恩田陸のレビュー一覧

  • 黒と茶の幻想(下)

    mac

    ネタバレ 購入済み

    ・関係が気まずくなった時に、男は口を開くことが苦痛になるが、女は沈黙が苦痛になるらしい。
    ・実際に付き合ってみるということは、憧れていた対象が自分のところに降りてくるということだ。
    それは素晴らしい体験ではあるが、同時に幻滅でもある。
    ・女は場所や雰囲気に共鳴することを拒まないが、男はそれを拒むのが習性になっている。
    ・森は様々なものを捨てる場でもある。白雪姫も、ヘンゼルとグレーテルも、森の中に捨てられた。
    ・友達が欲しいと目を血走らせている人間を、人は拒むのだ。
    もの欲しそうな人間を、人は敬遠する。お願いですからお金を貸してくださいと頭を下げる、
    本当に今そのお金を必要としている人にはお金を貸したがらない。
    ・心を救うために、人は「慣れる」という業を用意している。
    ・あたしたちは時を変え場所を変えて、何度も同じ人と巡り合っているのかもしれないのだ。
    水が循環していることを考えれば、新しいものが次々と生まれていくというよりも、
    生命も循環していると考える方が自然なのではないか。その方が救われる。
    今失おうとしているものも、いつかまた戻ってくる。
    ・誰もが心の底に喪失の予感を持っていて、それが実現すると「やっぱり」と納得してしまう。
    だからこそおとぎ話の最後のフレーズは「いつまでも幸せに暮らしました」なのだ。
    ・あたしたちは誰もが森を持っている。
    あたしたちは森の中を歩く。地図のない森を、どこへ続くかわからない暗く果てしない森の中の道を。
    あたしはこの森を愛そう。木々を揺らす風や遠い雷鳴に心を騒がせながらも、
    一人どこまでもその森を歩いていこう。いつかその道の先で、懐かしい誰かに会えるかもしれないから。
    あたしたちはそれぞれの森を歩く。誰かの森に思いを想いをはせながら、
    決して重なり合うことのない、幾つもの森を、ついに光が消え、木の葉が見えなくなるその日まで。

    0
    2022年11月13日
  • 黒と茶の幻想(上)

    mac

    ネタバレ 購入済み

    ・人間は自分の手を動かさないと、どんどん他人に対して冷たくなるし、想像力が鈍ってくる。
    ・毎日少しづつ。いつのまにか取り返しのつかない大きなものになっている。
    ・人によって、老化のスピードがこうも違うものかと、たまに誰かに会うと思い知らされる。
    それは肉体の老化のスピードではなく、精神の老化のスピードなのだろう。
    その人の生活圏が老化のスピードを左右する。職場や住環境、接する人間の種類、出入りする店など。
    辛気臭い職場で辛気臭い仕事をし、辛気臭い人間としか付き合っていない人間は、当然ながら早く辛気臭くなる。
    ・幸福な時の思考はワンパターンに陥りがちだが、不幸になると実に様々な事を考えるものだ。
    特に、大事にしていたものを失った時には。
    ・よく似た二人は、自分の似ているところに共感する。
    何故こんなに感じるところが似ているんだろうと感動する。
    しかし、以心伝心はやがて空虚になり、単なるコミュニケーションの欠如になっていく。
    そっくりだからこそ、欠点も鏡のように自分に跳ね返ってくる。
    それは自己嫌悪になり、ついには相手への憎悪になる。
    同じ部分の欠けている二人は、どんなにもがいても欠落している部分を互いにフォローすることが出来ない。
    ・旅先で写真を撮るのは社会的な行為なのだ。一緒に旅行したメンバーと、社会的な絆を確認する行為。
    それこそ、、証拠作り、アリバイ作りだ。
    だから逆に、これだけくだけた利害関係のないメンバーだと、その必要を忘れてしまう。
    身体の中に残る旅。そんな旅が出来るのは幸運だろう。そして、恐らくこの旅は、その幸運な旅の一つなのだ。

    0
    2022年11月13日
  • おともだち できた?

