恩田陸のレビュー一覧
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夢中になって読んだ。
始めは小さい頃から芝居をしている響子目線の部分もあったからか、自分とはかけ離れすぎた人たちの話のように思えて、読む手を止めたり再開したりしていた。
けれど中盤から大学生の集まりで芝居をしている巽や芝居を始めたばかりの飛鳥が出てきて、グッと自分に近い世界の話になったからか、どんどん惹き込まれていった。異様な雰囲気の天才・飛鳥に目が離せなかったのもある。
演劇や戯曲というとあまり関わりがなく難しく感じるが、最終オーディションの描写はどれも鳥肌が立った。読んでいる私までヒナギクに触れられたような気がしてドキッとした。
あとがきに書かれている続編についてはまだ刊行されていないようなので、ぜひとも書いてほしい…!飛鳥と響子がどんなふうに芝居の世界を歩んでいくのか気になりすぎる。 -
Posted by ブクログ
私にとって青春小説は、胸が苦しくなるものである。大人になってしまって、あの頃はもう取り戻せないと諭されるから。
夜通しの行事なんて聞いたことがないし、もし私が当事者で、やれと言われても仮病を使って休んでしまうことが容易に想像できる。そんな生き方をしてきたから『やる』を選択した彼等彼女等に嫉妬する。ただ、もし今、本書を読んだ余韻に浸っている今なら、これまで避けてきたイベントみたいなものにも積極的に参加したいと思える。
1,200人近く参加したとあると、描かれなかった大多数のことを想像してしまう私である。ある場所で誰某は付き合ってもしくは別れて。誰某はただ1番を目指して走って。誰某は早々に根をあげて。誰某は抜け出して。登場した数人の前方後方で、そのようなこれまたドラマがありそうだなと勝手に想像して、勝手に楽しませてもらった。
大人の青春を描いた作品があれば、教えていただきたい。
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まさにドミノ! 小説の構造美を楽しむ一冊!
いつも本を読みながらメモをとるんだけど、この小説の後半は全くとれなかった!
目まぐるしく変わるシーンと、前半で広げきった風呂敷が後半ものの見事に畳まれていく物語を、その興奮を止めぬまま読みたい!と思ったから。アクション映画のようなリズムで切り替わる場面のスピード感を落とさないまま、最後まで走りきれた。最高。
物語の舞台は、東京駅周辺。
ノルマに追われる生命保険会社の営業マン、ミュージカルのオーディションに挑む子役と嫌なライバルの母親、元カノの恐怖から逃げ回る遊び人とそのいとこ、
映画館でアンフェアな推理ゲームに挑むミステリ研究部、海外から来日中の映画監督とそのペット、句会のために筑波からやってきたおじいちゃん俳人と、そのメンバーの警視庁OBなど、総勢27人と1匹がメインキャラクター。
もうこの時点でカオスでお腹いっぱいなんだけど、このそれぞれをキャラ立てして個性強く描いてくれてるから、全然、登場人物がわからなくならない。
さすがすぎる。恩田陸さんの手腕が恐ろしい。
誰かのふとした振る舞いが、見知らぬ誰かのピンチを救ったり、絶体絶命の爆弾騒動を引き起こしたりする。
複雑に絡み合った糸が、たった一つの結び目を引っ張った瞬間にスルスルと解けていく快感。映画だと受け身すぎるから、やっぱり小説という媒体でしか味わえないと思う。
そしてドミノが雪崩のように倒れていく様は、想像の何倍もハチャメチャだった。荒くれ者が作ったピタゴラスイッチみたい。
読後は自分の日常すらも「今、僕がここで靴紐を結んだことで、バタフライエフェクト的に世界のどこかで誰かの運命のドミノが倒れたのでは?」と、思えてくる。 -
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大好きな恩田先生の作品!三宅香帆さんもとんでもなくおすすめしていたので読みました!
私の中で忘れられない読書体験になりました!そして、人生で特別な本になりました!
演劇オーディションのお話。
サラブレッドの響子と大学で芝居を始めたばかりだから異才を放つ飛鳥が中心となって話が進みます。
舞台で芝居をするシーンが何度もあるのですが、その没入感がすごい!!!もう時間を忘れて読みました!
『六番目の小夜子』の呼びかけのシーンや『中庭の出来事』の芝居のシーンで夢中になって読んだ思い出がよみがえりました!
