あらすじ
奇妙な旅のはじまり、はじまり
異母兄の恋人から、兄の失踪を告げられた私は彼を探す旅へ――。
奈良を舞台に夢と現実のあわいで真実は姿を隠す。恩田ワールド全開のミステリーロードノベル。
異母兄が奈良で消息を絶った。
たった二度しか会ったことがない兄の彼女に誘われて、私は研吾を捜す旅に出る。
早春の橿原神宮、藤原京跡、今井、明日香……。
旅が進むにつれ、次々と明らかになる事実。それは真実なのか嘘なのか。
旅と物語の行き着く先は――。
「恩田作品には映像に携わる人間を刺激する何かがある。
撮りたい衝動にかられる。その言葉を発語してみたくなる。
登場人物を設定された場所に解き放してみたくなる。
そして、その場所を、実際に訪れてみたくなる」
(解説・佐野史郎)
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夜のピクニックの続きかと思ったが設定が似ていただけのようだ。切ない話で前の奥さんの息子に恋していたけど周りに悟られないようにしていたと最後にぼやかして書いてあり旦那に似ているという事で旦那を本気で好きだったのかとほんの数ページしか書いてないけど想像を膨らましてしまった。
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ミステリ要素が少しある旅行小説って感じかな。奈良の空気感を味わうのがメインの本でした。
主人公が「この旅の意味はなんだろう」と舞台を巡りながら考える感じは、『黒と茶の幻想』や『鈍色幻視行』、『夜のピクニック』なんかと雰囲気が近いように思う。
個人的に恩田先生は「読むと旅をしたくなる作家さんナンバーワン」なので、今作も旅情をたっぷり感じられてよかった。
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異母兄にあたる男性が仕事中に奈良で消息を絶った。その恋人でもあった四歳年上の女性から、「一緒に奈良に行かない?」と誘われる。静は彼女に連れられて旅を続けるうちに、様々な隠された秘密を知り、それぞれの想いに触れていく。
……ということでなかなか説明が難しいのが本作『まひるの月を追いかけて』で、この旅(物語)はどういうふうに転がっていくのだろうか、というのがまったく読めず、決して読む側を安心させてはくれません。安心と引き換えに、新たな世界を求めようと、歩き慣れた道をふいに逸れてしまいたくなるひとに、特におすすめしたい作品でした。普遍的な懐かしさを喚起する描写も魅力的でした。
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うちにあったんだっけな、おじいちゃんがくれたやつかもって母が言ってた気がする
とってもいい話だったような
私は短絡的なので最後は衝撃受けたし
今の恋人が奈良出身ということもあり、
奈良のこと全く知らないのに愛おしく思えたんだよな
この前読んだばっかりなのに
端々の内容しか覚えておらず悲しい
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恩田陸は人の心の鬱屈というか無意識下、生々しい暗さを上手く具現化し表現するのが非常にうまい。
旅の中でほぐれていく心の様が繊細でまるで自分の心も解きほぐされていくような気持ちになれた。
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奈良、明日香、橘寺。
奈良を巡る奇妙な関係性の不思議な旅行の物語。
自分も奈良を旅してみたい。
古墳、寺、沢山の遺跡に死と生が同時に在る感覚を味わい、生きる意味と死ぬ意味を自分の中に見つけられたらいいなと思う。
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この話は特にラストに賛否両論あるみたいですが、私はこの独特の雰囲気が好きです。盛り上がったりする部分はなく、ずっと静かなテンポで物語は進んでいきますが、その静かさがとても心地いいです。本当に、過去と現在の奈良を歩いている気がしました。自分がもっと年齢を重ねたときに、また読んでみるとこの話の良さがさらに分かると思います。
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個人的には結末の後味が悪いと感じる作品でした。
主人公の静は、奈良で行方をくらました異母兄を探すため、兄の恋人とともに奇妙な旅に出掛けるというストーリーでしたが、なぜ兄が恋人のもとを去ったのか、そしてなぜ兄の恋人は妹の静を旅に
誘ったのか、静にとって家族とは?といった謎が明かされていくたびに不穏な感じがしました。
ハッピーエンドが好きな方にはあまり刺さらないかもしれませんが、バッドエンドでも構わないという方には面白く感じるかもしれません。