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    恩田陸、なぜこの物語を出そうと思いついたのかその心中を伺いたい。

    全体を通して不穏な空気感と、そもそもこの家族の不安定さがありながら、後半の結末。

    あー、やるせない。大人向けの絵本ですが娘も怖いねっていってました。

    0
    2022年11月07日
  • 土曜日は灰色の馬

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    本や漫画、映画にまつわる恩田さんのエッセイ。どんな本が好きで、どんな影響を受けてきたのか、それがどう作品に影響を受けているのかなど、大変興味深く読みました。海外小説から日本の民俗学、絵本に漫画まで本当に幅広い作品群。読書案内としても面白く、また昔同じ作品を読んでいたんだなぁと、懐かしく思ったり、とても楽しめました。特に上野紀子さんの黒帽子シリーズが出てきて興奮!そして萩尾望都や内田善美の漫画なども懐かしく、今度実家に帰ったら納戸をかき回すこと必至です。毎晩枕元において少しずつ読むのにも良さそうです。

    0
    2022年10月27日
  • 夏の名残りの薔薇

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    ネタバレ

    何だろう、ぐるぐるするような話。 限られた空間なのに登場人物が多い。主役の三姉妹は作り話を披露して、楽しんでいる?のか…お茶会、は恩田作品にはよく出るワードで、好きな場面でもある。各章で最後に死ぬ人物が変わる。そして、最後には全てをそれぞれが明らかにしていく。桜子が辰吉に言ったのは本当だったのか。こういう、何だか、何だろうって思ったままの話が好きだ。何回も読みたくなるし、ずっとわからないままでいたい。毎回印象が変わるのもたのしい。桜子の世界に入れる人がいつか現れるのか。個人的には時光が好き。

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    2022年10月02日
  • ねじの回転 FEBRUARY MOMENT(下)

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    ネタバレ

    下巻は始めからフルスロットル。fragment5はジョンが望んだ未来か…「よその国で戦争するということをアメリカはもっと思い知っておく必要がある」為に、、
    「二・二六事件」で岡田総理や鈴木侍従長が亡くなり、陸軍と海軍が戦闘したり、陸軍同士で戦闘したり、石原莞爾が東条英機を射殺したり……IFが凄すぎる。。
    上巻からわりとボサっとしているマツモトがかなりの重要人物でした。特別な4台目を持って外にいるときのマツモトのキャラが変わって口調がそれまでと違うところ、命のやり取りという極限状態での人の変なテンションという感じで腑に落ちます。実際にその場にいないと感じられないことはあるのでその後のマツモトの行動も納得。幼少期のマツモトのとこに行ったのはマツモトなんだろうけど、あれは再生プロジェクトが1回目ではないことの伏線だったのか。
    “正しい「二・二六事件」”は確定しましたが苦い読後感です。ラストの出会いが良い方向へ繋がりますように。読み応えある作品でした。


    襲撃された教育総監渡辺錠太郎って、渡辺和子さんのお父さんですよね…「置かれた場所で咲きなさい」のさ。。

    0
    2022年10月02日
  • ねじの回転 FEBRUARY MOMENT(上)

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    ネタバレ

    時間を遡ることが出来るようになった世界で、過去に戻った人が重要人物を暗殺した事でとんでもない未来になってしまったことから、国連は歴史を再生して再確定する計画を始めた。(明言されてないけどホロコースト云々なので暗殺されたのヒトラーなんじゃないかと思っている)
    日本がやり直すのは「二・二六事件」。その時代の人物で、やり直している歴史だと知っているのは3人。でも、細かい部分で史実との差異が表れ、死ぬはずではなかった人物が殺されたりしても「不一致」とはならないことで、「正しい歴史など存在するのか?」「これは“新しい世界”なのでは?」と思い始めた彼らは、日本が辿る悲惨な歴史を変えられるのでは…という思いに駆られていく。3人のこの意識の変化の流れがわかりやすいし理解できるのもどこか悲しくなります。歴史好きならこう思うのは一度や二度ではないので。

