恩田陸のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
東京駅のある夏の午後、すれ違うはずの27人と一匹が織りなすパニックコメディ。
形が変わっていく雲を、超高速で早送りしているような気持ちになった。もしくは、ビルの上から群衆を眺める楽しさ、アリの巣を観察するような小説。
そこには主人公はなく、ストーリーラインもない。もしくは、みんな主人公で、それぞれのストーリーラインが交差している。とても挑戦的ではあるが、テンポが良くて難しい事は一切ない。読むことがただただ楽しいエンターテイメント作品でした。
表紙の若林夏さんの装画も素晴らしくて、読んでから眺めると幸せな笑みがこぼれる。はじめての恩田陸作品でしたが、とにかく楽しい小説でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレここまで青春を上手に描けるのが凄い。
友達と複数で遊んだり泊ってる時、誰か一人帰るってなった時の虚しさとか
修学旅行にみたいな特別な夜に、秘密を話したくなるような気分とか
そういう言葉にできないけど、なんとなく感じてきたことを描くのが上手に感じた。
今回は4人だけど、1人欠けるだけでどこか物足りなくなる
別に他の人と仲が悪い訳じゃないけど、さっきまでの空気というかその味を再現できなくなるのが少年時代は寂しかった気がする。
あとがきにもあるが、美国の個性というか魅力が少し弱いとは感じ長けど、やっぱりあの集団に美国が欠けると変になるんだろうな
それぞれ役割がしっかりあったんだと思う
恩田さんは統が好きって言ってたが、なんかそうだろうなって感じた
夜のピクニックの「高見光一郎」がそっくりだし
好感が持てる人物だった -
Posted by ブクログ
この作者の作品にしては綺麗に風呂敷を畳みきった印象。あり得うる未来の図だよなあと感じで心寒い気分になる。
ヒトを創りし神/古人種が、その繁殖力に恐れをなして弾圧をはかるという話の類型が、昔はイマイチ理解できなかった。自身がヒトの側でしか考えていなかったから。
確かに怖くてたまらないよね。遺伝子改良した猿がめちゃくちゃ賢くなって徒党を組みだしたら早目に絶滅させようよ!って思っちゃうもん(この傲慢さのせいでダーウィン事変を序盤楽しめなかった。チャーリー怖いよ)。
作中で、諸外国ではロボットに対する排斥運動が激しいというような描写があった。日本ではロボット(ドラちゃんですかね)に対する親しみが下地にあってそうでもないと。
作中でも明らかにロボットの能力は人間を超えているし、プログラミングされたものという描写ながらも人格者ですらある。反旗を翻されたらはっきり言って勝ち目はないとわかるのに、作中の彼らの知性と理性ならばヒトを裏切ることはないだろうと甘えにも似たような信頼を感じる。
アシモフの三原則で縛られたロボットは、ヒトの愚かさ(人間の三前提)を飲み込んで、M(ORAL)三原則に、そしてロボットの大前提に従ってヒトに奉仕する。
AIが反乱したときに見逃してもらえるようにAlexaに丁寧に喋りなよ、とか、軽口たたいちゃうのは、縛りのない「賢い」AIはヒトに容赦しないだろうといううっすらとした恐れがあるからだ。縛られたロボットには甘えるのにね。