恩田陸のレビュー一覧

  • 灰の劇場

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    これは「鎮魂」の物語だ。
    だがそもそも鎮魂とは誰のためのものなのか?という話でもある。
    物語に限らず製作物とは、そこに誕生させた時点で、それ以上のものではなくなる。その意味で、あらゆる可能性を持っていた状態から有限のものに成り下がると言えるのではないか。誕生させた時点で無限にあった可能性と未来を放棄したこととなるからだ。
    となれば、これは一種の喪失なのではないか。

    自らにあった無限の可能性を切り売るのが製作活動…と捉えるならば、この物語は有限である存在としての自分を受け入れるための(無限の私を死なせたことへの)喪の作業、正に「鎮魂」の物語と言えるのではないだろうか…。

     「私」にとってはあ

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    2024年03月14日
  • 薔薇のなかの蛇

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    桔梗の花言葉は「変わらぬ愛」「清楚」「誠実」「気品」とのこと。
    となると、裏桔梗とはこれの逆に位置するのか?
    美しい薔薇にも棘はある。何ものにも「裏」はある。人の示す数々の想いもそれは同じことか。表から透かして裏をみることは難しい。
    やはり自分も裏側に回ってみねばならないかな。

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    2024年03月08日
  • 私と踊って

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    途中まで読んで、高校生か大学生の時に一度読んでることに気付きました。
    読みやすいし世界観が好きです。
    程度の差はあれど、全体的に「意味がわかると怖い話」みたいな雰囲気が漂っていて好み。

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    2024年02月20日
  • クレオパトラの夢 新装版

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    とても面白かったー。
    神原恵弥シリーズ。さくさくと読み進んであっという間に読み終わった。MAZEよりわかりやすかったかも。

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    2024年02月18日
  • 上と外(下)

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    重苦しい内容のようであって非常に読みやすく、引き込まれてしまう。次の展開が気になり、物語の運び方も関係性の描き方も面白い。飽きない。

    裸の勇者という曲とあまりにもぴったり合うと思う

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    2024年02月18日
  • 薔薇のなかの蛇

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    序盤は前作と比べるとダラダラとしている印象を受け、「微妙だなぁ」と思っていたら。終盤で二転三転して面白かった。
    いつも「館」をテーマにしている理瀬シリーズ。
    作品ごとに規模が大きくなっていて面白い。
    次作が楽しみ。

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    2024年02月12日
  • きのうの世界(下)

    購入済み

    この街に住んでみたい。

    最後まで、予想のつかない展開で引っ張ってくれます。不穏な感じを漂わせるのが本当に上手でした。
    なりより、街の描写がとても良くて、行ってみたくなりました。あのカフェでコーヒーを飲みたいとか、駅に行ってみたいなどと本気で思ってしまいました(^^)

    #感動する #ダーク

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    2024年02月06日
  • 薔薇のなかの蛇

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     『…おまえたち呪われた一族は、おのれの血ぬられた歴史から報復を受ける時が来たのだ。おまえたちの黒い薔薇の館は、万聖節の朝、西の館の亡霊と共に暗い池に沈むだろう。聖なる魚』

    あなたは、こんなことが書かれた手紙を受け取ったとしたらどうするでしょうか?

    いやいや、呑気に”どうするでしょうか?”なんて言っている場合ではありません。これは紛れもない『脅迫状』です。いち早く警察に連絡しないといけません…。

    はい、まあそれは確かにそうですが、なんだかこの文章とても変です。『ものすごく時代がかった手紙』です。『おまえたち呪われた一族』なんて表現、現実世界では聞かないですよね。こんな表現、小説の中に登

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    2024年02月05日
  • 黄昏の百合の骨

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    前作「麦の海に沈む果実」と比べてインパクトに欠けるなと思っていたら最後のどんでん返しに思わず唸ってしまった。
    雅雪と黎二がリンクしていて少し切なかった…。
    それにしても理瀬って、ちょっとおっちょこちょいなのか…?
    少しずつ抜けてて愛らしい。

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    2024年01月30日
  • 夜の底は柔らかな幻(上)

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    ネタバレ

    恩田さんの作品はそれなりに読んできましたが、傑作の1つだと思う。恩田ワールドの精度の高さがこれでもかと冒頭から繰り広げられ、読みながら声が出た。かなり残酷な描写もあるので苦手な人は避けた方がいいけれど、設定の厚み、細部の作り込み、日常からごく自然につながっていく異世界と異能者。これぞ、という作品だと思います。

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    2024年01月22日
  • クレオパトラの夢 新装版

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    何回読んだかわからないくらい好き。北海道を舞台に、亡くなった人が残した兵器を追う話。登場人物それぞれのスピンオフも読んでみたくなる。