    かなり面白いです。歴史改変SF。「歴史は自己を修復する」やバランスを取るという説はよく耳にしますし(「戦国自衛隊」も「百年法」も既読)、この作品も悲惨な戦争の歴史は改変したもののHIDSという激しい新陳代謝で短時間で老化し死に至る病気が蔓延して未来の世界は滅びかけています。
    大勢が合ってたら細かい部分の相違は問題ない…というのも本当はそうでなく、、、相違も実は大変な違いだったのでこれから先の歴史の大勢と合わなくなってしまうのはどうするのか。
    この時代でもHIDS罹患者が、という不穏なラストも良いです。歴史ハッカーは何者だ。ハラハラと下巻へ。

    0
    2022年10月01日
  • エンド・ゲーム 常野物語

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    ネタバレ

    常野物語の3作目
    特殊能力を持つ常野一族の家族の話
    その能力ゆえの苦しみや葛藤から逃れるために下した家族の決断。
    特殊能力者同士の派閥や対立も絡んで複雑な状況に追い込まれる。
    『洗濯屋』に記憶を書き換えられる家族。
    能力を消してしまえば、この状況から解放されると奔走した結果、ラストにどんでん返しが。

    最後はチョットしっくりきませんでしたが、全編通じて物語に引き込まれ楽しめました。

    0
    2022年09月14日
  • 祝祭と予感

    H

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    言わずと知れた蜜蜂と遠雷の続編です。同じように清々しさを感じます。音楽には全く興味がなく、今もテレビは基本的にニュース以外は見ない。ラジオも聴かない。電車等でイヤホンを使っている人が理解できないちょっと偏りがある私でも、恩田さんの文章はスッと入ってきます。良い作品です。

    0
    2022年09月11日
  • 消滅 VANISHING POINT

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    行き先もどこに向かっているかわからない。普段の暮らしも世の中すさまじいスピードで加速している。豊かになりたいという欲望だけが地球をおおいつくしている。
    豊かさという幻想。どこに向かっているか最終的にはどうしたいのか豊かという言葉だけに向かって。


    考えさせられる内容と人の心理状態や観察眼が詳細に書いてあり500ページ全てが1日の出来事。会話で成り立っているのを感じさせない転回で惹きつけられる内容だった。
    人の頭の中を覗くのが好きなのでこの消滅は読み応えがあった。

    0
    2022年07月29日
  • 朝日のようにさわやかに

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    「水晶の夜、翡翠の朝」
    理瀬シリーズが大好きなので、スピンオフっていうだけで幸せな気持ちで読めた。

    「あなたと夜と音楽と」
    ラジオ局の話。これもなかなか良かった。

    0
    2022年07月26日
  • 朝日のようにさわやかに

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    ジャズがお好きな方には、このタイトルを知るとソワソワするかの如くの名曲なのだが、ジャズにも一家言擁しておられる恩田女史の作品は興味深かった。
    沸々と優しい恐怖感(?)に襲われる14篇から成る短編集の一冊。
    その中での一篇が「朝日のようにさわやかに」なのだ。
    登場するトランペッターは固有名詞ではなく、イニシャルで綴られているのだが、私の推察するところではウィントン・マルサリスであろうと思われる。
    決して仰々しいセッティングではなく、何気のない日常を描いているのだが、ジワジワと静かに摩訶不思議な世界へ誘われる。

    0
    2022年07月08日
  • 横浜の名建築をめぐる旅

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    とっても良かった!
    掲載されているほとんどの建築物には入ったことがあるか何度も前を通ったことがあったけど、詳しい成り立ちや竣工年などは知らなかったので、勉強になった。
    この本を片手に改めて横浜の街を巡りたくなる本。

    説明に終始せず、詳し過ぎず素っ気なさすぎず素人には丁度良い分量の文章というのが良かった。この手の本では文章が専門でないものから見ると難解なことが多く、途中で投げ出したくなったりするけど、この本ではそんなことがなく、また写真も美しいものが沢山掲載されているのでじっくり見ることが出来て嬉しい。
    前書きや後書きを読むと、まさにそのようなことを目指して作られた本みたい。

