恩田陸のレビュー一覧

  • 夜のピクニック

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    読者はじっくりと登場人物の心情を理解して、わかったつもりになれるけど、現実の人間関係はもっとそっけなくて冷たくて(これは私自身が大人になっているからなのか)まだ不完全な高校生たちが人と関わって衝突して理解し合っていく情景が眩しすぎる。
    夜の暗闇を歩く、純粋な光の小説だった。

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    2026年09月19日
  • 夜のピクニック

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     まるで失いかけていた青春時代を、そっと追体験させられるような一冊でした。

     当初は「ただ夜通し歩くだけの物語で面白くなるのだろうか」と懐疑的でしたが、読み終えた後はどこか切なくも満たされる、温かな読後感に包まれました。

     本作には、事件らしい事件は起きません。しかし、主人公の西脇融と甲田孝子の心の中では、夜の静けさとは裏腹に感情の大きな荒波が打ち寄せています。緻密な人間描写によって登場人物の思考や感情がくっきりと立ち現れ、彼らの心の動きを克明にイメージできる点こそ、この作品の最大の魅力です。
     さらに、進学校の生徒らしい知的な言葉選びや会話が学生時代の空気をリアルに再現しており、まるで自分自身の青春を疑似体験しているような感覚に陥りました。
     ただ集団で歩くからこそ生まれる、自分自身との対話。非日常の高揚感があるからこそ明かせる、胸に秘めた会話。大人になると、こうした時間は意識しなければ決して手に入りません。スマートフォンと睨めっこする日常から少し離れ、時には自問自答したり、大切な人と腰を据えて語り合ったりする時間が必要なのかもしれない。そんな気づきと、確かな幸福感を与えてくれる名作でした。

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    2026年09月18日
  • 夜果つるところ

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    ネタバレ

    再読。『鈍色幻視行』の作中作。『鈍色幻視行』とは独立した小説として十分味わい深い。「妖艶で耽美な幻想小説」という口上にふさわしく、この世界に迷い込んだような映像体験を感じられて、映像化へ誘う『鈍色・・・』への引きもたっぷり。文庫あとがきに創作の経緯やデザイン等の裏話があり嬉しい。カバーは表裏が恩田陸と飯合梓で単行本踏襲してます。

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    2026年09月17日
  • チョコレートコスモス

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    役者一家に生まれたサラブレッドと、突如現れた圧倒的な才能を持つ天才少女。二人を中心に、脚本家や演出家など演劇に情熱を注ぐ周囲の人々の人間模様を描く、著者の真骨頂とも言える熱量の高い小説。
    楽しめるが、結末の幕引きがやや中途半端に感じられた点や、タイトルの「チョコレート・コスモス」という花が作中で唐突に主題として回収される印象があり、別のタイトルは無かったのかなと。

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    2026年09月16日
  • 夜のピクニック

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    高校生のとき(今もそうだが)は誰にも言えないような秘密があって、歩行祭という特別な時間の中で一人一人が少しずつ融解して本心を知るという話。ノスタルジックであり、青春物語。だが父親が一緒で同じクラスというのはどうも現実味に欠ける気がする。

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    2026年09月16日
  • 月の裏側

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    ネタバレ

    多聞の出てくるシリーズは、『珈琲怪談』、『不連続の世界』、そして本作と、刊行順と逆に読んでしまいましたが、直接ストーリーが続いているわけではないので普通に楽しめました。
    本作は結構SFっぽい話だったなと、僕は個人的には思います。真相については受け取る側にある程度委ねている部分もあるのかなと思いました。結局、箭納倉で起きた一連の失踪事件はなんだったのか(何者の仕業か、人間もどきってなんだったのか)について明記されていないので。
    ハッキリとした真相が知りたいって思うタイプの方はモヤモヤするかなと思います。
    でもやっぱり恩田陸さんの文章力ってやっぱりすごいんだなとひしひし感じました。僕としても若干のモヤモヤはありますがストーリーの持っていき方には面白さを感じました。読んでて真相がわかりそうな気になりつつもやっぱりよくわからない、どんどん読み進めるけど真相はわからなかった。でも満足感のある読み応えでした。
    ストーリーに直接関係ないですが、協一郎と多聞がやっていた文学しりとりが楽しそうでした。今度僕もやりたい。

