あらすじ
白いワンピースに、麦わら帽子。廃ビルに現れる都市伝説の“少女”とは?――太郎と散多は古道具店を営む兄弟。ものに触れるとそこに宿る記憶が見えるという散多は、古いタイルからこれまでにないほど強烈なイメージを受ける。そこに映し出されたのは幼い頃に亡くした両親の姿だった。タイルと両親にまつわる謎と、廃ビルで目撃された少女の都市伝説が交差するとき、時を越えた物語の扉が開く……。再開発予定の地方都市を舞台に、兄弟のひと夏の不思議な冒険を描くファンタジックミステリー長編。
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Posted by ブクログ
主人公の語り始めと視点がちょっと過去なのが新鮮。
どことなくふんわりした印象があるのは何でだろう
駆け抜けていく、話の展開が好きです!
Posted by ブクログ
お…面白かった〜〜!
伏線を回収しきらないのが大得意な恩田陸、これはとても良い方向に作用していたと思います。
解体現場に現れる不思議な少女、
触ると過去が見える能力をもつサンタ、
引戸集めが趣味のタロウ。
そしてむせかえるような夏の空気。
現実と不思議な世界の狭間のような作品、
わたしはこの手の合間を曖昧に描かれた話が大好物なのだと気づきました…本当にありがとう、恩田陸。
絶対夏に読むべき。
ナツイチに選んでくれてありがとう、集英社。
Posted by ブクログ
何かが終わる時、そして始まる時に現れるだろう不思議な存在、喪失と希望をアンビバレントに語るもの…で、あればこそ美しくも在るのだろうか。
それを作り出すのもまた人の心の有り様如何か。
喪失に片寄れば陰鬱な物の怪、希望が強すぎれば閃光を纏った破壊が産み出されるような気もする。
このアンビバレントな不安定に耐え、そこに居続けれる場合のみ、美しいものとして産み出されるのかもしれない。例え身に宿る不運がどんなものであったとしても。
しかしそれにはあと人間が2人と、不思議な動物が1匹必要とのこと。やはり人は一人では、この不安定には耐えられないのだろうな。
Posted by ブクログ
表紙がイラストかわいいと思って購入。
夏を感じたくて読んだ一冊。
なかなかに長編だったけどスイスイ読めて面白かった。ちょいホラーな感じもあったけど、最後はほっこりする作品。
Posted by ブクログ
読みやすくて、どんどん伏線が回収されていくから一気に読んでしまった。
全体的に不穏で、不気味な空気が静かに流れていて、でもそれがやりすぎじゃなくてちょうど心地いい。
あの土地の記憶とか、人の営みのなかに何かが棲んでるような雰囲気や、土着的でミステリアスな世界観だけれど、どこか懐かしさも感じる説明のつかない気味悪さがじわじわ残る感じが私は好きでした。
夏に読むのがぴったりで、夏イチで買ってよかったと思える一冊だった。面白かったです!
Posted by ブクログ
去年の夏に購入した本。
読み始めは(今年の)夏だった気がするのに、気付けばこんな時期に……。
でも、物語の時間軸と同じような季節で読み進められたので、それは良かったのかな?(どうかな?)
スキマワラシ、出会ってみたいような、みたくないような?
でも、怖くない存在なら出会ってみたい、かな?
Posted by ブクログ
表紙も真夏って感じだけど読んでいてそんなに夏って感じはしなかった。だから「夏に読もう」じゃなくて一年通して楽しめるはず。どんどん真実に近づいていくワクワクがとっても好き!
個人的にとってもお気に入りなポイントがあって、6章の『時間が経ってみると意外に大した問題ではなかったと判明することも多い。さすがに八年人生経験が長いだけあって、兄のすることはけっこう正しい。』というところ。(文庫本だと187頁かも)
私も年の離れた姉兄がいるから今まで私がなんとなく思ってたことが言語化されて嬉しかったしやっぱり合ってたんだなとちょっと思って嬉しかった。
Posted by ブクログ
恩田陸作品に共通する不穏な感覚、久しぶりに読んで、やっぱり不穏で不気味だった。
スキマワラシたちは何のメタファーだったんだろう?
