恩田陸のレビュー一覧

  • 光の帝国 常野物語

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    大好きな恩田陸さんの名作。15年以上前からずっと頭の片隅にあったのになぜか未読のまま。今回、集英社文庫の「ナツイチ」フェアで選書されているのを見かけ、ようやく読んでみた。

    東北にあるとされる架空の地「常野」をルーツにもつ、不思議な力を持つ一族の連作短編集。各短編での主人公は異なり、「しまう」「遠目・遠耳」「未来予知」「長命」など、その能力は実に多彩。それでも彼らは力を誇示することなく、現実世界に溶け込み、どこかでひっそりと暮らしているという設定がとても魅力的だった。

    能力を使った派手な戦いや冒険ではなく、「もし本当にこんな人たちが身近にいたら」と思わせる静かなファンタジーのお話。読み終えた後は見慣れた町の景色さえ少し違って見え、どこかに常野の人が暮らしているのではないか…と想像したくなる。
    優しくどこか切ない空気をまとっていて、一編ずつじっくりと味わいながら読むのにピッタリな作品だった。

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    2026年07月14日
  • 光の帝国 常野物語

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    特別な能力を持つ人たちの短編連作集。好き好きはあると思うが、それぞれ魅力的な作品で、面白かった。重なる登場人物が覚え切れておらず、誰だっけと思いながら読んでしまった。日を改めて再読したいと思う。

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    2026年07月14日
  • チョコレートコスモス

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    ネタバレ

    登場人物の色が濃くておもしろかった。
    佐々木飛鳥はなんでもすぐにできてしまう人に見えるけど、「恐怖」を知らなくて、よくも悪くも人間味が薄いタイプの人はどこかで芝居に行き詰まると書かれていて、たしかになと思った。
    人間の役をやるのに、知らない感情を演じるのは難しそう。

    一方で、アイドルのあおいが一瞬だけ勝ち誇った顔を見せたのに対し、東響子が血相変えて大阪を出た場面は、すごく人間らしく、女らしい場面だった。
    平常を取り繕って感情が滲み出してしまう女の生々しさがでていた。

    わたしは演技の世界をよく知らないし、生で舞台を見たことがないから、情景を想像するのが少し難しかったけど、この作品を呼んで何かの舞台を観行ってみたくなった。
    演者がどんな気持ちで舞台に立っているのか、想像するのが楽しそうだ。
    自分が神谷になったつもりで舞台を観てみたい。

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    2026年07月13日
  • 蜜蜂と遠雷(上)

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    『蜜蜂と遠雷』を読み終えて、一番印象に残ったのは、登場人物たちが演奏を通じて「自分自身」と対話していることだった。

    演奏中の内省は非常に多い。ただ音楽を奏でているのではなく、楽曲をどう解釈するかを通じて、自分の人生や価値観、そして自分自身の音楽を組み立て直しているように感じた。特にマサルと明石の描写は、その傾向が顕著だった。

    風間塵という存在も強く印象に残った。彼はまさに劇薬である。劇薬とは、毒にも薬にもなり得る存在という意味だ。彼は既存の音楽観や価値観を揺さぶり、音楽界に混沌をもたらす。しかし、その混沌は単なる破壊では終わらない。栄伝亜夜は自分の限界に突き当たっていたが、風間塵の演奏を通してその限界を打ち破ったというより、自分の限界さえも自分の音楽性へと昇華していったように思う。風間塵は周囲の演奏家たちに、新しい音楽の可能性を示した存在だった。

    また、楽曲の解釈という考え方は、小説にも通じるものがあると感じた。一つの物語があっても、誰が描くかによって作品はまったく違うものになる。たとえば『桃太郎』でも、夏目漱石が描く桃太郎と恩田陸が描く桃太郎では、読者が受ける印象は大きく異なるだろう。音楽も同じで、同じ楽譜を前にしても、演奏者が違えばまったく別の作品になる。その解釈の違いこそが、新たな発見を生み出していくのだと思った。

    このことは、自分の読書観にもつながった。読者は作者の作品を受け取るだけではない。「恩田陸はこの物語をこう解釈したのか」と読み、さらに「もし自分ならどう描くだろうか」と考える。その意味では、読書もまた、作家と読者による一種の共演なのかもしれない。

