恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
少し前に読んだ第一回本屋大賞の「博士の愛した数式」が素晴らしかったため、他にも本屋大賞作品を読んでみようと、今回あらすじが刺さったこちらの「夜のピクニック」を手に取った。
高校生活最後の行事として、歩行祭という80キロの距離を、朝から夜と1日通して仲間たちと歩く。
一緒に歩いていくことで、徐々に縮まり深まっていく彼らの心の距離と、物理的な距離とが見事に融け合い、そのグラデーションが繊細に描かれていた。
歩き続けることで溜まっていく確かな疲労でさえ、仲間と話している間はすっかりと忘れてしまうあの感覚や、夜が更け親しい友と深い話ができるあの感覚も、過ぎ去った青春が蘇るようだった。
そして、それらにいたる道中の田畑や海の自然描写や、缶コーヒーや懐中電灯といった物象描写が、彼らの心情をより深く鮮明にイメージさせた。
それは、自分も近くで歩行際に参加しているかと錯覚してしまうかのように、ありありと目の前に浮かんでくるものだった。
歩行祭も団体歩行から自由歩行に移り、終盤にかけていくと、気になっていた部分やどうなるんだろうと思っていたことが、段階的にわだかまりなく綺麗に紐どかれていった。
物語の最後も本当に爽やかで、青空の下、風に揺られる彼らの笑顔が見えた気がした。
余談だが、高見光一郎のことも好きになった。
青春小説として、素晴らしい一冊に出会えた。
世代を超えて、いつまでも読み継がれる作品でありますように。
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Posted by ブクログ
ネタバレゆっくり読み進めて、一つのお話が終わる毎に感想を書いていたので、長々と書いてしまった
久々に読書をして、楽しめた1冊でした♪
ウッドペッカー荘事件
ミステリーは読んだことがなく、本書を読み始めて早々に 読み切れるかな? と心配になったけど、だんだんと物語に惹き込まれてラストの展開に驚き、ミステリーの面白さを初めて知ることができた
有名作家さんの物語を少しずつ味見させてもらえているような有難さを1作品目にして感じた
二つの宇宙
変わり者のおばあちゃんのことが大好きな青年のお話
目玉焼きのくだりには共感
想像力豊かな彼女と物語好きのおばあちゃん、自分の意思を強く持っている二人の女性を青年視点で描いた作品
このおばあちゃんほどじゃないにしても、誰しもが自分なりのこだわりだったり良く思われないけど曲げられないことってあるよなぁとも思ったり
真実のトランク
読んですぐは不思議な話だなぁという感想だったけど、ふと思い出して背筋がぞぞーっとなる物語
トランクの存在が不可解で恐ろしいし、行きつけのバーでそんな重要なことまで話しちゃうカミジョウさんも謎すぎるし
ラストのミゾハタさんが見たものが気になる
少ししか登場しないミゾハタ夫妻のキャラの濃さが好きでした
きっとあの日の光と同じ
町田そのこさんの 夜空に泳ぐチョコレートグラミー を読んだことがあります
青春を感じる高校生の夏
男子高校生の視点が青々しく少し懐かしい
無明
一番惹き込まれた作品でした
まるでドラマの一話を見ているような
呼吸するのも辛くなるような昨今の夏の暑さが文章で伝わってきて、赤ん坊と母親の様子がとても辛かった
こんな状況、自分は見えていないだけで少なくは無いんだろうな…
見越しのマツ
平凡な現実世界からちょっとファンタジーな世界になっていくような文章の書き方が素敵だなぁと思った
マツの子孫繁栄の力強さ、親のような包容力、存在していることの安心感が伝わってきた
(正直、前の作品の「無明」に惹き込まれすぎて本作を読む前に力が抜けてしまい、積読しそうになってましたが、読み進めるとこちらも面白くてどんどん惹き込まれていった作品でした!)
