恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ神谷さんが、少女を初めてみたのは今年の桜も終わり
どことなくまが抜けた、やたらと眠い4月半ばの
午後のことでした。
久々に古巣の劇団の書き下ろしで 力がはいりますが
なかなか書き始められない焦りのなか
ぼうっとした頭で窓の外を見て座っていました。
窓からの景色は 山手線の駅前の改札口を出た所。
行き交う人達の中で 1人何故か気になる少女が
いました。何をしているのか?観察していましたが
突然消えてしまい まるで白昼夢でもみていたのか
との思いでした。
それから1週間後の同じ場所。神谷さんはまだ
書き始める事ができないで 更に焦りを感じて
いました。
また 窓の外を見ていると あの時の少女が -
Posted by ブクログ
恩田陸節炸裂という感じで私はとても好き。映像化を試みると必ず人が死ぬといういわく付きの小説の関係者が、日本からアジアを周る豪華客船で一堂に会す。そんなワクワクしそうな設定と舞台の600ページほどある大長編なのだが、これと言ったイベントは起こらない。誰かが殺されそうなシチュエーションだが、誰も死なない。なんならほとんど船も降りない。この閉ざされた海上の空間で、登場人物たちが繰り広げる会話劇を存分に楽しむ趣向だ。
一応仕掛けはある。主人公は弁護士と作家の夫婦。再婚した2人だが、夫の最初の妻は脚本家で、いわく付きの小説の二度目の映像化の際に自死を遂げている。夫は船上にいるうちに、元妻の日記を読み解 -
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〈不思議だ。
こういうのって、決して特別なシーンじゃないんだね。
他愛のない、ほんのワンショット。夕暮れ時の、小さな川に架けられた石橋が、真っ赤な水面に黒い影を落としてる。〉
青春小説を愛おしくを感じるのはどんな時だろう、と考えてみる。たぶんひとによって答えは様々だとは思うのですが、個人的には、〈派手な事件〉や〈特別な事柄〉よりも、〈とりとめのない思考〉に対して感じることのほうが多いように思いました。本書は、学生時代のこと、社会のこと、小説のこと、映画のこと、音楽のこと、高校時代の同級生だった大学生三人のまなざしから、それらに関する〈とりとめのない思考〉が綴られていて、読み進めるうちに -
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「ガラスの仮面」が好きです。
二人の全く異なる才能を持つ女性が、舞台という場所で互いの才能をぶつけ合う。
マヤが、亜弓さんが、どんな演技をするのか?
アニメで入りましたが、本当に面白い作品だと思います。
あの興奮をもっと味わいたい!
そんな想いに応えてくれるのが、本作です。
オーディションのみで完結していますが、二人の異なる才能を持つ女性が、舞台を通して運命の出会いを果たすまでの話だと思います。
与えられた役に対し、どう解釈し、色をつけるか?
オーディションなので数名の役者も登場しますが、一つの役、課題に、一人一人答え方が違うのが面白い。
天才肌すぎる飛鳥は、本能だけで演技を完成させてし -
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ものすごい久々に読んだ恩田陸先生の作品。
12話収録。
主人公の「元は名の知れた裁判官である」(p121)切れ者で甘いものが好きなイケオジ〈関根多佳雄〉にもうどハマり。顔がどうとかはわかりませんが纏う雰囲気が素敵。息子で「バリバリの現役検事」(p91)である〈関根春(しゅん)〉も登場回数こそ少ないながら印象的な好キャラ。
あとがきに曰く「私がある日古本屋で一目ぼれした東京創元社の三十年前のペーパーバック、バリンジャーの『歯と爪』。是非これと同じ意匠で作りたいと思った」(p305)とあり、調べると確かにそっくり。『歯と爪』にはあったらしい袋とじはさすがに無いですが。
話毎のテーマは色々で、妖