    唯一物足りなさを感じたのは、自己との対話が中心となった一方で、「音楽そのもの」との対話がやや埋もれてしまったことだ。個人的には、音を聴いた瞬間に身体が震える、皮膚を音が滑っていくといった、生々しい身体感覚をもっと描いてほしかった。そうした描写が加われば、演奏の凄みをさらに追体験できたように思う。

    文章そのものは終始美しく、柔らかく、手触りのよい工芸品を撫でているような心地よさがあった。強い吸引力がありながら、その力は事件や謎ではなく、一文一文の美しさと、登場人物たちの音楽への向き合い方から生まれていた。音楽を題材にした小説であると同時に、「表現するとは何か」「解釈するとは何か」を描いた作品として心に残った。

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    2026年07月12日
  • 夜の底は柔らかな幻(上)

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    ネタバレ

    SFのカテゴリーになるのでしょうか?
    日本の世界観で話は動いていくが、キャラクターたちの特殊能力やこの物語の言葉の意味や内容もあまり具体的な説明もなく話は進んでいく。

    キャラクターたちの個性がたっているので、アニメーションのようなイメージで読んでました。
    人と人の会話シーンや緊迫するシーンなどひとつひとつ際立った話が多く読み進めていて面白い。

    どんどんと主人公の目的や結末はどうなるのかとても気になっています。
    色んなキャラクターたちの目的がひとつの山の中に真実が隠されているので、下巻の交差する思いがどう終盤にまとまるのか、楽しみです。

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    2026年07月11日
  • 愚かな薔薇 下

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    SF・ミステリー・青春が描かれた本。
    これまで恩田先生の本は何冊か読んだが、恋愛?のような青春ものは初めてだったので新鮮だった。
    上下巻あったが、スルスルと読めてしまった。

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    2026年07月11日
  • 月の裏側

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    団地住まいの人間の不思議などが書かれていたかな。団地にいると不意に一人になったような感覚、これが意識の階層の違いによるもの。

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    2026年07月11日
  • 私の家では何も起こらない

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    家ホラー おすすめで検索して出てきたので読んでみる。
    恩田さんってすごい人気よなと思いつつ多分私の好きなタイプじゃないんだろうなとか勝手に思って読んだことなかった作家さんです。
    こちらは連作短編の1つの家にまつわる話。出だしは悪くないなと思って読んでいくと、大工の話で一気に世界がひっくり返るというか、今まで読んできた不気味なものたちが急に人間味を帯びてくるというか。
    そのあたりに面白さを感じたので読んでよかった。ホラーにしてはそこまで怖くないのもありがたかった。

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    2026年07月11日
  • ドミノ

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    恩田陸大好きだけど、コメディになると、あの独特の綺麗な美しい文章でシュールな場面を描くからその温度感のギャップに刺さりまくった。登場人物多すぎて苦手分野かと思いきや、全員キャラクターが突出していてスルスル読める。

    途中途中書き手目線になるのも逆に没入感あって楽しい。構成も天才的だしこれをかける才能が恐ろしい…

    あー面白かった!!小説読まない人にも勧めたくなる。

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    2026年07月10日
  • 蜜蜂と遠雷(2)

    購入済み

    絵柄が好き

    続編が出て嬉しいです!
    小説で読んだ雰囲気、そのままのコミカライズで
    小説を読んだときの感動を再び味わえました。
    ピアノのことはぜんぜんわからないですが…

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    2026年07月10日
  • 愚かな薔薇 上

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    恩田陸作品の壮大なSF作品。田舎町の風景、お囃子の描写などが想像しやすい。そして常にどこか薄暗い感じがある。続きが気になってスルスル読めた。

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    2026年07月10日
  • 薔薇のなかの蛇

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    2026.07.09
    さすがに文章がうまい。登場人物の造形がそれぞれ際立つように描かれている。謎解きについてはワタシとしてはどうなのかなと思う部分はあるけれどそんなことを吹き飛ばすくらいストーリーがうまくながれていく。

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    2026年07月09日
  • チョコレートコスモス

