あらすじ
白いワンピースに、麦わら帽子。廃ビルに現れる都市伝説の“少女”とは?――太郎と散多は古道具店を営む兄弟。ものに触れるとそこに宿る記憶が見えるという散多は、古いタイルからこれまでにないほど強烈なイメージを受ける。そこに映し出されたのは幼い頃に亡くした両親の姿だった。タイルと両親にまつわる謎と、廃ビルで目撃された少女の都市伝説が交差するとき、時を越えた物語の扉が開く……。再開発予定の地方都市を舞台に、兄弟のひと夏の不思議な冒険を描くファンタジックミステリー長編。
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Posted by ブクログ
主人公の語り始めと視点がちょっと過去なのが新鮮。
どことなくふんわりした印象があるのは何でだろう
駆け抜けていく、話の展開が好きです!
Posted by ブクログ
表紙も真夏って感じだけど読んでいてそんなに夏って感じはしなかった。だから「夏に読もう」じゃなくて一年通して楽しめるはず。どんどん真実に近づいていくワクワクがとっても好き!
個人的にとってもお気に入りなポイントがあって、6章の『時間が経ってみると意外に大した問題ではなかったと判明することも多い。さすがに八年人生経験が長いだけあって、兄のすることはけっこう正しい。』というところ。(文庫本だと187頁かも)
私も年の離れた姉兄がいるから今まで私がなんとなく思ってたことが言語化されて嬉しかったしやっぱり合ってたんだなとちょっと思って嬉しかった。
Posted by ブクログ
白いワンピースのおさげの女の子。胴乱をさげて、虫取り網を持ち、瓦礫のなかに何かを探している。急速に発達した時代のなかで、それまであったものがなくなっていく淋しさの権化のように感じられた。
ドアの向こうへ走り去る女の子達をみたとき、
彼女たちの役目は終わった。
目の前を、明るい夏が駆け抜けていった。
そんな気がした。
僕らの国の、夏の季節が過ぎ去っていった。
そうも思った。 (引用)
これがこの本の全てだと思った。
夏というのは、熱く栄えた日本の近代を指す。
女の子の姿は、その象徴。
日本が変わり、彼女たちは去っていく。
読み終わっても謎が多く残ったので後味が良いとは言えないが、今の日本とひと昔前の日本を比べたときの淋しさを言語化してくれていて引き込まれた。
昭和の時代のことはわからないが、自分が小さかったころのきらきらした眩しさを思い返しながら読めた。
Posted by ブクログ
なんだか不思議な話だった。途中まであんまり話が進まなくて、う〜ん?って感じではあったけど雰囲気は好きだったな。結構余韻と謎が残る終わりだったと思う。日本の熱さの象徴という推測した白いワンピースの女の子が扉の向こうにかけていくのはなんだか少し寂しかったな〜。
Posted by ブクログ
単行本が出た時から、早く文庫になれなれと思いつつ、いざ文庫になったら分厚くてなんとなく読んでいなかった作品。
「アレ」って何だったんだろうとか、スキマワラシは何のために、とか疑問は解消されなくて気になった。長すぎ、っていう人もいるけど、一つ一つの章が長くて核心に少しずつしか近づかないのは、語り手である散多の回りくどい話し方と合っていて私はとっても好きだった。
Posted by ブクログ
恩田陸作品特有の少しホラー要素のあるファンタジーな世界観が良かった!
散多の「アレ」の能力やスキマワラシの正体、なぜハナちゃんを探していたのか、ジローとナットの謎などなど・・・読み終えても気になることだらけ(笑)
気になりすぎて考察してる人のブログなどを探していたときに、ある方が散多の能力は常野物語シリーズに関係しているのかも!という内容を書いていて、おっ!っとなりました。
実際はどうかはわかりませんが、考察するところも恩田陸作品の楽しみという事で・・・。