恩田陸のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
恩田陸版の「藪の中」とでも言うべきか。日本推理作家協会賞受賞作である。北陸のK市で名家の青澤家で催された米寿を祝う席で、十七人が毒殺された。その場にいた人間で生き残ったのは、盲目の少女一人だけ。その後、ある青年が自殺し、その遺書から彼が犯人とされ、一応の解決をみた。
そして年月を経てさまざまな視点から語られる大量殺人事件。見落とされた「真実」を語る関係者たち。事件の「真相」は、そして「真犯人」は。
恩田陸さんは、「ストーリーテラー」だ。これだけの数の視点人物を書き分けているだけでもスゴイ。筆力がないとできない。しかも読者に対して、読み進めると「真相らしき」ものに近づいていると思わせて -
Posted by ブクログ
ネタバレこの作品は、三年に一度選ばれる「サヨコ」という存在を巡る物語です。選ばれた生徒は、誰にも知られずに「あること」を実行しなければならない…。そんな不思議な伝統が受け継がれる高校が、物語の舞台となっています。
読み進めるうちに強く感じたのは、学校という空間が持つ、あの特有のそわそわとした懐かしい空気感です。代々受け継がれてきた伝説の不気味さと、そこに生きる登場人物たちの瑞々しさ。学生時代にしかないきらめきが溶け合う世界観に、ぐいぐいと引き込まれてしまいました。
すべての謎が綺麗に解明されるわけではありませんが、七不思議や都市伝説にわくわくしたあの頃の感覚を思い出してページをめくる手が止まりませ -
Posted by ブクログ
非常に評価が難しい作品。作品自体は解釈の仕方で評価が分かれると思う。
私は謎の常野一族の一面を垣間見れて面白かったと思う。
現代ホラーサスペンスというカテゴリになるのだろうか。
ただ前作の蒲公英草紙との温度差にびっくりしてしまった。
前作までは一族の光の部分に焦点を当てた物語だった。
今回は一族の影の部分に焦点を当てた作品として、私は解釈した。
超能力を持っているが一族が人間である以上、影があるわけだ。
一節で、「非常灯に照らされた部屋を深海のよう」という表現が気に入った。
私の中でぼんやりとしていたイメージが言葉にされたようで感動した。
そして文章の内容が頭の中にイメージとして浮かぶ -
Posted by ブクログ
ネタバレまだ手を出してなかった恩田陸先生のデビュー作。もっと早く読むべきだった。
ジュブナイル小説のようなさわやかさと不安定で綻びがある思春期の青少年たちを描くのがこの頃からうまかったんだなぁと衝撃。
学校という特殊な社会では色んな物事があって、不可解な出来事が起こったりするものだけど蓋を開けてみるとあっけない事実だけはそこにあって、そうさせたがっている誰かがいて周りがはやしたてているだけなのかなとおもった。
文化祭の「六番目の小夜子」の演劇が如実にこの本のあらすじを端的に表していて、わりと普通のストーリーなのに演じる"生徒"たち、サヨコとなった人間が恐怖を感じたからそうなってし -
Posted by ブクログ
お手本のようなSFモダンホラーだ。間違いない。未読の方は幸せだ。情報など欠片も仕入れずにこの本を手に取り、頁を開け。夢か現かわからない悪夢にうなされる事は間違いない。保証する。
20年振りに再読してもなお、本書は新鮮だ。奇妙な出来事に直面した登場人物たち、彼らが追っていく事件の一つ一つ、そして明らかになっていく真実と事件の姿……この様に静かに悲鳴をあげたくなった。大口を開けて悲鳴をあげるのではない。息を押し殺して心の中で叫ぶのだ。このねっとりとした、まとわりつくような恐怖は詩的で、郷愁を誘い、魅力的だからタチが悪い。一度取り込まれたら最期だ。もう引き返せない。