恩田陸のレビュー一覧
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「必然性?」
そう書き残して自死した脚本家の前妻をいつまでも消化しきれない夫と再婚した小説家の妻が、いわくつきで未完成の映画の原作の謎について、いわくに関わった人たちと2週間の船旅に出る。
「鈍色幻視行」
そのまま読めば“色のはっきりしないまぼろしを視つつ行く”
そんな空気感を漂わせながら船上で問題の小説とその作者の真相、映画化が頓挫したわけを話し合う。
それぞれの過去を映し出した感じ方が、互いに少しづつ表に流れ出す。
いつのまにか登場人物たちの流れ出た物語に引きずられてのめり込むように読んでしまった。
「真実はパレードで降ってくる金色の紙吹雪 落ちてしまえばただの安っぽい紙切れ」
表 -
Posted by ブクログ
「蜜蜂と遠雷」「なんとかしなくちゃ。」以来の恩田さんの作品でした。今回、他作家の別作品2冊と同時進行で読むということをやってみました。
本作の『跳ねる→芽吹く→湧き出す→春になる』のそれぞれの間に、2作品の一編ずつを挟んで読み繋ぐという荒技。すると、自分自身飽きっぽい性格なのですが興味関心が薄れることなく、むしろ、まるで好きな連続ドラマを1週間毎に観るような感覚になり、次の順番が回ってくるのが待ち遠しくなるんですね。
結果4日で完走。ちなみに他2作というのは、永井紗耶子さんと髙田郁さんの作品でした。そのどちらも次に回ってくるのが楽しみで仕方がないという…。
で、本作ですが(笑)。
主人公 -
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Posted by ブクログ
連作短編。雑誌に長期に書き継がれた作品(2014-2025)。
全くバラバラの仕事を持った中年のおじさん4人が、全国の喫茶店を巡って怪談話しをする。
京都、横浜、神保町、神戸、大阪、京都と全て会社や仕事で馴染みの場所なので、何となく街や喫茶店の空気感が分かる。歴史ある喫茶店が中心。
あとがきを見ると、作者の実話が元になっているとのことで、怪談が物凄く怖い訳では無い。そんなこともあるよな、と思ってしまう。
主人公と思われる多聞のシリーズもあるようだが、多聞の突拍子もない発言で、2件の事件が解決してしまった。推理小説的な内容も兼ねているようだ。