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    前半何度も離脱しそうになったけど、ここのみんなの感想を見てがんばって読みました。
    100ページ超えたくらいからどんどん面白くなってきて後半はあっという間に読み終えました
    読んでよかった

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    2026年07月08日
  • 鈍色幻視行 下

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    いろんな意味で『恩田陸』作品だった。物語をめぐる物語。
    とりとめのない会話とか、飛びまくるやりとりとか。
    閉鎖的な場所での息が詰まるような生活とか。
    そして、例によって終わりはモヤモヤする。
    私はそんな恩田陸が好きだからいいけど。
    古い映画や俳優さんが見え隠れするのも通常運転。
    恩田作品が好きならば、お勧め。

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    2026年07月06日
  • ドミノ

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    総勢27人と1匹の登場人物たち。どこでどう絡むのか全く予想できなかったけど、あれよあれよという間にまさにドミノ倒しのように繋がっていく展開。読む手が止まりませんでした。誰と誰が絡むの?この先どうなるの?と心配する必要はありません。最後は綺麗にまとまります。いやいや、さすが恩田陸、凄い一冊でした。

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    2026年07月06日
  • 蜜蜂と遠雷(2)

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    亜矢ちゃんの本領が風間じん君によって再び開花される

    幼馴染みのマー君との出会いがさらに彼女を高みに導いていく

    これからの戦いがさらに熱を帯びて楽しみになる

    それにしてもこの絵がとてもうまくて作品の中に引き込んでくれている

    原作を知っていてもコミックでまた読み返したくなる作品です

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    2026年07月04日
  • ドミノ

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    あらゆる登場人物がそれぞれのストーリーを描く中、一つの事件につながって一つの物語が順番に進んでいく。まるでドミノのように。

    登場人物が多いマルチ視点の話は今どこの話かわからなくなるけど、1人ひとりの物語の長さ、登場の順番、描写がすごくわかりやすいので、あまりストーリーの迷子ならない。読みやすい!

    それぞれのストーリーが繋がった時のパズルのピースがハマったような爽快感や喜びはこの本の醍醐味なような気がする。

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    2026年07月04日
  • 黒と茶の幻想(下)

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    ネタバレ

    大学時代の友人男女4人がそれぞれの想いを深めながら登山をする
    登り下りあるものの景色は単調な山だからこそ思いは深まる
    私も霧深い山道を閉塞感のある空間を必死で歩いているような錯覚を覚える。自身の学生時代を思い出しながら
    ラストは明るい世界へ戻る。戻りながらもそれぞれの世界はまた霧や苦しい登り道が待ち受けているのかもしれない
    何年後かの再会を恩田陸氏は書いてくれるのだろうか
    蒔生の再婚ありに賭けます

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    2026年07月03日
  • spring

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    一人の天才が成長していく様を、複数人の近しい人たちの視点から明らかにしていく。
    元々バレエには興味がなく、果たして読み切れるだろうか、と躊躇していたものの、それは杞憂に終わった。
    文章だけでバレエを描写しきる恩田陸の筆力は驚き。
    本屋大賞ノミネートにも十分頷ける作品だった。

    惜しかったのは、終盤に描かれる官能的なシーンについて。
    とても中途半端な状態だったなと思った。
    官能シーンはなしにするか、組み込むのであればもっと思い切って、生々しく入れた方が良かったと思う。

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    2026年07月04日
  • 月の裏側

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    ネタバレ

    SFホラーの中にだけども人、個性、自己、という自分は一体何者なのかを私自身に問いたくなる話でした。

    謎の真相というか上っ面の不気味さに最初読んでいく中で中々進展しないもどかしさもあったけれど、
    途中から登場人物が気づいてきたようにそれは応じてどんどん進展を見せていく急展開さにどきどきしながら読み進めていた。

    クトゥルフ神話のような、人間がどうすることもできない神に近い得体の知れないもの、のような存在が登場するお話は初めて読んだので、都市伝説系のようなぞわぞわした違和感と恐怖感を感じました!

    どうやら最新作?にも多聞さんが登場しているようでこの機会に多聞シリーズとして読むことができて良かったです。

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    2026年06月29日