恩田陸のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレバレエダンサーであり振付家の萬春(よろずはる)の半生。
集中力と観察力、そしてそれをトレースする力と表現力。
必要な才能はすべて持っている。
でも、だからと言ってそれだけで世界のトップに立てるほど、甘いものではない。
中学生時代に出会い、ともにドイツに留学したJUN。
幼い頃から近くで春のそばで彼を見守ってきた稔おじさん。
同じバレエスクールに通っていたが、その後作曲家になった七瀬。
そして彼自身の言葉で萬春を語る。
全体の感想としては、面白かったです。
JUNのパートは、まあ普通のバレエ小説、バレエマンガにありがちではあったけど、恩田陸の筆にかかるとワクワクするほど面白い。
一番好きな -
Posted by ブクログ
「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ短編集。
「祝祭と掃苔」「獅子と芍薬」「袈裟と鞦韆」「竪琴と葦笛」「鈴蘭と階段」「伝説と予感」の6作収録。
最初に言っておくと、「蜜蜂と遠雷」は記憶の彼方である。
素晴らしい作品だったこと、栄伝亜夜や風間塵など主要キャラの外殻など断片的なものしか覚えていない。正直、再読せずにこの短編集を読んでしまって良いものか直前まで悩んだ。でも、えいやという気分で頁を開いてみた。
最初の作品が「祝祭と掃苔」で、前述の栄伝亜夜と風間塵が出てきてくれたので、意外とすんなりと世界に戻ることができた。天才たちの年相応の雑談に、心が和んだ。記憶が曖昧でもちゃんと楽しませてくれるなあ。
「 -
Posted by ブクログ
昭和初期、山間の遊郭・墜月荘で、私は三人の母と共に生活していた。
産みの母・和江、育ての母・莢子、名義上の母・文子。館に訪れる軍人や客、下働きの男女たち…私の視点で紡がれるのは、不穏で耽美な空間。「鈍色幻視行」の核となる作中作。
浮き世離れしている作品。
主人公であるビイちゃんがあまり主張してこないせいか、のっぺりした平板な印象を受ける。読者は、輪をかけて遠くから墜月荘を眺めているような気分にさせられ、終始視点は俯瞰だった。それをのめり込む事ができなかったと評価することもできるのだが、この奇妙な距離感があったおかげで、墜月荘の非日常感が色濃く演出できていたという見方もできる。非常に評価が難し -
Posted by ブクログ
『Spring』で魅了された萬春にまた会いたいと思っていたので嬉しい。フランツとの恋愛エピソード多め。もしHALが女性だったら…フランツの家から手切れ金を渡された春が一人で息子KENを産んで…って二人とも妄想逞しすぎでしょ!学生時代、ヴァネッサやフランツ、ハッサンなど能力のある友人たちに「できるよね」と、押しかけ振り付け師のようなことをしていた春は、人気振付家となり、HALの作品だけを集めたスペシャルガラ2日間なんて絶対見に行きたいような魅力的な仕事をしている。
フランツの引退公演は、HALの振り付けでデュオを踊る「石の花」。少し切なかった。
唯一の師、ジャン・ジャメから数えて5代目の芸術監督 -
Posted by ブクログ
内容を聞かれたら「おっさん4人で喫茶店梯子しながら怪談話するお話だよ」という、相手の頭に「それはおもしろいのか?」という疑問でいっぱいにさせてしまいそうなあらすじなのに面白い。「夜のピクニック おっさんバージョン」的な。
(主人公たちが訪れているのは、実在のお店がモデルになっているそう。今回出てきたどの土地に関しても土地勘がなく、「あぁ、あの店ね」みたいな楽しみ方ができないのが悔しい…笑)
特に大きなオチがあるわけではないけれど、
ちょっと不思議、ちょっと怖い、が詰まった作品でした。
「すぐそこに怪異があっても、それは日常の顔をしていて。ただ気づかないだけ。」(本文より)
大げさなものでは -
Posted by ブクログ
九州の水郷地方都市で、三人の老女が相次いで行方不明になり、行方不明中の記憶を失くして数日後にひょっこり帰って来た事件の謎を解明するために、元大学教授の協一郎と、協一郎に呼ばれた教え子だった多聞、協一郎の娘の藍子、ジャーナリストの高安が奔走する。
すごく久しぶりに恩田陸を読んだのだけど、ああそうだ、じわじわーっと気色悪いのが近づいてくるこの感じ・・・緊迫感とか、逃げ場のない不安感、寄る辺のない心もとなさが「これぞ恩田陸」なんだったなーと思いながら読んだ。
「父には分からなかったのだろう。いつも独りぼっちでいるのが当然と思っていた私の中に、『誰か』に助けを求めるという選択肢がなかったということ