恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
途中で本を閉じてもしばらく頭の中で尾を引いているような、没入感のある小説を久しぶりに読んだ気がする。
登場人物の男女4人がそれぞれの視点で語る4章構成(文庫では上下巻で)となっているのだが、それぞれに感情移入できた。また、メインテーマに据えられている過去の事件(?)の謎解きだけでなく、それとは無関係な会話も、軽快かつ知的で面白い。
人は思い出したくないことは思い出せないようになっている。自分にもそういうことがあるだろうか、と考えてみたけども、彼らの「Y島旅行」のように、過去を共有する人たちと、がっつり向き合う機会でも作らなければ気がつかないものだろう。
#ところで、この書名はどこから来た -
Posted by ブクログ
「私の家では色々起こるけど私が気にしてない話」By友人
恩田陸らしい静謐さと感情の表現×館ホラー(ホラーだよな?)で面白かった。
以前オススメして貰った館物とはまた違うけど、外国の田舎の古い屋敷って良いよね。絶対何か出るだろっていう暗い雰囲気。湿気を感じる。
湿気を感じるのって世界共通なんだろうか。
電気の通ってない暗い部屋、遠くで水の滴る音がしたら、何となく不気味。
水の滴る音って、場所によっては清涼に感じるのにな。不思議。
最初の作家の先生の話と、大工さんの親子と幽霊の話が好きだった。
嗚呼でも姉妹の話も寓話ぽくて良かったし、床下の女の子の話も可愛かったな。
薄くて寝る前にサクサク読め -
Posted by ブクログ
ジャンルとしては推理小説、「パズラー」と呼ばれる領域のものだそうです。連作短編集です。シンプルながら味のある装丁に魅せられて買いましたが、しばらく積ん読状態でした。ある時NHKをみてたら曜変天目という陶器が出てきて、そういえばこの本の目次に曜変天目というタイトルの話があったなぁと思い出し、「曜変天目の夜」を読んだところ、一気に引き込まれました。推理小説はあまり読まないのですが、この本にはやられました。犯人探しというわけではなく、出来事について考察するのが話のメインです。「六番目の小夜子」に出てくる人物のお父さんが主人公です。好みが分かれると思いますが、私はとても気に入りました。
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Posted by ブクログ
久しぶりにわくわくする小説に出会いました☺️
ダークでミステリーで学園もの。
理瀬は2月の終わりに、湿原に佇む奇妙な学園に転校することとなる。しかしここは【3月の国】と呼ばれ、3月に転校生がくるもの。2月の終わりにくる転校生は破滅をもたらすと言われている。
この学園では生徒が消えたりと不可解なことが続いていた。そして理瀬が転校してから次々と生徒が殺される。
皆何かを隠している。そしてこの既視感は?
理瀬は友人達と謎を追っていく。
ぞくぞくするけどワクワクもする。とくに降霊術は怖かったし、カードゲームも震えた。理瀬は一体何者なの?これから何が起こるの?引き込まれる展開の数々。
そしてなん -
Posted by ブクログ
こわい、というか、不穏な空気感!
読み終わってから書いているんだけど、そう言われてみれば最初のうちはホラーで、小野不由美さんの屍鬼の空気に似ているかも。
血切り にまつわる部分がなんとも。
理性を押し流すほど強い、自分を醜くあさましく感じてしまうような、本能的な、欲望。いくら「普通のことだ」って言われたって、向き合うまでに時間がかかる…
知った後と前の変化。知った人と知らない人の優越感と劣等感。
いつも思うことは、知ってしまったらもう2度と知る前には戻れない訳で…知ることは失うことでもある。子どもたちには急いで大人にならないでと言いたい(なんの話?笑)