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    2024年01月22日
  • 八月は冷たい城

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    『七月に流れる花』ですっきり解決したかと思うと、本作で「夏の人」の正体が深堀され、林間学校の謎も明かされと、さらに面白かった。
    恩田陸作品の現実離れしているものの、ファンタジーとまではいかない独特の雰囲気が楽しめる1作だった。
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    夏流城(かなしろ)での林間学校に初めて参加する光彦。毎年子どもたちが城に行かされる理由を知ってはいたが、「大人は真実を隠しているのではないか」という疑惑を拭えずにいた。到着した彼らを迎えたのは、カウンターに並んだ、首から折られた四つのひまわりの花だった。少年たちの人数と同じ数――不穏な空気が漂うなか、互いに疑心暗鬼をつのらせる卑劣

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    2024年01月16日
  • 七月に流れる花

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    懐かしくなるようなどこか哀愁漂う田舎の夏の描写と、林間学校の招待状が渡され、意味もわからず「夏の城」に閉じ込められるという物語の不思議さに魅了された。ラストも良かった。
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    坂道と石段と石垣が多い町、夏流に転校してきたミチル。
    六月という半端な時期の転校生なので、友達もできないまま夏休みを過ごす羽目になりそうだ。
    終業式の日、彼女は大きな鏡の中に、緑色をした不気味な「みどりおとこ」の影を見つける。
    思わず逃げ出したミチルだが、手元には、呼ばれた子どもは必ず行かなければならない、夏の城―夏流城での林間学校への招待状が残されていた。
    ミチルは五人の少女とともに、

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    2024年01月11日
  • 朝日のようにさわやかに

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    どれも面白かった。「冷凍みかん」、「深夜の食欲」、「淋しいお城」が特に好き。
    「淋しいお城」が『七月に流れる花』の予告編とのことなので、本編も読む。
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    葬式帰りの中年男女四人が、居酒屋で何やら話し込んでいる。彼らは高校時代、文芸部のメンバーだった。同じ文芸部員が亡くなり、四人宛てに彼の小説原稿が遺されたからだ。しかしなぜ……(「楽園を追われて」)。ある共通イメージが連鎖して、意識の底に眠る謎めいた記憶を呼び覚ます奇妙な味わいの表題作など全14編。ジャンルを超越した色とりどりの物語世界を堪能できる秀逸な短編集。

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    2023年12月22日
  • スキマワラシ

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    めちゃくちゃ面白かった!
    やっぱり恩田陸さん大好き。
    高輪の消防署中の入ってみたことあるけど小説に出てくる雰囲気と全く同じだった。

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    2023年12月11日
  • 消滅 VANISHING POINT (下)

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    恩田陸の素晴らしさの一つにこれこの少ない残り数十ページで本当に終わるのだろうかと思っていると急にアクセル全開で走り出し全て綺麗に伏線回収するところがある
    ゴールした後の余韻も丁寧に描いてくれて胸の体重が半分になりながら本を閉じることができる
    ドミノや夜のピクニック系列

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    2023年11月24日
  • 消滅 VANISHING POINT

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    最後で、怒涛のように繋がっていった。
    細かく読み返すと、まだ自分の中で疑問が解決されない部分もあったけど、伏線回収はおもしろい。
    だれも傷つかないラストは好みだった。

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    2023年11月20日
  • ブラック・ベルベット

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    1作目があまり刺さらなかった記憶だけど、これは楽しかった。主人公が魅力的で、1作目から読み直したい。

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    2023年11月14日
  • 蜜蜂と遠雷(下)

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    ネタバレ

    高島明石の第二次予選と英伝亜夜の本選がとても好きだった。どちらも集合的無意識、普遍的無意識を彷彿とさせる音楽で、経験していないことに対して懐かしさを覚えた経験を思い出した。
    上巻を読み終えたときにも感じたけど、物語の舞台はなるべくシンプルにして、広々としたスペースで音楽の美しさを語っているような物語。

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    2025年08月16日
  • スキマワラシ

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    何かが終わる時、そして始まる時に現れるだろう不思議な存在、喪失と希望をアンビバレントに語るもの…で、あればこそ美しくも在るのだろうか。
    それを作り出すのもまた人の心の有り様如何か。
    喪失に片寄れば陰鬱な物の怪、希望が強すぎれば閃光を纏った破壊が産み出されるような気もする。
    このアンビバレントな不安定に耐え、そこに居続けれる場合のみ、美しいものとして産み出されるのかもしれない。例え身に宿る不運がどんなものであったとしても。
    しかしそれにはあと人間が2人と、不思議な動物が1匹必要とのこと。やはり人は一人では、この不安定には耐えられないのだろうな。

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    2023年09月06日