伝説の季節
こちらも「きっとあの日の光と同じ」のような青春を感じる高校生の夏の物語?と思ったらまた違った少し奇妙な高校生の夏でした
このサヨコを受け継いでいく伝統を続けていくのがなかなか難しそう…とか思ったり笑 -
Posted by ブクログ
いつから積読だったのか。いや1度読んでいる。。。最近は読んだ先からいろんな形で処分しているだけどなと、前の連休に整理しているときに手に取った。
10月だし、このお話しの歩行祭行事は10月だしと読み出してしまった。
周囲には隠している同じクラスの異母兄弟の貴子と融。学校行事である歩行祭でふたりは絡む。お互いがお互いを意識する中で、過酷な歩行祭。友情・恋・高校生の頃の背伸びしたそれぞれのお話。
なんだか私の学校も昼夜ではないが歩行行事があった。そんな記憶でその行事の足の痛みとか喉の渇きとか、グループ同士のあれやこれや・・・実体験とこのお話がリンクしあい不思議な感覚。もちろん恩田さんのロードムービーの様な絶妙な文章に引き込まれて一気に。
長い距離をひたすら学校の友達と歩く。非日常体験を小説で味わってしまった秋晴れの1日でした。 -
Posted by ブクログ
もっと早く読んでおけばよかった。
私が高校生の時に読んでおけばよかったと強く後悔した。
まさしく、永遠の青春小説。
大きな事件が起きるわけでもないのに、終始どこかわくわくしてしまう。
学校行事で感じるあの感覚を疑似体験できるというか、あの頃を思い出せる本。
この小説の世界観と登場人物たちの等身大のコミュニケーションがたまらないですね。
以下、内容。
一夜にして、約80㎞を歩きとおす、歩行祭。
修学旅行の代わりとして行われるその一大行事を舞台にしたお話。
主人公は、腹違いの兄妹である、貴子と融。
融の父親が不倫したことでできた子供が貴子であった。
そんな複雑な事情があったため、二人の関係を知るものは、学校にはいない。
そんな二人もお互いの存在を認識しつつも、鑑賞することはなかった。
高校二年間は、お互い別々のクラスだったこともあり、言葉を交わすこともなかったのだが、高校三年生になり、同クラスとなってしまう。
依然として、言葉を交わすようなことはなかった二人だったが、お互いにどこか意識をしてしまう。
そんな中、迎えた歩行祭。
その歩行祭を迎えるにあたり、貴子は自身と小さな賭けをするのだった。
大きな事件が起こるようなことはなく、歩行祭は進んでいく。
毎年の恒例行事ながら、歩行祭は過酷なものであることを痛感する。
歩行祭が夜間に行われること、身体的にも疲労がたまり、極限状態。
そんないつもと違う環境が、少しだけ、彼らをより等身大の状態へと導く。
去年までは、一緒に歩いていた留学してしまった友達のこと。
他校の女子と付き合っていた同級生のこと。
今、付き合っている人、気になっている人のこと。
いろいろな話が飛び交う。
ただ、夜歩くだけなのに、どこか特別なことに感じてしまう、歩行祭。
この特別な歩行祭で普段では、できないような行動を起こそうと考えているものも少なくはなく、、、。
小さな賭けをしている貴子もまた、その一人で。 -
Posted by ブクログ
上下巻まとめて
数年ぶりの恩田さん。
この方の本はいつも初めは大変面白く、
本当に面白くてぐいぐい読み進めるのですが、
いつも広げすぎた風呂敷をたたみ切れずに終わったって印象しかなかったのですが、この本は違いました。
とてもよかった。
クラシック音楽のましてピアノコンクールのことなんて、まったくわからない私でもとても楽しく読めました。
話は全てコンクールに沿った話でそれに関してしか描かれてないのですが、
どちらかというと青春物語で成長物語なのかもしれません・・・。
さわやかでせつなくてすがすがしく、
とても美しい物語でした。
こういう世界もあるのですね(笑)
これを読んだうえでピアノを聴けば、
また違った想いで聴けるかもしれません。
いい話でした。 -
Posted by ブクログ
その人にとって必要なタイミングで出会う、というのは本当にその通りなのだと、この一冊を読んで感じました。
正直いうと、青春小説と聞いていたので、あらすじも知らないのに、高校生の青臭い恋愛について書いてある小説なら読まなくていいやと思ってました。本当にすみません。
この一冊については、もっと早く出会いたかった、というような感想をよく目にします。
でも、私の場合は学生の時にこの本に出会っていても、うまく心に波を立てられなかったと思います。
今、読んだから、心の中にある思い出と、恩田陸さんの書いた文章が、重なり合い、広がり、心に染み渡った感覚になったのかと思います。
とはいえ、こう感じるのは、私の人生経験の浅さが要因の一つだとおもうので、もっと早くこの本と出会いたかった、と言える人間になりたいと素直に思います。
私は融のように無償の愛を当たり前だと思う節もあるし、貴子のように最初から出遅れているという気持ちがあるから自分は自分で他人は他人と思うし、美和子のようにあえて人に言わないけど少し傲慢な部分もあるし、内堀亮子のように子供のような面もある。
どの登場人物にも、自分と重なる部分があり、恥ずかしいような気持ちになり、そして側からみるとそう感じるのかと納得いくことも多かったです。
私にとっては、この本を読むのは今が最適なタイミングでした。
そして、本作の主人公貴子と融が心を許し合うのもこの歩行祭が最適なタイミングだったのだと思います。
融の親友である忍が、「すべてはタイミング」と語っていて、本当にその通りなのだと思いました。
貴子と融がもっと早く話していたら?
杏奈が日本にいたら?
融が忍と走ることを選ばなかったら?
必要なタイミングを、どこかで、神様が見ているのかもしれませんね。
読み終わったあとの満足感がすごくて、
歩行祭1日の出来事しか読んでいないとは思えません。
しばらく、この余韻に浸ろうと思わせてくれる一冊でした。
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Posted by ブクログ
恩田陸さんの事細かな人物像の書き方により、舞台など見たこともない私でも、登場人物の感情や心の変化、その人が置かれている環境や背景を鮮明にイメージしながら、その世界に浸りながら読むことができました。
そして女たちも自分の中に宇宙を持っている。
この宇宙というのは、人が見たものや経験してきた事で作られる世界観で、良くも悪くもその人自身がその物の見方を信じている。という意味かと思いました。
私はそういう独自の世界観を持った人が好きで、憧れています。
もっというと、その物の見方を周りに見せるのではなく、その見方で世の中を俯瞰しながら見て、時々飲み込まれて、また戻ってきて、の繰り返しが生きる事なのかなと思います。こう考えると、自分の心をかき乱してくれる人や出来事との出会いは、貴重なのだと知る事ができました。
恩田陸さんの本は、いつも私を違う世界へ連れて行ってくれます。本当に素晴らしい。