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何度目かわからない再読です。
読後感は決して良くないし、登場人物たちがみんなそれぞれに弱くて勝手でしかも気味悪いところあって好きになれないのに、なぜか強く惹かれてしまう作品。
ロードムービー要素があり、奈良の風景や雰囲気の描写が独特で、これを片手に奈良旅行へ赴いたことがあります。
飛鳥で「誰かに見守られているようだ」と主人公が感じる場面があるのだけど、本当にそんな風に感じました。
自分がスノードームの中にいるようなかんじ。
きっとまたこの本携えて奈良に行ってしまう日があるんだろうなぁ。
私にとってはそんな不思議な一冊。
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恩田陸さんの文章は読みやすかったけど、物語の内容は…なんだか、という感じでした。
このことをこのページ数で書かれることに、2人の女性がその人生の大半を思い煩うほどに、何かがあるのかなと、よくわからなかった。
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腹違いの兄の彼女と、彼を探す旅に出る主人公。しかしその女性は実は彼女ではなかった。いつしか彼の最愛の女性は誰なのかを探す旅になっていった。家庭環境が複雑だったり、人が簡単に死んだりとかなり重い。ミステリーなのに温かい恋愛小説になるところが恩田陸っぽい。最後の最愛の女性が主人公の母親だと分かる瞬間、主人公はどう思ったんだろうとか、母親はどういう感情なんだろうとか、モヤモヤする部分はあるがそれ自体が物語の余韻として残って良かった。もう少し過去の話も知りたい。ちょっと泣きそうになった。倫理観的にアウトなのは気になる。
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著者書く本のなんともいえない不思議な雰囲気がぴったりなあらすじ。
消息不明になった男を元彼女と妹が探しに旅に出る。どんどんわかってくる事実にびっくりしながら読んだ。
ホラーではないけど、全体的に不穏でおどろおどろしい感じがした。
まさかの結末に驚愕。
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兄に興味の無かった妹が、旅の最中に心が変化していくのが面白いです。 女性というのは自分がある関係性の中に蔑ろにされると好きでも無い人でも好きな感情に引っ張られるのかな?
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本作、失踪した兄研吾を探しに、妹の静が兄の元カノと旅をするというところから始まります。その意味ではミステリーがベースとなっています。
・・・
小刻みに事実が明らかになり、その不穏さに読んでいてじわじわ・ゾクゾクしてきます。
兄の元カノが実は元カノではない、とか、実はその元カノは死んでいた、とか、兄と元カノともう一人の三角関係?であったとか。加えて、そもそも兄といっても異母兄だったりとか、複雑な家庭環境であることから、異母兄弟で恋愛かも!?という仄めかしも。
かような事実が兄を探す旅の最中に徐々に明らかになります。落ち着いた筆致のなかで、誇張もなく淡々とツイストが繰り出されます。冷静な展開に、これは実はモダンホラーなのかと勘違いするほどでした。
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さて、主人公静が兄探しをする相手は、結局は高校生時代からの兄の友人である妙子であることが分かりました。で、その場所たるや、奈良なのです。
橿原神宮や藤原京跡など、由緒ある史跡にかつての歴史上の人々に思いを馳せながら歩く二人の様子は味があるものです。奈良をご存じの方はきっと楽しめることと思います。知らないでも雰囲気がありますが、知っていたらもっと楽しかっただろうなあと、読後に羨ましく思う。
いや、たしかに奈良は私も一度行ったことがありました。子どもたちが小さいころに数年程大阪に住んでおり、休日に奈良公園に出かけたのでした。鹿せんべいか何かを買い与え、子どもたちが手づからやると鹿に手をベロンと舐められたか何かで、子どもたちは驚きのあまりギャン泣き笑 ということで史跡のイメージがない笑
史跡をゆっくり歩くという旅もしてみたいですねえ。
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ということでまたもや恩田作品でした。
ふつふつと不穏な空気が漂うミステリーでした。ちなみに最後は驚きの結末でした。ややメロドラマチックな結末!?
