《そう、自分もその過程に加わったに過ぎないのだ。物語が形成されていく過程に。》p.207。
《誰かに見られている。》p.360。
《この書き出しは、どうだろう?》p.431。
>第一章、ミッションは超巨大な屋敷から一冊の謎の本『三月は深き紅の淵を』を探せ!!
>第二章、出雲に向かう二人の女編集者はそれぞれ『三月』を読んでおり、その著者は誰であるかディスカッションする。
>第三章、一緒に崖から落ちて死んだ二人の美少女の関係は人によって印象が異なっていた。二人の死は事故か自殺が殺人か。
>第四章、この本を書こうとしている女性作家の話と、謎の学園に放り込まれた理瀬の話。
>枠の外側と内側の境界がしだいに曖昧になっていくような、最近わりとありがちなタイプかもしれないけれど、言葉の魅力で月並みではなくなってる。
■理瀬についての簡単な単語集
【彰彦】室田利枝子と旅(安楽椅子探偵紀行)をしていた?
【圷比呂央:あくつ・ひろお】金子さんちを建てた建築家。故人。極度の活字中毒。特に推理小説が好きだったらしい。全ての金を本に費やしたということだが、その割に超巨大な屋敷(今は金子さんち)を持っていた。ダイイング・メッセージとして「ザクロの実」という語を残した。それが広い館のなかにあるとある本へのヒントになるらしい。
【アングラ】水越《今はアングラというものがなくなってしまった。》三月はp.34
【一色】金子さんちのお客さん。ひょろ長い男。大学教授。英国文学。教え子だったNという学生から本を借りた。
【稲垣史朗】篠田美佐緒と林祥子の実父。
【江藤朱音:えとう・あかね】編集者。堂垣隆子とは同僚ではない。キャラクタで作家を摑む。酒は別腹という飲んべえ。自己表現の手段として物語を書いてますという作家は嫌い。
【海老沢】鮫島巧一が勤める会社の秘書課の人。
【おたく】金子さんちに呼ばれた誰かによるとおたくというのはマスターベーションでありそれを互いに見せ合おうとしてるところが気持ち悪いらしい。
【女】水越《女はフィリップ・マーロウになった気持ちでハードボイルドを書こうなんて絶対に思わないわよ。ジゴロやチンピラの気持ちで女を見てみたいと思うことはあってもね》三月はp.64
【金子慎平】鮫島巧一が勤める会社の会長さん。読書好きの社員を呼んでだますのが趣味らしい? 超巨大な屋敷の持ち主。
【鴨志田】金子さんちのお客さん。巨大な男。銀座の天ぷら屋の三男坊で料理人。
【神崎】篠田美佐緒と付き合うことになった男子高校生。そのために廣田啓輔はフラれた。金持ちのお坊ちゃんできれいな顔をしており男子生徒からはバカにされ気味だが、性格はよく努力家。
【小泉】謎の男。『三月は深き紅の淵を』の関わるところに出没する? いつもなんとなく焦っている。
【斉藤玄一郎】文芸評論家。堂垣が考える『三月は深き紅の淵を』の著者候補の一人。
【佐伯嗣瑛:さえき・しえい】純文学の大家。堂垣が考える『三月は深き紅の淵を』の著者候補の一人。雰囲気的にはモデルというかイメージは福永武彦さんあたりで。ミステリ好きやし柳川やし。
【烏山響一】画家。江藤朱音が嫌いな「畏れ」という絵を描いた。
【ザクロ】『三月は深き紅の淵を』でキーワードになっているらしい語。
【鮫島巧一】会長の家に呼ばれて困惑しているサラリーマン。
【三月は深き紅の淵を】謎の本の書名。昔、圷比呂央が友人の金子さんに貸したことのある本。著名な作家が匿名で書いたという噂の、異なる作品をモザイクのように散りばめた、ミステリと言えなくもないような作品らしい。他者への譲渡は不可、たった一人に一晩だけ貸すのは可。鮫島が金子に呼ばれたのはその本を探すゲームに参加させるため。一部屋ずつ虫干しするとかいう無粋な方法は不可なんだとか。全ての金を本に費やしたという圷比呂央が超巨大な屋敷を持っていたというのはちょっと怪しい気もするのでどこまで本当か不明。第一部の題名は「黒と茶の幻想」てサブタイトルは「風の話」。第二部は「冬の湖」サブタイトルは「夜の話」。第三部は「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、サブタイトルは「血の話」。第四部は「鳩笛」、サブタイトルは「時の話」。
