恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大好きな恩田陸さんの名作。15年以上前からずっと頭の片隅にあったのになぜか未読のまま。今回、集英社文庫の「ナツイチ」フェアで選書されているのを見かけ、ようやく読んでみた。
東北にあるとされる架空の地「常野」をルーツにもつ、不思議な力を持つ一族の連作短編集。各短編での主人公は異なり、「しまう」「遠目・遠耳」「未来予知」「長命」など、その能力は実に多彩。それでも彼らは力を誇示することなく、現実世界に溶け込み、どこかでひっそりと暮らしているという設定がとても魅力的だった。
能力を使った派手な戦いや冒険ではなく、「もし本当にこんな人たちが身近にいたら」と思わせる静かなファンタジーのお話。読み終えた後は見慣れた町の景色さえ少し違って見え、どこかに常野の人が暮らしているのではないか…と想像したくなる。
優しくどこか切ない空気をまとっていて、一編ずつじっくりと味わいながら読むのにピッタリな作品だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ登場人物の色が濃くておもしろかった。
佐々木飛鳥はなんでもすぐにできてしまう人に見えるけど、「恐怖」を知らなくて、よくも悪くも人間味が薄いタイプの人はどこかで芝居に行き詰まると書かれていて、たしかになと思った。
人間の役をやるのに、知らない感情を演じるのは難しそう。
一方で、アイドルのあおいが一瞬だけ勝ち誇った顔を見せたのに対し、東響子が血相変えて大阪を出た場面は、すごく人間らしく、女らしい場面だった。
平常を取り繕って感情が滲み出してしまう女の生々しさがでていた。
わたしは演技の世界をよく知らないし、生で舞台を見たことがないから、情景を想像するのが少し難しかったけど、この作品を呼んで何かの舞台を観行ってみたくなった。
演者がどんな気持ちで舞台に立っているのか、想像するのが楽しそうだ。
自分が神谷になったつもりで舞台を観てみたい。 -
Posted by ブクログ
『蜜蜂と遠雷』を読み終えて、一番印象に残ったのは、登場人物たちが演奏を通じて「自分自身」と対話していることだった。
演奏中の内省は非常に多い。ただ音楽を奏でているのではなく、楽曲をどう解釈するかを通じて、自分の人生や価値観、そして自分自身の音楽を組み立て直しているように感じた。特にマサルと明石の描写は、その傾向が顕著だった。
風間塵という存在も強く印象に残った。彼はまさに劇薬である。劇薬とは、毒にも薬にもなり得る存在という意味だ。彼は既存の音楽観や価値観を揺さぶり、音楽界に混沌をもたらす。しかし、その混沌は単なる破壊では終わらない。栄伝亜夜は自分の限界に突き当たっていたが、風間塵の演奏を通してその限界を打ち破ったというより、自分の限界さえも自分の音楽性へと昇華していったように思う。風間塵は周囲の演奏家たちに、新しい音楽の可能性を示した存在だった。
また、楽曲の解釈という考え方は、小説にも通じるものがあると感じた。一つの物語があっても、誰が描くかによって作品はまったく違うものになる。たとえば『桃太郎』でも、夏目漱石が描く桃太郎と恩田陸が描く桃太郎では、読者が受ける印象は大きく異なるだろう。音楽も同じで、同じ楽譜を前にしても、演奏者が違えばまったく別の作品になる。その解釈の違いこそが、新たな発見を生み出していくのだと思った。
このことは、自分の読書観にもつながった。読者は作者の作品を受け取るだけではない。「恩田陸はこの物語をこう解釈したのか」と読み、さらに「もし自分ならどう描くだろうか」と考える。その意味では、読書もまた、作家と読者による一種の共演なのかもしれない。
唯一物足りなさを感じたのは、自己との対話が中心となった一方で、「音楽そのもの」との対話がやや埋もれてしまったことだ。個人的には、音を聴いた瞬間に身体が震える、皮膚を音が滑っていくといった、生々しい身体感覚をもっと描いてほしかった。そうした描写が加われば、演奏の凄みをさらに追体験できたように思う。
文章そのものは終始美しく、柔らかく、手触りのよい工芸品を撫でているような心地よさがあった。強い吸引力がありながら、その力は事件や謎ではなく、一文一文の美しさと、登場人物たちの音楽への向き合い方から生まれていた。音楽を題材にした小説であると同時に、「表現するとは何か」「解釈するとは何か」を描いた作品として心に残った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレSFのカテゴリーになるのでしょうか?
日本の世界観で話は動いていくが、キャラクターたちの特殊能力やこの物語の言葉の意味や内容もあまり具体的な説明もなく話は進んでいく。
キャラクターたちの個性がたっているので、アニメーションのようなイメージで読んでました。
人と人の会話シーンや緊迫するシーンなどひとつひとつ際立った話が多く読み進めていて面白い。
どんどんと主人公の目的や結末はどうなるのかとても気になっています。
色んなキャラクターたちの目的がひとつの山の中に真実が隠されているので、下巻の交差する思いがどう終盤にまとまるのか、楽しみです。 -
購入済み
絵柄が好き
続編が出て嬉しいです!
小説で読んだ雰囲気、そのままのコミカライズで
小説を読んだときの感動を再び味わえました。
ピアノのことはぜんぜんわからないですが… -
Posted by ブクログ
ネタバレSFホラーの中にだけども人、個性、自己、という自分は一体何者なのかを私自身に問いたくなる話でした。
謎の真相というか上っ面の不気味さに最初読んでいく中で中々進展しないもどかしさもあったけれど、
途中から登場人物が気づいてきたようにそれは応じてどんどん進展を見せていく急展開さにどきどきしながら読み進めていた。
クトゥルフ神話のような、人間がどうすることもできない神に近い得体の知れないもの、のような存在が登場するお話は初めて読んだので、都市伝説系のようなぞわぞわした違和感と恐怖感を感じました!
どうやら最新作?にも多聞さんが登場しているようでこの機会に多聞シリーズとして読むことができて良かったです。