恩田陸のレビュー一覧
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ネタバレ「なぜこの結末を書いたのか?」
この問いから逃れることはできない。これと向き合わなければこの本は終われない。
本作の描写はあまりに柔らかく美しい。蒲公英草子とはよく言ったもので、麗らかな光が降り注ぐ日本の原風景のような楽園が広がっている。
淡い恋があったり、”にゅう・せんちゅりぃ”を生きる人々の葛藤と情熱の描きっぷりも巧みで、風景から心の描写まで筆が乗りに乗っている。
本当にこの美しい夏の記憶だけをずっと味わっていたかった。
だが、結末はどうだ。起承転落だ。それも深い深いところに突き落とされる。楽園で解きほぐされた剥き出しの心をガツンとやられて、問いを渡されたまま終わる。
だからこ -
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Posted by ブクログ
音楽を題材とした小説やマンガに出会うと、「これが映像化されたら、果たしてどんな作品になるだろう」と期待半分・不安半分な気持ちになります。名作が名映像となればそれはもう結構な事で、「四月は君の嘘」のアニメ化なんて相当巧くいった事例だと思っていますが、さて本作はどうでしょう。
-チョットこれは厳しいかも知れません(実写映画は観てませんし、評判も存じ上げていません)。
音が出ない文学作品で音楽を扱う事の意味が、これでもかと示されていたと思います。音が出ないのはハンディキャップではありません。音が出ないからこそ紡げる物語がぎっしりと詰まっていました。音楽を音楽なしにここまで表現できる、読み手にメロ -
Posted by ブクログ
ネタバレ理瀬シリーズ、色々読んだけど、やっぱりこの学園ものが一番面白かった。
まず、一人称が名前(「理瀬」)なのに、心情が挟み込まれてるのが新鮮だと思った。なのに、第十章の嵐の告発で、ついに理瀬が登場人物から消えたのには驚いた!今まで理瀬だと思っていた「わたし」はいったい誰だったんだろうと狐につままれたような気分になった。
第十三章でヨハンが亜沙美を殺したと告発した場面で、第五章で「13」人目の訪問者が現れた後、「青の丘」は大火に見舞われたとあり、13…?まさかね…と思ってたら、ほんとに亜沙美を殺していた…怖い。「13」に意味を持たせるのもまた王道ホラーな感じで良い。
振り返って読んでみると、伏線とま