恩田陸のレビュー一覧
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『夜のピクニック』を読んでまず感じたのは、これは高校生活最後の学校行事を描いた青春小説ではなく、人と人との距離が変わる瞬間を描いた物語だということだった。
舞台となるのは、高校生活最後の伝統行事「歩行祭」。生徒たちは一昼夜をかけて約八十キロを歩き続ける。ただ歩くだけの行事でありながら、その長い時間の中で、普段なら言えない本音が少しずつこぼれ、友人との関係や家族への思い、将来への不安、それぞれが抱えてきた感情が静かに動き始める。そして物語の中心には、ある秘密を共有する西脇融と甲田貴子の存在がある。二人の関係が歩みとともに少しずつ変化していく様子が、この作品全体を貫く一本の軸となっている。
こ -
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いい年のおじさんたちが、喫茶店やバーをハシゴしながら怪談話をするという短編集。何も知らずにこの作品を読んだが、どうやら主人公を塚崎多聞とするシリーズの3作品目らしい。シリーズは飛ばさず順番に読みたい自分としては悔しいが、この作品からでも十分楽しめる。
全体的にはゆるっとした雰囲気。怪談もほとんどが怖くなく、どちらかというと仲良しのおじさんたちが話しているのをまったり見守る感じ。さらりと読める。
ただ、たまにゾクっとくるエピソードがあるのと、多聞の何気ない一言が、友人の仕事のサポートになることがあり、いい刺激になっていた。
おしゃれそうなお店が出てくるため、純喫茶に行きたくなる。ほんのりと -
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ネタバレ2026/07/23
好きな子からお薦めしてもらった小説。
戸田忍が西脇融と西高の女の子との話を始めた際に、『ナルニア国ものがたり』の話題を上げた。
小学校の先生になった従姉妹から10代の入口で勧められたが、最近になって読破し『しまった、タイミング外した』と後悔したらしい。
もっと早くに出会っていれば、この本は絶対に大事な本になって、今の自分を作るための何かになってたはずだったと。
この場面は前半に出てきたこともあり、僕にとって『夜のピクニック』がそんな本になるかを探っている感覚で読み進めた。
この本はファンタジーでないし、起伏の激しい内容でもない。
でも、貴子、そして融と自分を -
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本の中の気になった一文を引用して書こうと思います。ネタバレ気になる方は読まないようにしてください。
P321
「世界はつねに揺れているし、価値観は揺さぶられ続けている。そのことを意識しないふりをし、自分が幼時から築いてきたちっぽけなセルフイメージにしがみついて、世界は揺れてなどいない、うねってなどいないと自分に言い聞かせ続けているのだ。」
価値観を揺さぶられたくて、自分は本を読んでいるのかもしれない。
いろんな価値観を知るのは楽しくもあるが、恐ろしくもあるなと思う。
読むたびに惹かれる文章に出会うのが、すごく楽しい。期間をあけて再読したときにまた違う箇所に惹かれるのだろうと思うと、また楽 -
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2回目だろうか。
学生時代に読んで以降手元に置いていた作品。
大人になったから逆に良くなくなったパターンかもしれない。
主人公の友達が教諭である親戚から本を贈られていたが、あるとき不意に読んで
しまった、タイミング外した
と思ったというシーンがある。
「なぜ、この本をもっと昔、小学校の時に読んでおかなかったんだろう、そうすればきっとこの本は絶対に大事な本になって、今の自分を作るための何かになってたはずだったんだ。」
そうなんです、タイミングはやっぱりあるんです。
学生時代読んで良かったと思った事は覚えている。
ということは、今のタイミングでは無かったのかもしれない。何年か後の先にまた読 -
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三年に一度、「サヨコ」と呼ばれる生徒が選ばれるという伝承が残る高校。謎めいた転校生の登場をきっかけに、穏やかな日常は少しずつ不思議な色を帯びていく。
正直、感想をまとめるのが難しい作品だった。それは理解できなかったからではなく、一つの答えにたどり着けないから。答えらしきものは示されても、それが本当に答えなのかは分からない。だから、この物語の答えは読者それぞれの中にあるのだと思う。
読んでいて何度も浮かんだのは、高校時代という特別な時間だった。子どもでも大人でもない、現実と幻想の境界がどこか曖昧だった頃。仲間、友情、恋愛、噂、集団心理――あの頃だけが持つ不思議な熱量は、何気ない出来事さえ複雑 -
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大好きな恩田陸さんの名作。15年以上前からずっと頭の片隅にあったのになぜか未読のまま。今回、集英社文庫の「ナツイチ」フェアで選書されているのを見かけ、ようやく読んでみた。
東北にあるとされる架空の地「常野」をルーツにもつ、不思議な力を持つ一族の連作短編集。各短編での主人公は異なり、「しまう」「遠目・遠耳」「未来予知」「長命」など、その能力は実に多彩。それでも彼らは力を誇示することなく、現実世界に溶け込み、どこかでひっそりと暮らしているという設定がとても魅力的だった。
能力を使った派手な戦いや冒険ではなく、「もし本当にこんな人たちが身近にいたら」と思わせる静かなファンタジーのお話。読み終えた