太郎と散多とハナコの話。
Posted by ブクログ
白いワンピースと麦わら帽子、水色の胴乱、モノクロの花。不気味なんだけど気になる都市伝説。
主人公の独白でストーリーが進む。突然読み手側に呼びかけられたり、いつもの恩田陸作品とは違う?と戸惑いを感じるけど、読み進めるとそれにも慣れて、引き込まれる。
目が合う・引出し、押入れから出てくる・こちらに向かってくる…得体のしれない不気味な存在との邂逅を書かせたら敵なしの恩田節が炸裂。
どの季節に読んでも引き込まれるストーリーではあるけど、作中出てくるキーアイテムが夏を連想するものが多いので、残暑厳しいこの時期に読むのが良。
Posted by ブクログ
散多と名付けた理由や謎のノースリーブのワンピースを着た少女。座敷童子ならぬスキマワラシの正体。最後に一気に謎が解けるがそこまで辿り着くゆったりとした時間。骨董品を扱う仕事で時間に追われる事ないので余計にうらやましく思う。
Posted by ブクログ
白いワンピースのおさげの女の子。胴乱をさげて、虫取り網を持ち、瓦礫のなかに何かを探している。急速に発達した時代のなかで、それまであったものがなくなっていく淋しさの権化のように感じられた。
ドアの向こうへ走り去る女の子達をみたとき、
彼女たちの役目は終わった。
目の前を、明るい夏が駆け抜けていった。
そんな気がした。
僕らの国の、夏の季節が過ぎ去っていった。
そうも思った。 (引用)
これがこの本の全てだと思った。
夏というのは、熱く栄えた日本の近代を指す。
女の子の姿は、その象徴。
日本が変わり、彼女たちは去っていく。
読み終わっても謎が多く残ったので後味が良いとは言えないが、今の日本とひと昔前の日本を比べたときの淋しさを言語化してくれていて引き込まれた。
昭和の時代のことはわからないが、自分が小さかったころのきらきらした眩しさを思い返しながら読めた。
Posted by ブクログ
不思議な感覚が続く話
主人公の兄弟が姉妹なんじゃないかと思う雰囲気で、そこもまた不思議な感じがする
でも、終盤出てくるハナコとの関係は男女でないといい感じにならないと思う
Posted by ブクログ
恩田陸の文体技術に感心
語りは「僕」の性格がよく伝はってくる魅力ぶかいものだ。兄のキャラクタ性も面白い。
伊達に何年もファンタジー作家として生きたわけではない恩田陸。都市伝説をあつかった「裏世界ピクニック」とつい比べてしまふ。
発表が新聞小説なので、進展もすこしづつ遅々として進む。
カギカッコなしで進む会話技法には、学ぶべき点がある。
起承転結の結の部分に賛否がある。私は、まあこれでいいと思ふ。血縁をミステリのコアにしてゐて、その紋切型は気になった。
Posted by ブクログ
古道具屋を営む兄弟の弟目線の話。
語り口調なんだけど、途中から書き方が変わってきてそこに何か意味があるのかな?私にはイマイチわからなかった。
面白かったけど、なんかスッキリ!という感じの終わり方ではなかった。
Posted by ブクログ
何と言うか、恩田陸とはこういう作家なのである。
不思議なもの、というと凡庸な作家がホラー的な解釈をしたり、強引にSF的に持っていったりとするが、恩田陸は自然そのままの不思議をそのままにしたがる。
亡き両親と兄弟たち、そして彼らが体験する不思議な体験はノスタルジックでどこか切なく、優しい感じがする。
Posted by ブクログ
なんだか不思議な話だった。途中まであんまり話が進まなくて、う〜ん?って感じではあったけど雰囲気は好きだったな。結構余韻と謎が残る終わりだったと思う。日本の熱さの象徴という推測した白いワンピースの女の子が扉の向こうにかけていくのはなんだか少し寂しかったな〜。
Posted by ブクログ
単行本が出た時から、早く文庫になれなれと思いつつ、いざ文庫になったら分厚くてなんとなく読んでいなかった作品。
