恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ピアノコンクールを舞台にした圧倒的な天才の話なのかなと思ったらそれぞれ異なるタイプの複数の天才達を描いた作品だった。読んでいると情景が思い浮かぶようで曲を聴いてみたいと思わせてくれる。
面白いと思いながら読みつつもひとつずっと引っ掛かっていたことがあった。作中でアヤを指して何度も「少女」と表現していることだ。20歳の女性を捕まえて少女は無いだろうと。世間一般的にも法的にも20歳は少年には含まれない。少女と言われて思い浮かべるのは高校生くらいまでで違和感しかない。成人女性を少女と表現するのは若々しいといった褒め言葉というよりは幼さを想起させてかえって侮っているような印象さえ覚える。実際には20歳 -
Posted by ブクログ
「芸術は難しいもの」だと思っている人にこそ、読んでほしい一冊です。『spring』は、その距離感を一気に縮めてくれます。
恩田陸が描くのは、バレエという言葉を持たない芸術。しかしこの作品では、筋肉の緊張、呼吸のリズム、舞台に落ちる光までが言葉で丁寧にすくい取られ、読者の中に“舞台の空間”が立ち上がります。ページをめくるごとに、まるで客席から踊りを目撃しているような感覚になるのが印象的でした。
中心にいるのは、圧倒的な才能を持つダンサー・春。けれどこの物語は、単なる天才の成功譚ではありません。彼を見つめる周囲の視点を通して描かれることで、才能に触れたときの驚きや畏れ、そしてそれでも何かを表現 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主要登場人物は、なんと27人と1匹。
多っ!!
冒頭では登場人物が一覧で紹介されていて、そのあまりの多さに「これは絶対苦戦するやつだ」と覚悟していたのですが、実際にはまったく混乱せず、驚くほどスルスル読めました。
本書には、いわゆる「章」がありません。
代わりに「1」「2」「3」……という形で、次々と視点が切り替わっていきます。ほぼ同時刻に起きている出来事が、1〜2ページごとにテンポよく別の人物の視点で描かれるので、読んでいてまったく飽きません。
登場人物が多いにもかかわらず、「誰が誰だっけ」と混乱しないのも見事です。
おおよその場面は、以下の通りです。
1つ目。関東生命八重洲 -
Posted by ブクログ
文章表現がとにかく美しい。
読書なのに音が聞こえてくるような感覚。美しさ、華麗さ、そして絢爛さに引き込まれる。
中でも印象的だったのが「音楽を連れ出す」という言葉。
この作品の核はここにあるのではないかと思う。
他の演奏者たちが覚醒していく瞬間――それは、まさに“音楽を連れ出せた”瞬間だったのではないか。
物語はコンクールを軸に進むが、それぞれの背景にあるドラマもいい。
過去の栄光、挫折、そして突如現れる天才。
それぞれが想いや悩みを抱えながらも、音楽で確かに繋がっている。
そして、初めて出会ったはずの彼らの間に、音楽を通して友情のようなものが芽生えていく瞬間も印象的だった。
たった