力な感染症に見舞われるわ。昔よりも移動が容易になった今、1-2日で感染は世界に広がるはずよ。一説によると、増えすぎた人口を減らすための自然の自浄作用として時折こうした感染症が発生するとも言われているわ。…まるでコロナのパンデミックを予想するような本作の神原恵弥。出版当初はファンタジーとして読んでいたが、今読み返すと、むむむ…となる。これも、時をおいて読み返す楽しさ。 -
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MAZE。恩田陸の初期の名作にして、その後続く神原恵弥シリーズの第一作目。出版は2001年。当時中学生だった私は夢中で読んだのを覚えている。ミステリーともホラーともファンタジーとも取れる恩田陸特有のボーダレスなジャンルが、まだ目新しかった。この度このシリーズの最新作がめちゃくちゃ久しぶりに刊行されたとあり、久々に読み返さねばと手に取った。
舞台は西アジアのとある国。地元の人間も立ち寄らない不気味な丘に、謎の巨大な白い立方体の構造物がある。この白い構造物の中は迷路のようになっており、複数人で入ると人が消失するという事件が長い歴史のなかでたびたび起きているらしい。
この謎を1週間で解く、というのが本書内の登場人物のミッション。高校の級友だった神原恵弥に久しぶりに誘われ雇われて連れてこられた冴えないミッドサーティの男が主人公。神原恵弥は製薬会社に勤める謎多きイケメン(なのにオネエ言葉)。そしてお供するはローカルガイド的な現地人の男と、アメリカの軍人の男。
4人はこの白い構造物を「トーフ」と呼びながら、過去の文献をひもとき、謎解きを試みる。この構造物は何のためにどうやってできたのか?何でできているのか?なぜ人が消失するのか?その間も日々不思議なことが起こり続ける。そして神原恵弥は本当は何者なのか?謎が謎を呼び、誰が信用できる人間なのか、ハラハラもする。なのに毎日4人は和やかに食卓を囲みながらしゃべり倒し、緩急が絶妙。
刊行当初よりも読者として読書舌が肥えた私には、当時のワクワクは残念ながら再現されなかったが、恩田陸らしさが凝縮された初期作品に、感慨深い気持ちになりながら読み終えた。 -
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ネタバレ恩田陸先生の長編小説。呪われた作品『夜果つるところ』の映画関係者たちが集まる豪華客船で作品の呪いの真相を解き明かそうとする物語。
前編ということもあり、謎の提示と人物整理などが中心でやや説明的な印象を受けました。この後の展開はどうなるのか。事件の真相は?真相の見えないまさしく鈍色のようなこの作品。後編も読んでいきたいです。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
蕗谷梢:水樹奈々
蕗谷雅春:中村悠一
真鍋綾実:高山みなみ
真鍋詩織:緒方恵美
島崎四郎:大塚明夫
島崎和歌子:坂本真綾
角替正:大塚芳忠
清水桂子:朴璐美
進藤洋介:山寺宏一
武井京太郎:菅生隆之
九重光治郎:梅原裕一郎