    改めて、こんな素敵な建物が沢山ある横浜が好きだー!と思った。

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    2022年07月07日
  • 上と外(下)

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    ネタバレ

    おー、アドベンチャラス、面白い!
    このお話は、結構のっけから面白かったです。
    なんか宮部みゆきを思い出すような青少年ファンタジー。でもって少し(あくまで現代なんだけど)タイムスリップ感あるファンタジー。
    とても面白かったと思いますー。
    途中からニコと練に友情が芽生えたのもちょっと面白かったね。

    しかし、この思考力・発言と行動力で、小・中学生設定というのはかなり無理があると思われました。。作者の大人感もろ出てる?(笑)

    0
    2022年06月20日
  • 黄昏の百合の骨

    mac

    ネタバレ 購入済み

    水野理瀬

    ・(所詮、私は善人になれないのだ。)
    ・(悪は全ての源なのだ。
    善など所詮、悪の上の上澄みの一部に過ぎない。
    悪を引き立てるハンカチの縁の刺繍でしかないのだ。
    でなければ、善がいつもあんなに弱く、嘘くさく、脆く、儚いことの説明がつかない。
    つまり、この世の全ては、悪の巨大な褥から生まれたのだ。)
    ・(そして、悪の褥は常に新しい血を必要としており、その血を生まれながらに持った者が、
    いつの世も必ず存在する。
    悪の存続は、人間にとっての必然であり、自然の理として強く運命づけられているのだ。)
    ・(人間は弱く、忘れっぽいもの。目の前から現物が消えれば、記憶などたちまち改竄されてしまう。)
    ・(あたしは今、少女時代に別れを告げようとしている。今夜限りで、あたしの少女時代は終わるのだ。)

    0
    2022年09月30日
  • 象と耳鳴り

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    最初から引き込まれるっていうより、じわじわ愛着が湧いてきて、終盤には読み終わりたくないなーって思うほど読み心地の良い本でした。

    0
    2022年06月16日
  • 七月に流れる花

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    最初の方のファンタジー感のある雰囲気が最高に好き。(ブライト系の眩しくて爽やかな感じと、光のレースみたいな優しい生成り色。花の鮮やかな赤。みたいな世界観。)
    風景と色彩の描写が私とカッチリはまってすぐにこの世界へ入り込めた。みどりおとこは不気味すぎる。

    前半はうわぁ〜!っと、まんまるの目でワクワクしながら、後半はあ〜、なるほど。と冷静になる。

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    2022年06月10日
  • 上と外(下)

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    久々に震えたわ。

    一気に読んだ。ラストあたりなんか朝5時から読んで、声を押し殺して泣いたよね。笑笑

    朝からなにやってんだ。ってくらい夢中になって、ひたすらに唇を噛んで泣き我慢したよ。溢れ出す感情を抑えきれない朝イチでした。笑

    あんまりにも夢中になりすぎて、一瞬わたしジャングルにいるかと思ったし。

    まじで、通り過ぎないで。お願い、早く!早く!助け出して!、子どもたちを!!!!!!!!

    って、声を枯らすくらい叫びたかったよ。

    笑笑

    夢中になりすぎ。

    ホント、はまった。久々にのめり込んだ。グアテマラ

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    2022年05月29日
  • 月曜日は水玉の犬

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    エッセイ、書評、対談。

    広範囲をカバーする読書経験に圧倒される。

    恩田陸はエッセイも文章が読みやすい。

    0
    2022年05月21日
  • 消滅 VANISHING POINT

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    最後まで目の離せない展開でした。
    いわゆる人狼ゲームですね。
    誰がテロリストなのか、読者である自分も登場人物たちの言動から推測しながら読んでいくため、臨場感を感じました。読んでいない時も「あの人は〇〇と言っていたし、、、」などと考えてしまっていました。
    読書の新しい体験をした一冊でして。

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    2022年04月30日