恩田陸のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
【青春の一幕を胸いっぱいに吸い込める本】
すれ違ってきた二人の人生がようやく交差する瞬間に立ち会うことができて、青春の一幕を感じ、とても心が温かくなった。
高校最後の行事である、一日を通して歩き続ける歩行祭。ずっと胸に抱えていた異母兄妹というしがらみを持つ二人が、高校生活最後のイベントでようやく和解することができた。
歩行祭といういわば非日常の空間で、高校三年間の想いが募るところも非常に青春感があって、学生時代を綺麗なものとして思い出せる。彼と彼女の友人たちも魅力あるキャラクターで、思いやりのある人間のできた高校生である部分も、物語の美しさに加担しているのは間違いだないだろう。
異母兄 -
Posted by ブクログ
喫茶店をはしごしながら、仲良しの中年男性4人が珈琲を飲みつつ順番に怪談を披露し、語り合う。真夏の京都で、初冬の横浜で、古書街の神保町で、時にビール怪談に、紅茶怪談になったりしながら。
友達と喫茶店をはしごして、怪談するなんて、とても楽しそう。怪談を話すことで、同じ恐怖を共有し、親密度が増す。
人が怪談に惹かれる理由として、現実の方がよほど不可解で怖いからこそ、説明のつかないものに魅力を感じるといったことが書かれていました。
今、文芸界はホラーブームだそうですが、確かに、答えのない不安や曖昧さを抱える現代だからこそ、怪談という形でそれを疑似体験したくなるのかも。
これまであまりホラーや怪談 -
Posted by ブクログ
ネタバレ密度の濃い小説だなぁ。でも恩田陸の文章ってこう、しっとりして密度がある、一定のイメージを想起させるよね。本作もテーマからもうかなり恩田陸っぽいなと思った。
学生時代からの友人である4人の男女がひょんなことからY島にJ杉を見に旅行に行くことになる。気の置けない友人同士だが4人の間には過去に消えた一人の女の影がちらついた。彼らの間に横たわる美しい謎を紐解き、過去を見つける4日間の旅についての物語。
本当に個人的な感想ではあるけれど最初の利枝子の章がとにかくきつくて時間がかかった。恋愛というものが人生の基本構造として語られるのって違和感があるので、全然理解できない人間のみっちりした内面に触れるの