「アレ」って何だったんだろうとか、スキマワラシは何のために、とか疑問は解消されなくて気になった。長すぎ、っていう人もいるけど、一つ一つの章が長くて核心に少しずつしか近づかないのは、語り手である散多の回りくどい話し方と合っていて私はとっても好きだった。
Posted by ブクログ
読んでいるとその情景がありありと浮かんでくる。さすが恩田陸さん。
次々と重なっていく謎が、最終章でに一気に解かれた。
ジローの癖はよくわからないままだったが…。
私の頭の中で、白いワンピースにおさげの少女が元気よく走り回っている。
Posted by ブクログ
恩田さんの文章ってどうしてこんなにスルスルと入ってくるのだろう。
本の分厚さの割に、体感時間があっという間。
この本も500ページ越えという大作だけれど、まるで本の中にすべりこんでいくように、抵抗なく読み終えた。
ちょっと変わった体質を持つ主人公が、その体質のせいで見える風景の謎に迫るお話。
『スキマワラシ』というタイトルから想像できるように、少し怪談めいた要素があり、それが「恩田陸」らしい世界観を醸し出している。
訳のわからなさが不穏に感じてドキドキする。でも、不思議と読後感は爽快、爽やかな気持ちになる。
これぞ恩田陸、というお話。
Posted by ブクログ
恩田陸作品特有の少しホラー要素のあるファンタジーな世界観が良かった!
散多の「アレ」の能力やスキマワラシの正体、なぜハナちゃんを探していたのか、ジローとナットの謎などなど・・・読み終えても気になることだらけ(笑)
気になりすぎて考察してる人のブログなどを探していたときに、ある方が散多の能力は常野物語シリーズに関係しているのかも!という内容を書いていて、おっ!っとなりました。
実際はどうかはわかりませんが、考察するところも恩田陸作品の楽しみという事で・・・。
Posted by ブクログ
すごく惹かれるタイトルで、ちょっと怪しげだけど怖過ぎなくて、好きな世界観でとても楽しく読めました。
でも、結局謎が謎のままでちょっと消化不良のままなのが残念。多少謎が残るのは良いけど、伏線っぽいものが複数残ったまま、不思議なままはモヤモヤ。ちゃんと読み込めてないのかなぁ?
Posted by ブクログ
ふんわりつかみどころのないあるような
無いような不思議な気持ちになるお話でした。
私もアンティークなものや、趣あるお家など
興味があり、素敵なものに出会うとわくわくしますが、散多くんのように、触れると
その物がもつ記憶を感じてしまうのは、
ちょっと興味がありますが、怖いよなぁと
思いました。
ハナコさんとも引き寄せられるように出会いや
スキマワラシ…
なんとなくつかみどころのない感じが
ちょっぴり怖い感じがしましたが…
登場人物も、不思議な魅力のある人ばかり。
お話も不思議な感じでふんわりふんわり
終わった感じでした。
Posted by ブクログ
何気ない描写しかないのに、目の前に光景が浮かんでくるのは流石だなあ。
でも物語は思いもよらないラストで、線香花火のように最初の期待値が大きく、最後は静かに終わった感じ。
そもそも、日本の建物ってそんなに取り壊されているのか。
確かに駅などは昔の風情がなくなってしまったけど、ビルなんかは老朽化しつつもまだ現役のものがたくさんあるイメージだけどなあ。
Posted by ブクログ
途中までのワクワク感がフェードアウトしていってしまった感がある。説明できてしまうと面白くないという概念ではあるものの、解決策のない放置感が少し残念でした。
Posted by ブクログ
ここからクライマックスかと思い、残りページを確認したら後が少なく、これで完結するのかと要らぬ心配。もしかしたら続編を想定した結末かなとも思う。そんな庸人の夢想をよそにテンポよく一気のエンディング。
胴乱の中身が暗示するもの。時代を追うごとに加速度的に早まる時間の流れの中で知らず知らずのうちに失ってゆくものを今に伝え、輪廻転生を今を生きる人に伝え、役目を終えたちびっ子達が在るべき場所へ駆けて行く。
メルヘンチックでミステリアスな物語でした。