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    2026年09月15日
  • 小説以外

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    三宅さんのおすすめ本で紹介されていたので購入しました。読んだことのある小説の話もあり、こういう見方もあるのかと発見することが出来て、色んな本を見返すきっかけになりそうです。

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    2026年09月15日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    個人的には、団体行動のような旅は好きではない。バス旅行のような。ただこの本読んで、こんなラグジュアリーな団体旅行が実在することを知り、ちょっとは興味持った。ただ私は、友達やパートナーや実母とこの列車乗れないな、最初の『さよなら、波瑠』のような一人旅に乗りたい。

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    2026年09月15日
  • 夜のピクニック

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    2005年本屋大賞&2004年吉川英治文学新人賞。

    ずっと積読となっていた本書。直木賞の『蜜蜂と遠雷』で大ファンとなった恩田陸さん。読む前からワクワク。

    高校三年生の学校行事、歩行祭。朝から翌朝まで、休憩と仮眠を挟みながら、80キロ超を歩く。
    その間、二人の主人公、融(とおる)と貴子(たかこ)は話をできるだろうか?
    たった一日、それだけのテーマで、ここまで面白くできる恩田陸さんに脱帽。

    これはロードムービーだ。
    高校の同級生とひたすら歩く。会話しかすることがない。噂話もはずむ。
    景色は変わる。千二百人もいるので、ともに歩く人、会う人は変わる。景色も変わる。疲労や感傷で、見える世界も気持ちも移り変わる。
    年に一度しかなく、三年生はこれが最後。否応なく思考はめぐる。去年のイベントや高校生活を振り返り、後悔や葛藤もする。

    最初、融が好きじゃなかったけど、次第に嫌いじゃなくなっていった。貴子は好きでも嫌いでもない→わりと好きになった。仲間たちの忍や美和子、みんないい。

    名作ですね。

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    2026年09月14日
  • 祝祭と予感

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    「春と修羅」作曲の経緯の話と奏のヴィオラ探しの話が良かった。作中の人物たちの人物像がより鮮明になった気がする。個人的に好きな人物である栄伝亜夜の話がもう少し欲しかった。

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    2026年09月13日
  • 鈍色幻視行 下

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    二十五、〜四十五、/終章

    梢の十人プラス一人?へのインタビュー
    そして陸地で時々観光
    全員による「まとめ?」
    それぞれの見ているものも感じたことも
    やっぱり違うのよね

    読んでる間に想像したことも感じたことも
    だんだん遠くなる
    一緒に見たと思った幻はすでに夢のよう

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    2026年09月13日
  • 黒と茶の幻想(下)

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    人間関係グロい!と思いながらも、どこか共感できることもあったし現実的で面白かった。登場人物と同じ世代になってまた読み返したら凄いリアルに感じると思う。旅って非日常的だけど、だからこそ普段話せない事も話せるのかなって、スラスラ読めて面白かったです〜

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    2026年09月12日
  • チョコレートコスモス

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    星4.5

    ガラスの仮面って知ってますか?
    若い人は知らないんだろうなぁ。
    年バレしちゃいますね。
    不朽の名作です。何十年経っても終わらないという意味でも凄い作品です(笑)。
    その作品を思い出しますね。
    蜜蜂と遠雷ではピアノを文章で表現してましたが、今作では演技を文章で表現してます。
    凄い作家さんですよね。
    続編はいつ出るんでしょう?
    そこら辺もガラスの仮面と一緒?(笑)

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    2026年09月12日
  • MAZE 新装版

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    ネタバレ

    良い。
    作者の多様な作風を感じる。
    不可思議な話かと思いきや大国の都合で作り上げられた話とは。
    2002年当時に原発の爆発、ウィルスの脅威と予言していた一文?一小説家でも書けることが防げていない社会は情けなく感じた。

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    2026年09月12日
  • 鈍色幻視行 上

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    序章/
    一、〜二十四、の思索と会話の多い場面/
    INTERMISSION

    海を行く船に小説の関係者と映画化を目指した関係者が乗り込む
    多くの謎に関する情報を話し合う事で
    謎は解けていくのだろうか

    目次の数字に「、」が付くのはなぜ?