恩田さんのファン以外にも、奈良好きの方、史跡好きのかたは旅のお供に読まれてみてはいかがでしょうか。
Posted by ブクログ
行方不明の兄を探すため兄の恋人と奈良に向かう話。嘘に嘘を重ねる展開に何が本当か発言全てを疑ってしまう。そして予想通りに全く進まない展開に先がどうなるか気になる。奈良の町を歩きながら過去を遡る旅に同行した気持ちになる、実際に奈良を歩いてみたい。
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奈良、一種の独特な土地柄、ミステリーの恩田ワールドに磨きがかかっているような…
10年前くらいですか、奈良に行った事がありまして、その情景に登場人物達を投影させながら読んで、何となく実写に近いようなかたち。
文中後半にある手紙が出現するんですよ、メール、携帯電話で気持ちや思いを伝えるのが当たり前の世に生きる私には何かショックというか、感慨深いものを感じました。
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「行方不明の兄を兄の恋人と探しに行く」
確か『三月は深き紅の淵を』の中でそんな話があった
研吾が「あの人」のことを好きなのはなんだか途中で一瞬そんな雰囲気が頭を掠めた気がしたから最後はそこまで驚かなかった。むしろ突然フェアリーな話になってしまったらどうしようって思ったりしてた。
妙子、静、研吾が見た「優佳利」の姿は結局なんだったのだろう。
テンポが良くて(特に毎章の不穏な終わり方が更に加速感を強めている)もう1回読み返した方が面白い気がする。寓話の効果も深く考えたい。
所々で「大和三山は人工的なピラミッド説」、「(明日香は)死者のまち」とかいう都市伝説的話題というか読んでいて突然はっとさせられるような会話をねじ込んでくる恩田ワールドが好き。
読み返したけどなんで橘寺だったんだろう。そしてなんで妙子は甘橿の丘で静にカマかけたんだろう。
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奈良が舞台だからか、湿度を感じる空気が静かに物語に漂っている感じがした。ただ穏やかに旅が終わると思いきや、意外な展開と結末もあり楽しめました。ただ、終わり方が含みがある感じなので、読む人は選びそうな感じがした。
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以外な結末に何かすっきりとはしないまま終わってしまい、もやもや感と重たい気持ちのまま読み終えてしまった。テーマは人の愛なのかな?救われない感じ。
ただ解説が佐野史郎さんで帯に書かれているコメントが素敵で。
役者さんが読むとまた違う世界が見えるのかな。
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関西を舞台にした小説を探していた時に出会う。
奈良は日本で最も歴史ある町であり、しっとりとした落ち着いたイメージを持っていたが、そのイメージに違わない雰囲気で土地の雰囲気が描かれていた。
近いうちに訪れたいと思う。
肝心な中身の方は、何を描きたかったのか良く分からず、恩田陸さんの作品にしては珍しく全く響いてこなかった…
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ぅーん、あんまり面白くなかった。
恩田さんの話は結構全部面白めと感じる方だけど、なんかこれは。☆2.5くらい、てのが正直な感覚かなぁ。
確かに、前段~中段までの、だまくらかしの多い設定は面白いとも思うけど、全体を通じての大枠のストーリーが、そんなに面白いと思えなかったのよねー。
けんご氏の愛する人も、なんか想像できたし。
Posted by ブクログ
【自編集あらすじ】
離婚を経て、仕事と静かな私生活のなかでなんとなく満たされない気持ちを抱える静。異母兄弟の研吾、その元恋人の優佳利、友人の妙子の3人の関係に巻き込まれることで静は一つずつ真実を知っていく。
【感想】
自分は主役にはなり得ないが、知らないところで他の人の物語の重要人物になっている。自分とはどんな人間なのかを、奈良を舞台に妙子や研吾との対話の中で掴む心理描写の多い作品かな?全体的に平坦で途中飽きちゃったけどやっと読破できた
Posted by ブクログ
行方不明になった腹違いの兄を、兄の彼女と名乗る女と共に奈良へと探しに行く。
古都奈良の、数千年前から現在までの時の流れがごちゃ混ぜになったような雰囲気と、旅を続けるたびにそれぞれの関係性や思惑がくるくると変わる状況がリンクする。
個人的には、会話や思考の流れに集中してしまい、奈良の情景が全然頭に入らなかったのが残念。また、最後の展開が少し唐突で、もう少し静と母の関係性が描かれると良かった。描かれない、ということがつまり静の母への感情を表しているのかもしれないけど…。
そういえば、腹違いの兄弟姉妹や、死者を軸にした生者たちの苦悶っていうテーマは恩田陸さんの作品によく出てくるなぁ。
Posted by ブクログ
行方不明の異母兄弟の足跡をナゾの女性と旅する本でした。
ちょっと「嘘」が多く、心惹かれない感じでしたが
読まないでいるとやはり読みたくなる不思議な展開で
そこが恩田先生の魅力なのかなと思いました。
Posted by ブクログ
兄が失踪した。兄の彼女と彼を探す旅に出るが━。
母親を「あの人」と初めて呼んだのっていつだったろうなんて考えながら読んでいた。
設定はやはり複雑なところがあるけれど、『ユージニア』ほどの不気味さはなくて、そこは読みやすかった。
源氏物語みたいなお話。