【篠田美佐緒】高台の公園の展望台から林祥子とともに落ちて死亡した公立高校二年生。母子家庭で母親は大学教授で地質学者。林祥子とは異母姉妹。一冊の小説を書くのが夢。四部作構成で読んだ人が情けなくなって死んでしまうような本。
【性別】水越《作品を読むという次元で見れば、作者の性別なんて関係ないはずなのに、やっぱり本を読む時、どこかで作者の性を気にしている。意識されていないようでいて、実は作者の性別というのは重大な問題なのよね》三月はp.67
【堂垣隆子】編集者。江藤朱音とは同僚ではない。ビジネスライクなタイプ。
【野上奈央子】篠田美佐緒の親戚? 大学を卒業し、出版社の編集者になる予定。
【ノスタルジア】《彼女にとって、重要な、極めて個人的なテーマはずぼり、『ノスタルジア』である。あらゆる意味での懐かしさ。それは心地好く切ないものであると同時に、同じくらいの忌まわしさにも満ちている。》p.343。
【早坂詠子:はやさか・えいこ】篠田美佐緒の美術部での後輩。野上奈央子と知り合う。
【林祥子】高台の公園の展望台から篠田美佐緒とともに落ちて死亡した私立のお嬢様高校、志村女子高の二年生。篠田美佐緒とは異母姉妹。一年生のとき廣田啓輔とつきあったことがある。
【白夜】堂垣隆子の父が学生時代に参加していた同人誌。その中に『三月は深き紅の淵を』の著者がいるのではないかと堂垣は考えた。候補は作風から、自分の父と、佐伯嗣瑛(さえき・しえい)、両角満生(もろずみ・みつお)、斉藤玄一郎の四人に絞った。父以外はプロの作家になっているようだ。
【聖】理瀬と同じファミリーのメンバー。
【評論】江藤朱音《評論というのは実は完璧な創造なんだけどね。》三月はp.158。それは僕もずっとそう考えてました。評論家って、結局自分のこと書いてるんやから私小説みたいなもんやなあと。
【廣田啓輔】篠田美佐緒と付き合っていたらしい男子高校生。美佐緒が神崎啓輔に鞍替えしフラれたらしい。林祥子とも付き合っていたらしい。吉田秋生さんの『カリフォルニア物語』のヒースをイメージした。
【ファミリー】理瀬の属するファミリーは理瀬を入れて七人。本当は十二人必要だが余った者を集めただけなので半端になっている。理瀬と同じファミリーのメンバーは五年生の光湖、最年長で数字に強いの聖、茶目っ気たっぷりでいとこ同士の俊市と薫、大柄でがっしりしていて豪放磊落な寛、ストレートな黎二。
【穗積槙子】林祥子は篠田美佐緒に殺されたと考えている女子高生。
【水越】金子さんちの女性のお客さん。ボクっ娘小説は嫌い。実家はホテル経営。
【水野理瀬】→理瀬
【光湖:みつこ】理瀬と同じファミリーのメンバー。
【室田利枝子】旅(安楽椅子探偵紀行)をしていた?
【森】《森の中には、生者と死者が混在している。》p.430。
【両角満生:もろずみ・みつお】作家。アクの強い、耽美的な作風。堂垣が考える『三月は深き紅の淵を』の著者候補の一人。
【役立たず】鴨志田の相棒。大きな白い犬。
【屋敷】金子さんの超巨大な家。四つの巨大な屋敷林を囲んでいる。鮫島くんが行ったのは冬の家。
【憂理:ゆうり】理瀬のルームメイト。四年生。
【理瀬】水野理瀬。とある学院に来てただの理瀬になった。
【麗子】理瀬と同じ学院の生徒。行方不明にならなければ同じファミリーになった。
【黎二:れいじ】理瀬と同じファミリーのメンバー。
【ワープロ】《ワープロは嘘をつくのである。ワープロは、そういう意味では虚構にふさわしい。》三月はp.337