恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
十四歳の少女、高田奈智は四年ぶりに訪れた磐座の地でキャンプに参加する。キャンプの目的は、「虚ろ舟乗り」を育てることであった――という筋。
帰省途中の寄り道で何気なく購入したものの、図らずも夏が舞台なので、盆の実家で一気読みするのが楽しい作品だった。
SF・ミステリ・ホラー・青春小説…という触れ込みだけど、ベースは青春小説、他ジャンルはあくまでトッピングかなと思う。恩田陸って面白い原風景ありきの構成(と、当人もどこかのエッセイで書いてた気がする)が楽しい半面、辻褄合わせのために風呂敷が萎んでいく様が悲しい作品も多いのだけど、SF設定を利用して風呂敷が無限に膨らんでいく本作はひたすらに楽しかった。ただ、あくまで原風景の味付けにSF的モチーフがあるだけで、「虚ろ舟乗りの存在意義」やら「社会構造への影響」みたいなSF的発想の追求はかなり淡白で、あくまで成長譚がメインに据えられている印象。これをSF小説と呼ぶのはちょっと誇大広告かな……。
血切り関係のくだりは結構露骨な性体験のアレゴリーで、少女視点のそれはだいぶ生々しい。このあたりの少女漫画的味付けは結構評価が分かれる気がする。男としては少し居心地の悪さを感じる部分あり。思春期の我々はその点バカで能天気で気楽なのでね。
全体的としては『六番目の小夜子』『夜のピクニック』の正統進化、恩田陸集大成かなと思う。やっぱり恩田先生好きだな。 -
Posted by ブクログ
前作の続きということで理瀬シリーズすっかりハマってしまいました♡
今回は、亡き祖母の遺言により魔女の館と呼ばれる、祖母が住んでいた家に叔母2人と一緒に住むことに。
近所では気味悪がられているこの家で祖母は不可解な死を遂げている。
そして祖母と血のつながりがない叔母2人は何かを企み腹の探り合いをしながら理瀬は過ごしていく。
百合の匂いが漂うこのグラバー邸ではどんな秘密が待っているのだろうか?
2作目も不穏なミステリー。
今回は理瀬の従兄弟の亘や稔が登場し、
前作と違う覚醒した理瀬にドキドキします☺️
昔や次の理瀬が知りたくなり、3作目も買ってしまいました。
理瀬ワールド中毒になって抜け出せないです!笑 -
Posted by ブクログ
話が大きく動き出すのは、文庫本で180ページくらいから、それまではゆるやかに主要なキャラクターの人となりが描かれていきます。掛け合いの楽しさや文章の読み心地の良さもあって、導入が終わるまでにそんなページが掛かっていたことに驚きました。とはいえ、ネタバレとは言えないものの、ここからの展開を語ってしまうのは若干ためらいがあります(文庫本の裏表紙には書かれていますが)
すこし伏せながら伝えるとしたら、本作は空港の入管で別室に案内された性別も年齢もバラバラの11人の日本人が、彼ら同士で議論して、「この中にたったひとりいるある思惑を持った人物」を導き出すミステリです。緊迫した状況の中に、登場人物同士の和んでしまうやり取りが随所、挟み込まれているのが印象的です。登場人物たちの様々な隠し事が明かされていく中で、真相が明らかになり、『消滅』とともに、希望のヴィジョンが描き出されます。それに対する〈彼女〉の反応も良いなぁ、と。とても余韻の良い小説でした。