舞台を観劇しているかのように情景が頭の中で浮かびました!臨場感のある心情描写もよかったです
響子や飛鳥だけでなく、周りの巽や神谷の視点もあることで二人の女優のすごさが際立っていた気がします。
『ダンデライオン』と『チェリーブロッサム』をどうかどうか書いてくださいという気持ちでいっぱいです。 -
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ホラーミステリー、になるのか。後ろが振り向けないようなゾッとする怖さではないので読みやすい。(私はホラーは苦手です)
謎解きの気持ちで読んでいたが、そうゆうストーリーではなかった。暗喩だらけの印象で、何を訴えたいのか、モヤモヤしながらラストの解説を読むと、分かりやすくて満足。
要所要所に、残りわずかな学生生活への憂いや、制限された学校という場所への閉塞感、勉強学歴への疑問など、様々な思いを感じる。
これは何歳の人でも読めるし、何度読んでも考えさせられる。
生徒数や素行などは昭和を感じ、それがまたこの物語の世界観を作り出す要素になっている。
まだ、アレは続いてるのかな。 -
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大人になりたてだった文庫刊行時に「高校生の話か」と手が伸びなかった本作。
まだ記憶に新しいからこそ「子どもっぽいもの」として距離を置きたくなったり、少し冷めた目線で見てしまってた。
自分が大人になろうと背伸びしている最中だからこそ、少し下の世代を軽視してしまってたのだと思う。
40歳手前になった今、本屋大賞受賞作品全制覇への一環として、秋が舞台の本作のページをようやく開いた。
結果、「今」読むことができて良かったと心から思える、最高の読書体験になった。
主人公の1人の融に、友達の忍が読書を例にして「タイミングを逃すな」と説教するシーンは、読書好きとして深く共感したけれど、読み終えた今ならわかる。
そんなの読まない言い訳にならないほどに良い。
読むのに遅すぎることなんて、絶対にない。
タイミングを逃して後悔すること、逃してしまったこともすっかり忘れて後悔すらできないこともある。
そんな経験をしてきた大人の今だからこそ、響くものもあった。
主人公2人の和解というメインストーリーだが、周辺人物とのエピソードも絶妙。
お互いを大事に思い合う友人たちの視点や関わりがあるからこそ、2人の輪郭がより立体的になり、変化していく様が深く腑に落ちる。
夜の空気感、道中の景色、そして足の疲労。
五感に訴えかける丁寧な描写が、語られる内容と見事にシンクロし、まるで自分も一緒に80キロを歩いているかのような感覚に陥った。
そうして拗らせていた複雑な感情を、夜を徹して歩き、自身と相手と対話することで、シンプルで素直なものに変えていく。
あの夜明けとともに訪れる解放感と爽快感は、まさにこの作品にしか出せない青春の輝き。
悲しいからでもなく感動したからでもなく、胸がいっぱいになって泣けるという経験を、この作品で初めて知った。
大人の今だからこそ出会えてよかった、間違いなく最高の青春小説。 -
Posted by ブクログ
大好きな恩田陸さんの作品!山本周五郎賞受賞作!
演劇と現実が交錯しながら進んでいくストーリーはやや難しかったですが、目まぐるしい場面展開で最後まで飽きずに読めました!
会話劇と余韻のあるラストはとっっっても好み!
最後はどんどん真相が明らかに…。
ホテルの中庭で劇作家が死んだ事件やビル街の中庭で死んだ事件、舞台ではさらに新婚の夫が死んだ事件と物語では謎が溢れかえっていました。そこに作中作や作中作中作も挟まれていて読み応えがすごかったです。
初めは男や女と表現されていた場面が名前が当てられることで話に深みと広がりが出てくるのを感じました。
一回では理解しきれない部分もあるのでまた再読したい!
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Posted by ブクログ
これは、犯人を当てることが目的の推理小説ではない。むしろ、事件を通して「人は人をどう見るのか」を考えさせられる作品だった。
ある名家で起きた毒殺事件。
生き残ったのは、盲目の少女・緋沙子ただ一人。
数十年後、事件を再調査するため、関係者へのインタビューが行われる。
証言を読み進めるうちに、あたし自身も「もしかして緋沙子が……?」と疑わずにはいられなかった。
でも、最後に彼女の胸の内に触れたとき、その疑いは一気に切なさへ変わった。
盲目で、美しくて、知性があって、勘も鋭い。
そんな「特別な人」だからこそ、周りは彼女を恐れ、勝手なイメージを作り上げてしまう。
被害者なのに、誰にも信じてもらえない。
周りから作り上げられた「特別な人」という物語の中で生きるしかなかった彼女を思うと、胸が苦しくなった。
人は、自分とは違う存在を恐れてしまう。
そしてその恐怖はいつの間にか、
「あの人ならやりかねない」
という根拠のない先入観に変わってしまうのかもしれない。
最後、彼女はもう「美しい人」でも「盲目の少女」でもなく、ただの一人の人間としてそこにいた。
そのときの彼女の痛々しさと、どこまでも報われない孤独が、ずっと心に残った。