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    2026年09月11日
  • 日曜日は青い蜥蜴

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    私が子どもの頃、読書というのは賢くなるための手段の一つだと考えていた大人が、私のまわりには結構いた。
    なので、楽しいから本を読んでいるだけなのに、「えらいね~」とよく言われたものだ。

    この年になって、賢くなるために本を読んでいたわけではないにしても、本を読んでいたから知識がついたことは否めないし、知識があれば物語の解像度が上がって、余計楽しくなることも判ってきた。

    だから、この多読なうえに広範囲のジャンルの本を読む恩田陸は、私の何倍も物語を楽しめているんだろうなあ、と思う。

    今回、上橋菜穂子の『精霊の守り人』の文庫解説を読んで、膝を打つ思いだった。
    「モノが違う」。

    巷にあふれている異世界物の小説。
    異なる世界を一から構築することは、作家みょうりに尽きるのかもしれないけれど、これは相当に難しいミッションである。
    ゲームのようにアイテムが用意されていて、好きなように並べればいいというようなものではない。
    その世界の文化は、歴史は、何をもって特徴とするか、その中で登場人物たちはどう生きるのか。

    毎日ネットの無料マンガをちびちび読んでいる。
    今は毎日3作品。
    おすすめで紹介されたもので絵のきれいなものを読むと、毎日「無料チャージされたよ」とお知らせが来るので。
    たまたま今読んでいる3作品は、どれもが異世界の貴族令嬢に転生していて、魔法的な能力を持ち、家族は機能不全で、髪の毛はピンク。
    毎日読んでいるけど、今一つ区別がつかない。

    そんな張りぼての異世界ではなく、もしかしたらどこかの並行世界に本当にあるかもしれないような臨場感を持った異世界が、上橋菜穂子の書く作品だと思う。
    誰もが彼女くらいかけねばならない、とは思わないけれど、もう少し異世界を構築することの意味というか、世界について勉強してほしいと思う。
    これは、異世界だけではなく、最近はやりの、ふわふわした口当たりがいいだけの現代小説の書き手にもそう思っている。
    まだ20代の若手ならまだしも、ヘタすると私と同世代でこの程度か…とがっくり来ることが多くて。

    あと、若竹七海について書いている文章の中に、コージー・ミステリに必要なのが、「ちょっとした悪意」というのに目ウロコでした。
    これはいやミスのあからさまな悪意とは別物で、エレガントなコージー・ミステリに不可欠なもの。
    アガサ・クリスティやドロシー・セイヤーズあたりの作品に特徴的な。

    ああ、読みたい本がまたどんどん増えてしまう。

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    2026年09月10日
  • 黒と茶の幻想(上)

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    ネタバレ

    ドロドロ!しているー
    やっぱり旅って普段言えないことが言える空気感になるのだろうか。彰彦が可愛そうすぎる

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    2026年09月10日
  • ネバーランド

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    冬休みに入り、多くの生徒が帰省する中、古い学生寮に残る男子高校生4人の過去と、それを乗り越え未来へ踏み出していく物語。
    クリスマスイブの夜に行った告白ゲームにより、それぞれの抱えている過去が明らかになっていく。
    自分が抱えている事を誰かに話すのはとても勇気がいることだけど、話すことで気持ちの整理がついたり、今まで見えていなかった道が見えてきたりすることもある。
    そんな学生の頃の繊細な気持ちや、何かをする時のワクワクを思い出すことができる青春小説だった。

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    2026年09月09日
  • 蜜蜂と遠雷(上)

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    明石の奥さんの目線で描かれていた部分が一番印象的でした。
    「音楽好きが夫だと大変」という周囲の意見への静かな憤りを、明石の演奏への感動が拭い去ってくれた場面は、演奏そのものの描写も心情表現も美しくて、心に残っています。

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    2026年09月09日
  • 蜜蜂と遠雷(上)

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    再読。登場人物が多く始めはキャラクターを意識に浸透させる必要があるが、一度個性を理解するとページを捲る手が止まらない魅力に満ちていた。

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    2026年09月09日